【サクッと45秒で解説!】
交通事故後、加害者が任意保険に加入をしている場合、被害者は相手の保険会社と示談交渉をすることとなります。
示談の内容が双方合意の元、まとまった場合、保険会社から示談書というものが届きます。ここでは示談書についてご説明をいたします。
目次
1 示談書とは何でしょう?
⑴示談書とは
示談書とは、加害者と被害者、つまり事故の当事者間の間で損害賠償の内容や金額を話し合い、双方が合意した結果を書面にてまとめたものをいいます。裁判所を介さずに、解決をしていく和解の書面とお考え下さい。
なお、加害者が任意保険に入っている場合は、一般的には保険会社が作成しますし、弁護士が入っている場合は、弁護士が作成することもあります。
⑵書かれている項目
示談書は、書式の指定がありません。示談金の明確な金額、場合によっては計算式などが記載されます。必要な項目が記載され、一般的には双方の署名と捺印があれば、示談書として成り立ちます。
・甲・乙(加害者、被害者)の氏名、住所、捺印 ・本件の詳細な内容 (交通事故の場合は、いつのどこで発生したか、互いの氏名・車両番号等) ・合意した日付(後から署名した人が書くことが一般的です) ・示談の内容 ・示談金の金額 ・計算の根拠 ・振込口座(支払い期限日も記載されることが多いです) |
なお、人身事故の際は、後遺障害についてはしっかりと押さえておくことが重要です。相手が保険会社であれば、後遺障害関係の損害を含み示談交渉を進め、示談書にも解決済みであることを記載されることが一般的です。
しかし、当事者間の場合は、後遺障害について触れずに示談を進めるケースもあります。被害者が治療をしたにも関わらず、示談後、後遺障害が出てくるといった、万が一のことを考えて、【今後、本件事故が原因で後遺障害が発生した場合は別途補償する。】という文言を入れておくと安心です。
2 事故後、示談書が届く時期は?
⑴治療終了報告以降
さて、保険会社から被害者の手元に示談書が届く時期はどういったタイミングなのでしょうか?
治療終了を保険会社に報告すると、保険会社によってバラつきはありますが、おおよそ1か月程度後に被害者の元に【示談案】というものが届きます。
もし、後遺障害の等級申請を行った場合は、結果がわかり次第となります。この示談案は示談書とは異なり、「この金額で示談しませんか?」という、保険会社からの提案書となります。内容を確認したうえで保険会社に連絡をし、合意であればその旨を伝えてから1週間~2週間程度で被害者の手元に示談書が届きます。
内容、金額に不満であれば、保険会社との交渉が続き、合意がなされた段階で示談書が届きます。なお、示談書にサインをして返送をしてから示談金が振り込まれるまでは、金額等にも寄りますが、1週間程度後となることが多いです。
なお、「間違えているわけないだろう」と内容を確認せずに署名をしてしまうことはしてはなりません。特に交渉が長引いての示談の場合、以前話していた内容での示談書が届くこともありえます。必ず内容を確認してから署名、捺印をするようにしましょう。
⑵免責証書の意味
免責証書とは、示談書の一種です。示談書と免責証書の効力には違いはありません。過失の割合が被害者0%、加害者100%の時や人身損害事故の際に用いられることがあります。示談書との違いは、被害者側のみが署名・捺印をする書面であることです。
これにより、取り交わすまでの時間の短縮が可能です。当事者間の示談の場合は、後のトラブルを避けるためにも、双方が署名・捺印を行う示談書を使用することが良いでしょう。
保険会社を通しての示談の場合は、免責証書であることが多く、作成も示談書と同じく、保険会社側で行われます。
免責証書には以下のことが記載されています。
・内容に承諾した日を記載する欄(記入日を書きます) ・当事者甲(加害者側)の氏名(保険会社が記載済み) ・当事者乙(被害者側)の氏名、捺印欄(保険会社によっては住所記載) ・示談の内容 ・示談の金額 ・事故発生日時、場所 ・事故当事者の双方の氏名と車両番号 ・振込口座記入欄 |
示談書と同じく、内容に問題がないかをしっかりと確認するようにしましょう。
3 示談書が遅い、届かない場合はどうすればいい?
