交通事故 弁護士相談 示談
2020.08.19 2024.06.13

交通事故の示談交渉にはどのくらいの期間がかかるのか知りたい!

交通事故の示談交渉にはどのくらいの期間がかかるのか知りたい!

交通事故に遭った場合、被害者の方は加害者側の保険会社と示談交渉を行います。

双方が示談内容に合意し、示談成立となったら、被害者の方は損害賠償金を受け取ることになり、交通事故問題は解決となります。

さて、示談については被害者の方からよくこのようなご質問をいただきます。

「示談交渉にはどのくらいの期間がかかるのでしょうか?」

「いつお金はもらえるのでしょうか?」

交通事故に遭われた方のほとんどが初めての経験です。

そのため、被害者の方は一体この問題はいつ解決するのか、いつお金をもらえるのか、とご不安に思われることが多いです。

ここでは、そういった「示談交渉の期間がどのくらいかかるのか?」といった被害者の方のご質問について、事案ごとにお答えしていきます。

関連記事:交通事故の示談が成立するまでにかかる日数を知りたい。

1 示談交渉が成立するまでの期間

どの事案でも共通していることは、示談交渉が開始されるのは「すべての損害が確定した時」です。

では、それはいつ確定と判断されるのか?

これは、事故の態様、当事者の損害内容によって異なりますので、以下でご説明させていただきます。

⑴物損事故の場合

①示談交渉開始時期

当事者の方に怪我がなく、物が壊れただけの事故の場合は、交通事故発生から約1ヶ月後に示談が開始されることが多いです。

始める前に双方の損害内容が確定していることが条件となります。

物損事故の場合の損害は、車両の修理費や、レンタカー代やレッカー費用等があり、この費用関係が算出されるまでにおよそ3週間~1か月はかかります。

特に修理費は、通常、相手の保険会社と修理工場で協定を行うため時間がかかります。

協定とは、保険会社と修理工場で修理内容について協議、調整をして、必要かつ適切と認められた修理の範囲を確定し、それにかかる費用について双方が合意する工程をいいます。合意後に修理作業が開始し、修理が終了後、他の損害と併せて示談交渉を開始します。

なお、当事者の事情により、修理をすぐに行えない場合は、修理見積りの内容で、修理前に示談交渉を開始することもあります。

②示談交渉から成立するまでの期間

示談交渉が開始してから示談成立までの期間は、物損事故は1か月程度を見ておくとよいでしょう。

修理も協定をしてから行いますので、示談交渉時に修理金額で揉めることは珍しいです。損害額も小さくなることが多いので、大きな争いにはなりづらく、長引くことはあまりありません。

しかし、修理歴や事故歴があることで事故車扱いとなり、車両価値が下がってしまったことによる損害、評価損(査定落ち、格落ち損害ともいいます)について争う時は長期化することが多いです。

⑵死亡事故の場合(人身事故)

被害者がお亡くなりになった場合の事故は、死亡事故と言われ、即死した場合だけでなく、事故後入院中や通院中に、交通事故の怪我が原因で死亡した場合もこれに分類されます。

①示談交渉開始時期

死亡事故の場合は、示談交渉の開始は少し時間を空けてからとなることが多いです。

本来の考え方であれば被害者が亡くなった時点で、通院は無くなりますので、比較的に早く損害の内容は確定をします。

しかし、被害者遺族の心情を考慮し、通常はすぐに行うことはしません。

もしも、葬儀後にすぐにそういった話をした場合には非常識とされ、示談交渉が難航する可能性が非常に高くなるからです。

目安としては、49日の法要の費用も損害額に含めて請求することから49日が済んだ頃合いから示談交渉は開始されます。

つまり、即死の場合は交通事故から約2か月後、治療を継続したもの死亡した場合は、死亡した日から約2か月後に示談交渉が開始となることが多いです。

ただし、ひき逃げや飲酒運転等加害者の悪質な運転行為にて被害者の方が亡くなった場合は、加害者の刑事処分について確定した後に、示談交渉が開始される場合もあります。

②示談交渉が成立するまでの期間

死亡事故の場合、示談交渉は被害者ではなく、遺族の相続人の方が行うため、長引きます。

相続人が複数人にいる場合は、全員の同意がない限り、示談はできません。そのため一般的に時間がかかります。

また、被害者の遺族の方は、加害者に対しての怒り、許せないという感情があるため、示談交渉が進まないことが多いです。

さらに、損害賠償金も非常に高額になるケースが多いため、交渉自体に時間がかかるため、弁護士が介入した場合であっても、非常に早い場合で1~2か月程ですが、大半は半年以上かかります。

⑶傷害事故の場合(人身事故)

①示談交渉開始時期

怪我を負ってしまった場合の事故は、怪我が「完治(治癒)」もしくは「症状固定(これ以上治療を継続しても良くも悪くもならない、傷害が身体に残存する状態)」となった時が交渉を始める目安の時期とされます。

