交通事故の怪我が原因で、仕事を休まざる得なくなる被害者の方は多くいらっしゃいます。
この場合、収入が減少してしまった方は、相手の保険会社へ【休業損害】を請求することができます。
ではこの休業損害はいつもらえるのでしょうか?
ここでは被害者の方が休業損害を受け取るタイミングを中心に説明をいたします。
目次
休業損害はいつもらえるのか?
示談成立後に受け取れる
休業損害は通常、示談が成立した後に、慰謝料や通院の交通費など、その他の示談金と一緒に支払われます。
示談金が振り込まれるのは、示談が成立して少なくもとも2週間は見ておくとよいでしょう。次で詳しく説明を致します。
示談金が振り込まれるまでの流れ
示談が成立してから振り込まれるまでは、3段階に分けられます。
①相手の保険会社から示談書が被害者の方の手元に届くまで数日。
成立してから作成、発送となるため1週間程度はかかることが見込まれます。
②被害者の方が届いた示談書の内容、金額に問題がないかを細部まで確認します。問題がなければ、サイン、押印をして送り返します。
被害者の方次第とはなりますが、平均的に数日はかかります。
③相手の保険会社が手続きを行い、問題がなければ振込完了となります。
示談書に不備がなければ、すぐに支払い手続きに回り、早ければ相手の保険会社に到着してから2~3日後には指定した口座に振り込まれています。
郵便の事情もあるため、多少の変動はありますが、示談成立から受け取りまでは2週間程度は最低でもかかります。もし、一定期間待っても、保険会社からの振り込みがなされない場合は、一度保険会社へ問い合わせをするようにしましょう。
休業損害を早く受け取ることはできるのか?
示談成立前でも受け取れる
基本的には示談が成立したことで、示談金は受け取れます。しかし、被害者の方によっては、治療費を立て替えたり、仕事を休んで収入が減ってしまったりすることにより、金銭的な負担が大きく、経済的に困窮する方もいらっしゃいます。
ここで被害者の方に覚えておいてほしいことは、【治療費と休業損害は早く受け取ることが可能】ということです。
月ごとに請求できる
治療費や休業損害は、必要書類さえ用意をすれば、基本的には月ごとに支払いを請求することが可能です。
月ごとにするためには、以下の手順となります。
振込の手順 |
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治療費 | ①病院にて領収書を発行してもらう |
②領収書を相手の保険会社へ郵送する | |
休業損害 | ①保険会社から休業損害証明書のフォーマットを取得する |
②交通事故の前年度の源泉徴収票を取得する | |
③休業損害証明書を作成の上、源泉徴収票と共に保険会社へ提出をする |
この月ごとに請求できる仕組みを「仮渡金制度」といいます。
この仮渡金制度により、被害者の方は、示談成立前に治療費や休業損害を受け取ることが可能となります。
仮渡金制度を利用する
休業損害証明書を提出
仮渡金制度を利用するには、休業損害証明書が必要となります。休業損害証明書とは、交通事故による怪我が原因で、給与所得者の被害者の方が、仕事を休んだことを対外的に証明するための書類です。
この証明書を月ごとに作成をし、保険会社へ提出することで、月ごとの休業損害を支払ってもらうことが可能となります。
休業損害証明書には、以下の情報を記載することとなります。
①休業期間
②欠勤日数・有給休暇使用日数、遅刻・早退の日数
③休んだ期間の支給額(全額支給なしか、一部支給ありか等)
④事故から3か月前の支給された給与額
⑤社会保険や労災保険からの給付の有無
⑥勤務先の情報、作成担当者名等
パートやアルバイトの方については、所定労働時間や時間給等の雇用情報も必要となります。
休業損害証明書はどうやってもらうのか
基本的に休業損害証明書は相手の保険会社から取得します。
そして、この休業損害証明書は、被害者の方が作成するものではありません。この証明書は「自分の勤め先に作成してもらう書類」です。派遣社員としてお勤めの方の場合は、ご自身の登録されている派遣会社に書いてもらうこととなります。
休業損害証明書を保険会社より取得をしたら、お勤め先の担当部署に作成依頼をしましょう。担当部署は企業の規模によって異なります。大きな企業であれば、人事部や総務部が担当することが多いですが、小さな会社の場合は、社長が作成するということもあります。お勤め先に確認をしてみましょう。
なお、担当者とはいえ、休業損害証明書を作成したことがない方は多くいらっしゃいます。休業損害証明書に誤りがあると、適正な休業損害を受け取れない可能性もあります。被害者の方は、必ず保険会社に提出をする前に、書面の内容は確認するようにしましょう。
また、稀なケースではありますが、お勤め先の担当者の方が「書き方がわからないから作成しない」という事態に陥ることがあります。そういった事態を回避するためにも、保険会社に休業損害証明書のフォーマットを取り寄せる際は同時に、作成例も取り寄せ、担当の方にお渡しすることをおすすめします。
ここまでは、給与所得者である方についてご説明をしましたが、自営業者の方は、休業損害を書いてもらう必要がありません。自営業者の方は、前年度の確定申告書の控えを提出することで、対応をしてもらいます。
ただし、給与所得者と比べ、自営業者の方は実損害(収入の減少)が分かりづらいため、仮渡金制度は利用できない可能性もあります。個人での交渉には限界がありますので、このような場合は弁護士に相談することを強くお勧めします。
休業損害については、大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。
休業損害を受け取れるタイミングについてご紹介させていただきました。
休業損害は交通事故の示談交渉において、争点になりやすい項目の1つです。
休業をする必要性と期間の妥当性が認められなければ、保険会社からの支払いはなされません。そういった場合、被害者の方本人で保険会社と交渉をすることが非常に厳しいです。
適正な休業損害を受け取るためにも、休業損害のトラブルは弁護士に相談をすることをおすすめします。
休業損害についてお困りの方は、交通事故を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。