交通事故 交通事故基礎知識 弁護士相談
2020.06.26 2024.08.09

交通事故で相談中の弁護士変更は可能なのでしょうか?

交通事故で相談中の弁護士変更は可能なのでしょうか?

交通事故で弁護士に依頼した時、事故の内容、怪我の程度、そして相談のタイミング等で大きく異なりますが、示談成立まで時間を要することが一般的です。

そのような中で弁護士に不満がある時や、弁護士が何らかの理由で弁護活動ができなくなった時に、弁護士を変更することは可能なのでしょうか?ここでは弁護士変更の可否についてご説明をいたします。 

1 依頼中の弁護の対応が気になります。

交通事故の被害者で弁護士に依頼をしてみたけれど、弁護士に不安や不満があり、弁護士を変えたい、という方が最近増えてきています。

どういった不安や不満を、被害者は弁護士に感じているのかをまとめてみました。 

⑴交通事故示談交渉の経験値が少ない

交通事故に詳しくない弁護士は、交通事故の示談交渉の経験値が少ないです。

示談交渉は、どういった内容で加害者側の保険会社の主張に反論をするのか、法的根拠をどう示すのかが非常に重要となりますが、経験値が少ない弁護士はそういったスキルが低いことが多いです。

結果、示談交渉の際に有利に話を進めることができず、保険会社に対して強く交渉に出られないことがあります。 

⑵不安要素が多い

交通事故に詳しい弁護士であれば、被害者からの質問には、わかりやすく、明確に答えをくれるだけでなく、被害者にとって有益な選択肢を導いてくれます。

しかし、詳しくない弁護士だと、説明がわかりづらく、また被害者からの質問にも明確な答えをくれません。

時には被害者の話を聞かずに自分の意見を押し付けてくる弁護士もいます。

そういった不安要素が多い弁護士に、大事な賠償請求を任せられません。 

⑶連絡が密に取れない

交通事故に詳しい弁護士であっても、連絡が取りづらい弁護士であると被害者にとっては不安が募ります。

例えば、メールで質問をしてもなかなか回答が返ってこない、折り返しの連絡がない、などの対応が重なると、被害者には、自身の交通事故がどのように保険会社と話が進んでいるのか、望んでいる内容で進んでいるのかもわかりません。

進捗の報告がない、連絡が密にとれないことはかなりのストレス要因になります。 

参考:交通事故で弁護士から連絡がない場合どうすればよいのか知りたい。

⑷報酬が明らかでない

交通事故の弁護士費用の報酬は、示談金額から差し引かれることがほとんどです。

示談額はそれぞれ案件によって異なりますので、多くの弁護士は最初から金額を定めているか、ある一定の基準を設けはしますが、あとは示談額に応じて変更するという報酬体系にしています。

しかし、中には高額な弁護士費用を設定していたり、まったく報酬に支払う金額がわからなかったりといった場合もあります。

示談額は示談成立までは被害者にはわかりません。

それに加えて、弁護士の報酬が高額である、報酬が明らかでないとなると被害者の方は、弁護士の費用が本当に支払えるのかどうか、と不安になります。 

2 弁護士変更をしたいのですが、可能でしょうか?

⑴変更の可否

まず、弁護士の変更が可能かどうかですが、結論から言うと、弁護士は依頼者の意思で変更が可能です。

民法第651条には、「委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる」と定められています。

よって、依頼者は委任した弁護士を解約することが可能です。 

⑵変更の申し出のタイミング

変更の申し出のタイミングについては、特に決まりはありません。

ただし、弁護士によっては、申し出のタイミングで、支払う金額が変わるケースもありますので、契約書の内容をしっかり確認しましょう。

この件は後ほど詳しくご案内を致します。

ここで、弁護士変更のおおまかな流れについてご説明を致します。

「弁護士を変えたい!」と思ったら、まずは「現状依頼している弁護士を【解任する前】に新しい弁護士を探すこと」がポイントです。

解任してから探す、となると、探している間に保険会社からの連絡が入り、交渉をしなければいけない場合があります。

また、次に相談する弁護士が、今依頼している弁護士より良い保証はありません。

検討を慎重に行うためにも、弁護士を見極めていきましょう。

では、いざ新しい弁護士に依頼することを決めたら、現状依頼している弁護士へ解任の連絡をしましょう。

そして、新しい弁護士との引き継ぎを行ってもらいます。

基本的には弁護士間で引き継ぎは行いますが、最初に双方の連絡先を伝えたり、前任の弁護士から資料をすべて受け取り、新しい後任の弁護士へ渡したりと、依頼者が行うこともあります。

なお、弁護士が解任したことに腹を立て、依頼者や新しい弁護士に資料を渡さない、進捗・業務の内容を報告しないということは通常はありえませんので、ご安心ください。

また、仮に万が一そうなったとしても、新しい弁護士が基本は対応をしてくれます。 

3 弁護士変更できないケースはありますか?

