交通事故=弁護士に依頼する、というイメージをお持ちの方はあまりいらっしゃらないかもしれません。しかし、実際はご相談のお声をたくさんいただいています。ここでは交通事故にあった後に、弁護士に相談するタイミングやメリット等をご紹介します。
目次
1 交通事故に遭ってしまったら、まずは早期に弁護士に相談しましょう。
⑴相談は事故後早めのタイミング
交通事故に遭ってしまって、弁護士に【依頼】をする方のタイミングや理由は本当に様々です。しかし【相談】のタイミングは早期がいいでしょう。交通事故に遭ったらその後の対処方法が非常に重要となります。警察を呼んで事故の状況を説明したり、病院に行ったりなど、多くのことをしなければならなくなります。そして一つのことを取りこぼすだけで後に取り返しのつかないことになることもあります。
特に、病院への通院は損害賠償を受けるにあたり、とても大事なポイントとなります。事故の直後に痛みがなかったから病院に行かなかった、仕事が忙しくて通院をやめてしまった、等で損害賠償の受け取る金額が大きく変わってくることもあります。
先ほど述べましたが、弁護士に【依頼】するタイミングは各々で異なります。タイミングには以下の5つのシーンが考えられます。
①事故の直後 ②入通院中 ③治療終了後の後遺障害等級申請前 ④後遺障害等級認定結果後 ⑤示談交渉 |
があります。
③、④については後遺障害等級申請を行う、行わないは怪我の後遺症の残存具合や治療期間等にもよりますので、人それぞれですが、主だって考えられる依頼のタイミングは以上の5つでしょう。しかし【相談】については早期に行うことをお勧めします。交通事故は法律の話が絡んできます。また、相手になる保険会社は「交通事故のプロ」です。交通事故に遭った方のほとんどは初めてのことで何が正しくて、自分にとっていいことなのかは判断がしづらいと思います。
こちらを読んでくださっている方が現在どの時期にいらっしゃるかはわかりませんが、「あの時相談しておけばよかったのかな?」と悩む前にまずはできる限り相談は事故後早めのタイミングで行いましょう。
2 弁護士の費用はどうなるのでしょうか?まずは弁護士費用特約を探しましょう。
⑴自動車保険、火災保険の特約
「弁護士に相談をしたくても、弁護士の費用が高そうでなかなか電話ができない。」とお電話の相談を迷われている方は、まずはご自身の保険に【弁護士費用特約】が付いているかを確認しましょう。【弁護士費用特約】は弁護士費用を保険会社が代わりに支払ってくれるというものになります。使用をしても等級が下がらず、保険料もほとんどの場合は上がらずに、多くの保険会社は1事故1人につき法律相談料10万円、弁護士費用300万円を補償範囲としていることが多いです。
また、被害者本人の自動車保険だけでなく、ご家族の自動車保険にこの特約が付いている場合は使用できる可能性がありますし、バイク保険にも特約としてついていることがあります。他に自動車保険以外にも火災保険、クレジットカードや医療保険、などについておることもあり、使えることもありますのでご自身の加入されているありとあらゆる保険を確認すると良いでしょう。
⑵確認のポイント
この弁護士費用補償特約は【被害者】であることを念頭にしておりますので、被害者側に大きな過失がある場合は使えないこともあります。例えば、被害者が無免許運転や麻薬、飲酒運転など、正常な状態で運転できないときや、自殺行為や犯罪行為があげられます。被害者側の過失の割合によっては使用できないこともあります。また業務中であるか否かでも使用できるかどうかが替わるケースもありますので、そういったことも含めて事故の詳細を説明し、使用可能かどうかを確認してください。
⑶使える対象者
使用対象者についてですが、誰が利用できるのか、特に自動車保険の契約者以外の方であっても交通事故に遭った場合、利用できることがありますので保険会社に必ず確認をしてください。多くの場合は被保険者本人、その配偶者、同居の家族・親族、そして別居している未婚の子です。
