顧問弁護士と聞くと、大企業と契約しているイメージを持つ人も多いでしょう。「規模が小さい会社だから必要ない」「税理士がいるから問題ない」と考えるのでしょうが、万が一問題が発生した場合は、どう対処するのでしょうか?
顧問弁護と契約をしていれば、トラブルが起こった際にも迅速に対応してくれます。
顧問弁護士と契約する必要性を知り、どのような規模の企業から顧問弁護士を入れるべきか、理解していきましょう。
目次
法的な問題発生…中小企業の対応とは?
会社内では様々なトラブルが発生します。契約更新や採用、賃金や退職、労働時間など、業務内容や対応によって、従業員と企業との間に紛争が起こる可能性もあります。
相続対策や役員といった会社組織の変更時にもトラブルは起こりやすいです。また、社内だけではなく社外でも取引先との紛争や個人情報の管理など、トラブルが起こる要素はたくさんあるのです。
法的な問題が発生すると、社員や取引先の対応が必要になり時間だけではなく精神的な負担も多いです。
業務遂行できない可能性もあり、経営を続けることが難しくなってしまう可能性もあるのです。
万が一、トラブルが発生した場合、大企業であれば法務部や顧問弁護士に相談するでしょうが、法務部や顧問弁護士のいない中小企業は、どう対処しているのでしょうか?
企業ではない一般人であれば、「弁護士に相談する」ことを視野に入れる人もいるでしょうが、企業となると一歩踏み込むことができずに躊躇してしまう可能性もあります。
そのため、銀行や行政に相談してアドバイスをもらうことも多いようです。また、同業者の対処法を聞き模範する企業もいるでしょう。
こうした考えが中小企業で一般的となり、弁護士に相談するという選択肢が少なくなっているのです。
顧問弁護士がいる企業…その割合とは?
では、実際に顧問弁護士がいる企業の割合を見ていきましょう。
2017年に日本弁護士連合会が行った「相談できる弁護士の有無」に関する回答は以下の通りです。
中小企業3822社
相談できる弁護士がいる…38%
相談できる弁護士がいない…62%
顧問弁護士ではなく弁護士ですが、身近に相談できる弁護士のいる中小企業が少ないことが分かります。
また、従業員数別に見てみると、
5人以下(949社)
相談できる弁護士がいる…25%
相談できる弁護士がいない…75%
21~50人(776社)
相談できる弁護士がいる…45%
相談できる弁護士がいない…55%
301人以上(58社)
相談できる弁護士がいる…90%
相談できる弁護士がいない…10%
となり、従業員が多い企業であればあるほど、相談できる弁護士が存在していることになります。この結果から、中小企業でも小規模な企業の方が顧問弁護士を契約していないことが分かるでしょう。
【参考】「第2回中小企業の弁護士ニーズ全国調査報告書」(調査結果編)
中小企業こそ顧問弁護士が必要!その理由とは?
調査結果からも分かるように、中小企業で顧問弁護士がいる会社は少ないです。
しかし、法的な問題が発生した際にはトラブルを迅速に解決するためにも顧問弁護士が必要となってきます。
顧問弁護士が必要な理由をご紹介していきましょう。
法務トラブルもすぐに対応できる
従業員を雇用している企業にとって、従業員とのトラブルが業務遂行に影響を与えてしまうため、迅速な対応が不可欠です。
ハラスメント行為などがあれば、企業の評判にも影響があるでしょう。しかし、顧問弁護士と契約をしていれば、問題が巻き起こった時にもすぐに対処してくれます。
従業員との交渉も行ってくれ、裁判に発展した際にも顧問弁護士が対応してくれるのです。
トラブルを未然に防げる
雇用や業務など、様々な法務トラブルがありますが、弁護士がいない段階で企業内だけで解決しようとすると、口約束で済ませたことで、後々に問題が再燃する可能性もあります。
しかし、顧問弁護士がいればトラブルが発生する前に対処可能です。取引先と契約する際には契約条件が適切であるか、トラブルの懸念があるかなども想定できるため、リスクを最小限にできるでしょう。
負債トラブルも対応できる
経営を続けていると、負債が膨らみ経営継続が危ぶまれる可能性もあります。早め早めの対処が肝心ですが、適切な対処ができないことで最悪の場合は破産となる場合もあります。
しかし、顧問弁護士がいれば事業再生に向けて適切な対応アドバイスができるため安心です。債権回収業務も代行してくれるため、手続きも問題ないでしょう。
事業承継時にも対応してくれる
近年、少子高齢化の影響によって企業のトップも高齢化していることが実情です。
特に中小企業の中には親族だけで経営している場合も多く、子どもがいないことで後継者がいなく、経営を続けることができない企業もあるのです。
そんな時には、M&Aを活用することも可能ですが、在籍している従業員の理解が得られないといった問題が発生することもあり、事業承継が進まないケースもあるでしょう。
しかし、顧問弁護士がいれば事業承継についても相談できます。資産の査定や株式の譲渡など、専門的な対応ができるため、大切な自身の会社を守ることにつながるでしょう。
信用をアップできる
顧問弁護士のいる企業は、問題が起こった際にも対処してくれることが予想できるため、信頼度が上がります。
取引先への信用度がアップするだけではなく、新規顧客獲得にも影響を与えるため、企業ホームページに掲載しておくと良いでしょう。
また、不当な要求などを抑制することにもつながります。
企業では様々な問題がありますが、顧問弁護士がいることで上記のように適切に対処できます。会社の信用にも影響を与えるため、長く経営を続けたい、会社を大きくしたい、従業員や取引先を安心させたい、といった様々な思いに顧問弁護士が応えてくれるでしょう。
顧問弁護士の選び方
最後に、中小企業でも契約すれば大きなメリットが得られる顧問弁護士の選び方を解説していきます。
分かりやすい説明
法律的な問題が発生した際には、専門的な対処が必要になります。専門用語も多くあるため、説明されるたびに難しい単語ばかりを並べられたら意味が分からないでしょう。
法律について分からない人にも、分かりやすいように説明してくれる人であれば、問題解決の近道にもなります。
顧問弁護士を選ぶ際には、わざと難しい質問をして説明してもらうのも得策です。
親身な対応
トラブルは急に起こります。
焦ってしまう経営者も多いでしょうが、どんなことでも親身になって話を聞いてくれる顧問弁護士であれば安心できるでしょう。
相談をした時に、話を途中で遮る人や上からものを言う人は信頼度も低いです。
信頼できる、波長が合う、話しやすい人が適任と言えます。
業界への理解がある
世の中には様々な企業があります。
弁護士は法律に関するプロですが、得意な分野は人それぞれです。
業界によって法令にも違いがあるため、知識不足によって問題が長引く可能性もあります。
自身が経営する企業分野に精通した人材を選ぶと良いでしょう。
また、弁護士によって相続や債務整理など、得意分野にも違いがあるため、あらかじめチェックしておくと安心です。
まとめ
中小企業であれば顧問弁護士は必要ないと思っていても、いざトラブルが発生した際に対処できない可能性があります。法的な問題が発生すると、信用問題にもなるため早めの対処が肝心です。
適切な対処、そしてトラブルを予防するためにも、顧問弁護士を雇うことで安心感を得られます。必要性を感じたら、上記を参考にして顧問弁護士を選んでみましょう。