交通事故 交通事故基礎知識 症状固定
2022.11.23 2023.08.25

「症状固定」と言われました

「症状固定」と言われました

保険会社から症状固定と言われたら

症状固定(しょうじょうこてい)とは、これ以上治療しても回復が見込めない状態を差し、一般的に症状固定を判断するのは6ヶ月以上治療を続けたタイミングと言われています。 保険業界では『DMK136』という治療の打ち切りに関する用語があり、

D:打撲1ヶ月 M:むち打ち3ヶ月 K:骨折6ヶ月

が通院期間のおおよその目安とされています。ただ、けがの程度によって症状固定を判断する時期は異なりますし、個人差も考慮されますので、必ずしも6ヶ月程度で症状固定となる訳ではありません。また、症状固定を判断するのは医師です。 また、保険会社の顧問医が症状固定に関して意見述べることもあり、そのタイミングで保険会社の担当者から「症状固定をしましょう」と言われることがあります。 そのため、症状固定と言われた事に対して安易に同意してしまうと「それ以降の治療費を打ち切る」と告げられ、泣き寝入りする被害者が後を絶ちません。 しかし、症状固定と言われ、同意してしまったからといって、直ちに『治療費の打ち切り』が起こるわけではありませんので、まだ慌てる必要はありません。

症状固定の時期が重要になる理由

症状固定が決定した時点で、それより前に負った「けが」の治療費、入通院慰謝料、休業損害などが請求できます。症状固定の後に残った「後遺症」については、「後遺障害」の認定を行う事で、「後遺障害等級」に応じた慰謝料と、逸失利益を請求することになります。 なぜ、症状固定の時期が重要になるかというと、『後遺障害慰謝料』と『逸失利益』の算定に関わるからです。示談を持ちかけてくる保険会社は営利企業ですので、『可能な限り最低限の補償」に支払いを抑えたいと思っています。 症状固定を境に、それ以降の治療費が支払われなくなり、その時点で後遺障害認定の申請を保険会社が行うため、十分な資料もないままに申請が行われる事にあります。その結果、もしかしたら本来後遺障害等級として認定されるはずのケガが、単なるかすり傷程度に判断されてしまう可能性もゼロではありません。 結果として、被害者の知らぬ間に不当に申請された等級(最悪の場合後遺障害と認定されない)で、損害賠償金が支払われることになります。

症状固定を強く求められても治療は続けるべき

自身の治療具合として、なんとなく良くなってきた感覚というのは、3ヶ月が経過してきたら多くの方が実感することだと思います。しかし、治療の効果があるとはいえ、判断をするには時期尚早の可能性もありますし、むち打ちでも半年以上治療した後に後遺障害等級として認定されるケースもあります。 そのため、保険会社が「症状固定」を打診してきたとしても、医師と相談して治療の継続有無を判断すべきです。もし相手方保険会社が執拗に打診を辞めない場合でも、安易に治療をやめることは避けましょう。 しかしながら、保険会社からの治療費支払いが受けられない場合、治療費は実費負担となり、生活の圧迫を起こすケースもありますので、そういった場合は健康保険の活用がおすすめです。

交通事故でも健康保険は利用可能

健康保険は、被保険者の疾病や負傷などに関する必要な保険給付を行う制度ですから、当然ながら交通事故によるケガでも健康保険を利用した医師の診療を受けられます。また、被害者自身が健康保険を利用する事にはメリットもあります。 例えば、加害者が任意保険に加入していなかった場合、通常は被害者が治療費を立て替え、後日自賠責保険に治療費の請求をするのが一般的な流れですが、自賠責保険による支払保険金限度額は最大でも120万円です。 もし自由診療とした際、高額な診療報酬がカバーできない可能性もありますし、加害者の資力が少ない、あるいはない場合では立て替えた治療費の請求ができずに、限度額120万円を超える分は被害者負担となる恐れもありえます。 一方、健康保険による診療であれば3割負担で済み、損害に対する自賠責保険の支払限度額120万円の残金を、治療費以外の賠償金として加害者に請求できます。

第三者行為による傷病届の提出は必須

交通事故の場合、第三者(加害者)の行為によりケガをした際の治療費は本来、加害者が負担するのが原則となります。しかし、上記のように健康保険を使って治療を受けた場合は、加害者が支払うべき治療費を健康保険が立て替えて支払うことになります。 つまり、「全国健康保険協会(協会けんぽ)」が後日、加害者に対して健康保険給付した費用を請求する流れになり、その際の証明として「第三者行為による傷病届」が必要となります。

保険会社から症状固定を打診されたら法律事務所ロイヤーズハイへ

交通事故による治療の最中に、症状固定を打診された場合、保険会社から言われるままに応対する前にまずは弁護士に相談し、適切なアドバイスを受けるのが望ましいと言えます。 治療費の支給を打ち切られた後に、ご自身による交渉は非常に困難です。弁護士に相談することで、被害者請求(先に自賠責保険に治療費を請求する行為)も検討できます。 一度ご相談いただくことで選択肢の幅は増えると思われます。

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