交通事故 交通事故基礎知識 後遺障害 慰謝料
2023.10.24 2023.10.26

交通事故で靭帯損傷した場合の慰謝料相場は?後遺障害等級の認定基準も詳しく解説

交通事故で靭帯損傷した場合の慰謝料相場は?後遺障害等級の認定基準も詳しく解説

靭帯は,関節を構成する骨同士をつなぎ,関節の動きを容易にしたり,制限する役割をもつ結合組織です。

例えば,膝の靭帯は膝の安定性を保つ機能があります。

そのため,膝の靭帯を損傷した場合,階段の昇り降りの際に膝がガクガクするなどの症状が出て,生活への影響は大きいです。

当コラムでは,交通事故による靭帯損傷についてご説明いたします。

1 交通事故を原因とする靭帯損傷とは?

交通事故を原因とする靭帯損傷としては,膝関節,肘関節,手足の靭帯を損傷することが多いです。

例えば,以下のような靭帯損傷があります。

⑴右肘内側側副靭帯損傷

自転車・バイクで走行中に交通事故に遭い,転落して手をついた際,衝撃が肘に作用して内側側副靭帯を損傷した場合に発症します。

受傷直後から肘の激痛・腫れが現れ,肘関節を動かすことができなくなります。

⑵親指MP関節尺側側副靭帯の損傷(スキーヤーズサム)

交通事故で親指に横方向の強い力が加わった際,靭帯を損傷します。

横へ指が曲がる,力が入らないなどの症状が出ます。

⑶前十字靭帯損傷(ACL)

バイクを運転中の交通事故で,膝を伸ばして踏ん張っているときに膝を捻ってしまったら,発症します。

症状としては,膝のぐらつきがあります。

2 交通事故で靭帯損傷したら何をするべき?

靭帯損傷は,初めの対応が肝心です。

靭帯損傷に気づかず,適切な治療・リハビリを受けなければ症状は悪化し,疼痛が続く,機能障害が残るなどの状態になってしまい,完治は難しくなります。

交通事故で手首,足首,膝を捻ってしまったら,病院の整形外科を受診しましょう。

徒手不安定検査,ストレスX線検査,MRI検査を受け,骨折の有無だけではなく靭帯損傷がないか丁寧に検査してもらいましょう。

なお,交通事故後に痛みが現れたら整形外科と整骨院どちらを受診すべきかについて,当事務所の次のコラムでご紹介しているのでご覧ください。

交通事故後の痛みが現れたら整形外科と整骨院どちらを受診すべき?

3 靭帯損傷したときの後遺障害等級はどのように決められるの?

各靭帯を損傷した場合,以下のような後遺障害等級となっています。

⑴ 膝の靭帯損傷

①機能障害

膝関節の可動域制限が起きることがあります。

等級    後遺障害認定基準
8級7号一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの・関節がまったく可動しない・健側(けんそく)の関節可動域の10%程度以下に制限されたもの・完全弛緩性麻痺・第三者が動かすことはできるが,自分で動かそうとすると健側の関節可動域の10度程度以下となったもの
10級11号一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの健側の可動域の2分の1以下となった
12級7号一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの健側の可動域の4分の3以下となった

②動揺関節

前十字靭帯は上下の骨が前後にずれることを防止しています。

そのため,前十字靭帯損傷による後遺障害が残れば,膝関節のぐらつきが残る場合があります。

等級     後遺障害認定基準
8級相当常に硬性補装具を必要とするもの労働に支障があり,常時固定装具の装着を絶対に必要とする程度のものは,1関節の用を廃したものとして8級7号が認定目安:ストレス撮影で健側と比べて12mm以上の動揺性が認められる
10級相当時々硬性補装具を必要とするもの動揺関節で労働に支障があるが,固定装具の装着を常時必要としない程度のもの目安:ストレス撮影で健側と比べて8~10mmの動揺性が認められる
12級相当重激な労働等の際以外には硬性補装具を必要としないもの,習慣性脱臼,弾発膝動揺関節で通常の労働には固定装具の装着の必要がなく,重激な労働等に際してのみ必要のある程度のもの,習慣性脱臼および弾発膝を残すもの目安:ストレス撮影で健側と比べて5~8mmの動揺性が認められる

