交通事故に遭った時、被害者は加害者の保険会社と示談まで話を進めていきます。そのまま何事もなく進めばいいのですが、実際は保険会社の対応が悪く、被害者だけでは手に負えなくなることが多いです。結果、被害者は精神的なストレスを抱えてしまい、保険会社と話をしたくないから、という理由で示談に応じてしまうこともあります。それでは被害者が正当な損害賠償を受け取れないこととなります。
そうなる前に、交通事故のトラブルは、法律の専門家である弁護士にまず相談をするべきです。ただ、弁護士も多くいる為、どの弁護士に相談すべきかわからないかと思います。ここでは、交通事故で相談する弁護士の選び方についてご紹介を致します。
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目次
1 弁護士に相談をする第一歩。弁護士の探し方。
⑴探し方
まずは相談する弁護士を探しましょう。主な探し方は以下です。
①ホームページ、ポータルサイトなど
検索サイトで、自分が困っていることを入力してみましょう。例えば【交通事故示談弁護士】といったワードです。そうすると、こういったコラム記事の他、多数の法律事務所のホームページが出てきますので、そこを見てみましょう。
また、弁護士や交通事故のポータルサイトも確認してみましょう。交通事故のポータルサイトの多くは、交通事故に強い弁護士を地域ごとにまとめてくれていますので、お住まいの地域で検索をしてみましょう。
②本
弁護士の中には、自分が得意としている分野の法律問題に関する本を出している人もいます。交通事故を得意とする弁護士も、同じように交通事故に関する書籍を出していたり、論文発表をしていたりすることもありますので、参考にしてみるのも一つです。
③弁護士紹介センターの紹介
各都道府県の弁護士会では、弁護士紹介を行っています。無料の法律相談も行っていますので、現状を伝えて、弁護士を紹介してもらえるよう相談をしてみることも一つです。ただし、弁護士が選べないなどのリスクがあります。近隣に弁護士がいない、どこに相談すればいいかわからない方は利用をしてみましょう。
他にも、法テラス(正式名称:日本司法支援センター)でも法律相談、紹介を受けることができます。法テラスで紹介してもらう弁護士に依頼をするか、法テラスと契約をしている弁護士事務所に相談するかの2通りの方法があります。前者は弁護士を選べませんのでご注意ください。
④知人の紹介
親族や知人の知り合いで弁護士がいるのであれば、その弁護士に相談するのも一つです。知り合いの紹介というだけで、安心、信頼感も他よりは高いかと思います。
ただ、注意点は2つです。1つは紹介された弁護士が必ずしも交通事故トラブルの経験があるとは限らないです。もう1つは、依頼した後に、不満や不安を抱えて、他の弁護士に依頼したいと思っても、紹介という手前、なかなか言い出しづらいということもあります。
紹介だから大丈夫だろう、とすぐに依頼するのではなく、慌てずに、交通事故について経験があるのかどうか、実績はどうなのかを確認して進めていきましょう。
⑵事故後、相談、依頼のタイミング
交通事故の後、弁護士に相談するタイミングですが、早ければ早いほど被害者にとってはプラスに働きます。では、相談はなぜ早期がいいのでしょうか?交通事故は法律の話が基本となります。
また、交渉の相手となる保険会社は「交通事故のプロ」です。交渉をするための知識や経験は豊富です。それに対して、ほとんどの被害者は交通事故に遭うのは初めてで、法律だけでなく、交通事故の知識等もありません。そのため、保険会社からの提案が妥当なのかどうか、自分にとっていいことなのかどうか、そういった判断がしづらいです。
交通事故は1つ手順を間違えるだけで、大きな損失に繋がることがあります。治療の受け方、相手保険とのやり取りにより、本来受け取れるはずだった示談金が減額になることもあります。そうならないためにも、弁護士への相談は早期に行うことをおすすめします。
弁護士に【依頼】をするタイミングは、弁護士と被害者で、被害者の状況等を加味して協議しますので、一概には言えません。目安のタイミングには①事故の直後、②入通院中、③治療終了後の後遺障害等級申請前、④後遺障害等級認定結果後、⑤示談交渉があります。③、④については後遺障害等級申請を行う、行わないで変わります。人それぞれですが、主だって考えられる依頼のタイミングは以上の5つでしょう。
2 弁護士費用特約の有無を確認しましょう。
⑴自動車保険の確認
被害者の中には、弁護士に依頼をしたくても、弁護士の費用がどれくらいかかるかが心配で、相談をすることも悩まれているという方は多いかと思います。そのような方は、まずご自身の自動車保険に【弁護士費用特約】が付いているかどうかを確認しましょう。
この弁護士費用特約は、弁護士の費用を加入している保険会社が被害者の代わりに支払ってくれるというものです。使用することで保険料が上がったり、等級が下がったりはしません。1つの事故1人につき、法律相談料は10万円まで、弁護士の報酬金含む実務費用は300万円まで、補償するという保険会社が多いです。
弁護士費用特約の補償対象は広く、契約している本人だけでなく、契約者の配偶者、同居の家族、別居の未婚の子どもも対象となります。また、契約車両に乗っている時だけでなく、タクシーやバスに乗っている時、徒歩、自転車の時の事故でも使用できることもありますので、保険会社に一度問い合わせてみましょう。
また、被害者本人が弁護士費用を付けていなかったとしても、ご家族が加入していれば使える可能性はありますので、その点も併せて確認することが大切です。
また、弁護士費用特約は、自動車保険だけでなく、火災保険やクレジットカードの保険にもついていることがありますので、まずはありとあらゆる保険関係をお調べし、各保険会社へ相談することをおすすめします。
3 弁護士を選ぶポイントはどういったところでしょうか?
