交通事故 慰謝料
2020.10.19 2024.06.28

交通事故の死亡慰謝料について知りたい

交通事故の死亡慰謝料について知りたい

交通事故に遭った被害者の方が、残念ながらお亡くなりになるケースはあります。警察庁の調べによると、2019年には全国で3,215人の方が亡くなりました。

被害者の方が亡くなった場合、ご遺族の方は加害者側に対して慰謝料を請求しますが、この慰謝料の相場はどのくらいの金額になるのでしょうか?

ここでは、死亡慰謝料の種類や相場についてご説明をいたします。

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1 2種類の死亡慰謝料

交通事故で被害者の方が亡くなった場合の慰謝料は2種類あります。

⑴被害者本人の慰謝料

慰謝料は、交通事故によって受けた精神的苦痛に対して金銭的に償ってもらうものとなります。

被害者の方が死亡した場合、被害者の方にも精神的苦痛が存在したものと考えられ、死亡させられたことに対する慰謝料を請求することが可能です。

この死亡慰謝料を請求できる被害者の方は亡くなられているので、慰謝料請求権は、相続人であるご遺族の方へ相続されます。そのため、ご遺族の方は、加害者側に対して被害者の方の死亡慰謝料を請求することが可能となります。

⑵遺族の慰謝料

被害者の方本人の慰謝料だけではなく、死亡慰謝料には、ご遺族の方の慰謝料も固有で認められています。

遺族=相続人となる方は被害者の方の近しい関係の人です。その近しい関係の人を突然交通事故で亡くしたという現実は、ご遺族の方にとっても大きな精神的苦痛を負わされます。そして、それは死亡させられた被害者の方が感じた精神的苦痛とは別のものと考えられます。

つまり、被害者の配偶者、子ども、父母、兄弟姉妹等の相続人となる遺族には、その方独自の固有の慰謝料が認められます。

したがって、死亡慰謝料は2種類あることになります。

2 交通事故の死亡慰謝料の計算方法

慰謝料の算定には3つの基準があります。自賠責基準、任意保険基準、裁判所基準です。

どの基準を使用して慰謝料を算定するかによって、大幅に金額は異なります。

⑴自賠責基準

3つの算定基準の中で、最も低い基準です。最低限の被害者の補償を目的としている自賠責保険で使用されている基準の為、支払い限度額も設定されています。

自賠責保険基準では、以下の内容が支払いの限度額となります。

死亡による慰謝料内容支払基準
被害者本人の慰謝料400万円(※350万円)
遺族の慰謝料

※請求者(親、配偶者、子)の人数により金額は異なります。

請求者が

1名の場合:550万円

2名の場合:650万円

3名以上の場合:750万円

※被害者に被扶養者がいる場合においては、上記の金額に200万円が加算されます。

※印は2020年3月31日以前の事故の場合の基準

死亡慰謝料は、上記の表にあるように、家族の慰謝料は請求する人数によって変わります。

また、被害者の方に被扶養者(被保険者に扶養されている3親等内の家族)がいる場合は、上記の金額に200万円が加算されます。

たとえば、亡くなった被害者の方が結婚をしており、配偶者の妻と子どもが1人おり、そしてこの妻と子どもが、被扶養者だった場合は以下の通りとなります。 

本人への慰謝料400万円(※350万円)
遺族への慰謝料650万円+200万円
合計額1,250万円(※1,200万円)
(※)内は2020年3月31日以前の交通事故の場合

⑵任意保険基準

任意保険基準は、各保険会社が独自で算定方法を定めているため、詳しい計算方法や基準は非公開です。そのため、以下の死亡慰謝料の表はあくまでも、おおよその金額でご紹介いたします。

被害者の家族での役割

一家の支柱1,700万円程度
母親・配偶者1,500万円程度
その他(独身者、未成年者等)1,500万円程度

慰謝料の相場金額は、被害者の方が家庭内でどの立場なのかによって異なります。被害者の方が一家の支柱の場合に高額である理由は、家庭内での経済的支柱が失われると考えられるからです。

任意保険基準では、被害者の方本人の慰謝料と遺族の方の慰謝料を分けて計算されることは、基本的にありません。

⑶裁判所基準

3つの基準の中で最も高額な慰謝料を算定する基準です。

この基準は、交通事故の過去の裁判例を基に作られており、弁護士に依頼し示談をする際、もしくは訴訟となった時に使用されます。

「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準(通称:赤い本)」に記載されており、そこには以下の内容で記載されています。

