交通事故 慰謝料
2020.10.26 2024.04.25

交通事故で7ヶ月通院したときの慰謝料を知りたい

交通事故で7ヶ月通院したときの慰謝料を知りたい

交通事故の慰謝料は、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料の計3つの種類の慰謝料があります。

そのうちの1つである入通院慰謝料は、治療の日数、治療期間が軸となって算出がなされます。 

通院期間が7ヶ月ともなると、最も低額な慰謝料を算出する自賠責保険基準であっても高額になることもあります。

ここでは、7ヶ月通院した場合の入通院慰謝料や入通院慰謝料を増額するためのポイントについてご説明します。

慰謝料の基準で慰謝料は変わる

3つの基準の違い

慰謝料とは、被害者の方が受けた精神的な苦痛を金銭で癒すという目的があります。

そのため、本来であれば被害者の方それぞれの様々な事情を考慮し算出がなされるものですが、実際は、すべての交通事故で、個別で考慮することは難しいため、事案によっては妥当ではない金額となることもあります。

そういった事態を避けるためにも、慰謝料はある程度、定型・定額化がされており相場があります。そして、その慰謝料を算定には、自賠責保険基準、任意保険基準、弁護士基準(裁判所基準)と3つの基準が使用されます。

どの基準を使用するかで、慰謝料は大幅に変わります。 

・自賠責保険基準

原付を含むすべて車両が加入しなければならない、自賠責保険(正式名称:自動車損害賠償責任保険)で使用されている基準を自賠責保険基準といいます。

自賠責保険は、自動車事故による被害者の方を救済することが目的です。そのため、できるだけ多くの被害者の方を迅速・公平に救済=補償する必要があるため「被害者の方への最低限度の補償を行う」とし、各損害賠償額の項目ごとに支払い基準、支払い限度額が設定されています。

3つの算定基準の中で最も低い算定基準となります。

・任意保険基準

任意保険は、強制加入である自賠責保険とは異なり、その名の通り、個人の任意で加入するかどうかを決めます。その任意の保険会社で使用される基準を任意保険基準といい、3つの算定基準の中では、算出される金額については間に位置します。

以前までは全保険会社で統一された基準があり、それを基に慰謝料は算出されていましたが、現在は撤廃され、各保険会社が過去の実績やデータをもとに算定基準は作られています。そのため、正確な計算方法、算定表等は非公開です。

ただし、保険会社によっては、以前の基準(旧任意保険基準)を踏襲している場合もあります。

実際に提示される金額は、自賠責保険基準と同等か、それを少しだけ上回る金額になる程度です。

・弁護士基準

弁護士基準は、3つの基準の中で最も高額な慰謝料を算出します。過去の裁判例を基にしていることから、裁判基準、裁判所基準とも呼ばれます。

弁護士に依頼をして示談交渉をする際、もしくは実際の裁判の際に使用される基準となります。

過去の裁判例を基に作成されている算定表であることから、最も適正な損害賠償金を算出できる基準とも言われています。

事案にはよりますが、他2つの基準に比べて、慰謝料が2~3倍になることもあります。

慰謝料の計算方法

各基準での慰謝料の計算方法は異なります。

・自賠責保険基準

自賠責保険基準は日額が4,300円(2020年3月31日以前の交通事故であれば4,200円)とされており、日額に対象日数をかけて算出します。 

対象日数とは、①入院期間と実際に通院した日数を足して2倍した値②病院への初診日から超終了までの治療期間の数値、以上2つの数字を比べ、「少ない値」を対象日数とします。

求める式は以下となります。

自賠責保険基準入通院慰謝料=1日あたり4,300円×対象日数

 

・任意保険基準

先ほど述べたように現在使用されている各社の任意保険基準の詳しい計算方法は、非公開です。

ここでは、現在でも多くの保険会社が踏襲していると考えられている旧任意保険基準の算定表をご紹介します。

 

万円

(単位)

入院 1ヶ月

 

2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月 5ヶ月 6ヶ月
通院   25.2

 

50.4 75.6 95.8 113.4 128.5
1ヶ月 12.6 37.8 63 85.7 104.6 121 134.8
2ヶ月 25.2

 