被害者の方が弁護士に依頼をする時、選ぶポイントは4つです。
⑴交渉経験
交通事故問題に強い弁護士は、交渉経験も豊富です。交通事故の示談交渉において、最終的に被害者にとって有利な結果にするには、弁護士の粘り強い対応が必須です。相手が譲らないから、こちらが譲ります、という弱腰では被害者にとって満足いく結果にはなりません。
また、治療の延長交渉においては、弁護士は法的根拠や医学的知識を持ってあたります。専門知識が乏しい場合、保険会社に対して的確な反論もできなくなります。ホームページなどに掲載されている情報から、どういった交渉によって、どのような結果を得られているのかを確認してみましょう。
⑵解決事例
ホームページなどに掲載されている、交通事故の解決事例を見てみましょう。交通事故の問題に強いか否かの判断材料になります。交通事故に強い弁護士の場合、解決実績が比較的に高いのと同時に、解決事例も豊富です。自分と同じような事故を解決している実績があるのか否か、どのような事例を扱ってきたのか、そういった部分も依頼するかどうかの判断基準になります。
特に、後遺障害の等級認定の申請を考えている方は、後遺障害の解決事例も確認しておくとよいでしょう。後遺障害は専門的な手続きです。弁護士自身の医学的知識も要求されます。過去、どのような怪我の方が、何級が認定されているのか、そういった部分も見るのもおすすめします。
⑶対応の雰囲気
実際に弁護士に相談した時の、反応・対応は非常に重要です。被害者の質問に的確に、かつわかりやすく答えてくれるかは非常に重要です。交通事故の経験が豊富な弁護士は、質問の回答だけでなく、解決までの道筋や被害者の現状から請求できるもの、できないもの、リスク等をしっかり説明してくれます。
一方で、経験が乏しい弁護士は、質問をごまかしたり、説明がわかりにくかったりする傾向があります。そうなると、自分の意思がうまく伝わらず、納得のいかない結果になってしまう恐れがあります。
また、交通事故に限ったことではありませんが、威圧的で、被害者の言葉を聞かず、自分の考えを押し付けてくる弁護士もやめておきましょう。相手が保険会社から弁護士に代わっただけで、被害者の精神的ストレスの軽減は見込めません。必ず、自分の話を聞いてくれるか、きっちりと対応してくれるか、等対応時の雰囲気は確認しましょう。
⑷相談者の声
解決事例と一緒に、実際に相談をした人のお声を掲載している法律事務所もあります。相談者がどういった経緯で相談をし、示談に至ったのか、その示談の結果への満足度も併せて見ておきましょう。
4 まとめ
被害者にとって、満足のできる結果を得るためには、弁護士選びは非常に重要です。選ぶポイントもご紹介をさせていただきましたが、大事なことは、その弁護士と【信頼関係を築けるか】です。被害者である依頼者と弁護士に信頼関係がなければ、被害者もどのように交渉が進んでいくのか、適正な金額を得ることができるのか、と不安な気持ちとなるでしょう。まずは弁護士に相談をしてみましょう。そして、自分が信頼できると思った弁護士に依頼をすることをおすすめします。
なお、当事務所では、数多くの交通事故問題を取り扱っております。交通事故問題におけるトラブルやお悩み、ご質問等は是非一度、大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。
このコラムの監修者
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太田 泰規(大阪弁護士会所属) 弁護士ドットコム登録
大阪の貝塚市出身。法律事務所ロイヤーズ・ハイのパートナー弁護士を務め、主に大阪エリア、堺、岸和田といった大阪の南エリアの弁護活動に注力。 過去、損害保険会社側の弁護士として数多くの交通事件に対応してきた経験から、保険会社との交渉に精通。 豊富な経験と実績で、数々の交通事故案件を解決に導く。