交通事故 交通事故基礎知識 外傷なし 慰謝料 整骨院
2021.11.23 2024.02.15

交通事故後、整骨院の通院期間や日数は平均どのくらいなのか

交通事故後、整骨院の通院期間や日数は平均どのくらいなのか

交通事故の被害に遭った場合、治療するために通院が必要です。

しかし、過剰な通院は保険会社から治療費を支払ってもらえないといったトラブルにつながるリスクがありますので、どの程度の通院回数や通院頻度が望ましいのかについて気になるでしょう。

また、通院先が整骨院であった場合にも慰謝料は請求できるのかについて気になるかと思われます。

そこで、本記事では、交通事故後に身体に起こりやすい不調、整骨院を利用した際にも慰謝料を獲得できるのか、病院への通院期間の目安、平均的な整骨院の通院期間についてご説明致します。

1 交通事故後、体に起こりやすい不調

(1)むち打ち症

交通事故による負傷として最も多いのは、むち打ち症です。頸椎捻挫・腰椎捻挫等の医学的名称により診断されます。衝撃により首がむちを打った時のような動きをすることからこのような通称となりました。症状は、首の痛みから、肩の凝り、脊椎付近の痛みやめまい、不快感までと幅広く存在します。

レントゲン診断やMRI診断上は異常なしと診断されたにもかかわらず、症状が改善しないといった場合にはむち打ち症が疑われます。

(2)捻挫や打撲

交通事故によって、上記のような特殊な捻挫ではなく、一般的な手首や足首の捻挫も交通事故による負傷として多いものとなっています。

上記のようなむち打ち症や捻挫・打撲といった症状の場合には、整形外科等のレントゲン診断、MRI診断等において異常なしと診断され、湿布を処方されるだけの場合も少なくありません。

しかし、湿布を処方されるだけでは症状が改善しない場合も少なくありません。

そのような場合に、整骨院で受けることのできるマッサージ等の継続的な施術が症状の改善につながることも多いです。

そのため、整形外科等による検査においては異常なしと診断されても、慢性的な痛みや違和感が残り続ける場合は整骨院の受診を検討してみることをお勧めいたします。

なお,交通事故後の整骨院での治療,交通事故専門の整骨院については当事務所の次のコラムでご紹介しているのでご覧ください。

交通事故後、整骨院で治療できる?

交通事故専門の整骨院は存在する?

 

2 整骨院への通院でも交通事故の慰謝料をもらえるの?

整骨院への通院でも慰謝料をもらえることがあります。

しかし,まずは整形外科等の医療機関に通院すべきです。

理由は、治療費の支払等における法的処理にあります。

整骨院への通院は,長期的かつ通院頻度が高くなる傾向にあります。

保険会社は保険金額を減らしたいので、整骨院への通院を必要な治療行為として認めたくないと考えられます。

そのため、整骨院のみの通院であれば、保険会社は必要な治療として認めず、治療費の支払いを拒む可能性が高いでしょう。

もっとも、整形外科等の医療機関において医師から整骨院利用への指示や同意を得ている場合、保険会社としても必要な治療として認めざるを得ず、治療費を支払ってもらえる可能性が高くなります。

また、治療費や慰謝料を請求するにあたって、基本的には診断書が不可欠です。

さらに、後遺症が発生し、満足に働くことのできなくなった場合は、本来得られた収入との差額である後遺障害慰謝料を請求することになります。

その際にも、後遺障害診断書やMRI画像等が必要資料となります。

これらの資料は基本的に医師のみが作成することを認められています。

そのため、必要書類を取得するという観点からも、まず医療機関を受診すべきであるといえます。

そして、時間が経過しすぎると、負傷と交通事故との間の因果関係が否定されかねません。したがって、身体の違和感や不調を感じたらすぐに、整形外科等の医療機関を受診しましょう。

なお,交通事故後に整形外科と整骨院どちらを受診すべきかについては当事務所の次のコラムでご紹介しているのでご覧ください。

交通事故後の痛みが現れたら整形外科と整骨院どちらを受診すべき?

3 交通事故の慰謝料はどうやって計算するのか?

⑴交通事故の慰謝料

損害賠償には、治療費のような実際に支出したものの他にも、交通事故により被った精神的苦痛を治癒するために支払われる慰謝料というものがあります。

そして、治療が終了するまでの精神的苦痛に対して支払われる通院慰謝料は、交通事故後、治療が完了(※)するまでの期間をもとに算出され、1日当たりの慰謝料額が一定の基準のもと定まっています。

そして、1日当たりの基準には、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の3種類が存在します。

⑵自賠責基準

まず、自賠責基準とは、自動車保有者が加入することを強制されている自賠責保険に従った基準です。

自賠責保険は、交通事故被害者に対し最低限の補償をすることを目的にしているため、もっとも低額な基準であるといえます。

この基準では1日当たり約4300円で算出されています。

⑶任意保険基準

次に、任意保険基準とは、任意保険契約を締結した保険会社が独自に算定する基準です。

基準額は非公開であり、保険会社ごとに異なります。

保険会社は利潤追求の観点から、あまり保険料を支払いたくないというのが本音であると過去の経験から推認することができます。

そのため、この基準においても算定額は低く設定されており、自賠責基準よりもやや高い程度です。

⑷弁護士基準

最後に、弁護士基準とは、実際に裁判で認められた賠償額を基準に算定されるものであるため、最大の算定基準です。

裁判に発展した場合においても紛争処理を行うことのできる弁護士ならではの算定基準といえます。

期間にもよりますが、自賠責基準や任意保険基準と比較し、2倍近く増額することもあります。

通院慰謝料は長期間になればなるほど、額も大きく異なりますので、保険会社から不当に丸め込まれないように注意が必要です。

そして、掲題の通り、整骨院の通院でも必要な治療として認められる限りは、慰謝料を獲得することができます。

この際は、前述の通り、まず医療機関において医師から整骨院利用への指示や同意を得ておくことが重要です。

※治療が完了したときとは、完治したため治療が終了したといえる場合のほか、治療を継続しても症状の改善・悪化を期待できず治療の必要性が認められない症状固定の場合をいいます。

