交通事故 交通事故基礎知識
2020.11.25 2024.04.25

交通事故で死亡した場合の遺体の解剖から引き取りまでの流れを知りたい

交通事故で死亡した場合の遺体の解剖から引き取りまでの流れを知りたい

全国での死亡事故の件数は、年々減っては来ているものの、毎年数千件の事故が起きていることは事実です。

交通事故でご家族の方、ご親族の方が亡くなるということは、ある日突然のことであるため、ご遺族の方は、どのような流れで今後進むのかわからない方がほとんどでしょう。

交通事故での死亡は、警察の捜査が入ることにより、死亡の連絡を受けてから遺体の引き取りまでは、一般的な病死などとは異なる流れがあります。

ここでは、死亡事故に遭ってしまった被害者の方の遺体が、どのように対応されるのか、またご遺族の方が引き取れるまでの期間等をご説明します。

交通事故で死亡して遺体を引き取るまでの流れ

警察による検死

交通事故で亡くなった場合、警察による「検死」が必要となります。

通常、例えば病院で病死した場合においては、医師が立会いを行い、死亡を確認します。その上で、「死亡診断書」を作成することになります。

 

また、自宅で亡くなった場合においても、かかりつけ医師の診察を、24時間以内に受けており、死亡した原因が、診察に関連した病気であれば、その医師が死亡診断書を作成することが可能です。

なお、24時間過ぎていても、かかりつけ医師がこれまで診察を行っていた病気で亡くなったと判断できた場合は、死亡診断書は作成ができます。

 

しかし、病院で医師の立会いがない状態で亡くなってしまった場合は、警察による検死を行うこととなります。

 

なお、「検視」と「検死」の言葉がありますが、意味が異なります。

 

検視とは、警察へ届出があった遺体やその周辺状況に対して、警察官や検察官が調査を行い、事件性の有無を確認します。なお、ここには医師の立会いが必須となります。

 

ちなみに、検視が行われる=事件性があるというわけではありません。

基本的に検視は、病死や自然死であることを除けば必要であるとされており、交通事故でだけでなく、災害による死、自殺、孤独死も同様に検視は行われます。

 

検死は、具体的な死亡原因や死亡状況を医学的に判断することであり、医師が行う捜査となります。

順番としては、検視を行ってから検死を行うという流れです。

 

つまり、交通事故で亡くなった場合において、ご遺族の方は、すぐに遺体を引き取れるのではなく、警察、医師による検死が完了しなければ引き取ることができません。

 

遺体確認

検死が済んだ後は、ご遺族の方による遺体確認があります。

これは文字通り、遺体が本人であるかを判断することです。ご遺族の方にとっては、突然亡くなったご家族の死を確認しなければならない為、非常に辛いことになります。

しかし、遺体が間違いなく本人であることを確認することは重要なことであり、これからの手続きを行うためには避けることはできません。

 

遺体確認は遺体安置所で行います。死亡原因によっては、遺体の損傷が激しく、本人確認が難しい場合は、先に遺体の身体的特徴、所持品等をご遺族に伝えて、ある程度本人であることを確認したうえで、遺体確認を行うこともあります。

 

その後、場合によっては遺族調書という、亡くなった方の事故前の行動や生活状況といったことを警察に話さなければならないこともあります。

 

司法解剖

検死の結果、「事件性がある」「事件性の疑いがある」などと判断された場合は、「司法解剖」が行われることとなります。

 

検死は、遺体を外から見ての判断になります。それに対して、司法解剖については中を見ての判断となります。

つまり、遺体にメスを入れて、遺体の状態をより詳細に確認するということです。

なお、事件性が疑われる司法解剖については、ご遺族の方の意思は関係なく行われ、拒否はできないとされています。

 

検死、司法解剖が完了した段階で「死体検案書」が作成されることとなります。

 

なお、司法解剖とは別に、事件性はないと判断できるが、死因をより明確にする目的で行われる解剖があります。

これは「行政解剖」といい、監察医のみ強制的に行える権限を持ちます。

ただし、監察医がこの制度を実施できるほど整備されている地域は、東京23区や大阪など限られています。

よって、基本的に行政解剖はご遺族の方の承諾なしでは行えない地域がほとんどです。

 

遺体の引き渡し

遺体の引き渡しは、検死、司法解剖が終わり次第となります。

解剖が行われた場合においては、縫合など遺体の処置を行って遺体の状態を整えてからとなります。

なお、上記の縫合などといった遺体に関する処置は、葬儀社などの専門業者が行うこととなるので、着せてほしい着物、浴衣といったものは業者に渡す形になります。

遺体の状態によっては、そのまま運ぶことが困難であるため、遺体の引き渡し時点で納棺を行っていることもありますが、一般的な流れは、業者とご遺族の方で納棺を行います。

以上が、交通事故で亡くなった場合における、死亡してからの検死、司法解剖、遺体の引き渡しまでの流れです。

遺体がご遺族のもとに返されてから、葬儀の準備に移ることになります。

遺体が引き渡されるまでの期間

検案の場合

案の場合先ほども述べたように、交通事故で亡くなった場合は、検視・検案(医師が遺体を確認し、死亡日時、状況、死因を医学的だけでなく法律的な面も含めて、総合的に判断すること)、事件性の疑いがあれば、司法解剖が行われます。

 

また、交通事故の場合だと遺体の損壊・損傷が激しい場合が主に上げられますが、遺体が腐敗している場合なども含め、外観からの本人特定が厳しい場合においては、DNA鑑定が行われるケースもあります。

 

検視・検案については、早ければ半日~1日程度で終わりますが、事件性がある場合や死亡原因が不明といった場合は、その後、解剖を行うことになるため、日数はさらにかかります。

