交通事故 示談
2020.10.05 2022.11.15

示談解決までの流れや解決するためのポイントを知りたい

示談解決までの流れや解決するためのポイントを知りたい

交通事故の示談交渉には、被害者の方がやってはいけないこと、注意をしなければならないことが多数あります。

被害者の方が対応する加害者側の保険会社は交通事故トラブルのプロです。それに対して被害者の方の多くが交通事故に遭うことが初めてで、知識もないという状態です。

これでは不利な示談交渉を進められていたとしてもわかりません。

ここでは、示談解決までの流れや解決するためのポイントについてご説明を致します。

示談解決までの流れ

まずは、交通事故発生から示談成立までの流れをご説明いたします。なお、ご説明させていただくのは、交通事故の被害者の方が怪我を負ってしまった場合とさせていただきます。

交通事故の発生

交通事故に遭ったら、まずは警察に連絡をします。警察への連絡は道路交通法上で義務付けられており、これを怠ると3か月以下の懲役、またが5万円以下の罰金という刑事罰が科せられることもあります。

また、駆け付けた警察が事故当事者の身元や事故の状況など「交通事故証明書」を作成するための聴取をするため、警察を呼ばなければ、作成ができなくなります。その結果、交通事故証明書が発行できず、保険金請求ができなくなる可能性が生まれます。

通常は警察への連絡は加害者が行います。しかし、中には、行政処分を免れたいがため、警察への連絡を渋る加害者もいます。その場合は被害者の方が連絡をしましょう。

警察への通報をしないことで得をするのは加害者のみであり、被害者の方には何も利がないことを覚えておきましょう。

警察に連絡をしたら、到着するまでの間に、相手の氏名、連絡先を確認しておきましょう。車のナンバーを控えておくこともおすすめします。また、可能であればブレーキ痕や損傷具合など、現場の写真も撮影しておきましょう。のちの過失割合の争いなどで大きな証拠になる可能性もあります。

また被害者の方が必ず注意しなければならないのは「その場で示談について話さないこと」です。

加害者の中には警察を呼ばないだけでなく、その場で示談を済ませ、刑事罰や行政処分から逃れようとする人もいます。

示談はたとえ口約束や簡単なメモ書きであっても、双方が納得していれば成立してしまいます。交通事故は後日怪我の症状が出ることも少なくありません。その場で示談を成立させてしまったら、適正な治療費を受け取れなくなるでしょう。なお、示談が成立した場合、弁護士が介入したとしても、示談を取り消すことは容易ではありません。

示談の話はせずに、速やかに自身が加入している保険会社へ連絡をし、今後の手続きについて相談をしましょう。

治療・通院

交通事故に遭い、怪我を負った場合は必ずすぐに病院へ行きましょう。また、翌日以降身体に痛みがある、もしくは違和感がある場合なども早急に医師に診てもらうようにしましょう。

交通事故の怪我は、先ほども述べたように後日に症状が出ることが多いです。この時、病院には行かず、そのままにしておき、交通事故から日が空いて通院をしてしまった場合、交通事故と怪我の因果関係を疑われ、保険会社より治療費を支払ってもらえないこともありえます。

普段と少しでも違うと感じたら、すぐに病院へ行くようにしましょう。

治療については、主治医から「完治」または「症状固定」と判断されるまでは、定期的かつ継続的に通院を続けることが大切です。通院の期間、その間の頻度については、示談交渉時に、最終的な慰謝料の金額面で大きく影響します。

症状固定・後遺障害等級認定

症状固定と診断された場合、後遺障害等級認定の審査申請をされる方がほとんどです。後遺障害等級の認定結果は、症状固定から審査結果が出るまで、2~3ヶ月は最低でもかかるとされています。被害者の方の怪我が重傷であればあるほど、申請に向けての準備にも時間がかかり、また、審査にも時間がかかるため、事案によっては半年以上結果を待つこともありえます。

