交通事故 休業損害
2020.10.09 2022.11.15

自営業で休業損害を請求する場合について知りたい

自営業で休業損害を請求する場合について知りたい

交通事故の被害者の方が、怪我の影響で仕事を休まざる得ない状況に陥ることは多くあります。

この休業による収入の影響は、給与取得者については月の給与や年間の収入をベースに【休業損害】として相手に請求が可能です。

では、自営業の方が被害者となってしまった場合、損害賠償請求はどのようにされるのでしょうか?

ここでは自営業の方の休業損害についてご説明をさせていただきます。

自営業の休業損害

自営業でも休業損害は請求可能

交通事故の休業損害は、交通事故の被害に遭ったことで得られなかった収入の損害です。

自営業の方も、交通事故の被害者となり、収入に影響があった場合は、休業損害の請求は可能です。

休業損害の算定が難しい

しかし、自営業の方の休業損害の請求は、会社員や公務員といった給与所得者の請求と比べると簡単なものではなりません。

一般的に、自営業の場合、毎月決まった金額を一定で得られるものではなく、交通事故が原因でなくても、様々な外的要因で売り上げが上下するものと考えられます。その結果、「交通事故が原因の収入減少」の把握がしづらいです。つまり、休業損害の計算が難しくなります。

また、自営業の方の休業損害は、毎年申請をしている【確定申告書】の所得を基本に計算をします。自営業の方の中には、節税の関係で、経費を多めに申請している方もいますが、その場合においては、所得は売上から経費を差し引いて計算されるため、休業損害が少なくなる傾向があります。

なお、売上から経緯を差し引きしますが、店舗や事務所の家賃や保険料、税金等、また、従業員がいる場合、従業員の給与ついては、仕事を休んでいたとしても発生するものになるので、これらは差し引く経費には含みません。このように、仕事を休業する、しないに関わらず発生する経費については、「固定費」として休業損害に含んで計算されます。

給与所得者については、事故の前年度の源泉徴収票や勤務先に作成をしてもらう休業損害証明書を提出することで、休業損害の準備は整います。

しかし、自営業の方の場合は所得を証明する資料として、確定申告書だけでなく、固定費を立証する資料として損益計算書はもちろんのこと、職種によってはその他必要書類の提出を相手方から求められます。

自営業の休業損害の計算方法

先ほども述べたように、自営業の方の収入を証明する資料で最も大事な資料は、確定申告書の控えです。では計算はどのように行うのでしょうか?

主な計算方法は以下の2つです。

確定申告書を比較

交通事故前と交通事故後の確定申告書をベースに計算します。

前後ともに売上から経費を引いた所得を算出し、減少があれば、その金額を休業損害と考えるという計算方法です。

ただし、確定申告は毎月するものではなく、年に1回しか行いません。よって、交通事故後の収入を示す確定申告と考えると、被害者の方の怪我が重く、年単位で治療をしている場合に限られます。また、先ほども述べたように、自営業は交通事故以外の要因でも売上、利益に影響します。

事故前後の確定申告書を比較することで、交通事故が原因による収入への影響を明確にすることは極めて難しいと考えられ、あまり現実的な方法とは言えません。

前年の確定申告書から算出

自営業の方の休業損害を計算する方法として、よく使用されるのは、交通事故の前年度の確定申告書での所得を基本とし、休業日数に応じた額を収入の減少分とする計算方法です。

確定申告書の所得と固定経費分、そして青色申告控除がある場合はそれらも加算し、合わせた金額を年間の所得として計算します。

たとえば、確定申告書上の所得は400万円、固定経費として考えられる家賃が年間で120万円、青色申告控除が80万円の場合であれば、年間600万円と考え、被害者の方が事故の影響で半年の休業を強いられたのであれば300万円が休業損害だと考えられます。

ただし、繰り返しとなりますが、自営業の方は毎年の収入が一定であることは少ないです。何らかの事情で、極端に事故の前年度のみ収入が低い場合は、過去数年分の確定申告書の所得を平均し、計算することもあります。

特殊な事情がある場合

赤字の場合

赤字の自営業の方の休業損害については、拡大した損害額分が休業損害という考えた方があります。

例えば、交通事故前の所得は-300万円だったとします。事故の怪我が原因で-350万円となった場合については、その差額50万円分が、大きくなった損失=休業損害として考えられます。

また、休業をすることで、赤字額が縮小するという現実もあります。この場合においては、請求は非常に厳しいです。しかし、無駄になった固定経費のみを損害として考え、休業期間の割合とかけて算出する方法もあります。

いずれにせよ自営業の方で赤字経営の方は、休業損害を請求する際は弁護士に相談することをおすすめします。

事業拡大中

交通事故の遭った前年度に事業を立ち上げた場合や、事故に遭った年に事業が上手く軌道に乗り、売上が伸びてきたという自営業の方が、交通事故に遭ってしまった場合、前年度の所得を基本とすると被害者の方にとっては不十分な休業損害の金額になりえます。

このようなケースでは、交通事故がなく、かつ事業が順調に行えていた場合において、どの程度の利益があったのか、収入があったのかを示すことで、前年度の確定申告の内容に関係なく、請求することが可能となります。

しかし、これは被害者の方本人で行うのは困難です。どういった立証資料が必要なのかは、被害者の方の自営業の内容によりますので、弁護士に相談するようにしましょう。

確定申告していない場合

「自営業者ですが確定申告はしていません。休業損害は請求できますか?」

このような相談を被害者の方から受けることは少なくありません。

この場合、通帳等や他立証資料により、被害者の方の収入、経費を証明していく必要があります。ただし、保険会社との示談交渉において、それが認定されることは非常に難しく、もし訴訟となった場合は、さらに裁判所からは厳しい目で判断されることになるでしょう。

何故ならば、基本の生活を送るための収入源になっているほどの規模の自営業主でありながらも、確定申告をしていないという事実があるからです。立証する資料にも、それ相応のものが必要となります。

自営業の方の休業損害については大阪市・難波(なんば)・堺市の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

自営業の方の休業損害については非常に争いになりやすいです。

交通事故が原因で収入に減少があったことを、客観的事実を持って立証していく必要があります。

もしも、自営業の方で交通事故の被害者となった場合は、保険会社と争いになる前に、早期に弁護士に相談をすることをおすすめします。

自営業の方で交通事故の被害に遭われた方、休業損害についてお悩みの方は、交通事故を多く取り扱う大阪市・難波(なんば)・堺市の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにぜひご相談ください。

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