50.4 73.1 94.5 112.2 127.3 141.1
3ヶ月 37.8 60.5 81.9 102.1 118.5 133.6 146.1
4ヶ月 47.9 69.3 89.5 108.4 124.8 138.6 151.1
5ヶ月 56.7 76.9 95.8 114.7 129.8 143.6 154.9
6ヶ月 64.3 83.2 102.1 119.7 134.8 147.4 157.4
7ヶ月 70.6 89.5 107.1 124.7 138.6 149.9 160
8ヶ月 76.9 94.5 112.1 128.5 141.1 152.5 162.5

 

縦列が通院期間、横列が入院期間となっています。

任意保険基準や、この後ご説明する弁護士基準では、実際に通院した日数ではなく、期間を基に計算がされます。

1ヶ月は暦で換算するのではなく、1月あたり30日と考えます。

通院だけでなく、入院もあった場合はそれぞれが該当する月の交差する部分が慰謝料の相場となります。 

・弁護士基準

弁護士基準では別表Ⅰと別表Ⅱという、2種類の算定表を被害者の方の怪我の程度によって使い分けます。

別表Ⅰはむちうち以外の怪我、たとえば骨折などといった場合に適用され、別表Ⅱはむちうちや打撲といった他覚所見が無い場合に適用されます。

表の見方は、旧任意保険基準の算定表と同じになります。

むちうち以外の怪我の場合の傷害部分の慰謝料基準表(損害賠償額算定基準:別表Ⅰ)

万円

(単位)

入院 1ヶ月

 

2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月 5ヶ月 6ヶ月
通院   53

 

101 145 184 217 244
1ヶ月 28 77 122 162 199 228 252
2ヶ月 52 98 139 177 210 236 260
3ヶ月 73 115 154 188 218 244 267
4ヶ月 90 130 165 196 226 251 273
5ヶ月 105 141 173 204 233 257 278
6ヶ月 116 149 181 211 239 262 282
7ヶ月 124 157 188 217 244 266 286
8ヶ月 132 164 194 222 248 270 290

 

 

むちうちなど他覚的所見がない場合に使用(損害賠償額算定基準:別表Ⅱ)

万円

(単位)

入院 1ヶ月

 

2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月 5ヶ月 6ヶ月
通院   35

 

66 92 116 135 152
1ヶ月 19

 

52 83 106 128 145 160
2ヶ月 36 69 97 118 138 153 166
3ヶ月 53 83 109 128 146 159 172
4ヶ月 67 95 119 136 152 165 176
5ヶ月 79 105 127 142 158 169 180
6ヶ月 89 113 133 148 162 173 182
7ヶ月 97 119 139 152 166 174 183
8ヶ月 103 125 143 156 168 175 184

7ヶ月通院したときの慰謝料の目安

では、7ヶ月通院した時の入通院慰謝料はいくらになるのでしょうか?

それぞれの算定基準で確認しましょう。

自賠責保険基準の場合

実際に通院した日数は70日(月10回)としましょう。

この場合、自賠責保険基準では以下の通りになります。

【対象日数】

①実際に通院した日数 70日×2=140日

②治療期間7ヶ月=210日

対象日数は①の140日が採用されます。 

自賠責保険基準での入通院慰謝料=日額4,300円×140日=60万2,000円

任意保険基準の場合

任意保険基準は、旧任意保険基準を参考にします。

先ほどの表の縦軸7ヶ月をみると70万6,000円となります。

よって、任意保険基準での入通院慰謝料の相場は70万6,000円程度といえます。

弁護士基準の場合

弁護士基準での入通院慰謝料は以下のどちらかになります。

むちうちや打撲といった怪我以外の場合、7ヶ月での入通院慰謝料は別表Ⅰから、124万円が相場と算定されます。

一方で、むちうちなどの他覚所見のない場合、7ヶ月での入通院慰謝料は別表Ⅱより、97万円が相場であるとわかります。

では3つの基準をまとめてみましょう。

通院期間が7ヶ月(月10回通院)の慰謝料額

自賠責保険基準 任意保険基準 弁護士基準

(むちうち以外)

弁護士基準

(むちうち等)

60万2,000円 70万6,000円程度 124万円 97万円

 

比べていただくとわかるように、弁護士基準が圧倒的に高い金額の慰謝料を算出します。

受け取る慰謝料を増やす方法

被害者の方が慰謝料を多く受け取るためにはどうすればいいのでしょうか?

