交通事故 交通事故基礎知識
2021.07.28 2024.05.27

高齢者の交通事故の原因について知りたい

高齢者の交通事故の原因について知りたい

最近、高齢者ドライバーによる交通事故をニュース・新聞等で目にすることも多いかと思います。

交通事故は偶然の積み重なりにより、加害者にも被害者にもなりうるものです。どちらの当事者になっても人生を棒に振ってしまうことになりかねません。

そこで、交通事故の加害者・被害者にならないようにするために、高齢者ドライバーの交通事故における情報、対策についてご説明致します。

1 高齢者ドライバー

⑴一般的な認識、定義

一般的な認識では、いわゆる紅葉マークと呼ばれる高齢者マークの表示が求められる70歳以上を高齢者ドライバーと考えられている方が多いかと思います。

しかし、警察庁は、交通事故統計において、65歳以上の者を高齢運転者として定義しています。

2 高齢者ドライバーの交通事故

⑴交通事故全体で見る高齢者ドライバーの事故率

2020年中に発生した交通事故25642件中、65歳以上の高齢者ドライバーが第1当事者となった事故は4246件です。事故発生件数全体に占める割合としては、16.6%です。

確かに、2020年1月1日時点の、総人口における65歳以上の高齢者の割合は27.9%であることを考えれば、むしろ割合は低いようにも思えます。

しかし、65歳以上の人々は、業務上車を運転するような運転時間の長い人の数は多くないと考えられること等を踏まえれば、決して低い割合であるとはいえません。

①主な事故の種類

交通事故は、二つの視点から分けることができます。

ア. 死傷者が存在するか否かという視点
イ. 当事者に何が含まれるかという視点
ア. 死傷者が存在するか否かという視点

㋐ 人身事故

死者や傷害を負った者が発生した事故を、人身事故といいます。暴走した車が歩道に突っ込み、歩行者をひき殺した事故などが典型例です。

㋑ 物損事故

何らかの物を損壊しただけで、死傷者が発生しなかった事故を物損事故といいます。アクセルとブレーキを踏み間違え、コンビニに突っ込んだといった事故において、死傷者が発生しなかった場合などがこれにあたります。

イ. 当事者に何が含まれるかという視点

①一方が人、他方が車両という類型・②双方が車両という類型・③車両単独という類型の3種類が存在します。

②種類別の割合

ア. 死傷者が存在するか否かという視点

軽微な物損事故も含めると、届出をしていない事例が多く存在しているため、人身事故と物損事故の正確な割合を明示することは困難であるといえます。そのため、当該視点からの割合は割愛させていただきます。

イ. 当事者に何が含まれるかという視点

①類型が約11%、②類型が約87%、③類型が約3%です。この割合から、車両対車両の交通事故が圧倒的多数を占めるといえます。

③事故発生の原因

大きく分けて、

①安全不確認
②わき見運転
③漫然運転
④動静不注視
⑤運転操作不適
⑥一時不停止
⑦信号無視
⑧交差点安全侵入義務違反
⑨優先通行妨害
⑩歩行者妨害等

が存在します。

⑵高齢者ドライバーによる交通事故の特徴と対策

①物損事故

ア. 特徴

人身事故の場合にも当てはまることですが、高齢者ドライバーの事故原因はそれ以外の運転者に比べ、運転操作不適、漫然運転、安全不確認の割合が高いという特徴があります。

運動能力・判断能力の低下による、意識と実際の行動が合致しないことが原因であると考えられます。

イ. 対策

㋐ 早めのライト点灯をする。

高齢者の方は、若いころに比べて視認性が低下しています。少しでも、見やすくするためにも早めのライト点灯を心がけてください。

㋑ 安全な速度で運転する。

速度が早ければ早いほど、運転操作は困難になるうえ、すぐに停車することはできなくなります。法定速度を厳守することは当然のこととして、少しでも危険と感じたら、より低速で走行することを心がけてください。

㋒ 高齢運転者マークの表示をする。

高齢者運転マークを表示することで、他のドライバーは高齢運転者に配慮する義務が生じます。そのため、事故の発生も一定程度防止できるといえます。

㋓ 高齢ドライバーに配慮した運転をする。

煽り、割り込みといった明らかな迷惑運転はもとより、社会的弱者である高齢者という状況を踏まえて、優しさのある運転をしましょう。

㋔ 身近な高齢者とコミュニケーションを密にとる。

家族等の身近な高齢者とコミュニケーションを普段から蜜にとっておくことで、変化に気づくことができます。運転することが危険な変化があれば、免許返上を促すこともできるうえ、コミュニケーションをとることで高齢者自身の安全意識も向上すると考えられます。

②人身事故

ア. 特徴

高齢者の歩行中の事故としては、高齢者自身が横断歩道以外の道路を横断することや、信号無視、走行車両接近中といったタイミングの悪い横断など、高齢者自身の交通法規違反による事故が大部分を占めます。

これは、高齢者特有の、老化することにより、体力・判断力といった能力が低下しているという事情が大きく影響していると考えられます。

イ.対策

㋐ 交通法規を厳守する。

交通法規とは、交通事故が発生しないように定められたものですので、違反すれば交通事故の危険が高まることは至極当然といえます。当然ですが、絶対に守ってください。

㋑ 身体能力の変化を認識し、それに従った行動をする。

年齢を重ねる以上、身体能力・判断能力が低下することは当然です。自分だけはまだ衰えていないといった間違った過信を止め、ゆとりを持った行動を心がけましょう。

㋒ 安全確認を徹底する。

若いころにも増して安全確認を徹底することが、事故発生の防止に大いに資するといえます。

㋓ 高齢者に注意する。

高齢者は身体能力の低下していることがあるため、予測不可能な行動に出る恐れがあります。そのため、高齢者を発見した場合、事故を起こさず、高齢者の命を守るためにも、より進んだ注意が必要であると考えられます。

3 交通事故を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

高齢者の交通事故の原因について、ご説明させていただきました。

高齢者の運動能力・判断能力が低下することはやむを得ないといえます。そのため、原因・対策について知ることが、交通事故を未然に防ぐためにも不可欠といえます。

しかし、どれほど気を付けていたとしても事故は発生することがあります。その場合、加害者側であっても、被害者側であっても、法的処理の初動が重要といえます。

どちらの立場であっても、事故の権利利益を正当に守るためにも弁護士に依頼することを強くお勧めします。

その際は、交通事故を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

このコラムの監修者

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