交通事故 過失割合
2020.11.20 2024.05.27

自転車が転倒しただけの交通事故について知りたい

自転車が転倒しただけの交通事故について知りたい

サクッと51秒!解説動画

一般的に、「交通事故に遭った」と聞くと、加害者側の自動車と被害者側の自動車が接触する事故をイメージされる方が多いです。

実際、接触による交通事故は非常に多いです。

しかし、事故の中には「接触がない」交通事故もあります。

たとえば、相手の自動車が、駐車場から突然道路に進入してきた場合、歩道を走行していた自転車が避けようとして、転倒するといった事故です。

このような事故を「非接触事故」といいます。

ここでは、自転車が転倒しただけの、非接触の事故についてご説明をさせていただきます。

1 自転車が接触せずに転倒した場合はどうなるか?

⑴非接触事故として扱われる

非接触事故とは、被害者の方と加害者に物理的な接触が無い、ぶつかっていない、といった事故をいいます。【誘因事故】とも呼ばれます。

実は、自転車やバイク、歩行者の方など、被害者の方に転倒が生じやすい状況下では、「非接触事故」は珍しくありません。

非接触事故でも、加害者の過失行為により、被害者の方に損害が生じたと証明することができれば、その損害を請求することは可能です。

この関係性を「因果関係」と言い、因果関係があれば、非接触事故であっても、損害賠償を請求できるという点においては、接触事故と変わりません。

⑵因果関係の立証が難しい

非接触事故でよく争われるのが、加害者の運転と被害者の方の転倒に因果関係があるかどうかです。

例えば冒頭でお伝えした事故の場合、加害者側からは「被害者が勝手に転んだ。こちらには一切の責任はない。」「避けなくても衝突はしなかっただろう。」と主張されることもあります。

つまり、加害者の道路進入と、被害者の方の転倒には因果関係は一切認められないというものです。

突然の事故で混乱している被害者の方の中には、加害者の主張をその場で受け入れてしまい、警察に報告もしないままにする方もいらっしゃいます。

しかし、加害者の行為と被害者の方の転倒に因果関係があるか否かは、「事故がどのようにして発生したか」が非常に重要です。

客観的に事故の状況を見たときに「この状況であれば、被害者側は回避措置をしなければならないし、転んでしまうこと容易に想像できる」と言える場合は、加害者の行為により被害者の方が転倒した=因果関係があると言えます。

一方で、「避ける必要が無かった」「この距離であれば安全に避けられたであろう」と考えられる事故の状況の場合は、因果関係が否定されやすいです。

2 非接触事故の過失割合

⑴接触事故と同じ

非接触事故の過失割合はどうなるのでしょうか?

過失割合は、事故態様ごとに類型化されており、その中でどの類型に当てはまるか、一番近いかを探したうえでで、双方の割合を決めていきます。

非接触事故の場合は、基本的には接触事故と同じ数値が適用されます。

ただし、非接触事故の場合、被害者の方の回避行動が過失割合に影響があります。

回避行動が不適切であったと判断された場合においては、過失割合が修正される可能性もあります。

【過失割合の数値を設定する要素】

事故現場の道路状況交差点か否か、横断歩道上か否か、信号機が有るか否か、道路の広狭など
事故態様自動車対自動車、自動車対バイク、自動車対歩行者、直進車同士、右折車対直進車、信号機の表示がどうだったかなど

この他にも、当事者の注意義務が考慮されます。

当該事故に近い類型を探し、修正要素の適用、さらには、当該事案に特殊な個別事情がある場合はそういった部分も考慮して過失割合は判断されることになります。

⑵回避行動が適切であったかどうか?

被害者の方の回避行動が、非接触事故の場合は介在しているという点が、過失割合を決める点で、接触事故と非接触事故で大きく異なります。

被害者の方の回避行動が適切であったのかどうか、「回避行動自体が被害者の方の落ち度である」と言える部分があったのかどうか、このような観点から、過失割合は修正されていきます。

3 非接触事故の注意点

⑴接触していなくても警察に連絡

非接触事故の場合、「接触をしていない」という理由で、警察に連絡をしない加害者がいますが、必ず連絡をしましょう。

特に、非接触事故の場合は、相手が逃げてしまうことが多いです。

被害者の方は、加害車両のナンバーをメモするなり、加害者の運転免許証を見せてもらい写真を撮るなど、相手の情報を必ず確保しましょう。

ただ、加害者が被害者の方の転倒に気付かずに去ってしまうこともあります。

この場合も被害者の方は、必ず警察に連絡をし、事故現場に来てもらい、実況見分を行ってもらいましょう。

非接触事故の場合、交通事故ではないと明白にならない限りは、加害者が責任はないと主張しても、加害者が逃げてしまったとしても、被害者の方が転倒し、怪我をしているのであれば、警察に連絡をし、事故状況を細かく説明するようにしましょう。

なお、加害者がいくら「非接触事故だから責任はない」と主張し、その場から去ったとしても、警察に被害者の方が被害を申告すれば、過失運転致傷罪の疑いで捜査は開始されます。

車のナンバーなどが特定されていれば、加害者は後日警察から呼び出され、事情を聞かれること可能性もあります。

⑵注意義務を尽くしていたかどうか

過失割合については、事故現場の道路状況や、事故態様を踏まえて、どちらが、どのような注意義務が課せられており、さらに、双方がどれだけ注意義務に尽くしていたかが重要となります。

被害者の方が注意して運転していれば物理的な危険はなかった、被害者の方の過剰な反応が転倒の原因である、などと判断されれば、被害者側の過失が大きくとられてしまうこともあります。

また、被害者の方が早い段階から回避措置に入ることができていたはずだった、速度を守っていれば回避ができたはずなどといった場合でも被害者の方に過失が大きくとられるケースもあります。

どの程度注意義務を尽くしていたうえで、回避措置をして転倒してしまったのかを証明していく必要があります。

4 非接触事故でお困りの方は、交通事故を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

非接触事故についてご説明をさせていただきました。

非接触事故は、通常の交通事故問題で起きやすい争いに加えて、事故との因果関係という争点も発生します。

加害者が「自分には一切の責任が無い」と主張する限りは、任意の保険も使用ができませんので、被害者の方は自己負担で治療を続けなければならないこともあります。加害者側の保険会社も、加害者の意に反した補償はできません。

非接触事故にあい、加害者が一切折れない場合は、被害者の方個人で対応するには限界があります。

被害者の方の回避行動が適切であったと証明し、きっちりとした損害賠償を受けるためには、法律の専門家である弁護士の力を頼ることをおすすめします。

非接触事故の被害に遭われたら、交通事故を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにまずは一度、ご相談ください。

このコラムの監修者

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