交通事故 交通事故基礎知識 示談
2020.07.28 2024.05.31

交通事故後の示談書にひな形はある?

交通事故後の示談書にひな形はある?

交通事故が発生いた場合、被害者は加害者へ損害賠償金を請求します。この損害賠償金、いわゆる示談金の金額含む細かな内容は、加害者本人か、もしくは加害者の加入している任意保険会社と話し合いの上で決定します。

この一連の流れを示談交渉といいます。示談が成立となった段階で、示談書を作成します。ここではこの【示談書】についてご説明をさせていただきます。

関連記事:交通事故後の示談書はいつ届くのか知りたい!

1 示談書とは

⑴意味

示談書とは、主に民事上の紛争を被害者と加害者の間で取り決めた解決方法を記載した文書のことをいいます。交通事故の場合は、損害賠償金の具体的な金額について書かれており、後日、当事者間の間で【言った・言わない問題】等のトラブルが起こらないようにするために書面として残します。

⑵作成のタイミング

交通事故における、一般的な示談の流れは、被害者の怪我が完治し治療が終了した時、もしくは怪我が治らず、障害が残存してしまった場合は後遺障害等級申請の結果が出た後に、示談交渉が開始となります。加害者が任意保険に入っている場合は、保険会社より被害者へ示談案が提示され、双方が内容に合意した段階で、示談書の作成がなされます。保険会社が介入している場合は保険会社が作成することがほとんどです。当事者間で示談をする場合は、どちらが作成をしてもかまいません。

⑶取り交わしの流れ

当事者間で示談の金額や内容、条件に合意が取れましたら、示談書を締結することとなります。示談書は誤りがあってはなりませんので、多くの場合は【示談書(案)】といったものを作成し、作成した側が相手に確認をしてもらいます。

問題がなければ、双方の間で書面内容に合意がとれていることとなりますので、示談書を作成した側が同じ書面2枚に署名・捺印をして、2枚とも相手に送ります。示談書を受領した側は、同じく署名・捺印を2枚ともに必ず行い、1枚を作成者側に返送します。つまり同じものをそれぞれ1枚ずつ双方が保管することとなります。これにて、示談が成立となります。

示談書には必ず当事者双方の署名・捺印が必要となります。

2 示談書のひな形

⑴ひな形の有無

示談書には決まった形式がありません。書面に必要項目が記載されており、双方の署名・捺印があれば示談書として成り立ちます。示談は一度取り交わすと、基本的には内容について取り消すことができません。示談書に不備がないようにするために、作成時や署名・捺印をする際は必要項目については念入りに確認することが非常に重要です。

⑵探し方

先ほど、示談書に決まった形式はないと述べましたが、最近では各保険会社や書式ダウンロードサイトで、示談書のひな形が無料で手に入ります。

自分作成をすることになった場合は、そのまま活用するか、参考資料にして作成をしてみましょう。決まった形式はありませんが、ポイントはどの保険会社やサイトでも同じです。

必要事項に漏れがないように作成をしましょう。

3 示談書の記載ポイント

では、示談書の記載ポイントはどういったものでしょうか?押さえておくべきポイントは6つです。

⑴加害者と被害者の氏名・住所と捺印
⑵事故の詳細
⑶示談条件
⑷示談金の支払いが遅れたときの取り決め
⑸精算条項
⑹後遺障害が発生したときの留保事項

⑴加害者と被害者の氏名・住所と捺印

交通事故の当事者である、加害者および被害者の氏名は必須です。氏名だけでなく、住所も明記をする場合は、誤りが起こりやすいので作成時は注意しましょう。

住所は交通事故証明書に記載されていますが、事故から日数が経過している場合、引っ越している可能性もありますので、必ず作成者は相手の住所を確認するようにするとよいでしょう。

また、これとは別に、当事者が署名・住所を記し、捺印ができる欄を設けることが必要です。

⑵事故の詳細

交通事故の発生や場所、並びにどのような事故状況での事故だったのかを明記しましょう。事故状況については、正確に記載することが重要となります。他に、事故を起こした車がわかるように、車両登録番号(ナンバー)と車両の所有者も載せてください。

