交通事故 弁護士相談
2020.10.05 2024.04.25

交通事故で弁護士に頼むべきか知りたい

交通事故で弁護士に頼むべきか知りたい

交通事故の被害に遭われた多くの方が、保険会社との対応や、弁護士に依頼をすることなど、初めての経験をされます。

その中で、弁護士については、頼むべきなのかどうかも判断に悩まれる方は少なくありません。

また、どのような弁護士に頼むべきなのかわかりかねるでしょう。

ここでは、被害者の方が弁護士に頼んだ場合のメリット、デメリットを中心にご説明をいたします。弁護士に頼むべきかどうかお悩みの方のお助けになればと思います。

弁護士に頼むメリット

弁護士に依頼することによるメリットはいくつかあります。

たとえば、被害者の方の精神的な負担軽減です。

 

依頼された弁護士は、被害者の方の代理人として、相手の保険会社の普段の対応をはじめ、示談交渉や後遺障害についての手続きなど、すべてを任せることが可能となります。

弁護士に依頼をしないままだと、保険会社から連絡が頻繁にあり、慣れない専門的用語も使用するやりとりが示談成立まで続きます。これは被害者の方へ思っている以上の精神的な負担をかけます。

 

しかし、弁護士へ依頼後は、弁護士と定期的な連絡をとり、示談成立を待つこととなります。交通事故後の精神的な負担をすべて弁護士に任せられることは非常に大きなメリットといえるでしょう。

 

さらに、被害者の方の金銭面についてのメリットでいうと、以下の3つとなります。

慰謝料が増額する

弁護士に依頼をすると、被害者の方本人で示談をするよりも、慰謝料が増額する可能性が非常に高いです。

その理由は、弁護士が使用する慰謝料の算定基準です。

まず、被害者の方が必ず知っておかなければならないのは、交通事故の慰謝料を算定の基準が3つあるということです。

最も低い基準を自賠責基準、次の基準を任意保険基準、最後に最も高い基準を裁判所(弁護士)基準といいます。

被害者の方本人が示談交渉をする際、保険会社は任意保険基準で提示することがほとんどです。

任意保険基準の計算方法等は各保険会社で独自に定められているため、明確な計算方法は開示されていませんが、過去のデータを基に、旧任意保険基準(現在は撤廃されています)を踏襲して算出されていると考えられます。

実際に被害者の方に提示される金額は自賠責保険基準より少し高い金額か、同等かであることが多く、裁判所基準よりもはるかに低額です。

弁護士に依頼をすれば、裁判所基準で示談交渉は進みます。この裁判所基準は過去の判例を基に算定された基準であり、【最も適正な損害賠償金】を算出できるといわれます。事案にも寄りますが、任意保険基準に比べて1.4倍ほど高い金額を算出することもあるため、被害者の方が受け取る損害賠償金は増額する可能性が上がります。

なお、被害者の方が、知識をつけ裁判所基準で計算を行うことは可能ではありますが、保険会社が応じることはほぼありません。

裁判所基準は法的拘束力がないからです。

しかし、弁護士が入ることで状況は変わります。

弁護士は、裁判所基準を使用し、保険会社と基本的に裁判外で示談交渉を続けます。そして、保険会社との示談交渉が難航した場合、訴訟を起こし、被害者の方が適正な金額を得ることができるよう努めます。

一方で、保険会社は、裁判になることをできるだけ避けたいと考えます。裁判になると、裁判所基準で算出された損害賠償金を支払うだけでなく、保険会社の代理人となる弁護士費用等がかかります。

保険会社は営利企業のためできる限り自社の出費を抑えたいと考えます。そのため、示談交渉の段階で終わらせたいという意向から、損害賠償金を裁判所基準で対応する可能性が高くなります。

つまり、弁護士に依頼をすることで、必然的に損害賠償金は増額する可能性が上がる仕組みになっているということです。

保険会社から「この金額が適正な金額です。」であったり、「これは非常に高い金額です。」と言われたりしても、鵜呑みにすることはせず、必ず提示されている金額が不当に低い金額ではないか、上がる可能性はないかを弁護士に相談するようにいたしましょう。