例えば被害者本人は自動車保険には入っていませんが、同居の両親が自動車保険に入っており、弁護士費用特約を付けていたとします。その場合は、被害者の方が弁護士費用特約を使える可能性が非常に高いです。保険会社や保険の契約内容によって異なることもありますので一概には言えませんが、確認をすることが非常に大事です。
また、使用対象者の中に「契約車両に乗っていた人・契約車両所有者」も入ります。この契約車両に乗っていた人は、親族だけでなく知人でも使用可能です。所有者については、事故に遭ったのが契約車両の場合は補償の対象となります。
使える事故の対象場合は自動車の方だけではなく、自転車や歩行者、バスやタクシーに乗っている時にも使用できることもありますので、一度問い合わせをしてみましょう。
補足ですが、弁護士費用特約を付けると年間の保険料が上がります。ただ、上がるといっても保険会社にもよりますが、年間1,500円ほどです。いつ事故の被害者になってもおかしくはありませんので、つけていることをおすすめします。
残念ながら弁護士費用特約がなかった方に関してですが、そうだった場合でも必ず弁護士に一度は相談をしましょう。今は相談料や着手金が無料の法律事務所も増えています。特約がないから依頼ができないとあきらめるのではなく、まずは相談です。弁護士費用を差し引いても、自分で示談するよりもしっかりと賠償を得られるケースもあります。
参考:交通事故時の被害者による弁護士特約の使い方を解説します。
3 弁護士相談したときのメリットとは?
弁護士に依頼した時のメリットについてですが、依頼するタイミングでも異なりますが、主だって6つあります。
⑴保険会社との交渉 ⑵治療の打ち切り ⑶賠償金額の増額 ⑷後遺障害認定についてアドバイス ⑸相手の示談金提示額が適正かどうか判断 ⑹相手の保険会社が主張する過失割合に納得できない、など |
⑴保険会社との交渉
まず、保険会社との交渉を被害者に代わって弁護士が行います。事故の直後から、被害者には保険会社から様々な電話がかかってきます。保険会社は交通事故のプロです。日々多くの事故について対応・処理を行っています。
それに対して被害者は多くの方が人生で初めての事故です。「この書類を出してください」「車の修理はどうしますか」「事故の内容を確認するため調査をさせてもらっていいですか」「あなたの過失の割合は○パーセントです」等々、被害者は何が自分にとっていいのかどうかがほとんどわからない状態で判断しながら事故の処理を進めていかなければいけません。弁護士に依頼をすればそういった保険会社とのやりとりも代わりに行ってくれますので、自分にとって有利なように弁護士が進めてくれます。
また、残念ながら保険会社の方の中には被害者に対して心無い対応をする方もいらっしゃいます。「なぜ被害者なのにこんな言われ方をされなければいけないの?」と精神的なストレスを抱える方も少なくありません。ですが、弁護士に依頼をすれば、保険会社からの連絡は無くなりますので、安心して治療に専念ができます。
⑵治療の打ち切り
次に治療の打ち切りについてです。被害者が弁護士にご相談いただいたタイミングでまだ入通院中の場合は、相手保険会社からの治療費の打ち切りについて弁護士が延長交渉してくれます。
交通事故で怪我をして入院・通院をする際、基本的に治療費は加害者側の保険会社が支払います。支払う期間の理想は「怪我が完治(治ゆ)をするまで」ですが、実際は事故の程度や治り具合等を保険会社が確認し、完治がまだであったとしても治療費は支払わない=治療費の打ち切りを伝えてきます。そうなると被害者本人で自ら治療費の延長交渉をすることは非常に難しいです。相手は「交通事故のプロ」なのですから「交通事故はこういうものです。」と言われてしまうと納得せざるえない状況に被害者が陥ることもあります。
しかし弁護士が入ると、治療の継続をする必要性や相手の打ち切りの根拠を確認し、保険会社へ治療の延長交渉をすることが可能です。また、損害賠償を適正な金額で受け取るためには通院の内容も非常に大切なポイントになりますので、弁護士は適切な通院の仕方、診察の受け方もアドバイスします。
⑶賠償金額の増額
金額面でも大きなメリットがあります。弁護士に相談、依頼をすると最終的な損害賠償金額が大幅にアップするケースが多くあります。
