目次
1 過失割合はこうして決定します
⑴過失割合を決めるのは警察ではなく保険会社
一般的に、交通事故の過失割合を決めるのは警察だと思われていますが、実は保険会社が決定しています。警察は通報があれば交通事故の現場へ行き、現場検証や目撃者の証言などをとり、当事者間のすり合わせをした上で記録を残します。
しかし、交通事故が重度の過失を伴わない限り、「民事不介入」の原則に基づき、その後の過失割合の決定に介入することはありません。過失割合の決定は民事上の問題のため、当事者が契約する保険会社が協議し決定するのが一般的です。
⑵具体的な過失割合の決定は当事者間の示談交渉で決まる
①過去の判例をもとに参考値を決定する
過失割合を決定する上で、『民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準(通称:判例タイムズ)』が引き合いに出されます。判例タイムズではよくある交通事故の類型として約270件ほどの事例を挙げており、相手方保険会社はまず本交通事故がどの種類に一番近いものだったのかを調べます。
また、警察が行なった当事者間の聞き取りや目撃者からの証言を元に作成した「実況見分調書」を参考に事故状況を確認し、決定した過失割合を被害者側に提示してきます。
②その後被害者と加害者間で話し合いにより決定
加害者側が出してきた過失割合は過去の判例も参考にしていますし、警察の「実況見分書」の内容も加味したものですので、そこまで大きな差異はないかと思いますが、保険会社の人間もあくまで過去の事例と照らし合わせて過失割合の数字を判断したものに過ぎませんので、提示された過失割合の数字を鵜呑みにするのは危険です。
裁判所が判定した過失割合は一見適正な資料とも言えますが、過去の判例と全く同じ事故なんてありません。「今回と非常によく似た全くの別物」ですから、保険会社にとって都合が良いもの程度に思っておくのが良いと言えます。
③過失割合の決定時期は?
過失割合が決丸タイミングは加害者、被害者両方の内容に齟齬がないかを確認し、交通事故の状況や損傷、損害額はどのくらいか等を確認してからでないと決まりません。
もし、相手から提示された過失割合について納得できない場合や疑問がある場合、くりかえしになりますが、安易に合意するのは得策ではありません。
⑶過失割合の数字に変動を及ぼす要素
著しい過失の有無 | 脇見運転、前方不注意、酒気帯び運転の有無 など |
重過失 | 居眠り運転、酒酔い運転、無免許運転、速度違反 など |
大型車かどうか | 加害者が大型車に乗っていた場合など |
道交法違反の有無 | 当該違反の程度に応じて過失割合が加算 など |
夜間歩行者の有無 | 車からは歩行者が見えにくいと認められる場合は減算 など |
幹線道路かどうか | 道路の道幅が広いことから交通量は多いと予測される場合 など |
直前、直後の横断と横断禁止場所の横断 | 道交法で横断してはならないと指定されている場所など |
幼児・児童・老人・身体障害者との事故 | 幼児、児童、老人との接触により変動 など |
集団通行 | 児童による集団登下校や、被害者が横断した際 など |
参考文献:交通事故の法律知識(第3版) – 自由国民社
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2 交通事故による過失割合の正確な算定は弁護士に相談
被害者が相手の提示額に納得できない場合は、弁護士に頼るのも1つの手段です。もし弁護士費用がネックであれば自動車保険に弁護士特約が付帯されていないか確認しておきましょう。
保険を使って弁護士費用を賄うことができます。 保険会社が提示してくる過失割合は、基本過失割合に則ったものでないこともあり、被害者にとって不当である可能性もありますが、不当であることを指摘し、保険会社の主張を覆すには、それ相応の主張をしなければなりません。
法律事務所ロイヤーズハイは交通事故案件を多く取り扱っており、過失割合の算定も正確にできます。相談料は無料ですので、違和感を感じた場合はお気軽にお問い合わせください。