後遺障害等級認定を取ることができる

被害者の方の中には、治療を続けたにもかかわらず、怪我の後遺症が残る方もいらっしゃいます。

この場合、後遺症に対する損害賠償を請求することが可能となりますが、請求するためには、後遺障害等級の申請をし、後遺障害等級が認定される必要があります。

後遺障害等級には、後遺症の程度に応じて1~14級で分けられています。等級が認定されれば、その等級に応じた後遺障害慰謝料と逸失利益(後遺症により、労働能力が喪失、または低下したことで、将来得るはずだった利益の減少分)を請求できることとなります。

この後遺障害は1つ等級が異なるだけで金額が大きく異なります。そのため、後遺障害等級認定を取ることができるかどうかが、非常に重要になります。

 

後遺障害等級認定手続きの方法は2通りあります。1つは、相手の保険会社を通して行う「事前認定」、2つめは被害者の方本人で行う「被害者請求」といいます。

 

前者の方法は、資料集めの手間は省くことはできますが、申請を行う保険会社の担当は、医学的な知識を持っているとは限りませんし、手続きが不透明なため、適切な申請が行われているか不安が残ることも否定できません。保険会社によっては、保険会社の顧問医が作成した、後遺障害等級について不利な意見書を付けて申請してしまうことも考えられてしまいます。

 

しかし、弁護士に依頼をすることで、心配はなくなります。

 

まず、申請の手続きは被害者の方の代わりに弁護士が行います。その為、手間が省け、また100%味方である弁護士が行うという安心感があります。

 

また交通事故問題に慣れている、得意な弁護士であれば、医学的知識もあり、経験から後遺障害診断書の書き方も、どういった内容であれば認定されやすいか、逆に不利に働いてしまうのかを把握しています。 

後遺障害等級認定は、後遺症が残っていれば必ずしも認定されるというわけではありません。

少しでも後遺障害等級の認定される可能性を高めたいのであれば、交通事故問題に詳しい弁護士に相談することおすすめします。

弁護士特約を利用すれば費用負担がない

弁護士特約を使用すれば、弁護士費用負担なしで、損害賠償金を増額することができます。

まず、弁護士特約とは、交通事故トラブルを解決するために発生する弁護士の費用を、被害者の方が加入する保険会社が補償をするという特約です。

この特約は自動車保険についていることが多く、その他にも火災保険や医療保険、クレジットカードの保険等についていることもあります。

被害者の方はまず、弁護士に依頼をする前に、ありとあらゆる保険を確認することが大事です。

弁護士特約は使用することで等級が下がり、保険料が上がるということがありません。また、弁護士特約は使える範囲が広く、家族の方の車についている場合でも使用可能です。具体的には、被保険者以外に、被保険者の配偶者の方、同居の家族、別居で未婚のお子様、さらに、同乗していた友人にも使える場合があります。

つまり、弁護士特約を利用し、弁護士に依頼をすると、被害者の方は、弁護士費用について負担がないだけでなく、弁護士が裁判所基準で交渉したことにより増額した損害賠償金を、そのまま受け取ることが可能となります。

被害者の方が弁護士に依頼をすると、保険会社とのやりとりや手続き以外を代行してもらえるだけでなく、金銭的な面でも大きなメリットがあると言えます。

弁護士に頼むデメリット

次に弁護士に頼むデメリットですが、実はデメリットはそこまで多くありません。

金銭面で以下の2つを上げることができます。

費用がかかる

弁護士特約が無い方の場合、弁護士への依頼費用がかかります。

この費用は法律事務所によって料金体系が異なるため、決まった金額があるわけではありません。

弁護士費用の種類、またおおよその相場は以下の通りです。

・法律相談料

相談内容に対して、弁護士から解説やアドバイスをもらうことで発生する費用です。1時間5,000円~10,000円程度が平均相場。最近では、30分無料法律相談や、初回の法律相談料は完全無料の法律事務所も増えています。

・着手金

弁護士へ正式に依頼を確定する場合にかかる費用です。着手金は前払い金の性質があるため、最終的に被害者の方の希望に沿わない内容で示談をしたり、弁護士を解任したりしたとしても返金はされません。