後遺障害等級は1~14級、また等級に該当しない(非該当)があり、1

~14級のいずれかの等級が認定された場合、等級に応じての後遺障害慰謝料および逸失利益(後遺症により労働能力が喪失、もしくは低下したことにより、被害者の方が本来得るはずだった収入の減少分)を相手側に請求することが可能となります。

示談交渉

被害者の方の「すべての損害が確定した段階」で、示談交渉が開始となります。具体的には、被害者の方の怪我が完治、症状固定をした時、後遺障害等級認定の申請を行った場合は結果が出た段階です。

示談が成立した後に発生した損害については、被害者の方は原則請求できません。そのため、しっかりと損害を確定させた段階で具体的な金額について交渉を始めていきます。なお、この際に過失割合についても協議します。

示談成立

示談交渉で話し合った内容に、当事者双方が合意した場合、示談が成立したとなります。その後損害賠償金支払いの手続きに移行します。

示談金の入金までは、保険会社の示談書作成、被害者の方の署名・捺印、入金の処理という工程があるため、示談成立から少なくとも2週間ほどはかかります。

示談解決のポイント

次に被害者の方が示談をするにあたり、解決のポイントをご説明します。

請求できる損害賠償を把握

まず被害者の方は、ご自身が相手にどういった損害賠償を請求できるのかを把握する必要があります。

よく聞く「慰謝料」以外にも被害者の方は請求ができるものはあります。

そもそも示談金については、双方が納得していれば内容については決まりがありません。その為、これを知らずに示談をしてしまうと、被害者の方が大きく損をする可能性があります。

被害者の方は、自身の損害を把握したうえで、相手の示談提示内容が適切かどうかを確認しなければなりません。

慰代表的なものは以下となります。

 

【損害賠償の内容】

・慰謝料:怪我を負った被害者の方の、通院や入院といった精神的な苦痛に対して入通院慰謝料(傷害慰謝料)が支払われます。その他、後遺障害が認定された場合には、後遺障害慰謝料が請求可能となり、被害者の方が亡くなった場合は死亡慰謝料があります。死亡事故の場合、遺族の方が請求可能な慰謝料もあります。

 

・治療関係費用:病院での診察費や検査費、手術費、薬の費用等の治療にかかる費用です。入院の際のオムツや病衣といった諸雑費も含まれます。

 

・通院交通費:通院時にかかった交通費や駐車場代が請求可能です。なお、タクシーの費用を請求する際は領収書が必要です。またそのタクシーの利用が必要かつ妥当と認定された場合において支払われます。

 

・付添看護費:入院時や通院時の際に、「被害者の方には付添が必要だ」と医師が判断した場合、または12歳以下の子供が被害を受けており、親の付添が必要だった場合に請求が可能です。

 

・装具等費用代:義肢や車椅子、松葉杖、コルセットなど、医師が判断し、治療や後遺障害が残ったことで必要となった費用です。

 

・家屋等改造費:後遺障害が残ったことにより、自宅のバリアフリー化(スロープを作る、手すりをつける等)が必要となった場合の費用が請求可能です。

 

・休業損害:交通事故の怪我が原因で、仕事を休まざる得なくなり、その結果、減収してしまった給与をいいます。

 

・逸失利益:後遺障害が認定された場合、等級に応じて労働能力喪失率が決まります。本人の基礎収入と労働能力喪失率を基に、本来事故がなければ得るはずだった、将来の経済的な利益が算出されます。これは死亡した場合も被害者の方が生きていれば得るはずだった利益として請求が可能です。

 

・葬儀関係費用:被害者の方がお亡くなりになった場合、葬儀や四十九日にかかった費用等が請求できます。

 

・車両修理費:バイクや自転車を含む車両の修理費用です。

 

・物損費用:交通事故が原因で壊れたものの買替、または修理にかかった費用です。

 

