交通事故 慰謝料
2020.09.01 2024.05.27

赤本による交通事故の慰謝料がどのくらいか知りたい!

赤本による交通事故の慰謝料がどのくらいか知りたい!

交通事故の被害に遭った時、加害者へ損害賠償を請求するにあたり、重要となるのが「計算方法」です。

この時に1つ物差しとなるのが、「赤本(赤い本)」です。赤本には、慰謝料をはじめ様々な損害賠償の金額について、裁判所での基準が示されています。

ここでは、その赤本で計算された交通事故の慰謝料について、ご説明をさせて頂きます。

1 赤本とは

赤本の正式名称は「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」といい、編集・発行は公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部が行っています。

表紙が赤いので、「赤本」や「赤い本」と呼ばれています。

⑴慰謝料の3つの基準

交通事故の損害賠償金を計算する際、自賠責保険基準、任意保険基準、裁判所基準(弁護士基準)といった3つの基準があります。

裁判所基準は、裁判所が損害賠償金を算出する際に使用する基準です。また、加害者側の任意の保険会社と示談交渉の段階で、弁護士が介入した場合でも、この裁判所基準を弁護士は使用して交渉を行います。

赤本にはこの裁判所基準での計算方法が解説されています。

⑵弁護士基準の特徴

自賠責保険基準、任意保険基準に比べて裁判所基準は最も高額な基準となります。

自賠責保険基準は、強制保険である自賠責保険で使用されている基準です。その自賠責保険は、より多くの被害者の、迅速かつ公平な救済を目的としています。

そのため、支払い限度額が定められており、3つの算定基準の中で、最も低額な基準です。

任意保険基準は、各保険会社が定めている独自の計算方法です。そのため、詳しい計算方法等は明示されていませんが、多くの場合が自賠責保険基準と同等か、少し高い金額で算出されます。

対する裁判所基準ですが、慰謝料を計算する際に使用をすると、この2つの基準の2~3倍になるケースもあります。

裁判所基準は「最も適正な損害賠償金を算出する」基準と考えられており、損害賠償金を相手に請求する場合は、この基準を使用することが被害者の方にとっては最も適正だといえるでしょう。

しかし、この基準は保険会社との示談交渉段階では「弁護士に委任」をしなければ使用ができません。

厳密に言うと、被害者本人で交渉をする場合でも、知識があり計算ができるのであれば、使用は可能です。しかし、この裁判所基準には法的拘束力はありません。

そのため、被害者本人が裁判所基準で請求をしても、相手の保険会社が対応する可能性はほぼ0といっても過言ではありません。

裁判所基準で請求するには、弁護士に委任するか、裁判を起こすかの手段となります。

2 赤本による慰謝料の相場

それでは、ここで実際に赤本に記載されている裁判所基準での慰謝料の相場、計算方法についてご説明をさせていただきます。

⑴入通院慰謝料相場

以下の表は、赤本に記載されている入通院慰謝料を計算する際に使用するものです。

2つの表がありますが、別表Ⅰは「通常の怪我」の場合に使用し、別表Ⅱは、他覚所見がみられない、むちうちや軽い打撲や挫創の場合に使用されます。

別表Ⅰ 通常の怪我に使用

万円

(単位)

入院1ヶ月2ヶ月3ヶ月4ヶ月5ヶ月6ヶ月7ヶ月8ヶ月
通院 53101145184217244266284
1ヶ月2877122162199228252274291
2ヶ月5298139177210236260281297
3ヶ月73115154188218244267287302
4ヶ月90130165196226251273292306
5ヶ月105141173204233257278296310
6ヶ月116149181211239262282300314
7ヶ月124157188217244266286304316
8ヶ月132164194222248270290306318

別表Ⅱ 他覚所見のないむちうちや軽い打撲・挫創等に使用

万円

(単位)

入院1ヶ月2ヶ月3ヶ月4ヶ月5ヶ月6ヶ月7ヶ月8ヶ月
通院 356692116135152165176
1ヶ月195283106128145160171182
2ヶ月366997118138153166177186
3ヶ月5383109128146159172181190
4ヶ月6795119136152165176185192
5ヶ月79105127142158169180187193
6ヶ月89113133148162173182188194
7ヶ月97119139152166174183189195
8ヶ月103125143156168175184190196

