交通事故 治療費 症状固定
2020.07.29 2024.05.28

症状固定は誰がいつ決めるのか?詳しく知りたい!

症状固定は誰がいつ決めるのか?詳しく知りたい!

交通事故に遭った際、怪我を負ってしまった場合、怪我が治るように病院へ治療・リハビリのため通院をします。しかし、残念ながら通院を続けても怪我が一向に治らない場合があります。その時に医師や保険会社から「そろそろ症状固定ですね。」と言われることがあります。症状固定とは一体何なのか?ここでは症状固定について一般的な基礎知識をご説明します。

1 症状固定の判断は誰がする?

⑴症状固定とは

症状固定とは、「これ以上治療を継続していても、症状が治癒すること、または改善することが見込めず、身体の不具合が将来に渡り残存する状態」をいいます。一般的に、怪我は治療を続ければ「完治する」ものと考えられており、交通事故で怪我に遭った方も、完治を目指して治療を続けます。しかしながら、残念ながら事故に遭う前の、痛みが全くない身体には戻らず、痛みが残存する場合や症状が良くなったり、悪くなったりと一進一退の状態となってしまう方も少なくありません。そういった状態を「症状固定」といいます。

⑵症状固定の判断は医師のみ

では、この症状固定は誰が判断するのでしょうか?

症状固定を決めるのは、基本的には「医師」です。医師が患者の症状経過や自覚症状、他覚所見等、ありとあらゆる面から判断します。よって、患者である被害者は医師へ症状をしっかりと伝えることが常日頃から重要となります。何故ならば、医師だけでなく、患者=被害者本人の意思も重要とされるからです。もちろん、症状固定と判断するのは医師ですが、痛みが残っているが改善されている傾向がある場合などは、本当に症状固定なのかどうかしっかりと医師と被害者で検討しましょう。

なお、保険会社の顧問医が症状固定であると意見を述べることもありますが、強い説得力があるのは患者を実際に診察している主治医と考えてよいでしょう。

2 症状固定時期はいつ?

⑴症状固定までの目安

症状固定の目安は、事故の規模や怪我の具合にも寄りますが、一般的に6ヶ月以上経っても症状に改善が見られない場合は、症状固定となることが多いです。ただし、本人の症状経過によっては、6か月以内で症状固定になることもありますし、年単位となる方もいます。

症状別のおおよその症状固定の時期を見てみましょう。

①むちうち

むちうちは、交通事故の怪我の中で多い症状の1つです。目に見えにくい症状のため、医学的に証明することが難しく、後遺障害等級認定では、通院の期間、日数、医師の診察記録による内容等が重視されるといわれます。後遺障害として認定を受けるには最低でも6か月は必要とされています。ただ、実際のむちうちの症状固定は3~6か月程度とされていることが多いです。

②骨折

骨折や変形障害、短縮障害等、通常、症状固定まで6か月とかからないこともありますが、長期化することも少なくはありません。例えば、骨折部位を手術し、プレートやスクリューを入れた場合、それを除去する手術があります。そうなると、除去後の状況によっては、可動域制限が出て、リハビリ期間が必要となるケースもあります。また、骨癒合後に神経症状が出た場合は、回復の見込みが無いと判断される頃合いで症状固定とされます。3か月~2年ほどと、かなり幅広い期間が目安となります。

③醜状障害

6か月~2年以上とされていることが多いです。一般的には、傷が治ってから6か月以降とされていますが、レーザー治療にて痕跡を消すために、長期治療をするケースもあるため年単位での症状固定となることもあります。

④高次脳機能障害

高次脳機能障害は脳が損傷し、神経回路が傷ついた障害のことをいいます。この障害は症状が多岐に渡り、かつ最大の特徴の一つである「本人に自覚症状がない」という点から、発見が遅れることもあり、慎重に判断をしなければいけません。多少の回復が見込まれる障害でもありますので、短期間では固定となることはまずなく、1年以上は症状固定と判断されるまではかかります。平均すると事故から2年ほどが症状固定時期とされることが多いです。

⑵症状固定後の治療費

症状固定は痛みが残存しているということになりますので、被害者は固定後も通院を希望されていることが多いです。では、その際の治療費はどうすればいいのでしょうか?結論は「自己負担」、自費での治療となります。症状固定は「治療をしても改善しない」と判断されていることになりますので、保険会社からの治療費の支払いは無くなります。一度、症状固定となってから治療費が再度支払われることはありません。

自己負担なく、適切な期間で治療を受けるためには、症状固定時期は慎重に医師と相談しなければいけません。

3 症状固定と賠償期間の関係性

⑴症状固定を保険会社が催促

先ほど、症状固定は医師が決めると述べましたが、交通事故の多くの場合は、被害者は加害者側の保険会社より交通事故より間もない段階で、症状固定と言われます。実際に「事故からまだ2か月で痛みもあるのに、「そろそろ症状固定でいいですよね?」と保険会社に言われたけどどうすればいいでしょうか?」とむちうちの症状をもつ被害者より相談のご連絡をいただくことは少なくありません。これは、保険会社が過去の事例や医療記録を確認し、独自で判断して被害者に伝えています。保険会社は、早期に症状固定をし、被害者の治療費の支払いを打ち切りたいという考えがあります。

冒頭に述べた症状固定の意味は、医師がいう「医学的な症状固定」です。保険会社がいう症状固定は「法律的な症状固定」とされます。法律的な症状固定とは、治療期間は終了し、後遺障害等級認定の申請へ移行し、早期に問題を解決していきましょう、という【損害賠償上での症状固定】の意味です。

⑵症状固定と損害賠償

加害者側の保険会社が、症状固定を催促するのは、賠償期間を終了させることが目的です。

症状固定を受ける前の損害部分は【傷害部分】と言われます。この傷害部分は治療費や通院の交通費、入通院慰謝料、休業損害等があり、保険会社に請求が可能です。症状固定後は、【後遺障害部分】と言われます。これは、後遺障害等級認定を受け、等級が認定された場合は、逸失利益や後遺障害慰謝料を請求可能です。しかし、その一方で【傷害部分】は、損害賠償期間が終わることとなり、支払いは終了となります。つまり、症状固定は、【賠償上の傷害部分の支払い終了】を意味します。保険会社はできる限り自社が支払う金額を減らすために行動をしますので、結果、被害者に症状固定を催促し、できる限り賠償期間を短くするようにします。

4 症状固定についてお困りの方は、大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイへ

加害者側の保険会社から「症状固定と判断しましたので、治療費を打ち切ります。」、といったようなことを言われた場合は、医師に相談をしましょう。法律的な症状固定はあくまでも保険会社の考えであり、本来の症状固定は医師が判断するものです。しかし、一方で、医師の中には、症状固定と判断することに抵抗のある医師もいます。いつまでも症状固定がなされず、治療を受け続けていると、示談・賠償の話が進まないし、治療の必要性を問われて、最悪の場合、保険会社から反論を受け、治療費の支払い拒否や慰謝料の減額をされることもあります。

症状固定や治療費の打ち切りを保険会社に言われた場合は、すぐに弁護士に相談をすることをおすすめします。一度治療を打ち切られた場合、再度支払いを保険会社にしてもらうことは厳しいです。手遅れになる前に、適切な治療期間を受けたうえで、症状固定を行うためにも弁護士に相談をしましょう。

治療費の打ち切りを言われて困っている、症状固定と言われたが、その後どうすればいいかわからない、などといったお悩みはもちろん、治療についてお悩みの方は、交通事故を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

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