損害賠償は事案によって異なるため、あくまでも上記は代表例となります。事案によっては請求するものが細分化されます。

この章の冒頭でもご説明をしたように、被害者の方は自身の事故で、何が請求できるのかをしっかりと把握しなければなりません。

被害者の方が請求できると知らなかった、いわゆる請求漏れや、相手の保険会社の記載漏れがあった場合、被害者の方は損をすることになります。

この内容で示談をしてしまってもいいのか、と少しでも不安であれば、弁護士に相談することをおすすめします。

冷静に話し合いを行う

保険会社は「営利企業」です。つまり、保険会社の担当者は自分たちの会社が損をしないことが行動軸となります。

よって、示談交渉前の治療段階から、精神的な圧力をかけてくることがあります。また、被害者の方がまだ痛みのある段階で、治療費を一方的に打ち切ると告げることがあります。それにより被害者の方が、早く治療を終え、損害賠償期間を短くしようという考えです。

これに対して、被害者の方は必要以上に遠慮をすることはありません。なぜなら、被害者の方は保険会社に対して損害賠償金を請求する権利があるからです。

しかし、被害者の方の中には、感情的になりすぎて保険会社と口論になることもあります。そうなると示談交渉は一向に進みません。また、保険会社の対応に苛立ち、早く終わらせたいとし、低い金額で示談に応じてしまう被害者の方もいます。これでは保険会社の思うつぼです。

被害者の方は、あくまでも冷静に話し合いを行い、個人での交渉は難しいのであれば、弁護士に相談をするようにしましょう。

弁護士に依頼すると早く解決

示談交渉はすべて弁護士に任せることも、一つの示談解決ポイントのです。

弁護士に依頼をすれば、被害者の方の代わりに保険会社と話を進めてくれます。難しい法律用語や専門用語も弁護士であれば問題なく対応できるので、それだけでも話の進み方は変わります。

また、弁護士は被害者の方の100%味方です。そのため、安心して任せることができます。

そして被害者の方が弁護士に依頼をする最大のメリットは、「損害賠償金の増額」です。

慰謝料を含む損害賠償金には3つの算定基準があります。

自賠責基準、任意保険基準、裁判所基準(弁護士基準)といい、保険会社は、最も低い自賠責基準か、同等、もしくは少し高いだけの任意保険基準で提示を行います。

しかし、弁護士に依頼をすると、最も高い基準である裁判所基準で交渉が可能となります。裁判所基準は過去の裁判例を基に算出された基準であり、「最も適正な算定基準」と言われてもいます。ただ、法的拘束力がないために、被害者の方が示談交渉をする際には、保険会社は認めることはほぼありません。

弁護士に依頼をすれば、裁判を見越して示談交渉を行うため、裁判費用が余計に掛かることを嫌がる保険会社は、裁判所基準での示談交渉に応じることになります。

示談解決のための注意点

被害者の方が適正な損害賠償金を得て、示談を成立させるためには以下の点を注意しましょう。

保険会社の主張を鵜呑みにしない

保険会社の担当によっては、被害者の方に寄り添う姿勢を見せて対応をすることもあります。

被害者の方はそれにより「ここまで良くしてくれているし…」と思い、担当者が提示した示談案をそのまま了承してしまうこともあります。

もちろん本心で被害者の方に寄り添っている担当者もいるでしょう。しかし、多くの場合は、被害者の方の治療を早く終わらせること、低い損害賠償金で示談を成立させることを目的としていると考えられます。

被害者の方が忘れてはならないことは、保険会社は被害者の味方ではなく、あくまでも契約者である加害者の味方であり、営利企業であるという点です。基本的に被害者の方が有利になる提案はしないと考えましょう。

また、被害者の方が交通事故問題について詳しくないことをいいことに、被害者の方の怪我の状況、事故の状況を形式的にあてはめ、「交通事故とはこういうものです。」と回答する保険会社もいます。たとえば、症状固定がいい例です。

症状固定は本来主治医が判断するものです。しかし、保険会社は賠償期間を早く終わらせたいがために、「そろそろ症状固定をしましょう。」と被害者の方に伝えることは少なくありません。

このように言われた場合は、必ずその場で了承はせず、主治医に相談するようにしましょう。主治医に相談し、症状固定ではないと判断されたとしても、保険会社が症状固定であると言う主張を撤回しない場合は、弁護士に相談することを強くおすすめします。

