交通事故 交通事故基礎知識 慰謝料 逸失利益
2021.01.06 2024.04.25

交通事故で子供を亡くしてどうすればよいか分からない

交通事故で子供を亡くしてどうすればよいか分からない

交通事故でお子様を亡くされたとき、親御様をはじめ、ご家族の方々は、大きな悲しみ、加害者に対する怒りなど、ご自身ではどうすることもできない、大きな絶望感と対面する日々を過ごすことになると伺います。

ここでは、交通事故でお子様を亡くされた時に、ご家族の方はどうすればよいか、子供の交通事故についてご説明をさせていただきます。

交通事故で子供を亡くした被害者家族への支援

犯罪被害相談員によるカウンセリング

交通事故の被害者のご遺族の方も、交通事故という犯罪の被害者になります。

その中で、誰にも理解してもらえない被害者遺族としての気持ちを支えてくれる団体があります。それが【公益社団法人 全国被害者支援ネットワーク】です。

全国被害者支援ネットワークは、犯罪被害者の方とそのご家族・ご遺族の方が必要な支援が受けられること、そしてその尊厳や権利が守られる社会の実現を目指して、全国48の加盟団体とともに活動をしている団体です。

全国に48ある被害者支援センターでは、犯罪被害者の方、ご家族、ご遺族の方に対して、電話面談や面接面談、そして場合によっては裁判所や警察等への付添から日常生活の手助けなどといった直接的支援を行います。

この活動は加盟団体に所属する約1400名のボランティアによって支えられており、その多くは各々の団体から「犯罪被害者直接支援員」や「犯罪被害相談員」として認定・委嘱されています。

犯罪被害相談員は、全国に566名おり、犯罪被害者支援のプロとして、公安委員会の認定を受けています。この犯罪被害相談員は、被害者側の方々の電話面談、面接面談を対応しカウンセリングを行います。

犯罪被害相談員は、被害者側の方々からの話を聞き、何を必要としているのかを明確化し、支援計画を作成し、直接的な支援につなげていきます。

この直接的支援とは、カウンセリングを経て、被害者側の方々を直接的に支える活動をいいます。

たとえば、警察署や裁判所、病院、弁護士事務所などといった各機関への付添い、裁判の代理傍聴、各種手続きのお手伝いをしてくれます。

また、支援センターにもよりますが、自宅訪問、日常生活におけるサポート、さらには弁護士による法律相談、精神科医や臨床心理士といった専門家によるカウンセリングといったサポートの提供も行います。

支援センターで受けられる支援はいずれも無償であり、被害者側の方々の個人情報は固く守られておりますので、交通事故でお子様を突然亡くされ、どうすればいいのかわからない方は、一度頼ってみるのはいかがでしょうか?

自助グループへの参加

自助グループへの参加を検討してみるのも1つでしょう。

自助グループとは、共通の問題や悩みを持った方々が集まり、苦しい体験を語り合うことや、情報交換して、その人が抱える、『孤立感』、『苦しみ』を軽減し、精神的な回復を図ることを目的としています。

犯罪被害者支援センターが行っている自助グループでは、自身と同じような被害を体験した被害者の方、そのご家族、ご遺族の方々が互いに励まし、支え合うという活動です。

突然大事なお子様を交通事故で亡くされた親御様の気持ちを100%理解するということは、他人には難しいです。

時には、他人がご遺族の方を励ましたくかけた言葉が、ご遺族の方を傷つけることもあります。

犯罪の被害は何も直接の被害だけでなく、その後に発生する被害(第二被害)に苦しめられることも珍しくありません。

二次被害には、捜査機関や司法機関での事情聴取、医療機関にて受診時に被害を受けた際の様子を説明しなければいけない、それも一度ではなく何度も説明するといった苦痛などがあげられます。

その際に、事情を聞く側の心ない言葉や態度での対応、さらに世間が注目するような大きな事件、事故の場合はマスコミの取材、誤報も被害者側の方々の心を傷つけることになります。

二次被害の1つに、交通事故の場合、お子様が亡くなったとなると、残された親御様同士で被害をめぐり、家族間の不和や罪責感により家族崩壊につながることも少なくありません。

自助グループに参加することで、直接の被害(第一被害)だけでなく、第二被害からの苦しみを共有し、少しでも精神の負担を軽減させることも1つです。

子供の交通死亡事故

子供の交通死亡事故の事例

交通事故による死亡事故は年々減っており、子供が死亡事故の被害者となる事故も年々減ってはいます。しかし0にはなりません。

子供、特に小学生の場合、交通事故は、警察庁交通局の小学生歩行中の月別・時間帯別死傷者数(平成25年から平成29年)によると、時間帯では、登下校中に発生していることがわかります。

