交通事故 交通事故基礎知識 後遺障害 慰謝料
2023.10.19 2024.04.25

交通事故で脊髄損傷したら後遺障害等級はいくら?慰謝料増額のポイント

交通事故で脊髄損傷した場合,手足が麻痺するという重大な後遺障害が残ります。

日常生活に常時介護を要する場合もあるので,適切な金銭的補償を受けたいところです。

当コラムでは,交通事故で脊髄損傷した場合の後遺障害等級や,慰謝料の相場についてご説明いたします。

1 交通事故で脊髄損傷したら後遺障害等級はいくらになる?

交通事故で脊髄損傷した場合,後遺障害等級は以下のようになります。

等級後遺障害認定基準
要介護1級1号神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの・高度の四肢麻痺が認められる・高度の対麻痺が認められる・中等度の四肢麻痺であって,食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの・中等度の対麻痺であって,食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの
要介護2級1号神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの・中等度の四肢麻痺が認められる・中等度の対麻痺であって,食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの・軽度の四肢麻痺であって,食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの
3級3号神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの・軽度の四肢麻痺が認められる・中等度の対麻痺が認められる
5級2号神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの・軽度の対麻痺が認められる・1下肢の高度の単麻痺が認められる
7級4号神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの1下肢の中等度の単麻痺が認められる
9級10号神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの1下肢に軽度の単麻痺が認められる
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの軽微な麻痺等・運動性,支持性,巧緻性および速度についての支障がほとんど認められない程度の軽微な麻痺・運動障害は認められないものの,広範囲にわたる感覚障害が認められる

四肢麻痺:両手と両足の麻痺

対麻痺:両足の麻痺

単麻痺:右手,左手,右足,左足いずれかのみの麻痺

上記の表に記載がある,「高度」,「中等度」,「軽度」は以下のような基準で判断されます。

程度基準上肢における参考例下肢における参考例
高度障害のある上肢又は下肢の運動性・支持性がほとんど失われ,障害のある上肢又は下肢の基本動作(下肢においては歩行や立位,上肢においては物を持ち上げて移動させること)ができないものをいう。完全強直又はこれに近い状態にあるもの
三大関節及び5つの手指のいずれの関節も自動運動によっては可動させることができないもの又はこれに近い状態にあるもの三大関節のいずれも自動運動によっては可動させることができないもの又はこれに近い状態にあるもの
随意運動の顕著な障害により,障害を残した1上肢では物を持ち上げて移動させることができないもの随意運動の顕著な障害により,1下肢の支持性および随意的な運動性をほとんど失ったもの
中等度障害のある上肢又は下肢の運動性・支持性が相当程度失われ,障害のある上肢又は下肢の基本動作にかなりの制限があるものをいう。障害を残した1上肢では仕事に必要な軽量の物(概ね500g)を持ち上げることができないもの又は障害を残した1上肢では文字を書くことができないもの障害を残した1下肢を有するため杖若しくは硬性装具なしには階段を上ることができないもの又は障害を残した両下肢を有するため杖若しくは硬性装具なしには歩行が困難であるもの
軽度障害のある上肢又は下肢の運動性・支持性が多少失われており,障害のある上肢又は下肢の基本動作を行う際の巧緻性及び速度が相当程度損なわれているものをいう。障害を残した1上肢では文字を書くことに困難を伴うもの日常生活は概ね独歩であるが,障害を残した1下肢を有するため不安定で転倒しやすく,速度も遅いもの又は障害を残した両下肢を有するため杖若しくは硬性装具なしには階段を上ることができないもの
軽度に至らないもの麻痺のある四肢の運動障害がほとんど認められない程度の麻痺については,軽度の麻痺に含めるのではなく,12級の神経症状として等級認定する。

なお,交通事故で麻痺が残ってしまった場合について,当事務所の次のコラムでご紹介しているのでご覧ください。

交通事故で麻痺が残ってしまったら?

2 脊髄損傷した場合に請求できる損害賠償項目とは?

