交通事故 示談
2020.10.14 2024.05.28

示談が難航したらどうすれば良いか知りたい

示談が難航したらどうすれば良いか知りたい

交通事故の被害者の方は、相手側の保険会社(もしくは加害者本人)と示談交渉を行うこととなります。

この示談交渉ですが、交通事故の経験がない被害者の方と、交通事故問題へ日々触れているプロの保険会社の間で行うことになるため、被害者の方は非常に大変な思いをされます。

ここでは、示談交渉が難航した場合について、どういったケースがあるのか、その要因、また対処方法についてご説明をさせていただきます。

1 示談が長引くケース

まず、当事者間で示談交渉に入るためには、被害者の方の【すべての損害が確定した段階】で始めることとなります。

示談が成立となると、示談のやり直しは、例外的な場合を除いて、原則行うことはできません。

そのため、すべての損害が確定をしなければ、そもそも示談交渉を開始することができません。

示談交渉開始までが長引いてしまう、また交渉期間も長期間になる主なケースは2通りあります。

⑴死亡事故の場合

被害者の方が、交通事故で亡くなった場合は、死亡事故として扱われます。これは、事故直後に亡くなった場合だけでなく、事故後入院や通院中に交通事故の受傷が原因で亡くなった場合も、死亡事故として対応されます。

死亡事故の場合、示談交渉の開始事態を遅らせることがほとんどです。

被害者の方が亡くなられた時点で、通院が無くなり、損害賠償期間は終わります。そのため、比較的に早期の段階で損害内容の大枠は確定します。

しかし、被害者の遺族の方の精神面を考え、通常はすぐに示談交渉を開始するようなことは致しません。葬儀後にすぐに示談の話を行うことは非常識であり、示談交渉が難航する可能性が高くなります。

示談の話を進めていく時期の目安は、被害者の方の四十九日の法要が済んだ頃、四十九日の費用も損害額に含めて請求することから、頃合いとされております。

つまり、即死された死亡事故の場合は、交通事故から2ヶ月後、治療を継続した場合は亡くなられてから2ヶ月後が示談交渉開始とされることが多いです。

なお、2ヶ月経過していたとしても、飲酒運転や無免許運転、ひき逃げなど、加害者の悪質な運転行為が原因で被害者の方が亡くなった場合においては、加害者の刑事処分がまだ未確定だった場合は、確定後に示談交渉が開始されることもあります。 

また、死亡事故は示談交渉が開始されてからも、長引きます。

理由としては、示談交渉は被害者の方ではなく、遺族である相続人の方が示談交渉を行うからです。

相続人が複数人いる場合は、全員の同意が必要となります。全員が同意をしなければ示談成立はできません。また、遺族の方は、被害者の方を死亡させられたという、加害者に対する怒りがあり、許すことができないという点から、示談が難航します。

金額面でいうと、死亡事故は損害賠償金が一般的には高額になります。高額であるということは、保険会社も支払いを渋りますので、交渉自体に時間がかかります。弁護士が介入した場合でも、多くのケースでは示談交渉開始から成立まで、半年以上かかります。

⑵後遺障害がある場合

交通事故の被害者の方の怪我が、治療を続けたものの完治せず、症状固定となった場合は、後遺障害の等級認定申請を行うことになります。

等級認定の申請をし、第三者機関である損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所での調査の結果、1~14級ある後遺障害等級のいずれかが認定された場合は、後遺障害慰謝料と後遺障害が残ったことによる逸失利益(被害者の方が、本来怪我をしなければ得ることができたはずの将来の経済的な利益)を相手の保険会社へ請求することになります。

この損害賠償金は、認定された等級や被害者の方の収入や年齢に応じて請求することになります。

このため、後遺障害がある場合は後遺障害の等級が確定した時が、すべての損害が確定した段階といえるため、申請までの準備期間や、結果が出ていない段階では示談交渉を開始することは得策ではありません。