押さえておきたいポイントは以下の3つです。

通院日数を正しく数える

通院の日数また、入院の日数は正しく把握しましょう。

任意保険基準や弁護士基準では入通院の期間が慰謝料算定において基軸となるため、通院すればするほど慰謝料が大幅に増額するわけではありません。自賠責基準では確かに日額4,300円×対象日数とはなりますが、入通院の実日数が多いと2倍した際に、治療期間の方が少なくなり、計算では治療期間を採用されることも少なくありません。

ただし、実際に治療をした通院の日数があまりにも少なすぎると、減額をされることもあります。目安は週2~3回、月10回程度を割らない頻度で定期的、継続的に通うことが大切です。

通院日数は、医師の診察だけでなく、リハビリで病院に通院した日数も通院日数に含まれます。また、保険会社によっては、整骨院や接骨院の通院については通院日数に含まない場合もあります。

定期的に、最低でも1ヶ月の期間は空かないように、病院や整形外科といった医師の診察を受けることを忘れないようにしましょう。

なお、以下の場合は実際の入院期間よりも長い日数が認定される場合もありえます。

・やむを得ず入院期間を短縮した場合(例:仕事の都合、幼いお子様がいる母親が育児の為など)

・病院の都合等による入院待機期間

・安静を要するギプス固定中などの自宅療養期間

後遺障害等級認定を受ける

被害者の方の中で、残念ながら怪我が完治せずに後遺症が残ってしまった場合は、後遺障害等級認定を受けるようにしましょう。

等級認定を受けて、1~14級の何らかの等級が認定された場合、等級に応じた後遺障害慰謝料を被害者の方は受け取ることができます。また、逸失利益(後遺症が残ったことで本来得るはずだった収入の減少分)も等級、被害者の方の年齢に応じて計算され、請求が可能となります。 

なお、後遺障害慰謝料は、後遺症が残ってしまっただけでは被害者の方は受け取ることができません。必ず、後遺障害等級認定申請を受ける必要があります。

 

弁護士に依頼する

先ほど3つの基準で慰謝料を計算しましたが、ご覧いただくとわかるように、弁護士基準で算定された慰謝料は他2つの基準を大幅に上回るケースが多いです。

裁判を起こして争うことも方法の1つですが、裁判費用もかかり、また解決し損害賠償金を受け取るまで長期化する可能性が高いです。

被害者の方は、弁護士に依頼をすることをおすすめします。

弁護士に依頼をすれば、示談交渉段階で弁護士基準を使用できることから、裁判をしなくても、慰謝料を含む損害賠償金を増額する可能性があがります。

またそれだけでなく、保険会社とのやりとりを代理人として任せることができるため、安心して治療に専念することが可能となります。 

交通事故に巻き込まれて被害者の方が最も苦労すると言われる、保険会社の対応、示談交渉を、法律の専門家である弁護士に全面的に任せることができることは、精神的な負担も大幅に軽減されることになるでしょう。

交通事故の慰謝料についてのご相談は、交通事故を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイへ

7ヶ月通院した場合の入通院慰謝料について中心にご説明させていただきました。

7ヶ月の通院は被害者の方にとっては非常に大きな負担であり、精神的な苦痛を感じるでしょう。

その精神的苦痛に対しての損害賠償である慰謝料が、算定基準によっては、低額を提示されることになります。何も知らない被害者の方はそれが適正な金額であると信じ、示談を成立させてしまうことも少なくありません。

重ねて申し上げますが、交通事故の慰謝料は算定基準で大幅に変わります。同じ事故の内容、通院期間、通院日数であっても、弁護士に依頼するかそうでないかの損害賠償金の違いは非常に大きいです。

交通事故の慰謝料については必ず一度弁護士に相談をしましょう。

慰謝料についてのご相談は、交通事故を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにぜひ一度ご連絡ください。

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