交通事故の被害に遭い、弁護士への依頼を考えたときに、被害者の方が心配されるのは、弁護士に費用かと思います。
弁護士の費用は、方法次第では被害者の方の負担を減らすことができます。
こちらの記事では、弁護士費用の相場、どういったものが弁護士の費用にあるのかなどを中心に、はじめて弁護士に依頼を検討している方でも、弁護士費用についてわかるようご説明をさせていただきます。
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目次
1 弁護士費用の相場
⑴弁護士費用の自由化
元々、弁護士費用は2003年までは、日本弁護士連合会にて、基準が定められており、各都道府県の弁護士はその基準を基に、依頼者の方へ着手金や成功報酬といった弁護士費用を請求していました。
しかし、2004年に基準は撤廃され、弁護士費用は自由化されることになりました。その後は現在まで、全国の弁護士が自由に弁護士費用を定めてよいとされています。
以下の料金体系が主となっています。
⑵旧日弁連基準
旧日弁連基準は、2004年に撤廃された基準です。というのも、自由化されたとしても、急に大きく弁護士費用について変更することは実務上難しいという事情が弁士にもありました。
その為、現在でも旧日弁連基準を参考に弁護士費用を設定している事務所は多いです。
旧日弁連基準は以下の通りです。
経済的利益 | 相談料 | 着手金 | 報酬金 |
300万円以下 | 5,000円 | 8% | 16% |
300万円以上3000万円以下 | 5,000円 | 5%+9万円 | 10%+18万円 |
3000万円以上3億円以下 | 5,000円 | 3%+69万円 | 6%+138万円 |
3億円以上 | 5,000円 | 2%+369万円 | 4%+738万円 |
経済的利益とは、基本的には示談金(治療費、休業損害、慰謝料等)をいいますが、各法律事務所で定義は多少異なります。
被害者の方が、弁護士費用を自己負担する場合は、旧日弁連基準をとる法律事務所は避けた方が良いでしょう。
何故ならば、最終的な示談額が想定していたよりも低額であったとしても、相談料や着手金(後程ご説明を致します)は、必ず支払わなければなりません。また報酬金についても固定がなされているため、費用が高額になりやすくなります。結果、被害者の方の負担は大きくなります。
⑶タイムチャージ
タイムチャージ制とは、事案にかかった時間に応じて、弁護士費用が発生る料金体系です。
1時間〇円と設定し、弁護士がその事案を処理するためにかかった時間を記録し、被害者の方に請求をします。1時間20,000円としている事務所が多いです。
この制度は、依頼者が個人である交通事故問題の場合はあまり使用されていません。国際的な企業法務、金融法務等を多く行う大手の法律事務所で採用されていることが多いです。
⑷成功報酬制
成功報酬制とは、弁護士が示談交渉をし、示談が成立、結果として、被害者の方に利益が生じた際に、弁護士へ支払う報酬が発生する料金体系です。
法律相談料無料、着手金無料とし、相場としては報酬金20~30万円+示談金の10~20%としている法律事務所が多いです。
2 弁護士費用の内訳
交通事故問題で弁護士に依頼をする際にかかる主な費用の内訳は以下となります。
⑴相談料
交通事故問題について被害者の方が相談をし、その相談内容に応じて、弁護士から解説、アドバイスをもらうことで発生する費用です。
1時間5,000円~10,000円を設定している事務所が比較的に多いですが、最近は初回の法律相談料は無料としている事務所もあります。
⑵着手金
弁護士に正式に依頼するとなった際に必要となる費用です。前払い金の性質があることから、最終的に依頼者である被害者の方の希望内容で示談ができなかった場合でも、途中で弁護士を解任した場合でも、基本的に返金はされません。
⑶成功報酬
弁護士が示談交渉をしたことにより示談が成立し、事案が終了した段階で支払うことになる費用です。
各法律事務所で設定する金額は異なりますが、一定額+回収した示談金に応じての〇%分としていることが多いです。相場としては、一定金額20~30万円前後+回収した示談金の10~20%前後とされています。よって、成功報酬は示談金によって変動します。
⑷実費・日当
実費とは、保険会社や病院へ送る郵便物の送付代や資料を取り付けるための手数料などの、実際にかかった費用となります。相場は事案寄るため、一概には言えませんが、先に一定金額を依頼者から預かったり、一旦は法律事務所で立て替えて支払いをし、最終的に成功報酬と一緒に精算したりするなどの方法があります。