相場の金額は10万円~20万円が多いですが、事案によります。事故の規模が大きかったり、怪我の程度が重かったり等、事案が複雑な場合、30万円以上となることがあります。なお、料金体系が、成功報酬制の法律事務所では、原則着手金は無料とされています。

・報酬金

示談が成立し、事案が終了した段階で弁護士の成果に応じて支払う費用です。一定額+回収した示談金の〇%分、としている法律事務所が多いです。

着手金がかかる法律事務所の場合は、15万円+示談金の15%が相場とされていることが多いです。次に、着手金無料、つまり成功報酬制の法律事務所では、20万円+示談金の10%が相場といわれます。

・日当、実費

他にも弁護士に依頼をすることで、日当・実費というものがかかります。

日当とは、事務所から弁護士が離れている間に費用が発生するとされています。交通費等とは別で、弁護士の拘束時間対しての費用で、たとえば、事務所所在地から遠方の裁判所に弁護士が出廷するときや、医師面談のために病院へ出向く等が該当します。

相場は案件にも寄りますが、半日拘束する場合は3~5万円程度、一日拘束する場合は5万円以上かかることもあり得ます

実費は、郵送料や資料を取り付ける際の手数料、弁護士の移動の際にかかる交通費等です。先に一定額を支払うか、弁護士が立て替えて、最終の報酬金時に精算することかのどちらかが多いです。金額によっては、発生する度に支払うこともあります。

このように弁護士に依頼をするとなると、費用面で被害者の方への負担が掛かってしまうことは避けることができません。

費用倒れになることもある

弁護士に依頼することで、被害者の方にとっては費用倒れになるケースもあります。

費用倒れの場合とは、弁護士に依頼し増額する損害賠償金の差額分よりも、弁護士費用が上回ってしまうケースです。

たとえば、被害者の方の過失割合が非常に大きい場合は、最終的な損害賠償金より、過失割合分を差し引きされてしまいますので、示談金の回収見込みが少ないと考えられ、費用倒れの場合が多いです。

また、軽微な事故のため、治療期間が短かったり、物の損害しかない、いわゆる物損事故だったりする場合は、損害賠償金が低い可能性が高く、同じく費用倒れとなるでしょう。

費用倒れが心配な方は、弁護士相談の際には必ず弁護士費用の件を確認しましょう。弁護士も費用倒れの恐れのある方の依頼を無理に受けることは致しません。

弁護士に頼むときの注意点

弁護士に頼むときは、デメリットの部分以外に、以下の点を注意しましょう。

保険会社に紹介された弁護士は避けたほうが良い

弁護士特約がある被害者の方が、弁護士特約を使用したい旨を保険会社に伝えたとき、「こちら(保険会社)が指定する弁護士に依頼をしてください。」と言われ、被害者の方が選んだ弁護士では使えないとする保険会社があります。

その結果、被害者の方の中には、紹介された弁護士の法律相談を受け、そのまま依頼をする方も少なくありません。

しかし、実際は「保険会社が指定する弁護士でなければ弁護士特約は使用できない」ということはありません。弁護士特約は基本、弁護士を自由に選ぶことが可能です。

保険会社が、自社で紹介する弁護士を使用して欲しい理由は、「被害者の方が受け取る示談金を減らしたい」という理由です。

保険会社は、加害者側、被害者側問わず、あくまでも「営利企業」です。

そのため、自社がいかに損をしないことを行動軸にしています。

たとえば、被害者の方が受け取る示談金が増えれば、その分、成功報酬として保険会社が支払う弁護士費用は高くなります。

しかし、自社が紹介する弁護士であれば、そういった保険会社の事情も把握しています。保険会社に紹介された弁護士は、100%被害者の方の味方ではありません。

確かに、弁護士は被害者の方の代理として、相手の保険会社と交渉をしますが、保険会社に紹介された弁護士は、「紹介した保険会社」の味方です。

その結果、被害者の方の治療を早く終わらせるよう促したり、示談内容も低い金額のまま適当にまとめてしまったりすることもあります。

料金体系を確認する

先ほど弁護士に依頼した場合のデメリットについて述べた際に、弁護士費用の内訳とおおよその相場をご紹介させていただきましたが、交通事故の場合、弁護士費用の料金体系は【成功報酬制】と【旧報酬規定】の2種類あります。