⑶示談条件

示談条件とは、示談の金額や支払い方法、支払いの期日を記載します。誤りがあっては決していけない個所となりますので、作成時は細心の注意を払うようにしてください。些細なミス(例えば金額の0が一つ足りなかったり、支払い期日を誤った日付を設定してしまったりなど)が取り返しのつかない事態を招くことがあります。

なお、示談の金額については総額を記載するだけでなく、治療費や通院交通費など【示談が成立する前にすでに支払われた金額】と【これから支払われる金額】を記載するようにしましょう。特に後者は、【休業損害○円、通院交通費○円、慰謝料〇円】といったように項目ごとも記載すると良いでしょう。

支払い方法については、銀行名、支店名、種類、口座番号、口座名義(読み方付き)で記載しましょう。また、振込手数料は加害者側が負担することも一文付け加えておけば安心です。

⑷示談金の支払いが遅れたときの取り決め

残念ながら、示談金の支払い期日を過ぎる場合は少なくありません。特に保険会社の入っていない、当事者間の示談の場合はさらにその確率は上がります。交通事故の場合、示談金が高額であることが多く、加害者は分割で支払うこともあります。

そうなると、一括で支払う約束よりもさらに守られない可能性が高いです。こういった場合を想定して、事前に示談書には、【支払いが滞った時の遅延損害金】、つまり違約金を記載しておきます。なお、もし本当に支払いが滞った場合は、請求を督促するために弁護士に依頼することも可能性としてはありえます。

先ほども述べましたが、必ず正確な氏名、住所は把握しましょう。

⑸清算条項

清算条項とは、示談書の取り決めた内容以外で、当事者間で金銭等を互いに請求しないことを決めたことを指します。清算条項は入れることで、示談後のトラブルを防ぐ役目となります。具体的な例をあげると「本件の交通事故について、これ以降に発生した金銭などには一切互いに請求しません」といった一文です。事故に関わる交渉はこれで終わりにしましょうと書面上でもしっかり残すこととなります。

⑹後遺障害が発生したときの留保事項

示談が成立した後に、怪我が悪化し、後遺症になるケースがあります。こういったケースは少なくありませんので、万が一に備えて後遺障害については、留保事項を記載するようにしましょう。例えば、「今後、本件事故が原因で後遺障害が発生した場合は別途協議し、補償する」といった内容の一文です。後遺障害は非常に重くなることもありますので、入れ忘れないようにし、また内容についても慎重に検討しましょう。

なお、保険会社が交渉相手の場合は、後遺障害等級認定も終えてから、結果踏まえて示談交渉開始をしますので、後遺障害の慰謝料等についても示談内容に含まれていることが多いです。その場合示談書には「今後、裁判内外問わず、後遺障害について何ら請求しない」といった趣旨の一文は入っています。

4 弁護士に依頼

⑴示談交渉

示談書の作成だけでなく、示談が成立するまでの示談交渉までを被害者本人で行うのは身体的にも精神的にも、かなりの負担となります。加害者側の保険会社の担当によって、被害者が鬱になったケースも1件や2件の話ではありません。

基本的に相手は通常よりも低い金額を提示してきます。相手からの示談案を受け取ったら、適正な金額かどうかを判断してもらうために、法律の専門家である弁護士に相談をしましょう。正式に依頼となり、弁護士を介入することとなれば、自身で示談交渉をすることなく、適正な金額を受け取る可能性が大幅に上がります。

⑵示談書の作成

被害者の中には、「示談書の作成だけ弁護士に依頼したい」という方もいます。弁護士に示談書の作成を依頼するメリットは、自身の手間が省けるだけでなく、示談書の内容を法律的観点から不備がないかどうかを細かに確認してくれます。

つまり、弁護士に依頼すると、後で問題が生じない示談書を作成することができます。また、被害者にとって有利な条件を追加するなど、アドバイスも弁護士は行ってくれます。

参考:交通事故後の示談書は弁護士にお願いできる?

5 適正な損害賠償金を受け取りたい方は、大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイへお問い合わせください。

示談書は、交通事故における損害賠償の最後の大事な手続き書面です。保険会社が作成した場合でも、必ず詳細まで確認をし、誤りがなければ署名・捺印をするようにしましょう。

もし、当事者間での示談交渉となり、被害者、加害者のどちらか作成する場合、少しでも不安に感じたら専門家である弁護士に頼ることをおすすめします

適正な損害賠償金を受け取るためにも、まずは一度、交通事故を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

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