弁護士変更できないケースは民間の法律事務所では基本的にはありません。

示談や訴訟の最中であっても基本的には変えることが可能です。

しかし、法テラスや交通事故紛争処理センターで紹介された弁護士については原則変更不可です。

なお、法テラスとは、経済的に弁護士費用の支払いが困難な方に、無料相談を実施してくれます。

さらに、弁護士費用等については一度立て替えてくれて、返済は分割支払いで対応してくれる機関です。

一方で、交通事故紛争処理センターは、嘱託された弁護士が常時在中し、被害者の法律相談や、被害者と加害者側の保険会社双方の話を聞き、公正・中立な立場で、和解あっせんや審査業務を行う機関です。

こちらは費用が無料です。

両機関共に費用面では被害者の負担は少ないのですが、先ほど述べたように弁護士の変更はできません。

これは、両機関共に、被害者救済を迅速に行うことを目的としていていますので、依頼者都合での変更は受け付けていないからです。

どうしても変更を希望する場合は、有料の弁護士に依頼することとなります。

また、弁護士を変更する時に注意しなければいけないポイントがいくつかあります。 

⑴着手金は返ってきません。

弁護士に示談交渉等を依頼し、委任契約を締結すると、基本的には着手金が発生します。

この着手金は、一度支払うと基本的には返ってきません。

その為、新しい弁護士へ着手金も支払いをしなければいけませんので、費用が2倍はかかります。

弁護士事務所によっては着手金無料としているところも多くありますので、そういった事務所を中心に新しい弁護士を探してみるとよいでしょう。

また、解任する際の解約料を必要とする弁護士もいますので、契約書の費用面については、事前にしっかり確認しましょう。 

⑵報酬金も請求されるケースがあります。

交通事故の場合、費用は「完全成功報酬型」としている弁護士事務所が多いです。

この場合、途中で解任をすれば、成功ではないから費用を払わなくていいと考えている方もいらっしゃいますが、解任までの費用は請求されることが一般的です。

民法第648条3項において、「委任が受任者の責めに帰することができない事由によって履行の中途で終了したときは、受任者は、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる」と定められています。

よって、完全成功報酬型でも費用は発生するとお考えください。

基本的には交通費や宿泊費、郵送などの文書費等である「実費」が主となりますが、変更申し出のタイミングによっては、弁護士報酬を支払うことが契約書に記載されていることもあります。

たとえば、契約から解約までが1か月以内の場合は実費のみ、1か月以上経っている場合は事案の進捗に応じて、別途報酬を請求しますという内容です。 

⑶書類はすべて受け取りましょう。

前任の弁護士からは、それまでに取り寄せた書類はすべて受け取りましょう。

新しい弁護士がスムーズに案件を対応するには必要となります。

よって、漏れがないように受け取るようにしましょう。

前任の弁護士に言いづらいのであれば、弁護士間で書類の受け渡しを行うことも可能ですので、新しい弁護士に相談してみましょう。 

4 変更後はどうすればいいのでしょうか?

⑴保険会社に連絡

弁護士特約(弁護士費用を、加入している保険会社が支払う、自動車保険についている特約の一種)を利用せずに弁護士に依頼をしている方は、変更後は何もしなくても問題ありません。

注意をしなければいけないのは、弁護士特約を利用して弁護士に依頼をしている方です。必ず、保険会社へ「事前に」連絡をしましょう。

弁護士特約は「1事故につき1人、法律相談料10万円まで、弁護士費用300万円まで」としている保険会社がほとんどです。

賠償額が大きいと、弁護士費用も高くなりますので、大きな事故や、重い後遺障害が残ってしまった場合などは300万円を超えるケースもあります。

次に、弁護士特約は「1事故につき」となっていますので、新しい弁護士の費用が限度額をオーバーするケースもあります。

そうなると、そのオーバー分はご自身の示談金から支払わなければいけなくなります。

弁護士を変更する際は必ず事前に、保険会社へ、弁護士特約の補償内で新しい弁護士を対応してもらえるかを確認するようにいたしましょう。

弁護士の変更後は、被害者の方は、特に何もすることはなく、また新しい弁護士にすべてまかせましょう。 

5 まとめ

弁護士を変えたとしても、事態が変わらないこともあるため、弁護士を変更するということは依頼者である被害者にとっては、不安な要素が大きいかと思います。

しかし、もしも不満が残ったまま示談してしまった場合、その後いくら新しい弁護士にお願いをしても、示談してしまった内容は、覆りません。

依頼者と弁護士は信頼関係が非常に重要です。

安心してすべてを任せられるということが大事ですので、弁護士を信頼できないのであれば、遠慮なく変更を検討すべきでしょう。

まずは、他の弁護士に相談をしてみることをおすすめします。

このコラムの監修者

カテゴリ一覧

アクセスランキング

新着記事

CONTACTお問い合わせ

ご相談など、お気軽に
お問い合わせください。

電話アイコンお電話でのお問い合わせ

06-4394-7790受付時間:8:30〜19:00(土日祝日も可)

メールアイコンwebフォームよりお問い合わせ