③神経症状

膝の靭帯を損傷すれば,動かした際に痛みが生じることがあります。

等級後遺障害認定基準
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの障害の存在が医学的に証明できる
14級9号局部に神経症状を残すもの障害の存在が医学的に説明可能

⑵足首の靭帯損傷

①機能障害

等級     後遺障害認定基準
8級7号一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの・関節がまったく可動しない・健側(けんそく)の関節可動域の10%程度以下に制限されたもの・完全弛緩性麻痺・第三者が動かすことはできるが,自分で動かそうとすると健側の関節可動域の10度程度以下となったもの
10級11号一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの健側の可動域の2分の1以下となった
12級7号一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの健側の可動域の4分の3以下となった

②神経症状

等級後遺障害認定基準
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの障害の存在が医学的に証明できる
14級9号局部に神経症状を残すもの障害の存在が医学的に説明可能

⑶肘の靭帯損傷

肘内側側副靭帯損傷で適切な治療がなされなければ,機能障害などが残ります。

①機能障害

等級     後遺障害認定基準
8級7号一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの・関節がまったく可動しない・健側(けんそく)の関節可動域の10%程度以下に制限されたもの・完全弛緩性麻痺・第三者が動かすことはできるが,自分で動かそうとすると健側の関節可動域の10度程度以下となったもの
10級11号一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの健側の可動域の2分の1以下となった
12級7号一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの健側の可動域の4分の3以下となった

⑷足の指の靭帯損傷

等級     後遺障害認定基準
7級11号両足の足指の全部の用を廃したもの「足指の用を廃した」とは 親指・末節骨の半分以上を失ったもの・指節間関節に著しい運動障害を残すもの 親指以外・遠位指節間関節以上を失ったもの・中足指節関節または近位指節間関節に著しい運動障害を残すもの
9級15号一足の足指の全部の用を廃したもの
11級9号一足の親指を含み二以上の足指の用を廃したもの
12級12号一足の親指又は他の四の足指の用を廃したもの
13級10号一足の人差指の用を廃したもの、人差し指を含み二の足指の用を廃したもの又は中指以下の三の足指の用を廃したもの
14級8号一足の中指以下の一又は二の足指の用を廃したもの

⑸手の指の靭帯損傷

等級    後遺障害認定基準
4級6号両手の手指の全部の用を廃したもの「手指の用を廃した」とは 親指:指節間関節に著しい運動障害を残すもの親指以外:中手指節関節または近位指節間関節に著しい運動障害を残すもの全ての指に共通:指の末節骨の半分以上を失ったもの
7級7号一手の五の手指又は親指を含み四の手指の用を廃したもの
8級4号一手の親指を含み三の手指の用を廃したもの又は親指以外の四の手指の用を廃したもの
9級13号一手の親指を含み二の手指の用を廃したもの又は親指以外の三の手指の用を廃したもの
10級7号一手の親指又は親指以外の二の手指の用を廃したもの
12級10号一手の人差し指、中指又は薬指の用を廃したもの
13級6号一手の小指の用を廃したもの
14級7号一手の親指以外の手指の遠位指節間関節(第一関節)を屈伸することができなくなつたもの・第一関節が強直したもの・屈伸筋の損傷等原因が明らかなものであって,自動で屈指ができないもの又はこれに近い状態にあるもの

4 交通事故で靭帯損傷したときの慰謝料相場はいくら?

