交通事故 加害者
2021.11.19 2022.11.15

交通事故後、加害者自身も整骨院へ通う場合の治療費について

交通事故後、加害者自身も整骨院へ通う場合の治療費について

交通事故を起こしてしまった際に、加害者の方も負傷されることもあるでしょう。

被害者であれば治療費が出ることは分かるけど、私は加害者だし治療費は全額自腹となってしまうのかな、と不安になってしまうこともあるかと思います。全額自腹となると、むち打ち症等の治療のために継続的な整骨院治療を行うと大きな出費となり、生活が苦しくなってしまうことも考えられます。

しかし、事案によって異なることは当然ですが、加害者の方も保険会社に対して治療費の支払いを請求することができる場合もあります。

加害者の方自身もダメージを負っている交通事故後に、治療費の支払いがなくなるか、あるいは小さな負担で済むとすれば、金銭的にも精神的にも救われることでしょう。

そこで、本記事では、加害者自身も負傷を負うことが考えられるところ、前提として加害者とは何なのか、治療費等の請求先、慰謝料等を請求できる場合とできない場合についてご説明致します。

加害者自身や加害車両の搭乗者も整骨院に通うケース

自賠責保険、任意保険等に入っている場合、治療費の窓口負担なし

まず、交通事故において加害者と被害者の区別は、損害賠償請求権等を請求する側が被害者であり、賠償義務を負う側が加害者です。

そして、その損害賠償の根拠とは、民法709条、710条の不法行為に基づく損害賠償請求権等です。この規定を簡単にご説明すると、自己がわざと若しくは過失によって相手に損害を負わせた場合に賠償義務を負います。

交通事故にはお互いの不注意が重なり合って発生するものが多いため、お互いに過失がある場合も数多くあります。その場合、両当事者に過失がある以上、賠償義務を負っているといえることから、加害者であると同時に被害者でもあるといえます。

そのため、相手方に対し賠償義務を負っている場合であっても、加害者の方も相手方や相手方の保険会社に対して、治療費の支払いを請求することのできる場合もあります。

もっとも、交通事故発生に対してのお互いの責任の度合いを定めた過失割合が10:0でこちらが100%悪い場合は、相手方に過失がなく完全に加害者となってしまいます。その場合は、相手方や相手方保険会社に請求することは困難であるといえます。

また、加害者側の過失割合が7割を超えるなど、著しく高い場合は、重過失減額という理由により、受け取ることのできる賠償額が減額されてしまう可能性はあります。

以上のように加害者の過失割合が10:0で悪い場合であれば、相手方や相手方の保険会社に対して請求することが困難ですが、加害者の方が自身の自動車保険に人身傷害補償といった特約を付けている場合は、自身の保険会社から保険料の支払いを受けられる可能性があります。

保険会社に連絡をし、通院への許可を得てから受診した場合は、保険会社から直接医療機関や整骨院に治療費を支払ってもらうことのできる可能性もあるため、まずは保険会社に連絡してみましょう。

被害者にも過失がある場合

被害者側に慰謝料請求できる

前述の通り、被害者側にも過失がある場合には、被害者側に慰謝料請求することができます。

慰謝料とは、交通事故により受けた精神的苦痛を治癒するために支払われる金銭です。

自分の方が悪いのに慰謝料請求するなんて、と相手方に対し遠慮してしまうこともあるかもしれません。

しかし、慰謝料請求の法的根拠は、前述の通り、不法行為に基づく損害賠償請求権であり、その目的は損害の公平な分担です。相手方にも過失があるということは相手方も交通事故発生の原因を作っているということです。相手も原因を作っているにもかからず、比較的悪いというだけで全損害分の責任を負うことは公平とは言えませんよね。

そのため、自分の法律上認められている権利を守るためにも、慰謝料を請求することのできる場合は行使することをお勧め致します。

その場合は、基本的には相手方の加入している自賠責保険や任意保険の保険会社に対して請求を行うことが一般的であるといえます。

加害者の過失が100%未満の場合

自賠責保険会社に慰謝料請求できる

加害者側の過失が100%未満の場合とは、つまり前述同様に被害者にも過失のある場合といえます。

その際は、前述のように被害者側に慰謝料請求をすることができます。

被害者側に慰謝料請求することができるということは、被害者側の強制保険である自賠責保険会社に慰謝料請求することができるということです。

もっとも、加害者側の過失割合が70%を超える場合には、損害賠償の金額が減額される重過失減額がなされる場合があります。過失割合が7割前後になるような事故類型ではトラブルになることも考えられるため、注意が必要です。

まとめ

本記事では、加害者自身も治療を行う場合の治療費についての必要知識についてご説明致しました。

ご説明致しました通り、被害者側にも過失がある場合には相手方や、相手方や相手方保険会社に対し、治療費や慰謝料請求することができる場合があります。

もっとも、保険会社から提示された過失割合が納得できない等のトラブルが生じることがあります。過失割合が異なれば、むしろ自分の方が悪くないということになるかもしれませんし、支払わなければならない損害賠償額等の出費が大きく減る可能性があります。また、受け取ることのできる慰謝料額が大幅に増加する可能性もあります。

その際に、自己の適切な過失割合を主張するためには、交通事故の一般的に定まっている類型に従った過失割合をベースに事案の特殊性を主張していくという流れになります。その主張に当たっては、法律関係において、どの証拠が何を立証するのか、裁判所は経験則上どのように評価するのかといった知識やノウハウが必要となってきます。これらの知識やノウハウのない加害者の方が単独で、交通事故処理を専門に行っている保険会社を相手に交渉を行うことは容易ではありません。

したがって、トラブルとなった場合は弁護士の介入が大きな役割を果たします。お近くにある法律事務所へまずは一度ご相談されることをお勧め致します。

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