慰謝料の算定基準には自賠責基準、任意保険基準、裁判所基準(弁護士基準ともいいます)の3つの基準があります。基本的には自賠責基準が最も低く、裁判所基準が最も高い基準です。保険会社はできる限り、自社から出るお金を低く抑えたいので、被害者に示談提示をするときは自賠責基準か、もしくは少しだけ高い任意保険基準で提示してきます。
なお、被害者本人で保険会社との示談交渉時は裁判所基準を適用してもらうことは、たとえ多少の知識があったとしても難しいです。しかし、弁護士に依頼をすると、裁判所基準を適用して交渉が可能となり、損害賠償金額の大幅な増額の可能性が生まれます。
⑷後遺障害認定についてアドバイス
残念ながら、被害者の怪我が完治をしなかった場合、後遺障害等級認定の申請を行う方が多いです。この後遺障害等級には1級~14級の等級があり、等級が認定された場合は等級に応じた、後遺障害の慰謝料および逸失利益を保険会社に請求することができます。
しかし、この後遺障害等級認定は非常に審査が厳しく【痛みが残存している方必ず認定される】とは限りません。保険会社に言われるがまま資料を提出するだけでは、かなり厳しいと言えます。そもそも後遺障害等級認定申請方法には2通りあり、事前認定と被害者請求があります。
事前認定は、相手の保険会社が申請手続きを行います。保険会社はできるだけ支払いを少なくしたいと考えています。その中で申請を保険会社に任せることは、被害者に不利な書面を付けて申請していないか等非常に不安が残ります。対して、被害者請求は、被害者本人側が申請を行いますので、手続きにおいて不透明はないので安心して申請が行えます。ただし、申請自体は被害者一人でもできたとしても【その内容が被害者にとって有利なのか】はわかりません。
後遺障害の審査は医学的判断をされるものですので、医学的知識があることが望ましいです。そういったときに弁護士の中でも交通事故に慣れている弁護士であれば、後遺障害の手続きにも慣れており、医学的知識があるだけでなく、どういった内容の診断書であれば不利に判断されてしまうかどうかもわかりますので、後遺障害認定についてのアドバイスが可能です。
⑸相手の示談金提示額が適正かどうか判断
治療も終わり、後遺障害の申請も終了したタイミングで、まだ弁護士に依頼されていない場合は保険会社側から示談金が提示されます。この金額が適正かどうかの判断も弁護士に相談すればわかります。保険会社は何度も述べたようにできる限り金額を払いたくありません。よって被害者が気付かないことをいいことに非常に低い金額で提示してくることがあります。
実際にあった例ですと、主婦Aさんが事故にあい、4か月の治療を終え、保険会社から示談金を提示された際に、主婦の休業損害が0円とされていました。Aさんは保険会社に確認をしましたが「兼業主婦なので払いません。」と回答されました。Aさんは納得いかず、このタイミングで弁護士に相談をし、弁護士は示談金提示額が適正かどうか判断し交渉に入りました。結果「主婦としての休業損害」が認定され、大幅に損害賠償金が増額しました。
こういったケースのように提示額、内容が適正かどうか判断できることも弁護士に依頼する大きなメリットです。
⑹相手の保険会社が主張する過失割合に納得できない、など
最後に過失の問題です。相手の保険会社が主張する過失割合に納得できない場合も弁護士に相談をしましょう。過失の割合は基本的に決めるのは保険会社です。保険会社が必ずしも適切な過失割合を提示してくるとは限りません。過失割合は最終的に受けとる損害賠償額にも大きく影響するため、争いがある場合、納得ができない場合は必ず弁護士に相談をしましょう。
4 まとめ
弁護士に相談するタイミング、並びに相談した時のメリットについてご紹介をしましたが、まずは早期に相談することを一番としましょう。すぐに依頼した方がいいのかどうかは、弁護士が被害者の方の状況を考えて提案してくれます。まずは相談することを一番に考え行動しましょう。
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