交通事故被害に遭い、仕事を休まないといけなくなってしまった場合、休業損害という補償を受け取ることができます。
この休業損害は、主婦の方にも認められているため、交通事故被害にあった方の多くが関係するものであるといえます。
しかし、初めて事故に遭ってしまった方にとって、そもそも休業損害がどのようなものであるかを知らない方も多いと思います。また、どのくらいの期間もらうことができるか、いつ受け取ることができるかについても知っておいた方が良いといえるでしょう。
そこで、本記事において休業損害について詳しくご説明致します。
目次
休業損害について
休業損害とは
交通事故の被害者になった場合、加害者に対し不法行為に基づく損害賠償請求権(民法709条、710条)を行使することができます。損害賠償請求権の項目には、治療費や通院交通費、慰謝料等があります。その中に、休業損害というものが含まれています。
休業損害は、交通事故の被害に遭い、負傷や治療のために仕事を休まないといけなくなった場合に、収入が減ることが考えられるため、その減少分を請求し補償してもらうという項目です。専業主婦の場合も家事労働を行っており、経済的価値のあるものとして判断されるため、休業損害を請求することができます。
休業損害を算定する基準は大きく分けて2種類あります。
まず、自賠責基準は、被害者に対する最低限の補償を目的とした自賠責保険に請求する際の算定方式です。1日あたり6100円×実際に休業した日数という算定式により計算されます。最低限の補償を目的にした基準であることから低い算定額となる基準です。保険会社は、自賠責基準に近い社内基準で算定した休業損害額を提示してくることも多いため注意が必要です。
他方の基準は、実際の収入をもとに算定する基準があります。この基準では、1日あたりの基礎収入×休業日数という算定方式を使用します。基礎収入は直近3か月の平均収入を基準に計算することが多いです。自賠責基準の1日あたりの収入が6100円と、実際の収入と比較すれば安いことが明らかである算定基準であることを考えると大幅な増額が見込めます。
そして、外部からの収入のない主婦の場合、同姓同世代の平均年収を定めたものである賃金センサスを利用して算出します。
このように主婦の方であっても、自賠責基準と比較してより高額な休業損害を請求することができます。
そして請求先については、法律上の原則は相手方に請求するのですが、交通事故においては損害賠償の支払いは保険会社が行う旨の保険契約を締結していることがほとんどであり、かつ自賠責保険のように加入を義務付けられていたりします。そこで、損害賠償額の支払いは相手方保険会社が行うことが一般的です。そのため、休業損害の支払いも相手方の保険会社に対し求めるという流れになるかと思われます。
休業損害の受け取り期間
医師が休業の必要があり、相当性があると判断した期間
交通事故による負傷や治療のために仕事を休まなければならなくなった場合の補償が目的であるため、当然に休業の必要性及び相当性の認められる期間に限定されます。そして、その休業の必要性や相当性の判断は医学上の見地に従い行われるため、医師が判断します。保険会社が休業損害を受け取ることのできる期間を勝手に指定してくることもあるかと思いますが、特に正当な根拠に基づいたものではないため、その場合は医師に相談するようにしましょう。
そして、休業の必要があり、相当性があると認められる期間は当然ですが、具体的な症状によって異なります。あくまで、目安にはすぎませんが、交通事故による負傷で最も多いむち打ち症の場合、約3か月程度であるとされています。もちろん、むち打ち症と一括りに言っても、症状の程度は個々において異なります。保険会社は基本的に相場に従って休業期間を決めてくることが考えられるため、より多くの休業期間を要する旨を主張していく必要があるといえます。
休業損害の受け取りのタイミング
一括、または毎月の給料のように支払われる場合もある
損害賠償を受け取るタイミングは示談交渉の終了後が基本です。もっとも、休業損害は示談交渉の成立前であっても毎月一定額を請求し支払われる場合があります。その場合は、休業損害証明書等の書類を保険会社に提出する必要があります。
毎月ごとに支払いを受ける場合、休業損害証明書等の必要書類を提出後、約1週間程度で支払われることが多いといえます。
主婦は休業損害証明書の提出は不要
主婦の方が請求する場合、休業損害証明書の提出は不要です。休業損害証明書は基本的に勤務先から発行されるところ、外部に勤務していない主婦が取得することはできないからです。
もっとも、客観的な資料である休業損害証明書による証明ができない分、事故が家事労働に従事しており、交通事故が原因で家事労働を休まなくてはならなくなったことを証明する必要があります。そのため、診断書、家族構成の分かる住民票、その他家事労働が支障を受け制限されたことを示す資料等を提出する必要があります。
交通事故を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。
本記事では、休業損害について詳しくご説明致しました。
本記事でご説明致しました通り、休業損害は、一般労働者と家事労働者の双方に認められます。
もっとも、前述した通り、保険会社は休業損害を自賠責保険に近い基準で算定し提示してくることも多いです。特に主婦の方の場合はその傾向が高いといえます。低い休業損害額を提示された場合、保険会社と交渉を行い、実際に裁判で認められる金額に近い金額まで引き上げていく必要のある場合もあります。
この場合、保険会社とトラブルになってしまう可能性が高いです。保険会社に対し、実際に裁判で認められる可能性の高い休業損害額に近い金額を認めさせることは極めて困難です。営利企業であり交通事故処理を数多く取り扱っている保険会社が、素人である被害者単独での交渉を簡単に受け入れることは考えにくいです。
そこで、法の専門家であり、裁判まで継続してサポートすることができる弁護士が介入し交渉を行うことが重要であるといえます。
その際は、交通事故を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。