自転車の事故で最も多いものが【出合い頭の衝突】です。
これは、自転車事故の約半数を占めています。その原因が、安全不確認や一時不停止、信号無視といったいわゆる【飛び出し】です。ここでは自転車の飛び出し事故についてご説明をいたします。
目次
1 飛び出し事故に遭った場合、どうすればいいのか?
⑴事故直後に対応すべき流れ
交通事故に遭った時、当事者はパニック状態になることが多いです。特に飛び出し事故の場合、予想もしていなかったところから、歩行者や自転車が出てきますので、自動車側はどうすればいいのかわからなくなるでしょう。しかし、誤った対応をしてしまうと、取り返しのつかないことになります。まずは、事故直後は以下のことを順番に行いましょう。
①怪我人の救護
歩行者や自転車対自動車の場合、相手が転倒していたり、身体が車両にぶつかっていたりする可能性があります。必ず、怪我をしていないか確認をまずしてください。怪我をしている場合は、応急処置を行い、救急車を呼びましょう。
②危険を除去する
次に、第二の事故を防ぐために、車両は路肩に寄せて、発煙筒や三角表示板などで後続車に事故があったことを知らせてください。この車両は、自動車だけでなく、自転車も軽車両扱いですので、自転車も路肩に寄せましょう。
③警察に連絡をする
ここまで行った段階で、警察に連絡をします。警察に連絡をすることは義務です。これに違反した場合、3か月以下の懲役、または5万円以下の罰金となる可能性があります。
自転車と自動車の事故の場合、自動車の運転手が車内から出てこずに、外から怪我の確認をしたり、様子だけ見たりして、問題ないと判断をしたらそのまま立ち去ってしまうケースがあります。これは、救護義務違反として「ひき逃げ」となり、場合によっては非常に思い罰則を適用されます。必ず、上記の流れは守るようにしましょう。
2 自転車と車の衝突。飛び出し事故の場合、過失割合はどうなる?
⑴事故現場別の過失割合
事故の過失割合は事故の現場の状況で大きく左右されます。特に飛び出し事故の場合、信号の有無や、一時停止線の有無、また相手の年齢も、影響があります。基本的には歩行者や自転車は、「交通弱者」の扱いになるため、自動車側の過失が大きくなる傾向がほとんどです。
しかし、歩行者や自転車が、明らかに交通ルールに違反をしている場合は、歩行者や自転車側に過失が認められることもありますが、交通弱者との過失割合の争いは、非常に厳しい現状があります。
以下は【飛び出し事故の過失割合】において、影響がある要件です。
①子どもの自転車飛び出し
子どもの場合は、通常よりも自動車側の注意義務の度合いが高くなる傾向にあります。子どもについては、事故を避ける能力が大人に比べて低いという事情があり、責任能力が低いと判断されます。
なお、物事の善し悪しの判断能力(事理弁識能力)が被害者の子供にあったかどうかが大きなポイントとなり、これは道路交通法上、年齢で分けられています。最終的には、成長速度や物事の理解度も加味されますが、基本的には、5歳未満と5歳~6歳以上で分けられると考えてください。
・5歳未満(幼児)5歳未満となると、歩き始めてまだまもなく、言葉もしっかりと話せていない子どもがほとんどです。そんな子どもに責任を問うことは難しく、事理弁識能力の有無を問われることはあまりありません。この場合は、子どもを飛び出し事故が発生しうる場所で1人にした親の責任が問われることが一般的です。
・5歳か6歳以上(児童)過去の裁判例から、5歳か6歳以上の場合は事理弁識能力があると判断されています。その為、状況にもよりますが、子ども側にも10~20%といった一定の過失が認められます。
ただし、幼児や児童は【子供である】という修正要素が働き、同様の内容で被害者が大人である事故に比べると、おおよそ5~20%程度は過失割合が低くなります。
②横断歩道上での飛び出し事故
基本的には横断歩道上において、歩行者と自動車の過失割合は0:100とされています。しかし、必ずしも自動車側に100%の過失があるというわけではありません。事故の発生状況は個々で異なることから、場合によっては歩行者側にも責任がある場合もあります。
③交差点にて、自動車の進行方向と飛び出し事故の関係性
交差点において、自動車の進行方向に関しても、過失割合に大きく影響をします。つまり、直進か右折か、それとも左折か、それだけで自動車側の過失が変わってきます。例を上げると、【右折車は直進車の進行を妨害してはならない】とあります。歩行者も自動車も、双方が青信号で交差点に進入をした時に、自動車が右折をしたとします。そうなると、先ほどの考えのもと、右折車には過失が大きいとされ、基本的には80%の過失が認められてしまいます。
⑤信号機がない場所とある場所での飛び出し事故
信号機の有無は非常に大きいです。例えば、歩行者側が青、自動車側が赤だった場合は、歩行者0:自動車100と非常にわかりやすいです。しかし、仮にこれが、逆の場合、つまり歩行者側が赤、自動車側が青の場合は、歩行者70:自動車30という過失割合になります。これは、信号無視をして飛び出した歩行者側に責任が大きいとされるからです。
また、信号機もなく、横断歩道もない交差点となると、歩行者側に10~30%の過失が出るケースがあります。
⑵一時停止義務違反による自転車の飛び出し事故
では、【自転車】の飛び出し事故の場合は、どうなるのでしょうか?自転車は、交通弱者であることから、自転車の飛び出し事故においては、歩行者と同じく過失割合は基本的には低くなります。しかし、自転車の飛び出しが原因で交通事故が起きた場合においては、自転車の過失割合は、基本の割合から、10%程度は加算される可能性があります。例えば、先ほど、信号機のある場所で、歩行者が赤信号、自動車が青信号の場合は、70:30とご説明をいたしましたが、自転車の場合は、80:20となります。
また、自転車側に一時停止義務違反がある場合は、一定の過失をとられることがあります。例えば、信号のない交差点にて、自転車側に一時停止線があったにも関わらず、停止せずに自動車と接触した場合は、自転車40%、自動車60%となります。他にも一方通行違反をしていた場合や、自動車が優先道路を走行していた場合も、自転車の過失割合は高くなる傾向があります。
3 弁護士に相談をしてみましょう!