 

司法解剖が行われる場合

交通事故の場合は、事故死にその他の犯罪性が無いと判断されれば、検視だけで終わります。しかし、検視にて事件性の疑いがあると判断された場合においては、そのまま司法解剖(死亡解剖)に移ることになります。

 

司法解剖は、1日程度で終わるケースもあれば、解剖中に不審点が発見された場合においては1週間程度、遺体の損傷が激しい場合においては、死因の特定を行うことが困難であることから、1ヶ月以上といった長期間かかることもあります。事件の捜査状況にも寄ります。

 

DNA鑑定

遺体の損傷が激しく、本人の特定が不可能な場合は、DNA鑑定へと移りますが、結果が判明するまでは10日~1ヶ月以上かかることがあります。

採取した遺伝子や解析する研究所の都合等で多少前後することが予想されます。

交通死亡事故の費用

交通事故で被害者の方が亡くなってしまった場合、ご遺族の方は、加害者側に何を請求できるのでしょうか?

基本的に請求が可能となるのは以下の3つです。

・死亡慰謝料

・死亡逸失利益(生きていれば得ることができていた将来の収入)

・葬儀関係費用

・その他実損害分(車両の修理費用など)

 

ここでは葬儀関係費用についてご説明を致します。

死亡慰謝料、死亡逸失利益についてはこちらの記事をご覧ください。

『交通事故の死亡保険金はいくらもらえるのか知りたい』

https://lawyers-high.jp/traffic-accident/column/750/

交通死亡事故の葬儀費用

交通事故によって無くなった場合の葬儀費用と、病死などといった場合の葬儀費用には大きな違いはありません。

葬儀費用の相場は平均的には、80万円~140万円とされています。

 

ただし、葬儀費用とは別に、交通事故で死亡した場合においては、病死などとは違い以下の費用が必要となるケースがあります。

 

費用 内容 相場金額
遺体処置料 葬儀社による止血、体液の漏れ防止等の死後処置を行うための費用。

※病院で病死などした場合には、看護師が止血、体液の漏れ防止等の死後処置を行う。

約20,000円~50,000万円程度
特殊防臭剤

ドライアイス等

腐敗臭を抑えるために特殊な防臭剤、通常の使用量よりも多くのドライアイスを使用したりする場合にかかる費用。

※死亡から数日経過して発見された際、遺体より腐敗臭が発生している事案も多いため。

約5,000円~20,000円程度
遺体修復費用 事故によって顔の損壊、損傷が激しい場合で、遺族の希望によって修復を行う場合の費用。 約70,000円~120,000円程度
遺体搬送料 地域や解剖の種類によって事故現場、警察署、解剖施設から移動する際に、葬儀社が行う場合においてかかる費用。

※遺族負担となる場合がある。

約12,000~15,000円程度(10㎞以内の基本料金相場)
検案料

解剖料

死体検案書発行料

行政解剖の場合には地域によって検案料、解剖料、死体検案書発行料が遺族負担となる。

※司法解剖の場合には国が負担する。

検案料…約20,000円~30,000円程度

解剖料…約80,000円~120,000円程度

死体検案書発行料…約5,000円~10,000円程度

 

死亡事故で加害者に請求できる葬儀関係費用

交通事故において加害者がいる死亡事故については、葬儀関係費用を加害者側に請求が可能となります。

自賠責保険では支払限度額100万円(※2020年3月31日以前の事故の場合は、60万円支払限度額であり、必要かつ妥当であることを立証できた場合においては100万円まで)とされており、それ以上にかかった場合は、加害者本人ないしは加害者側の任意保険会社へ請求することになります。

 

なお、裁判や示談交渉に弁護士が介入した場合に使用できる弁護士基準では、150万円が相場であるとされていますが、これ以上の金額がかかった場合は立証資料と必要性、妥当性が証明できれば認定されることもあります。

 

葬儀費用として加害者側に請求できるのは、主に下記の項目です。

 

・遺体搬送料

・検死、死亡解剖にかかる費用

・遺体処置料、修復費用

・通夜、葬儀告別式にかかる費用

・火葬場の使用料

・四十九日までの法要にかかる費用

・墓碑建立費、納骨費用、仏具購入費用

・寺院等司祭者への御布施や御礼

 

※墓地や香典返しは加害者側に請求することはできません。

 

なお、加害者側に請求する際は立証資料が必要となるので、必ず領収書を残すようにしましょう。

また、寺院等司祭者への御布施や御礼ですが、一般的に領収書は発行されないことが多いので、事情を説明し、領収書を発行してもらいましょう。

領収書発行が難しい場合は、振込対応とさせてもらい、振込依頼書の控えを根拠資料とした事例もあります。

死亡事故についてのご相談は交通事故を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイへ。

交通事故で被害者の方が死亡した場合、どのように遺体を引き取ることができるのか、一連の流れをご説明させていただきました。

ここまででもお分かりのように、ご遺族の方は突然大切な人が亡くなったにも関わらず、あらゆる手続きや対応を行わなければなりません。

さらに、交通事故の場合は賠償責任についても加害者側と話を進めていかなければならず、精神的な負担はかなりのものであると言えます。

ご遺族の方の中には、今後どのように進めていけばいいのかわからない、加害者側と話をしたくないと思う方も少なくないでしょう。

このような時は、法律の専門家である弁護士に一度相談をしてみましょう。

葬儀関係はご遺族の方が主体となって行わなければなりませんが、交通事故の示談交渉は弁護士に委任が可能です。

死亡事故の被害に遭い、対応等にお困りの方は、交通事故を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

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