交通事故 任意保険
2020.07.28 2022.11.15

交通事故後の物損事故の示談書について知りたい!

交通事故後の物損事故の示談書について知りたい!

交通事故後、車両が壊れた場合、被害者と加害者はそれぞれ修理にいくらの費用がかかったかなど、損害を明らかにしていきます。その後、当事者同士もしくは、双方が保険会社に入っている場合は保険会社同士で損害賠償金について話し合いで解決をします。これを示談交渉といいます。ここでは示談交渉が終わった後に作成をされる物損尾の示談書についてご説明をいたします。

示談書とは?

a.作成のタイミング

物損の示談成立までの一般的な流れは、被害者、加害者共に車両や携行品に損害がある場合は、修理に出します。もし修理不可能の状態と明らかな場合は、事故をした車両、携行品と同等価値のものを購入した時にかかる見積もりをとります。各自の損害が出揃い次第、示談交渉開始となります。

双方の修理の期間にもよりますが、開始までは交通事故からおおよそ1か月程はかかります。その後、双方が合意して示談内容がまとまり次第、作成に入ります。なお、保険会社が介入している場合は、示談書は保険会社が基本的に作成をしますが、当事者同士で解決しなければいけない時は、当事者のどちらかが作成することとなります。

ここからは、仮に作成をする側になった場合は、どうすればいいのか、を中心に述べさせていただきます。

b.形式の有無

示談書に決まった形式はありません。必要項目さえしっかりと取りこぼしなく記載があれば問題ありません。

内容に不備等誤りがあった状態でも示談書に署名・捺印を双方が行った場合、示談が成立してしまいますで、必ず詳細を確認し、記載ポイントを押さえておくことが重要です。

記載ポイントについては、この後ご説明をいたします。

c.作成の準備

作成の事前準備として、まずは示談書に何を記載しなければいけないのかを確認しておきましょう。

特に物損の場合は、車両の所有者と事故の加害者が別の場合があります。示談成立後のトラブルに繋がりかねないことは、事前に確認しておくことが大事です。

i.物損事故示談書サンプル、ひな形、テンプレート入手

最近では示談書のサンプルや、ひな形、テンプレートがインターネットで簡単に手に入ります。各保険会社や書式のダウンロードサイト等を利用しましょう。

そのまま使用してもいいですし、先ほど記載したように必要事項をもれなく記載するための参考資料してみるのも一つです。

ii.弁護士に依頼

示談書の作成を一人で行うことに不安がある方は、選択肢の1つとして、法律の専門家である弁護士に相談してみてはいかがでしょうか?費用については各々の法律事務所で異なりますので、問い合わせをしてみてください。

また、まだ相手と示談が成立していない状況であれば、示談交渉の段階から弁護士を入れることをおすすめします。

物損の示談相手は誰?

a.相手は被害物の所有者

物損の場合は示談の相手は被害物の所有物となります。必ず、正当な権利者かどうか確かめることが大事です。これは相手だけでなく、ご自身の車の所有者が異なる場合も要注意です。たとえば事故車両の所有者親御様の場合、示談する人は親御様となるからです。物損事故は、事故に遭った当事者ではなく、被害物の所有者が示談をする当事者であることを覚えておきましょう。

b.修理費のほか費用の請求を確認

物損事故の損害賠償の項目は修理費以外も多数あります。

・代車費用…修理や買い替えに要した期間中にかかった代車費用料(レンタカー第)。

・休車損害…営業用車両の修理または買い替えに必要かつ相当な期間の損害。

・登録手続関係費…税金や廃車に関する費用、自動車検査登録手続費用、車庫証明手続費用、納車手数料など。

・雑費…車両保管料、レッカー代、時価査定料等

・評価損(格落ち損)…事故歴や修理歴により、事故車扱いされることにより、減少した車両価値。

なお、物損において、精神的損害(慰謝料)が認められることはないと考えていただいた方が良いです。たとえば、愛車が事故にあったとしても、裁判所はそれに対する慰謝料は認めません。例外として、交通事故により、墓石が破壊され骨壺まで露出した場合や、住居に車が突っ込んできて、生命身体に危険が及んだ場合には、精神的慰謝料を認めた裁判例はありますが、基本的には【特別な車】であっても、物に対して慰謝料は発生しません。

c.過失割合

交通事故の場合、どちらかが100%悪いという事故は稀であり、双方に過失が出ることが一般的です。過失の割合に応じて、相手に損害賠償を請求、並びに支払いを行います。たとえば、過失割合が被害者30%、加害者70%の場合、被害者は加害者の損害30%分を支払い、加害者からは被害者の損害70%分を受け取ります。

このように、過失割合は最終的な示談金に大きく影響があるため、双方の過失割合を示談書に明記することが多いです。

物損事故示談書の記載ポイント

では、物損事故の示談書にはどういった内容を記載するとよいのでしょうか?下記に記載ポイントをまとめました。

a.加害者と被害者の氏名・住所と捺印

事故の当事者と車両保有者の氏名を記載します。さらに署名・住所記載欄、捺印場合は示談当事者(被害物の所有者)と当事者(運転手等事故に遭った人)の全員が記載できるよう用意します。

b.事故の詳細

事故の詳細とは、まず事故の発生日、時間、場所、車両の登録番号(ナンバー)を記載します。加えて、事故態様も正確に記載しましょう。事故態様とは、どういった事故が発生したか、いわゆる事故発生状況を指します。例えば、【信号のある交差点で、乙が停止中に甲が後ろから追突した】といった簡単な内容で問題ありません。

c.示談内容(損害額と内訳、過失割合、賠償額、既払額)

