交通事故 弁護士相談 慰謝料
2020.10.21 2022.11.15

弁護士基準での入通院慰謝料と通院日数について知りたい

弁護士基準での入通院慰謝料と通院日数について知りたい

慰謝料の算定基準には、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3つがあります。

そのうちの1つである弁護士基準は、交通事故の過去の裁判例を基に作成されており、裁判基準、裁判所基準とも呼ばれます。

3つの中で、最も高額な慰謝料を算出する基準であり、示談交渉段階では、弁護士に依頼することで適用が可能な基準となります。

弁護士を介さずに、被害者の方本人で示談をする場合は、弁護士基準よりもはるかに低い、自賠責基準や任意保険基準で慰謝料は計算されてしまうため、被害者の方は大きく損をする可能性があります。

ここでは、弁護士基準での入通院慰謝料や、通院日数の影響についてご説明をさせていただきます。

弁護士基準での入通院慰謝料と通院日数

弁護士基準での入通院慰謝料は、「入院・通院1日あたりいくら」という計算方法はありません。

弁護士基準では、過去の裁判例を基にした算定表があるため、その表に対して、入院した期間、通院した期間をあてはめて慰謝料を算定します。

また、この表は2種類あり、怪我の程度で適用される表が異なります。

なお、この慰謝料算定表を含め、弁護士基準については、公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部が発行する「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(通称赤い本)」に掲載がされています。

以下2つの表をご覧ください。

骨折などの場合の入通院慰謝料表

骨折などの場合の怪我は、以下の表が使用されます。

(損害賠償額算定基準:別表Ⅰ)

万円

(単位)

入院 1ヶ月 2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月 5ヶ月 6ヶ月
通院 53 101 145 184 217 244
1ヶ月 28 77 122 162 199 228 252
2ヶ月 52 98 139 177 210 236 260
3ヶ月 73 115 154 188 218 244 267
4ヶ月 90 130 165 196 226 251 273
5ヶ月 105 141 173 204 233 257 278
6ヶ月 116 149 181 211 239 262 282
7ヶ月 124 157 188 217 244 266 286
8ヶ月 132 164 194 222 248 270 290
むちうちや打撲の場合の入通院慰謝料表

交通事故の怪我の中でも多くの方がなる、むちうちや打撲といった、他覚所見がない場合は下記の表を使用します。

(損害賠償額算定基準:別表Ⅱ)

万円

(単位)

入院 1ヶ月 2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月 5ヶ月 6ヶ月
通院 35 66 92 116 135 152
1ヶ月 19 52 83 106 128 145 160
2ヶ月 36 69 97 118 138 153 166
3ヶ月 53 83 109 128 146 159 172
4ヶ月 67 95 119 136 152 165 176
5ヶ月 79 105 127 142 158 169 180
6ヶ月 89 113 133 148 162 173 182
7ヶ月 97 119 139 152 166 174 183
8ヶ月 103 125 143 156 168 175 184

詳しい表の見方は、次でご説明をさせていただきます。

入通院慰謝料の計算方法

同じ例で、各算定基準での入通院慰謝料を計算してみましょう。

(例)

2020年5月1日事故、被害者の方の症状は骨折。

入院期間は30日、通院実日数(実際に病院に通った日数)は60日、総治療期間が210日の場合。

弁護士基準

弁護士基準の場合、先ほどご紹介した算定表から算出します。

表の見方は以下の3つのポイントを押さえましょう。

①「ひと月あたり30日」として数えます。暦では数えません。

②横列を入院の期間、縦列を通院の期間としてみます。

③入院と通院の両方がある場合は、該当月が交差する場所を相場と考えます。

(例)の事案での弁護士基準での慰謝料は以下の通りになります。

まず、ひと月あたりを30日と考えますので、入院期間30日は1ヶ月とされます。

次に総治療期間210日を30日で割ると、7ヶ月となります。総治療期間7ヶ月-入院期間1ヶ月=通院期間6ヶ月と求められます。

被害者の方の怪我は骨折の為、別表Ⅰの横列1ヶ月、縦列6ヶ月が交わる部分、149万円が弁護士基準で算出される入通院慰謝料となります。

自賠責基準

自賠責基準の場合、入通院慰謝料は「日額×対象日数」で求められます。

日額については、入院、通院に差はなく、1日あたり4,300円(※2020年3月31日以前の交通事故については4,200円)とされています。

また、対象の日数は、①実際に入院した期間と通院した実日数を足して2倍した値、②初診から治療終了までの総治療期間の値、のどちらか少ない値を採用します。

(例)の事案での自賠責基準での慰謝料は以下の通りになります。

①(入院期間30日+通院実日数60日)×2=180日

②総治療期間210日

①の方が少ない値になるため、自賠責基準の入通院慰謝料は、

日額4,300円×180日=77万4000円となります。

任意保険基準

任意保険基準の厳密な算定表・計算式は非公開です。

何故ならば、任意保険基準は各保険会社が過去の実績等を基に独自で定めているからです。

ここでは、各保険会社が以前統一して用いていた「旧任意保険基準」で計算を行います。この基準は現在でも多くの保険会社が踏襲していると考えられるため、他2つの基準の比較になるかと思います。