交通事故を起こした加害者は,不法行為責任を負います。

交通事故で脊髄損傷した被害者は,民法709条に基づき,加害者に対して損害賠償を請求することができます。

(不法行為による損害賠償)

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

加害者に請求できる損害賠償項目

⑴治療関係費

治療費,通院交通費,入院雑費などです。

⑵物損に対する損害賠償金

車の修理費, 交通事故が原因で車を使用できない期間に代わりの自動車を使用するのにかかった費用などです。

⑶休業損害など

交通事故による受傷によって休業したことの収入減に対する補償や,交通事故を原因とする後遺障害が理由で得られなくなった将来の収入に対する補償(「後遺障害逸失利益」といいます。)などです。

⑷慰謝料

怪我の治療などが原因で精神的苦痛を受けたことに対する金銭的な補償(「入通院慰謝料」といいます。)や,後遺障害が原因で,将来にわたって不便を強いられたり,辛い思いをすることで生じる精神的苦痛に対する金銭的補償(「後遺障害慰謝料」といいます。)などです。

⑸将来介護費

交通事故が原因で後遺障害が残り,介護が必要になった場合の介護費用をいいます。

医師の指示または症状の程度により必要があれば,被害者本人の損害として認められます。

将来介護費の日額×365日×平均余命期間に対応するライプニッツ係数=将来介護費となります。

職業付添人では実費全額が,近親者付添人は1日につき8000円が,1日あたりの将来介護費として認められます。

もっとも,具体的監護の状況によって増減することがあります。

なお,①交通事故で加害者に請求できる14個の項目,②交通事故で受け取れる損害賠償の相場について,当事務所の次のコラムでご紹介しているので,ご覧ください。

①交通事故で加害者に請求できる14個の項目を弁護士が徹底解説!

②交通事故で受け取れる損害賠償の相場を知りたい

3 交通事故で脊髄損傷した場合の慰謝料相場は?

交通事故で脊髄損傷した場合,後遺障害慰謝料の相場は,等級ごとに慰謝料相場が異なります。

加害者側の保険会社が提示する示談金は相場よりも低いことが多いです。

一方で,弁護士が交渉すれば,「弁護士基準」と呼ばれる過去の裁判例をもとに設けられた基準に基づいて示談交渉を行うことができます。

等級自賠責基準弁護士基準
要介護1級1号1650万円2800万円
要介護2級1号1203万円2370万円
3級3号861万円1990万円
5級2号618万円1400万円
7級4号419万円1000万円
9級10号249万円690万円
12級13号94万円290万円

4 脊髄損傷の慰謝料をもらうためのポイントは?

脊髄損傷が残った場合に後遺傷害慰謝料をもらうには,後遺障害等級を認定してもらわなければいけません。

そこで,脊髄損傷があることを証明する必要があります。

脊髄損傷があるかは,画像所見上の裏付け,神経学的な異常所見の存在,症状の推移,これらに整合性があるかなどを検討して判断されます。

そのため,画像所見や神経症状テストなどが重要になります。

⑴画像所見

画像所見として,レントゲン撮影を用いることも考えられます。

しかし,レントゲン撮影では細かい部分を確認できないので,MRI画像やCTスキャンの方がよく用いられます。

精度の低いMRI画像であれば,損傷部位を捉えることができず,脊髄損傷を見逃される可能性があります。

そこで,早期にMRI・CTスキャンなどを用いて精度の高い画像所見を用意しましょう。

⑵神経学的な異常所見の存在

また,発症している症状に合わせた神経症状テストを受けて,その結果を明確に診断書に記載してもらいましょう。

⑶後遺障害診断書

自覚している脊髄損傷の症状と整合する症状を正確に医師に説明し,記載してもらいましょう。

⑷脊髄症状判定用

脊髄損傷で後遺障害認定申請をするには,この資料も必要になります。

医師に作成してもらうにあたっては,運動機能などの状態を反映してもらえるよう気を付けましょう。

⑸日常生活状況報告書

脊髄損傷となってしまい,日常生活に生じている支障を正確に記入しましょう。

5 交通事故で脊髄損傷したらすぐに弁護士にご相談を

脊髄損傷の症状に苦しんでいる中で,これらのポイントを意識しながら後遺障害認定申請を行うことは難しいでしょう。

弁護士に依頼すれば,被害者の方に代わって後遺障害認定申請の手続を行うことができ,適切な等級の後遺障害認定を受けることもできます。

また,後遺障害等級が認定された場合の慰謝料は,「弁護士基準」で計算した方が高くなります。

さらに,弁護士相手であれば,保険会社は訴訟に発展することを恐れ,示談交渉での態度が軟化する可能性も高いです。

そのため,弁護士を入れた方が慰謝料の増加を見込めます。

適切な後遺障害等級の認定を受け,十分な賠償金を獲得するには,早い段階で弁護士を入れることをお勧めします。

ロイヤーズ・ハイには交通事故に精通した弁護士が多数在籍しています。交通事故に遭い,顔面神経麻痺の症状に悩まれている方は,交通事故を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

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