完治、症状固定と判断された場合、それ以降の治療費等の損害賠償金は、保険会社に支払う義務はないため、被害者の損害賠償期間が確定となります。

具体的に損害賠償の内容、金額が確定し、示談交渉が開始できる時期は、完治、症状固定から約1か月後が目安とされています。

多くの場合、治療が終了した翌月に、保険会社には病院から最終の治療費の請求書が届きます。

保険会社はその内容が妥当な請求であるのかを確認し、問題なければ支払いをします。支払いが済むと、損害が確定となりますので、示談交渉が開始となります。よって、約1か月後が目安と見ていただくと良いでしょう。

②示談交渉が成立するまでの期間

傷害事故は、特に争点がなければ、1~2か月ほどの交渉期間で示談が成立することが多いです。

しかし、慰謝料や休業損害について等、争点がある場合は、3ヶ月以上かかる可能性は大いにありえます。

傷害事故の損害賠償金は、物損事故に比べると非常に高額です。

そういった事情から、保険会社はできる限り支払う金額が少なくなるよう、算定基準の中でも一番低い基準である自賠責保険基準か、もしくは各保険会社で独自に計算基準を定めている任意保険基準で計算をします。

その結果、示談提示額が低くなりますので、結果被害者は不満感、不信感を募らせ、示談交渉が難航することは少なくないです。

2 示談成立に時間が長くかかるケース

⑴人身事故の場合

治療期間が長時間かかる場合、損害が確定しない為、示談交渉は開始することはできません。

治療に長期間かかると、示談交渉の開始ができない為、その分示談の交渉期間も先延ばしとなり、示談成立も先になります。

被害者の方が負った怪我の内容によっては、治療期間に1年~2年ほど要することもあります。この場合、早期に示談をしなければいけないと考えるのではなく、被害者の方は治療に専念することが大切です。

⑵過失割合に争いがある場合

示談交渉が長引く代表例の1つに、過失割合の争いがあります。

過失割合とは、発生した交通事故に対する、被害者、加害者の双方のそれぞれの責任のことです。

被害者の過失割合が大きくなれば、加害者から受け取る損害賠償金が減りますし、加害者の過失割合が大きくなれば、被害者へ支払う損害賠償金が増えますので、双方ともに過失の割合は小さくあることを望みます。

そして、過失割合は、事故の現場、状況によって大きく変化することがあります。

基本的には過去の裁判例を基に、その事故の状況を踏まえて修正を加えながら決定します。しかしながら、事故状況について被害者、加害者で主張が食い違うことは少なくありません。

そうなると、調査が必要となります。交通事故の現場に行き現場検証をすることもありますし、監視カメラを管理会社に貸し出しを依頼することや、目撃者の証言集めをすることもあります。ドライブレコーダーがあれば、その動画で検討することも1つの方法です。

弁護士に依頼をした場合は、警察が作成する実況見分調書を取り寄せることもあります。

ただ、このような各種の調査や交渉、書類取り寄せをしていると、示談交渉は非常に長引きます。

先ほど比較的に早期に解決するとご説明をした、物損事故であっても、過失割合に争いがあれば、示談成立までに数か月かかりますし、裁判になることもあり得ます。

⑶後遺障害等級認定する場合

交通事故で被害者の方が怪我をして、完治せずに症状固定となった際、多くの場合は後遺障害の等級認定の申請を行います。

第三者機関の調査の結果、後遺障害の等級認定が下りた際は、傷害慰謝料とは別に、後遺障害の慰謝料と逸失利益(本来怪我をしなければ得られたはずの将来的な経済的利益)を相手の保険会社に請求が可能となります。

その金額は、後遺障害の等級1級から14級で異なり、認定された等級に応じて支払われます。

そのため、後遺障害の等級認定をするケースでは、被害者の後遺障害の等級が確定した時が、被害者の損害の確定の段階となり、示談交渉が開始できる状態となります。

なお、痛みが残っていたとしても、等級に申請をし、何らかの等級が認定されなければ、相手の保険会社に請求はできません。

この等級の申請から審査の結果が出るまでにはおよそ1~3か月程かかります。

さらに、認定結果が出ても、その内容に納得がいかない場合、被害者は異議申し立てをすることが可能です。

しかし、この異議申し立てには、調査結果をひっくり返すだけの新たな医学的根拠の資料や検査結果等が必要となるため、弁護士に依頼する方も多いです。

弁護士に依頼するとなると、弁護士を探し、相談し、弁護士が決まれば、各種の資料の取り寄せがありますので、時間はかなり必要となります。

後遺障害の手続きを行うとすると、資料集めや準備さらに調査期間を入れると、1年が経過することは少なくありません。

また、認定された等級によっては損害賠償金も非常に高額になることから示談交渉は最低でも1~3ヶ月、ケースによっては半年以上かかることもあります。

3 示談成立を急ぐと損するケース

交通事故の被害者の方の中には、早く終わらせてしまいたい、示談を急ぎたいとする方もいらっしゃいます。理由は様々ですが、示談交渉を急いでしまうと、被害者の方にとって不利になることもありますので注意が必要です。