 

万円

(単位)

入院 1ヶ月

 

2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月 5ヶ月 6ヶ月
通院   25.2

 

50.4 75.6 95.8 113.4 128.5
1ヶ月 12.6 37.8 63 85.7 104.6 121 134.8
2ヶ月 25.2

 

50.4 73.1 94.5 112.2 127.3 141.1
3ヶ月 37.8 60.5 81.9 102.1 118.5 133.6 146.1
4ヶ月 47.9 69.3 89.5 108.4 124.8 138.6 151.1
5ヶ月 56.7 76.9 95.8 114.7 129.8 143.6 154.9
6ヶ月 64.3 83.2 102.1 119.7 134.8 147.4 157.4
7ヶ月 70.6 89.5 107.1 124.7 138.6 149.9 160
8ヶ月 76.9 94.5 112.1 128.5 141.1 152.5 162.5

 

表の見方は、弁護士基準と同じです。

よって、横軸の入院1ヶ月と縦軸の通院6ヶ月の交差するマスは83万2000円となり、これが旧任意保険基準で算出される入通院慰謝料です。

 

改めて、3つの基準を比較すると以下の通りになります。

 

弁護士基準 149万円
自賠責基準 77万4000円
任意保険基準(推定) 83万2000円

 

ご確認いただくと明らかなように、同じ事案であっても、算定基準が異なることで入通院慰謝料が大幅に変わります。

通院日数が少ない場合の入通院慰謝料

入通院慰謝料の計算方法についてご説明をさせていただきましたが、通院の実日数が少ない場合、一般的な入通院慰謝料とどれくらい異なるのかを、自賠責基準と弁護士基準を基にご説明します。

自賠責基準

たとえば、通院期間2ヶ月(60日)、実通院日数が8日の場合です。

 

①実際に入院した期間と通院した実日数を足して2倍した値

通院日数8日×2=16日

②初診から治療終了までの総治療期間の値

総治療期間60日

 

少ない方の値である①の16日を採用します。

よって、日額4,300円×16日=6万8800円となります。

弁護士基準

先ほどと同じ条件、通院期間2ヶ月、通院実日数が8日の場合で、弁護士基準で計算を行います。

むちうち以外の場合は、別表Ⅰより52万円とわかります。

むちうちや打撲の場合は、別表Ⅱより36万円となります。 

このように通院日数が少ない場合でも、慰謝料の金額は自賠責基準よりも非常に高額となります。

弁護士基準では入通院慰謝料を【期間】で計算をするため、基本的には通院実日数は慰謝料の算定に影響がないとされます。

とはいえ、通院期間に対しては、通院実日数が少ない場合は減額されることがあります。

たとえば、通院期間が1年以上に対して、通院実日数が月2~3回程度の場合は、実際の通院期間を限度として、通院実日数の3.5倍を通院期間の目安する場合もあります。

むちうちや打撲等の症状の場合は、実際の通院期間を限度として、通院実日数の3倍を通院期間の目安と考えられることもあります。

よって、入通院慰謝料の面からいうと、被害者の方は定期的かつ継続的に通院することを意識することが大切です。

目安としては、週2~3回、月10回程度の頻度で通院することをおすすめします。

一方で、通院の頻度は、主治医の指示で調整することとなります。骨折などの場合、経過観測が多くなりますので、リハビリの必要性がないのか等確認するようにしましょう。

基本的には医師が必要と判断する場合は、治療やリハビリを継続的に続けていくこととなります。

弁護士基準での慰謝料請求は、交通事故を多く取り扱う大阪市・難波(なんば)・堺市の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイへ

弁護士基準で計算する入通院慰謝料についてご説明をさせていただきました。

弁護士基準では、基本的に通院期間を基準で計算をすることから、通院日数が少ない場合でも、自賠責基準や任意保険基準よりも高い慰謝料を請求ができる場合もあります。 

冒頭でもご説明をさせていただきましたように、相手の保険会社は、被害者の方本人が、交渉相手の場合、基本的には自賠責基準か自社の任意保険基準でしか提案をしません。一方で、弁護士に依頼をすれば示談交渉段階から弁護士基準が使用できます。

「慰謝料が低い気がする…。」

「この慰謝料は妥当な金額なのだろうか?」

そういった慰謝料についてのご不安をお持ちの方は、交通事故を多く取り扱う大阪市・難波(なんば)・堺市の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

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