金額によっては、費用が掛かった際に精算することもあります。
次に、日当ですが、この費用は、弁護士が法律事務所から離れている間に発生する費用、つまり拘束費用となります。
実費である交通費とは別に、たとえば遠方の裁判所や病院へ出向く場合に発生します。相場は、半日拘束した場合は30,000円~50,000円程度、1日拘束をした場合は50,000円~100,000円程度となる場合もあります。
3 弁護士費用を抑える方法
⑴成功報酬制の事務所に依頼する
先ほどご説明をさせていただいた、成功報酬制の法律事務所に依頼をすると、被害者の方は弁護士費用を比較的に抑えることが可能となります。
改めて、成功報酬制についてご説明をさせていただきます。
成功報酬制は「法律相談料・着手金無料、一定の報酬金+示談金の〇%分」です。増額が成功した場合のみ報酬金が発生し、示談金に応じて報酬金の総額が決定するため、費用は旧日弁連基準をとる法律事務所よりも抑えられる可能性が高いです。
さらに成功報酬制であれば、示談金が弁護士費用を超えてしまい、費用倒れになること=赤字のリスクも低いです。
ただし、怪我のない物損事故や軽傷の人身事故のように、元々の損害賠償金も少ないと考えられるケースでは、高額な増額が見込めないことから赤字のリスクもありえます。
ご心配な方は、弁護士に相談をする際に必ず費用については確認するようにしましょう。
⑵弁護士特約を利用する
弁護士特約とは、交通事故問題において発生する弁護士の費用を、被害者の方が加入する任意の保険会社が代わりに負担をしてくれるため、実質0円で弁護士に依頼が可能となります。
自動車保険の特約でついていることが多いですが、火災保険やクレジットカードの保険などにもついていることがありますので、まずはご自宅の保険関係を確認することをおすすめします。
またご家族の方(配偶者、同居の親族、別居の未婚の子供)や同乗していた方も利用することができるとされています。
使用については、保険会社の同意が必ず必要となりますので、事故の外相を説明したうえで、弁護士特約を利用したい旨を伝えましょう。
弁護士特約で補償される弁護士費用は各保険会社で上限額が定められています。多くの場合は、1つの事故1名につき、法律相談料10万円、依頼関係費用300万円までとされておりますが、この金額をこえることはほぼありません。
被害者の方がお亡くなりになった事故や上位等級である後遺障害が認定された事故は、超える可能性はあります。ただし、こういった場合でも、弁護士を入れたことによる増額分の方が大きく、弁護士費用を支払っても被害者の方自身が示談するよりも高額の示談金を受け取れる可能性が高いです。
なお、弁護士特約は使用するタイミングは被害者の方で決めることができます。保険会社によっては「揉めていなければ使えない」「過失が0の時しか使えない」という説明をしてくる場合がありますが、そのような場合は保険の約款を確認しましょう。
そのうえで使用したい意思をしっかり伝えるようにしましょう。
参考:交通事故時の被害者による弁護士特約の使い方を解説します。
4 弁護士へのご相談は、大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイへ
弁護士費用についてご説明をさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか?
被害者の方は弁護士に相談をするときは、弁護士の過去の実績や対応だけでなく、費用面についてもしっかり確認するようにしましょう。
選んだ弁護士が採用する料金体系によっては、被害者の方が最終的に受け取ることができる金額は大幅に異なります。
なお、ロイヤーズ・ハイでは弁護士特約をつけていない被害者の方に対しては、成功報酬制でご対応をさせていただいております。
また、決して被害者の方が損をしないという考えを基本に、臨機応変に対応をさせていただいております。
弁護士への依頼をご検討されている被害者の方は、交通事故を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにぜひ一度ご相談ください。
このコラムの監修者
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太田 泰規(大阪弁護士会所属) 弁護士ドットコム登録
大阪の貝塚市出身。法律事務所ロイヤーズ・ハイのパートナー弁護士を務め、主に大阪エリア、堺、岸和田といった大阪の南エリアの弁護活動に注力。 過去、損害保険会社側の弁護士として数多くの交通事件に対応してきた経験から、保険会社との交渉に精通。 豊富な経験と実績で、数々の交通事故案件を解決に導く。