後遺障害等級認定を先におこなう

示談解決までの流れを説明した際に、怪我が完治している場合は、そのまま示談交渉へと移り、完治せず、症状固定と診断された場合においては、後遺障害等級認定を受けることができると説明させていただきました。

被害者の方の中には、後遺障害等級認定を避ける方もいます。

「早く示談を進めなければいけないのでは?」

「面倒な交渉は早く終わらせて、後遺障害については示談後に考えたい。」

このような理由で、示談交渉を始めようとする方もいらっしゃいます。

しかし、先ほども述べたように、示談交渉の開始は「すべての損害が確定した段階」です。

後遺障害の等級が確定しなければ、慰謝料等の正確な金額がわからず、それまで進めてきた示談交渉が無駄になってしまいます。また、結果が出る前に示談を成立させてしまうと、弁護士を入れたとしても追加で請求することは非常に難しいです。

後遺障害は等級によって、金額が大きく異なります。場合によっては、後遺障害を申請し、等級認定がされたことにより、申請をしない時に比べて数百万円以上、損害賠償金が上がることもあります。

よって、被害者の方にとって、後遺障害の等級申請をしないまま、示談交渉に入ることはおすすめできません。

示談には時効がある

損害賠償の内容に納得がいかなければ、示談に応じる必要はありません。しかし、被害者の方が気を付けなければならないのは、「時効」です。

交通事故の損害賠償請求にも時効があります。もしも時効が成立してしまえば、被害者の方は、加害者側に1円も請求することができなくなります。

交通事故の時効は以下のどちらかが適用されます。

①被害者が交通事故により加害者及び損害を知った時から【物的損害は3年】、【人身損害は5年】

②交通事故発生日より20年

加害者がわからないひき逃げなどの場合は②が適用されます。それ以外の事故については、基本的には加害者は事故現場にいますので、①が適用されることになります。

さて、重ねて述べますが、示談交渉を開始するためには、被害者の方の損害が確定していることが必須です。

その為、高次脳機能障害などの重い障害が残ってしまった場合、治療だけでも1~2年、その後、後遺障害等級認定申請の準備から結果が出るまでも1年以上かかることがあり、さらに結果が出てからの損害の計算、示談交渉となると、時効がギリギリになる事案もあります。

しかし、実際は「加害者が債務を承認した=支払い義務を認めた」日に時効は更新されます。わかりやすくいうと、加害者側の支払いが継続している場合、時効の起算日が都度更新されて、新たな時効の期間が開始されるということです。

このことを踏まえて、以下の一番最後となる日から5年(または3年)が経過をしない限りは、被害者の方は加害者側へ損害賠償金を請求することができます。

・治療費や休業損害、慰謝料の一部といった、被害者の損害賠償とされる一部を支払ったとき

・保険会社から金額の提示や支払い条件の提案などの通知があったとき

・損害賠償のことについて保険会社(ないしは加害者)と話をしたとき

なお、時効の起算日については、当事者間で争点になることもあります。長期の治療を行っており、時効が心配であるという方は、専門家である弁護士に相談するようにしましょう。

示談交渉については、大阪市・難波(なんば)・堺市の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。    

示談解決までの流れや解決するためのポイントについて説明をさせていただきました。

交通事故問題は専門的要素も多く、被害者の方にとってはわからないことだらけかと思います。

そのような中で、交通事故問題のプロである保険会社とのやりとりは非常にストレスで、不安も抱える被害者の方も多いです。

被害者の方が適正な損害賠償金を得るためには、安易に示談に応じてはなりません。上記でご説明した内容は最低限覚えておきましょう。

「このまま示談してもいいのだろうか?」

少しでも不安があれば、示談を成立させてしまう前に、法律の専門家である弁護士を頼ってみてはいかがでしょうか?

示談についてお悩みの方は、交通事故を多く取り扱う大阪市・難波(なんば)・堺市の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにぜひ一度、ご相談ください。

このコラムの監修者

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