たとえ後遺症があったとしても、被害者の方が等級認定申請をし、何らかの等級が認定されなければ、その分の損害賠償を相手には請求することはできません。

この等級認定の申請は、症状固定から申請する準備が整うまで、1~2か月程かかります。また、申請から結果が出るまでにおおよそ1~3ヶ月は最低でもかかります。つまり場合によっては、症状固定から半年以上経ってから損害が確定することになります。 

ただし、認定の結果に被害者の方が納得いかない場合は、被害者の方は異議申し立てをすることもあります。

異議申し立ては、審査結果を覆すほどの、新たな検査結果や医学的根拠の資料などが必要になります。

また、異議申し立てとなると、弁護士に依頼をする方が多いです。弁護士に依頼をするとなると、弁護士を探すところから開始となりますので、かなりの時間がかかります。

また、弁護士に依頼後も弁護士は各種の資料を取り寄せることとなり、場合によっては主治医と面談することもあるため、かなりの時間が必要とされます。

後遺障害等級が認定され、損害が確定し、示談交渉を開始した場合でも、長期化するケースが多いです。

認定された等級にも寄りますが、場合によっては数百万円以上の損害賠償金になりえます。また、逸失利益も争点となるため、示談開始から成立までは最低でも3か月程度、ケースによっては半年以上かかることも少なくありません。

2 示談が成立しない要因

次に示談交渉が開始されたが、示談が成立しない要因についてご説明を致します。

代表的な要因は以下の2つがあげられます。

⑴示談金が納得できない

被害者の方と相手側の保険会社との損害の程度、金額の認識に大きな差があると、双方が合意することは非常に難しく、示談が難航します。

実際のところ、相手の任意保険会社が提案をしてくる示談金額は、非常に低額であることが多いです。 

損害賠償金には、自賠責基準、任意保険基準、裁判所基準の大きく3通りあり、どの算定基準を使用するかで、示談金額が大幅に変わり、事案によっては数百万円以上の差が出ることとなります。

任意保険会社は、最も低い算定基準である自賠責基準か、自賠責基準と同等あるいは少し高いだけである任意保険基準で、示談案を提案してきます。

提案額が低いと感じ、被害者の方が増額をするよう主張をしても、保険会社は、「増額の根拠がない」や「大幅に譲歩している金額である」「これはかなりいい金額であり、これ以上は上げられない」などと言い、受け入れてもらえず、示談が難航します。

保険会社の頑な対応により、示談が難航し長期化すると、被害者の方も示談に対して積極的に行っていく意欲を失い、さらに示談成立が遠のきます。

⑵過失割合が納得できない

最終的に被害者の方が受け取る損害賠償金に大きく影響ができる過失割合も、事故態様に争いがある場合は示談交渉が長引くこととなります。

過失割合の争いが原因で、示談が長引く理由は以下の通りです。

①過失割合で被害者の方が受け取る示談金額が変わる

被害者の方に過失がある場合、最終的に被害者側の過失割合分が、損害賠償金額より差し引かれます。

たとえば、被害者の方の損害賠償額が500万円の場合、被害者側の過失割合が10%であれば、被害者の方は450万円を受け取れます。しかし、同じ損害額でも、過失が30%の場合は350万円と100万円の差が生じます。

相手の保険会社は、できる限り自社からの損失を押さえたいと考えます。そのため、契約者である加害者側の主張を優先し、加害者の過失割合が有利な主張をしてくることがあります。

②確実に正しい過失割合の算定が困難である

過失割合は、その当時の事故発生の状況で決まります。つまり、双方が「どれくらいの速度走っていたのか」「信号は何色だったのか」「前後の車との車間距離はどれくらいあったのか」などにより算定されます。 

近年では、ドライブレコーダーを搭載する車両が増えてきましたが、それでも搭載が無ければ、警察の実況見分調書や車両の損傷個所、程度やブレーキ痕などから、推察して事故状況を把握していかなければなりません。