時期でいうと、4月から7月といった通学に不慣れな時期から慣れてきて、少し気が緩み始めた時期や、10月から11月といった陽が短くなり薄暗くなった時間帯は非常に多いようです。

もちろん、ドライバーの人も、登下校時間、通学路に運転をする際、「子供が通る道」として十分に気を付けているでしょう。

しかし、統計を見る限りは、『避けきれていない』という事実があります。

子供の登校時間は、大人の出勤時間とそう変わりがないことから、ぼんやりとしている、遅刻しそうであれば、慌てて運転をしている、また慣れている道であることから注意が散漫なドライバーもおり、事故が発生することは珍しくありません。

また、登校時間は、保護者や地域の大人の方々が、道路に立ち、安全な横断を誘導するなどと地域により取り組みが行われていたり、登校時間は自動車の通行規制を設けていたりする場合も多く、比較的に守られています。

しかし、その一方で、下校時間帯は、学年や日によって異なることから、登校時間帯程守られておらず、さらに、友人とのおしゃべりなどで子供の注意力も低下していることから、より交通事故に遭う可能性が高くなっています。

また、小学1年生は小学6年生と比べると、倍以上も事故にあう確率が高くなっています。

小学1年生は小学6年生に比べて、通学に不慣れであるという点も事故に遭う確率を上げてしまう要因の1つではありますが、そもそも、背の低い子供はドライバーからは見えにくいです。

特に、車体が大きく運転席が囲まれているデザインの自動車や大型のラックなどの車高が高い車の場合、背の低い児童、幼児などは、ドライバーからすると、車体のすぐ近くにいることに気づきにくいという問題があります。

実際に、小学生の児童だけでなく、幼児の交通死亡事故の多くが「子供がいることが気付かなかった」「大人の姿が見えていたが、子供が来ていることは気付かなかった」といったドライバーの供述が見られます。

加害者にならないために

加害者にならないために、ドライバーはどうすればいいのでしょうか?

「自分で自分の身を守る」ということについて、大人に比べて子供は難しいです。

ドライバーの方は、常に「子供は予測外の行動や反応をする」ということを忘れずに日々の運転を行うことが必要です。

子供の特性について

特性
1つのものに注意が向く、集中すると、周りのものが目に入らなくなる ・ボールを追いかけて車道に飛び出す

・家族や友人等が道路の向こう側にいた場合、そこへ行こうと周りを確認せずに道路に飛び出す。

状況に応じて、適切な判断をすることが難しい ・信号が青になったらすぐに飛び出して一目散に走りだす。

・「車は手をあげていれば問題ない(止まる)」と思い込み、手を挙げてすぐに道路を横断する。

気分で行動が変わる ・外に出ると急に走り出す。

・感情が乱れると(叱られる等)気持ちが動揺し、行動が衝動的になる。

周りの大人の真似をする 信号無視や横断歩道のない所を横切ったり、無茶な自転車の運転をしたりする。
物陰で遊ぶことがある 急に物陰から飛び出す。

駐車場などで、停車中の後ろにしゃがみ込んで遊ぶ。(運転席から見えない)

曖昧な言葉では理解ができない 「危ない」、「気を付けて」というだけでは「何が危険なのか」「何故気を付けるべきなのか」がわかりません。

 

上記のように子供は大人が思ってもいないところから、飛び出してきたり、思いもよらない動きをしたりします。

ドライバーの方は、子供がいつ飛び出してくるかわからない場所、例えば通学路、公園や商業施設といった子供の多い場所、住宅街の道路では、常にスピードを落とし、「子供が飛び出してくるかもしれない」という意識をもって運転をすることが、加害者にならないため、子供を被害者にしないために大切です。

子供が交通事故で死亡した場合

法的責任と慰謝料

子供が交通事故に遭い、死亡した場合、法的には、刑事事件、民事事件、行政事件の3つの手続きが進みます。

そのうち、行政事件は、加害者側の免許の取り消し、停止についての処分が下されますので、被害者側のご遺族の方が関与できるものではありません。

刑事事件は、死亡事故を起こした加害者に対して、どのような刑罰を与えるのかという手続きであり、被害者側のご遺族にとっては、子供を殺したも同然である相手への刑罰ですので、厳罰を望む方がほとんどです。