以下2つが注意ポイントなります。

⑴必要な治療を受けない
⑵後遺障害等級認定してしてもらわない

⑴必要な治療を受けない

治療期間を早く終わらせて、示談交渉開始を希望する被害者の方がいますが、これはおすすめができません。

この場合、治療期間を削ることになりますので、デメリットが身体面でも賠償面でも予想されます。

まず身体面でいうと、必要な治療を受けないことで怪我が悪化することもあり、そのまま体に障害が残るケースもあります。

たとえ悪化した段階で示談が成立していなかったとしても、一度治療の終了を了承した場合、保険会社からの治療費の支払い再開は非常に難しいです。

何故ならば、治療を一度終了しているということは、治療の必要性がなくなったと判断されますし、また、交通事故との因果性も問われることになるからです。

賠償面でいうと、入通院の慰謝料が減ります。

基本的に交通事故の傷害慰謝料は、入院、通院の期間(または日数)で計算されます。

そのため、入通院の期間が長ければ高額になり、短ければ低額となります。

治療を途中でやめるということはその分通院の慰謝料は減ることとなり、示談金は下がることとなります。

⑵後遺障害等級認定してもらわない

治療を途中でやめることで、後遺障害の等級認定を受けられなくなる可能性が非常に高くなります。

後遺障害は、継続的な治療の末に、症状固定となった場合に、後遺症について等級の認定を行うこととなります。

そのため、治療を途中でやめてしまうと、医師は交通事故による後遺症と判断することが難しくなる可能性が高くなります。そうすると、申請時に必要である、主治医が作成する「後遺障害診断書」の作成ができなくなることもありえます。

後遺障害の等級申請を行えないとなると、たとえ大きな症状が身体に残っていたとしても、後遺障害の慰謝料も逸失利益の請求もすることができず、被害者の受け取る損害賠償金は大幅に減ることになります。

このように、治療を途中でやめてしまうことは被害者にとって身体面、賠償面でのデメリットが大きいため、おすすめできません。

痛みがあるのであれば、治療は最後まで継続することが大事です。

4 示談交渉を弁護士に依頼するとどうなるか?

⑴示談成立までの期間が短くなる

弁護士に依頼すると、示談成立までの期間が短くなると言われています。

これには2つの理由があります。

①効率的な示談交渉が可能になる

1つ目は、弁護士は保険会社が妥協するポイント、交渉により引き上げられる示談金のおよその限度額を把握しているため、無駄な工程を省き、最初から効率的な示談交渉を行うことができます。

②不当な主張をされることが少なくなる

2つ目は、保険会社側も弁護士が入ることで、被害者本人に行う交通事故知識がないことに付け込むような手法は使わなくなるため、不当な主張をすることも少なくなります。

よって、書面での数回のやり取り、電話での交渉で示談交渉はまとまることが多く、被害者の方が示談交渉をするよりも大幅に示談期間が短縮することとなります。

⑵弁護士に依頼するメリット

示談交渉期間が短くなること以外にも、弁護士に依頼をするは以下のメリットがあります。

①損害賠償金の総額が増える

保険会社は、自社から支払う金額をできる限り抑えることを軸に行動をします。そのため、被害者本人が交渉相手の場合、低い金額で提示をすることが基本です。

しかし、弁護士が介入すると、最も適正な算定基準といわれる裁判所基準で計算を行うため、それだけでも増額の可能性が大幅に上がります。

また、弁護士が介入すると裁判の可能性も出てくるため、保険会社はできる限り示談交渉で終わらせたいと考え、大幅に損害賠償金を上げてくる傾向もあります。

②示談交渉だけでなく、その他の手続きも一任できる

交通事故の被害に遭った後も、被害者の方は治療だけでなく、保険会社との日々のやりとり、書類の作成、提出などを、日常生活を送りながら行わなければなりません。

事故から示談成立まで、長期化すればするほど、被害者の方にとってはかなりストレスになります。

弁護士に依頼をすれば、そういった日々の保険会社とのやりとりや書類の作成、提出も代わりに行ってくれますので被害者は治療に専念し、日常生活の負担も軽減することになります。

③心理的な安心感を得ることができる。

残念ながら、保険会社の中には、高圧的な対応をして、被害者の方に精神的なストレスを与える担当者もいます。

弁護士に依頼をしたいと希望される方のきっかけは、「保険会社と話すのが苦痛で、もう話したくない」という理由が多いです。

弁護士に依頼することで、保険会社とやり取りをしなくて済むという安心感と、プロに任せている安心感を得られることとなります。

5 示談交渉でお困りの方は、大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイへ

示談交渉の期間を中心にご説明をさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか?

交通事故の示談交渉を進めると、被害者の方は心理的も非常に苦しい思いをされるケースが多いです。

病院や職場も、必ずしも被害者の方の状況を理解してくれるとは限りません。

そういった苦しい期間が長く続くことに耐えかねて、不当な金額のまま、示談交渉を早く終わらせてしまう方も中にはいらっしゃいます。

そのような理由で、被害者の方が適正な損害賠償金を得ることができない事態はあってはなりません。

「示談するまでどれくらいの期間がかかるかわらからなくて不安…」

保険会社と上手く示談交渉ができる自信がない…」

そういった示談交渉について少しでもお困りの方は、交通事故問題を多く取り扱う、大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

このコラムの監修者

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