被害者の家族での役割

一家の支柱2,800万円
母親・配偶者2,500万円
その他(独身者、未成年者等)2,000万円~2,500万円

任意保険基準と同じく、被害者の方本人と遺族の方の慰謝料は分けずに、合算した金額で取り扱われています。

3 死亡慰謝料に関する注意点

被害者のご遺族の方は、相手の保険会社と交渉する際には、以下の点について、気を付けなければなりません。

⑴慰謝料の基準で受け取れる額が変わる

先ほどご説明をさせていただきましたように、慰謝料の算定基準が変わるだけで、被害者の方の慰謝料、ご遺族の方の慰謝料は大きく変わります。

相手との示談交渉の際、基本的に相手は、任意保険基準か自賠責基準のどちらかを使用し、できるだけ低額で示談ができるよう交渉を進めてきます。

ご遺族の方は、必ず死亡事故の場合は弁護士に相談をするようにしましょう。弁護士であれば、裁判所基準で算定をし、最も適正な金額を相手保険会社に請求することが可能となります。

さらに、死亡慰謝料は、事故の内容によって増額が認められるケースもあります。

たとえば、事故の原因が、加害者の飲酒運転や信号無視などといった場合です。これは、加害者の過失が著しく大きく、悪質であると判断できます。

また、加害者がひき逃げをし、救護義務を怠った場合、警察に対して虚偽の発言をした場合、示談交渉の場で不誠実、不真面目な行動を見せた場合でも、慰謝料の増額理由になりえます。

稀なケースではありますが、被害者の方が女性で、妊娠しており、胎児までも亡くなってしまった場合は、死亡慰謝料は増額されると考えられます。胎児の権利は出生と共に認められることから、胎児の固有の慰謝料は法的に認められていません。ただし、その分、妊婦であった被害者本人の死亡慰謝料を増額し、公平さを保つようにされています。

⑵逸失利益が請求できることもある

交通事故で被害者の方が死亡した場合、死亡慰謝料とは別に、逸失利益というものが加害者側に請求ができます。

逸失利益とは、被害者の方が生きていれば本来得ることができていた利益をいいます。

逸失利益は、基本的には被害者の方の「1年あたりの基礎収入」と、亡くなった際の年齢(原則として18歳~67歳)を基に「稼働可能期間」を算出し、これを掛けて計算します。

ただし、被害者の方は生きていれば、この収入から生活費が必要となることから、その分を差し引きする必要があります。これを「生活費控除率」といいます。 

また、本来であれば年々受け取る収入を、賠償金として一括して支払われることから、その点も調整することになります。これについては、ライプニッツ係数というものを使用します。

つまり、亡くなった被害者の方の逸失利益は、以下の計算式で算出されます。

死亡逸失利益 = 1年あたりの基礎収入 × (1-生活費控除率) × 稼働可能期間に対応するライプニッツ係数

⑶慰謝料に納得できない場合

慰謝料の金額は示談交渉によって決まりますが、保険会社はあくまでも加害者側の立場で対応します。そのため、低額で示談案を提示されることが多く、死亡慰謝料の金額に納得ができない場合もあります。

このような場合に、被害者のご遺族の方は示談了承することはしてはいけません。納得ができない場合は再度交渉を続けましょう。 

一度示談を成立させてしまうと取り消しは原則的にはできません。

ただ、相手は交通事故問題のプロである保険会社のため、交通事故の知識が少ない遺族の方が太刀打ちするのは、非常に難しいです。

さらに、大切なご家族を失い、精神的な苦痛を受けている中で、慣れない示談交渉をしなければいけません。

ご遺族の方には弁護士に相談することを強くお勧めします。

弁護士に依頼することで、適正な損害賠償金を請求してくれるだけでなく、示談交渉もすべて代わりに行ってくれます。そのため、ご遺族の方でなければできないことに集中することができます。納得ができない死亡慰謝料についても増額が見込めます。

死亡事故の示談交渉については、必ず弁護士に一度相談しましょう。

4 死亡事故については、交通事故を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

死亡慰謝料についてご説明をさせていただきました。

突然の交通事故で大切なご家族を失った被害者のご遺族の方は、悲しみの中であらゆる対応を行わなければなりません。その中で、被害者の方が亡くなった直接の原因である加害者側とのやりとりをすることは、精神的に大きな負担がかかります。 

精神的な負担を軽減させるため、1日でも早く生活を立て直すためにも、弁護士へのサポートを検討してみてはいかがでしょうか?

死亡事故についてのご相談は、交通事故を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご連絡ください。

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