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2020.06.25 2024.04.25

交通事故で弁護士特約の使い方を知りたい!

交通事故で弁護士特約の使い方を知りたい!

交通事故に遭い「弁護士に相談したい!」となっても、なかなか踏み出せない理由に「費用がどれくらいかかるのかわからない」「費用が高くてきっと払えない」などと思われている方は少なくはないでしょう。ここでは弁護士の費用をカバーする弁護士費用特約、通称弁護士特約についてご説明します。

弁護士特約とは?

【49秒かんたん解説!】

a:「弁護士特約」とは

弁護士特約とは、各保険会社で呼び方は多少異なりますが「弁護士費用特約」ともいいます。ご自身が加入する任意保険の自動車保険につけることができる特約の1つです。どのような特約かというと「保険会社が、交通事故においての弁護士費用をある一定の金額まで代わりに負担してくれる」というものです。弁護士費用は、法律相談料、着手金、報酬金、裁判になった際の費用、事件を進めるにあたっての実費関係などが挙げられますが、これらを保険会社が支払うという特約ですので、被害者自身に費用の負担は基本的にありません。誰もが交通事故の当事者にはなりえますので、万が一に備えてつけておくことをおすすめします。

弁護士特約の適用条件とは?

【55秒かんたん解説!】

a:事故の種類

弁護士特約は自動車保険についていることが多いので「【保険契約をしている自動車での交通事故】でしか使えない」と思っていらっしゃる方は少なくないです。しかし実際は契約車両での事故ではなくても使えることがあります。例えば、契約車両以外の自動車に乗っていた場合です。タクシーやバス、また知人の自動車に乗っていた場合でも弁護士特約は利用可能です。他にも歩行中や自転車での事故の場合でも、弁護士特約は利用ができます。このように、弁護士特約が利用できる範囲は広いため、交通事故に遭った際は、まずは弁護士特約をご自身の保険に付けているかどうかを確認することが一番です。
なお、弁護士特約は自動車保険以外にも火災保険やクレジットカードの保険などについていることがありますので、事故に遭った際には、ありとあらゆる保険を確認することをおすすめします。

b:契約者、それ以外の場合

弁護士特約を使える方の対象は契約者本人だけではありません。まず、契約者の配偶者が使えます。もし自分が自動車保険に入っていなくても、配偶者が弁護士特約をつけていればそれを利用し、交通事故の相談を弁護士にすることが可能です。他に、契約者や配偶者の【同居の親族】は使用ができます。契約者の同居の子供や親が加入していなければ、契約者の弁護士特約が適用すれば問題ありません。また、契約者や配偶者の子供が親と別居している時は使用できます。ただし、この場合は子供が未婚であることがポイントです。既婚である場合は使用ができません。
家族の弁護士特約は使える、ということは覚えていて損はありません。もしも事故に遭った時は自分の保険だけでなく、家族の保険も確認してもらうとよいでしょう。

c:同乗者等

家族や親族でない方、たとえば友人や知人を自分の車に乗せて、事故に遭ってしまうというケースも交通事故には多いです。その場合でも友人、知人が弁護士特約は使うことができます。もしも友人や知人の方が弁護士特約に加入をしていないのであれば、使ってもらうといいでしょう。
他にも契約自動車の所有者と自動車保険の契約者が異なる場合、所有者も弁護士特約を使用できます。しかしこれは条件付きで、【契約自動車が交通事故に遭った場合】となりますので、ご注意ください。

補償内容はどういったものになるのでしょうか?

a:受けられる補償範囲

ここで、弁護士特約の補償内容についてご説明します。まず、多くの保険会社は、1事故1人につき法律相談料10万円を補償範囲としています。もしご家族4名で事故の遭われたときは、1人1人に10万円ずつ、計40万円が補償されます。
次に実際に依頼した後にかかる弁護士依頼関係費用は、示談交渉や裁判などの事件解決までにかかった費用をいいます。例えば、弁護士の着手金、報酬金、実費、日当、訴訟や和解、仲裁、調停にかかった費用等です。弁護士依頼関係費用は1事故1人つき300万円が限度額となります。交通事故で弁護士費用が300万円を超えるケースは多くなく、被害者が死亡したり、高次脳機能障害だったり、比較的年齢が高い方で高位の後遺障害等級が下りた場合等相当大きな事故の場合に限られてきます。またそのような大きな事故の場合は損害賠償金も非常に大きくなりますので、自己負担が発生したとしても、被害者自身で示談するよりも、弁護士に依頼することで数千万単位の増額が見込めるケースが高いのでメリットが見込めます。

b:補償対象

弁護士特約の補償対象はどのような事故でしょうか?
基本的にはどのような事故でも使うことはできます。補償対象外の事故については後程ご説明をいたします。
弁護士特約を利用すべき1つの代表的な事故は【小さな事故】です。怪我がなく物損だけの事故、怪我も軽症である場合の事故が小さな事故に入ります。この場合、弁護士に依頼をすると示談額よりも弁護士費用が高額になることが多いため、基本的には弁護士には依頼しません。