飛び出し事故に限らず、交通事故において、スムーズに示談がまとまる方は多くはありません。特に以下の場合は、当事者本人で交渉をするには限界がありますので、弁護士に相談をしてみましょう。
⑴保険会社に未加入の場合
多くの人は、自動車の任意保険に加入をしています。割合でいうと、9割が任意保険に加入しているといわれています。しかし、残りの1割の人が自賠責保険のみに加入しているか、もしくは自賠責保険すら入っていない場合となります。そういった人が事故の当事者、しかも加害者側となった場合、被害者は損害賠償を加害者の自賠責保険か、ないしは加害者本人へ請求することとなります。自賠責保険に請求する場合、必要書類を取り付けたり、作成したりと、被害者側に負担があると同時に、自賠責保険では補償が十分ではありません。また、加害者本人へ請求する場合、保険へ全く加入していない=経済的に余裕がない人が多く、適正な金額を受け取ることができない可能性が非常に高いです。
⑵過失割合に対する不満がある場合
歩行者や自転車が飛び出して来た交通事故の場合、自動車の運転手は最細心の注意を払っていたとしても、過失が大きくなることが多く、納得いかない場合もあるかと思います。過失割合は、最終的な損害賠償金にも大きく影響しますので、適正な過失割合を確認することが非常に重要です。しかし、過失割合は交通事故の類型ごとに過失は決められているとはいえ、様々な修正要素(過失の割合を調整する加算要素や減算要素)があります。専門的知識もある程度必要となるため、事故の当事者自身で適正な過失割合を導き出し、相手と交渉することは非常に厳しいです。
以上のことから、こういった場合は弁護士に相談することを考えてみましょう。
4 弁護士費用特約について確認してみましょう。
⑴加入保険の特約確認
「弁護士に相談をしたい!」となっても心配になるのが、弁護士の費用です。ここで、確認をしていただきたいのは、ご自身の加入している保険に「弁護士費用特約」が付いているか否かです。この弁護士費用特約は、弁護士にかかる費用を加入している保険会社が、支払うという特約となります。各保険会社で内容は多少異なりますが、1事故1人につき、法律相談料10万円、弁護士依頼関係費用が300万円までしている保険会社が多いです。
この弁護士費用特約ですが、自動車保険の他に、火災保険やクレジットカードの保険、医療保険等についていることもあります。自動車保険に付いていなかった場合は、ありとあらゆる保険を調べられることをおすすめします。
⑵確認のポイント
弁護士費用特約は使用者が「被害者」であることを想定しています。よって、過失割合が大きい場合は、使用ができない可能性があります。また、被害者であっても、本人に重大な過失がある場合は使用ができない可能性が高いです。例えば、飲酒運転や薬物を使用しての運転、無免許運転などが挙げられます。
弁護士費用特約は弁護士に相談をする前に、利用可否を保険会社に事前に確認し、同意を得ることが必要です。その際に、事故の状況を必ず説明するようにいたしましょう。確認せずに、弁護士に相談し、結果使えないとなった場合、弁護士費用を本人が負担しなければいけないこととなります。なお、自動車事故だけでなく、歩行者や自転車、バイク、バス、タクシーに乗っている時にも使用できることがありますので、確認をしてみましょう。
⑶使える対象者
弁護士費用特約は、保険の契約者だけでなく、その配偶者や同居の親族、子ども、または別居の未婚の子どもも使用ができます。つまり、被害者本人が弁護士費用特約に入っていなかったとしても、同居の両親が自動車保険に入っており、弁護士費用特約を付けていた場合は、使用できる可能性が非常に高いです。また、使用対象者には、契約車両に乗っていた人や契約車両所有者も該当に入ります。契約車両に乗っていた友人・知人も基本的には契約可能です。所有者については、事故に遭ったのが、契約車両の場合である時に補償の対象者となります。
5 自転車の事故のご相談は、大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイへ。
自転車と自動車の交通事故の場合、過失の割合が争点になることは少なくはありません。過失に納得がいかない場合は、必ず弁護士に相談するようにしましょう。知らないまま、示談をしてしまっては取り返しがつきません。
上記でご説明をしたように、過失割合は1つの要素で大きく変わることもあります。弁護士費用特約がない方も、今は無料相談をしている法律事務所も多くありますので、まずは弁護士に相談をしてみましょう。
自転車の交通事故にてお困りの方は、大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。