 

・成功報酬制の場合

成功報酬制とは、弁護士によって示談交渉が行い、示談成立となり、被害者である依頼者の方に利益が発生した場合、その結果に応じて弁護士の報酬金が支払われることとなります。

 

交通事故の場合、【法律相談料無料、着手金無料、報酬金20~30万円+示談金の10~20%】としている法律事務所が多いです。

 

報酬金は、示談金から精算されますので、弁護士特約が無い場合は、こちらの料金体系をとっている事務所を選ぶことをおすすめします。

 

・旧報酬規定の場合

そもそも弁護士費用については、日本弁護士連合会にて2003年までは、基準を設定されておりました。2004年以降にこの基準は廃止されており、現在は、【旧報酬規定】と呼ばれています。

 

現在は、弁護士が自由に法律相談料をはじめ、着手金や報酬金を決定しています。一方で、自由とはいえ、弁護士費用を設定する上で、旧報酬規定を踏襲している法律事務所は多くあります。

 

以下が旧報酬規定です。

経済的利益 相談料 着手金 報酬金
300万円以下 5,000円 8% 16%
300万円以上3000万円以下 5,000円 5%+9万円 10%+18万円
3000万円以上3億円以下 5,000円 3%+69万円 6%+138万円
3億円以上 5,000円 2%+369万円 4%+738万円

 

この経済的利益とは、各法律事務所で定義が違います。多くの場合は、示談金(治療費や休業損害・慰謝料等)が経済的利益とされています。

 

弁護士特約が無い被害者の方の場合は、この旧報酬規定の料金体系を取っている法律事務所は避けたほうが良いでしょう。

示談金が想定していた場合より低い場合でも、法律相談料や着手金も支払わなければなりません。場合によっては、費用倒れになります。

 

弁護士特約がある方に関しては料金体系については、法律事務所と保険会社が打ち合わせをしますので、特に気にする必要はありません。

 

交通事故に強い弁護士に頼む

弁護士に依頼をすると決めたとき、どのような弁護士でも問題ないというわけではありません。

弁護士にも得意分野があるため、弁護士歴が長い=交通事故問題にも詳しいというわけではありません。

まず、被害者の方はどのような弁護士に相談をするかは、法律事務所のウェブサイトを確認してみましょう。

その中で、「解決実績」を見てみましょう。

解決実績を見れば、過去の弁護士の経験がわかります。どういった交通事故問題に強いのか、どのような内容で示談をしたのか。実績が多ければ多いほど、その分経験が豊富であるということも判断できます。

なお、確認するのは「解決実績」です。「相談実績」は受任をせずに相談のみで終わっていることもありえます。

 

弁護士への依頼をご検討されている方は、大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイへ

交通事故問題において、弁護士に依頼した場合の被害者の方のメリット、デメリットや注意点を中心にご説明をさせていただきましたが、いかがでしでしょうか?

 

この記事を読んでいる被害者の方で、少しでも弁護士に頼むべきでは?と感じられた方がいらっしゃいましたら、相談に行きましょう。

 

弁護士を入れても費用倒れにならないということがわかれば、被害者の方にはメリットしかありません。

煩わしい示談交渉は弁護士に任せて、怪我の治療や日常生活に戻ることを第一にしましょう。

 

弁護士へのご相談をご希望の方は、交通事故を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイに一度ご連絡ください。

また、記事(コラム)が多ければ、交通事故問題に積極的に取り組んでいるといえるでしょう。記事の数や内容も、交通事故問題に詳しいか否かの指標となります。

 

このようにして、相談に行く弁護士を絞っていきます。

そして、最終的には、相談をした時の弁護士の対応で決めるようにしましょう。

 

交通事故問題に強い弁護士であれば、被害者の方の質問に的確に答えるだけでなく、今後の見通しやアドバイスをしっかりわかりやすく、行ってくれます。反対に、交通事故問題の経験が浅い弁護士の場合、被害者の方の質問に対して、曖昧に回答したり、時には高圧的な対応で被害者の方の話を聞かず、否定的な対応を取ったりする傾向も見られます。

このコラムの監修者

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