靭帯損傷に対する後遺障害慰謝料は,以下のようになっています。

なお,後遺障害慰謝料には3つの支払い基準があります。

弁護士基準が1番高く,自賠責基準が1番低い相場になっています。

⑴膝の靭帯損傷

①機能障害

等級後遺障害弁護士基準自賠責基準
8級7号一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの830万円331万円
10級11号一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの550万円190万円
12級7号一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの290万円94万円

②動揺関節

前十字靭帯は上下の骨が前後にずれることを防止しています。

そのため,前十字靭帯損傷による後遺障害が残れば,膝関節のぐらつきが残る場合があります。

等級後遺障害弁護士基準自賠責基準
8級相当常に硬性補装具を必要とするもの830万円331万円
10級相当時々硬性補装具を必要とするもの550万円190万円
12級相当重激な労働等の際以外には硬性補装具を必要としないもの290万円94万円

③神経症状

膝の靭帯を損傷すれば,動かした際に痛みが生じることがあります。

等級後遺障害弁護士基準自賠責基準
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの290万円94万円
14級9号局部に神経症状を残すもの110万円32万円

⑵足首の靭帯損傷

①機能障害

等級後遺障害弁護士基準自賠責基準
8級7号一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの830万円331万円
10級11号一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの550万円190万円
12級7号一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの290万円94万円

②神経症状

等級後遺障害弁護士基準自賠責基準
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの290万円94万円
14級9号局部に神経症状を残すもの110万円32万円

⑶肘の靭帯損傷

肘内側側副靭帯損傷で適切な治療がなされなければ,機能障害などが残ります。

①機能障害

等級後遺障害弁護士基準自賠責基準
8級7号一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの830万円331万円
10級11号一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの550万円190万円
12級7号一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの290万円94万円

⑷足の指の靭帯損傷

等級    後遺障害弁護士基準自賠責基準
7級11号両足の足指の全部の用を廃したもの1000万円419万円
9級15号一足の足指の全部の用を廃したもの690万円249万円
11級9号一足の親指を含み二以上の足指の用を廃したもの420万円136万円
12級12号一足の親指又は他の四の足指の用を廃したもの290万円94万円
13級10号一足の人差指の用を廃したもの、人差し指を含み二の足指の用を廃したもの又は中指以下の三の足指の用を廃したもの180万円57万円
14級8号一足の中指以下の一又は二の足指の用を廃したもの110万円32万円

⑸手の指の靭帯損傷

等級    後遺障害弁護士基準自賠責基準
4級6号両手の手指の全部の用を廃したもの1670万円737万円
7級7号一手の五の手指又は親指を含み四の手指の用を廃したもの1000万円419万円
8級4号一手の親指を含み三の手指の用を廃したもの又は親指以外の四の手指の用を廃したもの830万円331万円
9級13号一手の親指を含み二の手指の用を廃したもの又は親指以外の三の手指の用を廃したもの690万円249万円
10級7号一手の親指又は親指以外の二の手指の用を廃したもの550万円190万円
12級10号一手の人差し指、中指又は薬指の用を廃したもの290万円94万円
13級6号一手の小指の用を廃したもの180万円57万円
14級7号一手の親指以外の手指の遠位指節間関節(第一関節)を屈伸することができなくなつたもの110万円32万円

5 弁護士に依頼すべき理由とは?

⑴後遺障害の申請が容易になる

靭帯損傷は見逃されることも多いので,完治しないことも多々あります。

その場合,後遺障害慰謝料などを受け取るために,後遺障害等級認定を受ける必要があります。

弁護士に依頼すれば,ご自身に代わって必要資料の収集・後遺障害認定申請を行ってもらうことができます。

⑵示談金の額が増える

弁護士に依頼すれば,弁護士が示談交渉を行います。

そうすると,弁護士基準で後遺障害慰謝料を主張できるので,結果的に後遺障害慰謝料の額が上がります。

6 まとめ

靭帯損傷は,完治が理想ですが,受診した病院・医師によっては後遺障害が残ってしまいます。

後遺障害が残ってしまった場合は,少しでも多額の示談金を受け取れるよう,弁護士に依頼することを

お勧めします。

ロイヤーズ・ハイの弁護士は,交通事故・後遺障害の対応の経験に長けています。靭帯損傷の後遺障害に悩まれている方は,弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイまでご相談ください。

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