自転車は、健康や節約、また自転車ブームもあり、大人から子供まで幅広い層で使用されています。自動車免許を持っていない方は、メインの移動手段が自転車とされている方は多いでしょう。
ただ、利用者が多くなれば、その分、交通事故は増える可能性が上がります。
ここでは自転車の保険を中心にご説明をいたします。
目次
1 自転車保険とは?
⑴目的
自動車保険に入るということは、世間的にも定着していますが、自転車保険に入るという意識は、まだまだ自動車ほど定着をしていません。自動車には自賠責保険(被害者救済を目的としている強制保険)があるのに対して、自転車にはそういったものがありません。自転車保険は、自転車事故による被害者の救済と並びに、加害者の経済的負担を減らすことが目的とされています。
⑵加入対象者、条件
自転車保険は各地域により義務化されつつあります。上記の目的で述べましたように、自転車事故は事故の被害者も加害者も経済的に大きなダメージを負うことがあります。
自転車保険が義務化とされている地域では、その地域で自転車を利用する人は、自転車保険に加入しなければならないとされています。
例えば、自転車通学や通勤をする人、サイクリングをする人、自転車で子供の送り迎えをする人などが加入対象者となります。
なお、自転車保険に加入していないからといって、罰則の対象になるわけではありません。ただ、条例では義務化されているものではありますので、万が一に備えて入っておくことをおすすめします。
⑶利用方法
自転車保険はインターネットでの申し込みやコンビニ、自転車屋で加入することが可能です。申し込み場所は自由ですが、コンビニや自転車屋の場合は、提携している保険会社でしか契約ができませんので、もし自分で選んだ保険会社が良いのであれば、その保険会社のホームページから申し込むか、事前にコンビ二や自転車屋がその保険会社と提携しているかを確認して、申し込むとよいでしょう。
実際に使用をする際は、各保険会社によって細かな部分は異なりますが、まずは加入している保険会社に連絡をしましょう。
いつ、だれが、どういった事故にあったのかを伝え、自転車保険が使用可能かを確認しましょう。特に事故の状況はしっかり伝えるようにしましょう。
何故ならば、被害者側なのか、加害者側なのかで、使用する内容が異なります。
2 自転車保険の補償内容はどんなものがあるの?
自転車保険の補償内容にはどういったものがあるのか、一部ですがご紹介をさせていただきます。
⑴死亡保険金
自転車事故にて、被保険者が死亡した場合に受け取れることができるものです。金額は保険プラン内容によって異なりますが、高額なものではないことが多いようです。
よって、遺族への生活を保障する金額としては少ないとされますので、生命保険等の他の保険も考えておくことが良いでしょう。
⑵治療費に関する給付金
自転車事故にて、被保険者が怪我をした場合、入院をした場合や手術を受けた場合は、入院給付金や手術給付金が受け取ることができます。
なお、保険プランによっては補償がないものもあります。また、通院だけでも、通院給付金を受けることができる内容の保険もあります。
⑶損害賠償責任への補償
自転車事故において、相手に怪我を負わせた場合、相手に損害賠償金を支払わなければならないことがあります。過去の裁判例には、損害賠償金が数千万円ということもあります。
自転車保険には、個人賠償責任補償がついていることがほとんどです。この補償により、相手への損害賠償を支払うことが可能です。個人賠償責任補償がついていない自転車保険もありますので、加入時に確認することを忘れないようにしましょう。
⑷示談交渉サービス
損害賠償を被害者から請求された場合、本人で対応をするには限界があります。被保険者である加害者本人の負担を軽減するために、示談交渉を保険会社が代行するサービスです。
⑸ロードサービス
交通事故など、突然のトラブルによる自転車が自走できなくなった場合に、無料で自転車を搬送するサービスです。
⑹車両盗難特約
自宅で保管していた自転車や駐車場に止めていた自転車等が盗まれた場合、保険金を受け取ることができる特約となります。
他にも、事故の被害を受けて、相手へ損害賠償を請求する際の弁護士費用を補償する特約などもあります。
自転車保険にも様々な内容があります。特に相手への損害賠償については、保険の限度額も多種多様です。
保険料だけでなく、ご自身やご家族の自転車の利用スタイルに合わせて補償内容を検討することをおすすめします。
3 自転車による交通事故の現状について。
⑴近年の自転車事故の傾向
自転車事故は近年減少傾向にあります。平成29年度の交通安全白書では、平成27年の自転車事故は98,700件となっています。10年前の平成17年に比べると、約半分が減少していると数字としてはわかっています。
これは、平成19年以降は【自転車安全利用五則】が世間的に浸透したことが一つの大きな要因であると考えられます。
他にも自転車レーンを道路の設置、先ほど述べました自転車保険の義務化も減少に繋がっている一因とされています。
【自転車安全利用五則】
①自転車は、車道が原則、歩道は例外
②車道は左側を通行
③歩道は歩行者優先で、車道寄りを徐行
④安全ルールを守る(飲酒運転・二人乗り・並進は禁止、夜間はライトを点灯、信号を守る、交差点での一時停止と安全確認)
⑤子どもはヘルメットを着用
⑵最も多い自転車事故の特徴
自転車事故の特徴は、負傷者数は減ってはいますが、死亡事故数はこの近年横ばいで減少はしていないという点です。ここ数年は500件前後を行き来しています。
また、自転車事故の原因の特徴は、何らかの交通違反を自転車側が起こしているという点です。
安全確認の怠りの他、一時停止を行わない、また信号無視などが事故の代表的な原因です。
⑶自転車保険の利用状況
自転車保険の加入率ですが、全国の加入率は約6割ほどです(au損害保険株式会社調査)。義務化をしている地域とそうでない地域では、15%の差が出ています。
自転車事故の高額賠償が世間で話題となり、義務化が進んでいることから、加入率は今後も上がっていく可能性は高いです。
4 自転車事故についてのご相談は、大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイへ
自転車の事故は、日常生活において一番身近な交通事故です。誰しもが
被害者にも加害者にもなりえます。
自転車保険には現在ネットで簡単に入れるものや、補償を絞って保険料を押さえたもの、また賠償を3億円まで補償をしてくれるものなど、様々です。
いつ自身がどちらの立場になるかわかりません。
特に相手に重傷を負わせてしまったり、相手が死亡してしまったりした場合は、損害賠償金は非常に高額となります。子供が起こした事故であっても、その場合は親の監督責任で支払うこととなります。
自転車保険は高額の賠償にも対応できるだけでなく、示談交渉サービスもあり安心です。
自転車をお持ちの方は、ご自身の保険の内容を確認し、自転車保険に入っていないのであれば、入るようにいたしましょう。
自転車事故でお困りの方は、交通事故を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。
このコラムの監修者
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太田 泰規(大阪弁護士会所属) 弁護士ドットコム登録
大阪の貝塚市出身。法律事務所ロイヤーズ・ハイのパートナー弁護士を務め、主に大阪エリア、堺、岸和田といった大阪の南エリアの弁護活動に注力。 過去、損害保険会社側の弁護士として数多くの交通事件に対応してきた経験から、保険会社との交渉に精通。 豊富な経験と実績で、数々の交通事故案件を解決に導く。