ただし、刑事事件についてもご遺族の方は当事者ではありません。

あくまでも刑事事件は、「国家」が犯罪者にどのような刑罰を与えるかという手続きとなるからです。

しかし、全く関与ができないというわけではありません。

警察や検察庁で、事情聴取を受けることになりますので、その際に親御様であるご遺族の方は「被害感情」を聞かれることになります。そこで、厳罰を希望する場合は「厳罰に処してください」と伝えることができます。

なお、その発言は供述調書に記載されることになります。

また被害者参加制度を利用し、刑事裁判に参加することも可能です。

この制度は、加害者の刑事裁判に、被害者のご遺族の方が意見や陳述をすることが可能となる手続きです。

民事事件は、加害者側との損害賠償の示談交渉となります。

交通事故で子供が死亡した場合、請求できるものの主なものは以下となります。

・葬儀関係費用

・死亡慰謝料

・死亡逸失利益

これ以外にも、死亡するまでに入院期間がある場合はその間の、付き添い看護費や治療にかかった費用、亡くなったお子様の方の入通院慰謝料が請求可能となります。

葬儀関係費用は、葬祭費用だけでなく、供養費や仏壇費、仏具購入費、墓碑建立費などが請求可能です。また、火葬や埋葬等といった、遺体処理の費用も含まれます。

また、死亡慰謝料には、2種類あります。

亡くなった被害者のお子様本人の慰謝料と、残された親御様であるご遺族の方の慰謝料です。

亡くなった被害者のお子様本人の慰謝料は、実際お子様が受け取ることはできません。そのため、慰謝料請求権を相続したご遺族である親御様が

受け取ります。

このお子様本人への慰謝料は、被害者の方本人が死亡させられたことに対する精神的苦痛に対して賠償するものです。

ご遺族である親御様への死亡慰謝料は、「突然の交通事故で大切なお子様を亡くした精神的苦痛」に対して支払われるものです。

つまり、死亡させられたお子様への慰謝料とは別の精神的苦痛と考えられ、独自の固有の慰謝料の請求が認められます。

子供が死亡した場合の死亡逸失利益

子供が死亡した時に請求できるものに死亡逸失利益があります。

死亡逸失利益は、交通事故で子供が亡くなった場合に、その子供が大人になって働いていれば得るはずであった将来の収入をいい、それを損害として相手側に請求をします。

死亡逸失利益は以下の計算式で求めることが可能です。

(死亡逸失利益計算式)

基礎収入×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数

基礎収入は、交通事故で死亡しなければ得ることができていた収入です。

大人の方が亡くなった場合は、その方の事故前年度の収入が該当することとなりますが、子供の場合は、将来の収入額がわからないため、基本的には、「賃金センサスの平均賃金」を基礎収入として計算がなされます。

生活費控除率とは、生きていれば、収入から生活費がかかりますので、その分を差し引くこととなります。

生活費控除率は以下のようになります。

一家の支柱(扶養家族1人) 40%
一家の支柱(扶養家族2人以上) 30%
女性 30%
男性 50%

 

 

ライプニッツ係数でとは、「就労可能年数に対応する中間利息控除係数」といいます。

本来であれば、年月をかけて得る収入を、逸失利益として前倒しで、一括で被害者側は受け取ることになります。

そのため、将来収入時までの利息分を複利で予め差し引く必要があります。

その際に使用される数値を「ライプニッツ係数」といいます。

なお、勤労可能年数は、原則67歳とされております。

子供が死亡した場合は、勤労可能期間は、通常18歳~67歳までと考えますので、例えば、5歳のお子様が亡くなった場合は、5歳から18歳までの期間については中間利息を控除する必要があります。

よって、5歳から67歳までの期間のライプニッツ係数から、5歳から18歳までの期間のライプニッツ係数を差し引くことになります。

お子様が事故に遭われたら、交通事故を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

交通事故でお子様の命を奪われた親御様の苦しみは想像を絶します。

その中で、相手の保険会社は示談交渉において低額の損害賠償金を提案してくることがほとんどです。

お子様の命を突然奪われた上に、その上さらに低い損害賠償金で示談をするなどあってはなりません。

交通事故は知識がなければ、被害者の方が非常に損をしてしまいます。

もしも、お子様が交通事故に遭い、亡くなってしまったら、必ず交通事故問題に詳しい弁護士に相談をしましょう。

お子様が交通事故に遭われたら、交通事故を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

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