その結果、双方で事故態様の主張が異なると、決定的な証拠がないことから、平行線を辿ることになりがちです。

このように、示談金に納得できない、または過失割合に争うがあるといった場合は、弁護士に相談することを強くお勧めします。

弁護士に依頼をすると、最も高額である裁判所基準で損害賠償金が算定され、示談交渉が進むため、示談金が増額する可能性が高くなります。

また、過失割合についての争いは、実況見分調書を含む様々な資料や、過去の裁判例などの知識も必要となります。弁護士に依頼をすれば資料の専門的を取り寄せる専門的な手続きは、被害者の方本人がするよりも容易ですし、専門的な知識も、交通事故問題に強い弁護士であれば、安心して任せることができます。

3 示談が成立しなかったときにできること

示談が難航し、当事者間で示談成立が難しいと判断された場合、被害者の方ができることは、先ほども述べた弁護士に依頼をし、示談交渉をするという方法以外には3つの方法が考えられます。

⑴示談斡旋

交通事故紛争処理センターや日弁連交通事故相談センターなど、裁判外で紛争を解決する機関に依頼する方法があります。

これらの機関を利用する費用は、相談に行く際の交通費や各種の証明書の発行料金など最低限の費用は掛かりますが、原則として機関の利用料はかかりません。

詳しくは「交通事故の無料相談サポートをしてくれるところを知りたい!」の記事をご覧ください。

⑵民事調停

民事調停は、裁判所で行われる話し合いによって解決を図る方法です。

交通事故の相手側の居住地の管轄をする簡易裁判所への申し立てとなります。

調停には、裁判官1名、弁護士などの調停委員の2名が担当となります。ただし、調停は裁判とは異なり、裁判官は調停に参加はしません。調停の倍には調停委員が双方の話し合いを担当し、最終的に調停員委員会から調停案を示されます。

この案に双方が納得すれば調停成立となります。

調停成立となれば、調停証書の作成がなされます。この調停証書は裁判の判決と同じ効力を持ちます。つまり、加害者側が損害賠償金の支払いを拒んだ場合には、強制執行をすることが可能となります。

基本的に、交渉の相手が保険会社であれば支払いは行われますが、加害者本人の場合は、未払いになる可能性が高いため、調停証書があれば非常に安心です。 

なお、調停の場合は費用がかかりますのでご注意ください。

⑶民事裁判

交通事故の民事裁判は「損害賠償請求訴訟」となります。

裁判では、当事者双方が互いの意見を主張し、認めてもらうために証拠を提出するなど立証を行い、自身の希望が通るように進めます。

裁判官は、当事者双方の主張を聞き、証拠を調べ、最終的に強制力をもつ判決を下し、紛争の解決を図ります。

裁判の判決は、強制力があることから、当事者は必ず従う義務があります。つまり、判決に記載された金額は、必ず支払われなければなりません。

4 示談が難航している方は、大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

示談が難航なりやすいケースと、難航する要因、そしてその対処方法についてご説明をさせていただきました。

被害者の方は示談が難航した場合は、まずは交通事故問題に強い弁護士に相談をしてみましょう。

交通事故問題に強い弁護士であれば、それまでの経験や、法的知識、医学的知識をもって、適正な金額、過失割合で示談交渉を進めていきます。

その結果、弁護士が入っただけで、驚くほどスムーズに進むこともあります。

また、弁護士が介入すると相手との交渉もすべて代理人として、弁護士が行うことから、被害者の方の精神的な苦痛も軽減することも可能です。

なお、たとえ示談交渉で解決ができなかった場合でも、弁護士に依頼をしていれば、被害者の代わりに、示談あっせんや民事調停、民事裁判の手続きを進めてくれます。

示談が長引きそうな方、すでに難航している方は、交通事故を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイに一度ご相談ください。

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