しかし、弁護士特約があればそういったことが全く気にしなくて構いません。弁護士に依頼することで過失割合も交渉してもらえますし、本来よりも賠償金が上がりますので、被害者にとっては使用することでメリットが生まれます。
【過失が被害者に0%の事故の場合】も弁護士特約を使うことをおすすめします。本来、交通事故は双方に過失が出ることが一般的です。その場合、当事者が加入している保険会社が示談交渉を行います。自動車保険は相手に対して加入者の過失割合に応じて賠償金を支払う必要があります。そのため双方の保険会社は当事者の代理人として示談交渉を行います。よって一般的には自動車保険会社同士での話し合いに被害者は任せます。
しかし、被害者側に過失が0%の場合、被害者側の保険会社は示談を代わりには行いません。何故ならば被害者側の保険会社は、加害者に賠償金を支払うことがないからです。よって、過失が0%の場合は被害者が加害者側の保険会社に対応していかなければいけません。加害者の保険会社は被害者が何も知らないことをいいことに被害者側にとっては不利益でしかない条件で話を一方的に進めてくることもあります。弁護士特約はこういった時こそ使うことをおすすめします。被害者に代わってしっかりと弁護士が交渉をしてくれるので、安心して示談まで進めることができます。

また、相手が無保険であったり、任意保険を使用しないとしたりする場合も弁護士特約を使うべき場面でしょう。弁護士であれば法的根拠を元に相手本人に対して賠償金を請求することもできますし、もし相手が請求を拒否するようであれば、強制執行をすることもできます。一番考えたくないケースではありますが、相手にお金がなく、全く損害賠償金を得られなかった場合でも、弁護士費用は保険会社が負担しますので、被害者本人には弁護士費用の負担はありません。
他にも、以前こんなケースがありました。「私が入っている保険会社と加害者が入っている保険会社が同じで、とても不安だから弁護士特約を使用したい」という相談でした。これは実は以外に頻繁に起こるケースです。こうなると、保険会社は自社に利害関係があるから示談交渉を被害者の代わりに行うので、同じ会社だと果たして本当に被害者のために示談交渉をしてくれるのか?と不安が残ります。こういった場合も弁護士特約は使えますので、利用すべきでしょう。
上記の場合以外でも何かしら交通事故に不安がある場合は弁護士特約を使用して弁護士にまずは相談しましょう。

弁護士特約が受けられない、断られるケースとは?

被保険者が弁護士特約を使いたいと思っても使えないケースがいくつかあります。主なケースは下記になります。

・被保険者の故意や重大な過失で事故が起きた場合
・闘争や自殺行為、また犯罪行為によって事故が起きた場合
・正常な運転ができない状態(無免許運転、麻薬、酒気帯びなど)によって事故が起きた場合
・被保険者が、被保険者の家族(父母や配偶者、子供)や契約自動車の所有者に損害賠償を請求する場合。
・台風や洪水、高潮によって起きた損害
・被保険者の管理不足(欠陥や摩滅、腐しょく、さびなどの消耗)
・通常の乗車位置にいない場合や、極めて異常・危険な方法で乗車していた場合
・自動車以外の日常生活における事故