表の見方は簡単です。

たとえば、通常の怪我で通院が2か月で終了した場合は52万円となります。

また、同じく通常の怪我で、入院が3か月、通院が4か月の場合は、交わるところを見ますので、196万円となります。

しかし、多くの場合、2か月ピッタリや3ヶ月ピッタリで終わりません。

端数の場合はどのように計算するのかをご説明いたします。

端数の計算方法は、赤本では明記はされていません。

赤本で示されているのは、先ほどの表だけであり、端数がある場合は目分で適切な金額を選ぶこととなります。

しかし、目安だとしても示談交渉や裁判の場合は明確な数字が必要となります。

ここでは、1つの方法である日割り計算についてご紹介をいたします。

なお、この日割り計算は必ずしも正しい方法ではないと指摘されてもいますので、あくまでも参考までに留めていていただければと思います。

(例1)通常の怪我、入院なし、通院2か月と20日の場合

通常の怪我ですので、使用するのは別表Ⅰです。

・通院2ヶ月のみ:52万円
・通院3ヶ月のみ:73万円

3ヶ月目の30日間は、73万円から2ヶ月分の52万円を差し引いた「21万円」と考えます。

次に、この21万円の日割り計算をし、20日間の入通院慰謝料を算出します。

21万円÷30日×20日=14万円

これに、当初の2か月分の入通慰謝料52万円の基準額を加算することで、通院2か月と20日の入通院慰謝料が算出できます。

52万円+14万円=66万円

(例2)通常の怪我、入院1ヶ月20日、通院4ヶ月5日の場合

例1と同じく通常の怪我の為、使用するのは別表Ⅰです。

・入院1ヶ月:53万円
・入院2ヶ月:101万円
・通院5ヶ月:105万円
・通院6ヶ月:116万円

①入院1ヶ月20日の入院慰謝料

まずは、入院1ヶ月分を超過した20日間の入院慰謝料を算出します。

2ヶ月目の30日間は、101万円から1ヶ月分の53万円を差し引いた「48万円」と考えます。

次に、この48万円の日割り計算をします。

48万円÷30日×20日=32万円

つまり、入院1ヶ月20日の入院慰謝料は以下となります。

53万円+32万円=85万円

②通院4ヶ月5日の通院慰謝料

次に入院当初から、通院終了までの通算5ヶ月25日(175日)分の通算の通院慰謝料額を日割りで算出します。

(116万円‐105万円)×25日/30日=9万1,666円
105万円+9万1,666円=114万1,666円

次に、入院期間中の50日分の通院慰謝料額を日割り計算します。

(52万円‐28万円)×20日/30日=16万円
28万円+16万円=44万円

最後に、175日分の通院慰謝料から入院50日分の通院慰謝料を差し引き、通院4ヶ月5日の通院慰謝料を算出します。

114万1,666円-44万円=70万1,666円

①と②をトータルすると、通常の怪我での入院1ヶ月20日、通院4ヶ月5日の場合が算出されます。

入院1ヶ月20日の入院慰謝料85万円+通院4ヶ月5日の通院慰謝料70万1,666円=155万1,666円

⑵後遺障害慰謝料の相場

治療を続けても怪我が完全に治らず、これ以上治療を続けても改善も悪化もしない状態を「症状固定」といいます。

症状固定と診断され、後遺障害等級認定の申請をし、1級~14級の等級のいずれかの等級が認定された場合、入通院慰謝料とは別に「後遺障害慰謝料」が請求可能となります。

赤本の裁判所基準では以下の通りで定められています。

後遺障害等級

赤本基準

1級

2,800万円

2級

2,370万円

3級

1,990万円

4級

1,670万円

5級

1,400万円

6級

1,180万円

7級

1,000万円

8級

830万円

9級

690万円

10級

550万円

11級

420万円

12級

290万円

13級

180万円

14級

110万円

例えば、追突事故の被害に遭い、むちうち症となり、後遺障害等級14級が認定された場合は、110万円の後遺障害慰謝料が相場となります。

ちなみに、自賠責保険基準の場合、後遺障害14級の後遺障害慰謝料は32万円とされております。これだけでも、いかに裁判所基準が高額であるかはご判断頂けるかと思います。

⑶死亡慰謝料の相場

交通事故の被害者の方がお亡くなりになった場合、死亡慰謝料というものが請求できます。

赤本においての死亡慰謝料は以下の内容で記載されています。

被害者の家族での役割

一家の大黒柱2,800万円
母親・配偶者2,500万円
その他(独身者、未成年者)2,000万円~2,500万円

なお、遺族(相続人)の方も被害者本人の慰謝料とは別途の慰謝料が請求可能です。

3 慰謝料増額のご相談は、大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイへ

赤本による慰謝料についてご説明をさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか?

先ほどもお伝えしたように、この赤本に記載のある裁判所基準を、被害者本人が使用し、裁判所基準の慰謝料を請求するには、裁判を起こすしかありません。

裁判までは起こしたくない、示談交渉の場で解決をしたい、と被害者の方が自身で示談交渉をした場合、相手の保険会社は、自賠責保険基準か任意保険基準で算出します。

結果、適正な慰謝料での示談ができない可能性が非常に高くなります。

しかし、弁護士に依頼をすれば、示談交渉の段階でも裁判所基準にて交渉が可能です。

なぜならば、弁護士は裁判も見越して保険会社へ提案をします。

保険会社も弁護士がついた以上、裁判所基準で応じなければならないとなります。

「相手から提示された慰謝料に納得がいかない…」

「これは適正な金額なのだろうか…?」

そんな疑問を持ったまま示談に応じることはおすすめできません。

慰謝料増額、適正な慰謝料については、交通事故を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにぜひ一度ご相談ください。

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