4 交通事故での病院への通院

⑴交通事故で一定の通院期間が必要な理由

交通事故の被害者は,入通院慰謝料を受け取ることができます。

入通院慰謝料とは,交通事故で怪我を負い,入通院せざるを得なかったことに対する慰謝料です。

入通院慰謝料は,入通院日数に応じて額が決まります。

適切な入通院慰謝料を受け取るために,一定の通院期間が必要になります。

通院期間が異なると入通院慰謝料の額がどれぐらい変わるか,自賠責基準と弁護士基準で比べてみましょう。

①自賠責基準

4,300円×入通院日数
(ア)入通院日数の計算方法

・実際に入院した期間と,通院した実日数を足して2倍

・総治療期間日数

このうち,日数が多い方を入通院日数とします。

(イ)入通院慰謝料の計算例

・入院した期間30日間,通院日数60日,総治療期間120日

実際に入院した期間と,通院した実日数を足して2倍:(30+60)×2=180日

総治療期間日数:120日

180日>120日なので,入通院日数は180日として考えます。

4,300円×180=77万4,000円

・入院した期間30日間,通院日数90日,総治療期間150日

実際に入院した期間と,通院した実日数を足して2倍:(30+90)×2=240日

総治療期間日数:150日

240日>150日なので,入通院日数は240日として考えます。

4,300円×240=103万2,000円

このように,通院日数が30日異なると,入通院慰謝料も30万円ほど変わります。

②弁護士基準

通常の弁護士基準による入通院慰謝料の表(単位:万円)

   入院1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月13月14月15月
通院B\A53101145184217244266284297306314321328334340
1月2877122162199228252274291303311318325332336342
2月5298139177210236260281297308315322329334338344
3月73115154188218244267287302312319326331336340346
4月90130165196226251273292306316323328333338342348
5月105141173204233257278296310320325330335340344350
6月116149181211239262282300314322327332337342346 
7月124157188217244266286304316324329334339344  
8月132164194222248270290306318326331336341   
9月139170199226252274292308320328333338    
10月145175203230256276294310322330335     
11月150179207234258278296312324332      
12月154183211236260280298314326       
13月158187213238262282300316        
14月162189215240264284302         
15月164191217242266286          
(ア)入院した期間30日間,通院日数60日,総治療期間120日

上記の表によると,入通院慰謝料は98万円です。

(イ)入院した期間30日間,通院日数90日,総治療期間150日

上記の表によると,入通院慰謝料は115万円です。

弁護士基準でも,通院日数が30日異なると慰謝料は20万円ほど異なります。

⑵交通事故で病院に通う場合の通院期間

①打撲

1ヵ月程度が目安です。

②むちうち

3ヵ月程度が目安です。

③骨折

6ヵ月程度が目安です。

⑶リハビリも通院期間に含まれるのか

リハビリは,交通事故によって生じた身体の不具合を元の状態に戻すために行います。

そのため,リハビリのための通院であっても,入通院慰謝料の対象となる通院期間に含まれます。

5 交通事故後の平均的な整骨院の通院期間・日数

(1)通院期間と通院日数

症状によって平均的な通院期間が異なることは当然ですが、前述したむち打ち症の場合、平均的には約3ヶ月程度です。症状が改善しない場合においても、約6か月程度が限度であるといえます。

(2)最適な通院頻度

むち打ち症の場合、週に2回程度の通院が一般的です。また、整骨院へ通院する場合は、最低でも月に1回程度は整形外科等の医療機関への通院を忘れないようにしましょう。

なお,整骨院利用のポイントについては当事務所の次のコラムでご紹介しているのでご覧ください。

交通事故後に整骨院に通院する場合

6 交通事故を多く取り扱う大阪市・難波(なんば)・堺市・岸和田市・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

本記事では、交通事故後に体に起こりやすい不調、整骨院を利用した際にも慰謝料を獲得できるのか、平均的な整骨院の通院期間についてご説明致しました。

重要な点は、交通事故による負傷としてはむち打ち症が多く、その治療のためには整骨院における施術が有効な場合があるということです。また、整骨院利用のためには、医師による指示や同意が重要です。そして、慰謝料の算定は弁護士が介入すれば大幅に増額する可能性があります。

もっとも、治療に整骨院を利用した場合は保険会社とトラブルになることも多いです。その場合は、弁護士の介入がとても大きな役割を果たします。その際は、交通事故を多く取り扱う大阪市・難波(なんば)・堺市・岸和田市・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

このコラムの監修者

カテゴリ一覧

アクセスランキング

新着記事

CONTACTお問い合わせ

ご相談など、お気軽に
お問い合わせください。

電話アイコンお電話でのお問い合わせ

06-4394-7790受付時間:8:30〜19:00(土日祝日も可)

メールアイコンwebフォームよりお問い合わせ