以上を簡単にまとめると、被害者側に原因がある場合は弁護士特約が使えません。また、交通事故以外の日常の事故では使えませんし、被保険者の家族または契約自動車の保有者に対して賠償請求をする場合には使用できません。
さて、いざ弁護士特約を使用するには、まず保険会社への確認が必須です。上記にも挙げたように、弁護士特約に加入しているからといって絶対的に使えるわけではないからです。また、多くの保険会社が『保険会社に同意を得なければ弁護士特約は利用ができない』となっています。ですので、実際に弁護士特約を使用したい場合は、まずは保険会社へ、使用する方の事故の概要を説明し、使えるかどうかを確認しましょう。
なお、保険会社に「弁護士特約を使いたい!」と申し入れた時に、「弁護士をつける必要ありますか?」「裁判になってから使えばいいのではないですか?」と言われることがあり、使用を諦める方がいらっしゃいます。保険会社も契約者が特約としてつけているとはいえ、弁護士費用はできれば払いたくないからです。しかし、遠慮する必要はありません。被保険者は弁護士特約分の保険料を払っていますので、使えないケースでないのであれば、ご自身の希望をしっかりと伝え、堂々と使いましょう。そこで使用を拒否する保険会社は基本的にはありません。
なお、弁護士特約は被害者に過失があっても使用はできます。先ほど述べた重過失がある場合は使えない、というのはあくまで重過失ですので、相手に損害賠償を請求できる場合は使用可能です。過失が0でないと使えないわけではありませんのでご安心下さい。しかし、弁護士特約を使用したい本人に過失が100%ある場合は使用できませんのでご注意ください。

弁護士特約のメリット、デメリットとは?

a:弁護士特約のメリット

弁護士に依頼する際に必ず気になるであろう「費用」を気にすることなく、依頼することができることが弁護士特約の最大のメリットです。特約がない方が弁護士に依頼することを考えた場合、小さな事故だと相手から受け取る示談金より弁護士費用が上回ってしまうことがあり、費用倒れの可能性もあります。しかし弁護士特約を付けている方はそういった心配が一切ありません。
弁護士に依頼をすると、まず損害賠償金の増額が見込めます。損害賠償額の計算には3つの基準が使われます。低い基準から自賠責保険基準、任意保険基準、裁判所基準といいます。その中で弁護士は最も高い基準の裁判所基準を使用します。被害者自身で保険会社と示談交渉をする場合、保険会社はできるだけ金額を抑えたいので自賠責保険基準ないしは任意保険基準を使用するために、金額は下がります。しかし、弁護士を入れた場合、裁判所基準を使用して交渉をしますので、大幅な示談金の増額もありえます。そして弁護士費用は自分の保険会社が支払いますので、被害者は大幅に増額した示談金から弁護士費用を払うことはなく、そのまま受け取ることができます。
また、弁護士特約を使い、弁護士を入れることで、保険会社との交渉の時間と手間も省けますし、精神的にとても楽になります。仕事の合間にかかってくる保険会社の電話や示談交渉のやりとりは、かなりの時間と手間がかかります。また、保険会社は賠償金を少なくするために、まるで被害者が悪いかのような言い方をする時もあります。あまりに酷い時には被害者がうつ病になるケースもあるほどです。しかし、弁護士特約を使えばそういったことはすべて弁護士が代わりに対応してくれます。
最後に、弁護士特約は被害者が希望すれば基本的にはどのタイミングでも使用できるものです。早期に利用すればするほど、間違った対応をしないで済みます。交通事故は1つ手順や行動を間違えるだけで、被害者にとって大きな損失が生まれることがあります。そういったことが不安で早く弁護士に頼みたいと思っても、事故の初期段階だと、どれくらいの示談金になるかもわかりませんので、弁護士を依頼することを躊躇される方は多いです。しかし弁護士特約を使用すれば、費用面の心配がありませので、すぐに依頼することが可能です。結果間違った対応をすることなく示談に進むことができます。

b:弁護士特約のデメリット

弁護士特約を使うデメリットは実はあまりありません。基本的に使用することで保険料も上がりませんし、等級も下がらないからです。ノーカウント事故の扱いになります。それでもデメリットとして強いて言うのであれば、弁護士特約を自動車保険につけることで年間の保険料が上がることです。ただ、保険会社によってことなりますが、年間1,500円から3,000円程度程度ですので、それで高額な弁護士費用がかからなくなり、かつ示談金の増額する可能性があるのであれば、大きなデメリットとはいえないでしょう。

まとめ

弁護士特約についてご説明をさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか。弁護士特約は比較的に新しい制度のためまだまだ知らない方が多くいらっしゃいます。知っているか知らないかで大きな差があります。事故の規模や被害者の怪我の程度に関係なく、様々な場合で弁護士に依頼することができる、かなりメリットのある特約です。「弁護士特約はあるけど、私の事故も相談できるのかな?」とお悩みの方は、安心して弁護士に相談をしてみましょう。
「弁護士特約はあるけど、私の事故も相談できるのかな?」とお悩みの方は、ぜひ一度、交通事故問題を多く取り扱う、大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

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