⑴一般的な目安
示談案は先ほども述べたように、治療が終了してから約1か月後程度で手元に届きます。示談案の作成には一定の時間がかかること、並びに病院の資料を取り寄せるのにも治療が終了から3週間程度はかかることから、治療終了後1か月程度で示談案が届けば、早い方だと考えてもよいと思います。
示談書については、加害者の署名・捺印が遅れることで、手元に届くことが遅れることは少なくありません。
そうでなくても最低でも合意後、1週間程度はかかるでしょう。例えば、合意してすぐに保険会社が示談書を契約者である加害者に送ったとします。
加害者がすぐに署名・捺印をし、送り返したとしても郵送期間を含めると、この時点で3~4日はかかります。保険会社が署名・捺印を確認したうえで被害者に送るとなると、最短で1週間程度となります。
⑵相談先、問い合わせ先
示談書が2週間ほど経っても届かない場合は、まずは保険会社へ連絡をしましょう。どこで、どのような理由で事案が止まってしまっているのか、いつ頃届くのかを確認することが大切です。
多くの場合は、加害者の署名・捺印待ちの可能性が高いので、保険会社から督促の連絡を入れてもらうよう依頼をしましょう。
もし、加害者本人と当事者間で示談を進め、相手からの示談書が届かないとなった場合は、弁護士に相談をしてみましょう。
加害者と連絡が取れなかったり、加害者が示談内容に対して「やっぱり納得がいかないから示談しません」という理由だったりと、被害者本人では対応できない部分も出てくることがありえます。
4 示談金と示談書の関係
双方が成人済みの当事者の間で、【口頭で】示談が成立した場合、たとえ口約束であっても、法的には有効となり、加害者は被害者に示談金を支払わなければ本来はなりません。また、事故当日に、メモ書き程度の念書を書いた場合、たとえ【示談書】となっていなくても、双方合意の下で、サインも取り交わしていた場合は示談が成立したとなります。しかし、実際はそれ通りに払われる可能性は低いです。
本来、示談金は、一つ一つの項目がしっかり分かれており、細かく被害額を洗い出す必要があります。安易にその場で示談をしてしまうと、双方にとって悪い結果になるケースがあります。
また、口頭で示談となった場合、後程【言った、言わない問題】が発生します。最近ではスマートフォンや携帯電話で録音もできますので、後に問題が発生したとしても、証明することが容易とはなりましたが、事故現場では加害者、被害者間での損害賠償に関わる話は避ける方が賢明でしょう。
示談書は、示談成立後の「言った、言わない」「いくら支払う、支払わない」といったもめ事を避けるために作成することとなります。しっかりと双方が示談内容を確認したうえで示談したことの証明となります。
被害者にとっては、正当な示談額を加害者側に支払ってもらうためには、示談書の作成は欠かかすことはできません。
また、加害者側にも示談書を取り交わすことはメリットがあります。被害者に示談金を払ったにも関わらず、その後過剰に請求された際に、示談書は示談金に合意したことのへの証明となります。
5 示談についてのお悩みは、大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイへ!
示談書についてご説明をさせていただきましたが、まず被害者の方は示談書が届いたときは、必ず内容を確認するようにしましょう。記載内容に誤りがある可能性があります。
特に、示談書が到着するまでに時間がかかった場合は、示談成立から作成まで時間が空いているケースもありますので、要注意です。記載内容に相違があるにも関わらず、気づかずに署名・捺印をしてしまうと示談が成立となってしまいます。
示談交渉で成立した示談金の内容と、示談書に書かれている内容に相違がないかを確認したうえで署名・捺印を行いましょう。
ただ、被害者本人で保険会社から送られてきた示談書の内容を確認したり、加害者本人と示談書を取り交わさなければいけない場合においては、作成や内容に不備がないか等作業を行ったりすることは非常に大変です。
こういった時は専門家である弁護士の力を借りることも大事です。
もし、示談に少しでも不安を感じられるのであれば、交通事故問題を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。