それぞれがどういった損害をどれだけ被ったのかを記載します。細かな内訳がある方が、請求漏れがあるか否かを双方確認もできますので、記載をするようにしましょう。過失については先ほど述べたように、示談金に影響がありますので、双方の過失割合を示談書には明記をします。【甲10:乙0】【甲7:乙3】のように記載をします。

最終的にそれぞれにどれだけの損害額があるのか合計金額と、すでに支払われているものがあればそれは既払い額として記載をします。

d.相殺の有無、支払う者と支払う金額、支払方法

支払い方法にはクロス払いと相殺払いというものがあります。クロス払いは、当事者がそれぞれ相手に損害賠償金を支払うこと、相殺払いは互いの損害賠償金を相殺することで、片方だけが払うことになります。

たとえば、被害者は20万円、加害者は50万円を相手に支払わなければいけません。クロス払いの場合はそれぞれの口座に20万円、50万円を振り込みますが、相殺払いの場合は、加害者が30万円を被害者に支払うこととなります。

どちらの支払い方法を選ぶかによって、支払う者と金額が大きく異なりますので、しっかり明記する必要があります。

e.示談金の支払いが遅れたときの取り決め

当事者間で示談書を取り交わした場合、支払い期日までに示談金が支払われないことがあります。

支払いが遅れることを想定し、示談書には、支払いが滞った場合の遅延損害金、違約金について入れるようにしましょう。

特に、示談金が高額な場合、一括で支払うことができないといった理由から、分割で支払いを行う内容で示談するケースも少なくありません。

f.清算条項

双方が示談書に記されている損害賠償金以外を示談後に請求しないように、【示談書に記載されている内容以外の金額は、当事者間で債務債権は一切なく、示談成立以降に発生した金銭については互いに一切の請求を行わない】といった趣旨の明記は必ず行いましょう。

g.守秘義務条項

【甲及び乙は、本件事故について、今後一切お互いに口外をしません】といった条項を入れることがあります。これは、示談書の内容や事故のことを第三者に知ってほしくない人もいます。そのような場合に入れるものとなりますので、示談の内容を第三者へ秘密にしたい方は一文添えるようにしましょう。

トラブルを回避するためには?

a.口約束での示談との違い

さて、示談書ですが、実は取り交わさなくても「口約束」でも示談は成立してしまうことがあります。では、何故示談書を作成するのでしょうか?これは、【言った・言わない問題】といった、後のトラブルを回避するためです。口約束で終わらせてしまうと、その後に損害が発生した場合の対処方法が不明確ですし、約束された示談金が支払われない可能性が高くなります。

裁判になった際も【証拠がない】ことにより、被害者に不利になることがあります。示談書は、双方が合意したことを証明し、示談金をスムーズに受け取るためには必要不可欠です。

b.公正証書へ

示談書は、双方が合意の上、署名・捺印があったとしても【私文書】、つまり、法的拘束力がないものとなります。そのため、加害者がもし支払いを行わなかった際に、被害者は、私文書の場合は民事裁判を起こすことになります。この場合、被害者側には費用だけでなく、時間と手間がかかります。

そういったことを避けるために、当事者間で示談書を作成し取り交わす場合は、示談書は公正証書にしておきましょう。公正証書にしておくことで、もし支払いが行われなかったときに、裁判を行わずに示談内容を強制執行することができます。

また、公正証書は、法律の専門家である公証人が作成しますので、内容に間違いが起こる可能性は無くなります。また偽造の可能性もなくなりますので、安全性が確実となっていきます。

c.手数料

公正証書にするには手数料がかかります。この手数料は、示談金の金額等記載する内容によって異なりますが、政令によって定められています。

全国約300か所に公正役場がありますが、そこの独自のホームページや、日本公証人連合会のホームページに手数料は紹介されていますので、確認をしましょう。手数料は公正証書を受け取る際に現金で支払いを行います。

なお、示談書を公正証書にすることは可能ですが、記載内容に不足があるという指摘はなされません。

よって、示談書の作成には細心の注意が必要となります。作成に不安な場合、この内容で十分なのか確認したい場合は、一度弁護士に相談をしましょう。

そのうえで公正証書化しても何ら問題はありません。

示談についてのご質問やお悩みは、大阪市・難波(なんば)・堺市の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイへ相談ください。

物損の示談書について、ご説明をいたしましたがいかがでしたでしょうか?保険会社から示談書が送られて来た場合は、内容に相違がないか、振込先が誤っていないかをしっかり確認するようにしましょう。

また当事者間で作成する際は、後のトラブルに繋がらないように細かな部分まで話し合って作成をすることをおすすめします。

専門的なアドバイスを受けて作成をしたい、もしくは自分で作成するのは荷が重すぎるが、相手に任せるのは不安、という方は、弁護士に相談をしてみましょう。

自分一人で焦って示談をし、取り返しがつかない事態になる前に行動することが大切です。

相手との示談交渉についてのお悩みは、交通事故を多く取り扱う大阪市・難波(なんば)・堺市の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイに一度ご相談ください。

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