皆様は【飲むなら乗るな、乗るなら飲むな】の合言葉をご存じでしょうか?飲酒運転による痛ましい事故が続き、罰則が強化されて数年と経ちますが、いまだに飲酒運転は0にはなりません。そもそも飲酒運転はどういった形でわかるのか、ここでは飲酒検査を中心にご説明をいたします。
目次
飲酒が原因の交通事故はどれくらいあるのか?
飲酒原因の事故数状況
飲酒運転は平成20年が6,129件であることに対し、平成30年は約半数の3,355件とされています(警視庁より)。ここ10年で確実に減少傾向にはあるものの、まだ完全に撲滅されているわけではありません。飲酒運転が減ったことの大きな原因の一つが、厳罰化が進んだことが考えられます。ではこの罰則は、どのように決めているのか、という疑問ですが、それは交通事故後のすぐの飲酒検査です。
飲酒検査はどういったものか?
検査目的
飲酒検査は警察官が飲酒検問を行い、アルコール検知器にて、運転者の呼気中にアルコールが含まれている程度を測定します。この検査の目的は【酒気帯び運転の予防】です。ここで反応が出た場合は、酒気帯び運転として罰則を受けます。罰則については後程説明します。
呼気検査
呼気検査には2つの方法があります。
①風船:検査を受ける人は、風船を膨らませて、アルコール検知器を風船の中に入れて検査を行う方法です。あまり正確ではないため、現在では減っております。
②アルコールチェッカー:アルコール検知器のセンサーないしはマウスピースに、検査を受ける人は息を吹きかけるもしくは息を吹き込みます。現在はこちらの方法が一般的です。
検査拒否は可能か
飲酒検問や呼気検査は、酒気帯び運転を防ぐためには非常に重要なことです。しかし、急いでいる、警察官の態度が気に入らない等の理由で検査を拒否したくなる方もいます。検査拒否は可能のでしょうか?
結論からいうと、検査拒否は【呼気検査拒否罪】に該当する場合があります。罰則は3か月以下の懲役または50万円以下の罰金となります。そもそも検査の必要性は警察官が判断します。よって、受ける側が、お酒を飲んでいませんので、検査を拒否しますと言っても、通用はしません。さらに、検査を無理に拒否した場合、公務執行妨害罪を問われることもあります。
逃亡した場合
飲酒検査を拒否し、そのまま逃亡をした場合、逮捕される可能性がさらに上がります。原則「証拠隠滅や逃亡のおそれがある」とされた場合、被疑者をとして逮捕することができます。飲酒運転の場合、時間経過とともに体内のアルコールが分解され、物的証拠が取りづらくなります。結果、「時間稼ぎ」=「証拠隠滅」捉えられることとなります。
つまり、呼気検査拒否は、飲酒運転の罪を疑われているなかで、逃亡するおそれがあると警察に判断されてしまう可能性があります。
検査結果について。
検査の内容
夜間の道路で行われていることの多い飲酒検問ですが、どういった内容でしょうか?
まず、その道路を通るすべての人に呼気検査を行うわけではありません。警察官に向けて、まず対面で息を吐きます。それに対して警察官が「お酒の匂いがする」と判断した場合、車から運転手に降りてもらい、アルコールチェッカーを使用し、酒気帯び運転の恐れがあると判断した場合は、正確なアルコール検査を行います。
結果が出るタイミング
呼気検査についてはその場で結果が出ます。その結果次第で、その後対応の流れが変わります。何事もなければ、解放されますし、もしも検査に引っかかった場合は警察からの詳しい聴取が始まります。
アルコール濃度による違い、条件
アルコールチェッカーのアルコール基準値が【呼気1リットル中のアルコール濃度0.15㎎以上】であれば、飲酒運転扱いとなります。逆に、このアルコールチェッカーにおいて0.15㎎未満の数値であれば、基本的には飲酒検査上では飲酒運転として扱われません。しかし、0.15㎎未満でかつ、正常な判断できていることが条件です。少量のお酒であっても正常な判断ができないのであれば、飲酒運転となります。
飲酒事故の罰則を知りたい!
酒気帯び運転と酒酔い運転の違い
飲酒運転には【酒気帯び運転】と【酒酔い運転】の2種類があります。
まず、酒気帯び運転ですが、これは呼気1リットル中のアルコール濃度が0.15㎎以上0.25㎎未満検出された状態をいいます。罰則としては【3年以下の懲役、または50万円以下の罰金】とされています。行政処分としては、免許停止90日間、違反点数は13点加点されます。また、呼気1リットル中のアルコール濃度が0.25㎎を超えている場合、違反点数は25点となり、免許は取り消しです。2年間は免許の交付が受けられません。
次に、酒酔い運転ですが、これは呼気1リットル中のアルコール濃度に関係なく、アルコールの影響で正常な運転ができないと第三者が判断できる状態での運転です。正常な会話ができない、呂律が回っていない、歩行がまっすぐできない等、つまり検査するまでもない、ということです。罰則は【5年以下の懲役、または100万円以下の罰金】となります。行政処分は35点加点、3年間の免許取り消しとなります。なお、アルコール濃度に関係なく、というのは、先ほど述べたように、例えばお酒に弱い人が、上記のような状態で運転していた場合、呼気1リットル中のアルコール濃度が0.15mg未満だったとしても、酒酔い運転として罰則を受けることもあります。
なお、これは前歴がない場合です。2回目以降、行政処分はその度に重くなります。
まとめ
飲酒運転について、飲酒検査を中心にご説明をしましたが、いかがでしたでしょうか?飲酒運転は、「ちょっとくらい良いのでは?」と軽い気持ちでしてしまうものかもしれません。また、お酒に強い方だと「これくらいで酔いはしないし…」と甘く考えているかもしれません。
お酒を飲んでから、身体からアルコール成分が抜けるまでは数時間は要します。数時間後の運転であっても、本当にお酒が抜けているのかどうかを、ご自身でアルコールチェッカーを持つことで、確認することをおすすめします。酒気帯び運転は非常に罪が重いです。事前に防ぐようにしましょう。
そして、飲酒運転で最も多いのは【死亡事故】です。軽く、甘い気持ちで、自分の人生はもちろん、他人の命を奪い、周りの人の人生を壊してしまいます。まずは、飲酒運転はしないこと、そして検査には素直に応じるようにしましょう。