企業を経営している中で、顧問弁護士という言葉を耳にすることも多いでしょう。取引先に対して契約書の案を提出した際に「顧問弁護士より修正点を指摘されたので修正をお願いします。」や、何らかのトラブルが発生した時に「顧問弁護士に相談させていただきます。」と言われた経験がある経営者も少なくないはずです。
しかし、顧問弁護士がどのような存在なのかよく分からないという人もいます。そこで今回は、顧問弁護士の役割や相場、メリット・デメリット、費用対効果についてご紹介します。
目次
顧問弁護士の役割とは?
顧問弁護士は、企業内で発生する法律問題や不安に関する相談を受け、経営のサポート役を担ってくれる存在です。
法的トラブルのアドバイス
日ごろから、社内規定の整備に関することや労務管理の改善のためにすべきことなどを見つけ出し、トラブルが発生しそうな場合は解決方法をアドバイスしてくれます。
経営する企業で何らかの問題が発生した場合、経営者は先輩経営者や経営コンサルタント、顧問税理士などのアドバイスをしてもらうケースが多いです。
顧客クレームや労務に関する相談
相談できる相手がいると、悩みがあったとしても解決の糸口をつかみやすくなるため、心強い味方になってくれるでしょう。しかし、顧客からのクレームや従業員の勤務に関する問題、雇用契約書に関するトラブル、債権回収に関するトラブルなどは法律の知識が必要になります。
そのため、先輩経営者や経営コンサルタントに相談しても、的確なアドバイスを貰える可能性は低くなってしまいます。そのような時に味方になってくれる人物が顧問弁護士です。
経営者の相談相手
そんな顧問弁護士は、緊急時に企業を守ってくれる、日ごろから企業の整備役割を担ってくれる、経営者の良き相談相手になってくれるという3つの役割が基本になっています。
顧客からのクレームがあった時や労務関係のトラブルが発生した時はもちろんですが、労働基準法や著作権法などを守るための整備なども顧問弁護士のサポートがあるとよりスムーズに進められます。
それだけではなく、経営者が持つことが多い資金調達や採用活動、広告宣伝などに関する悩みも解決へと導けるようにサポートしてくれるのです。
顧問弁護士の相場はどのくらい?
顧問弁護士の相場は事務所によって幅広く設定されています。ここでは、月額で契約する場合の費用相場についてご紹介します。
企業の規模やサービス内容によって料金が異なる
顧問弁護士を雇った時の費用は、企業の規模やサービス内容によって変わってきます。
一般的には、月額で5万円~30万円が相場となっています。料金は、それぞれの法律事務所が設定できるため、依頼する法律相談所によっても大きな差が出る可能性もあるでしょう。
中には、できるだけ固定費を抑えたいと考えている企業向けに、月額1万円以下の料金を設定しているケースもあります。
しかし、月額料金が安い場合は受けられるサービスの範囲が限定されている場合も多くなっています。サービス外の相談に関しては、追加料金がかかってしまう可能性もあるので、事前に確認しておくことが重要になるのです。
タイムチャージ制を採用しているケースもある
顧問弁護士への相談は、必ずしも毎月あるとは限らないでしょう。そのような場合は、利用した時間に応じて料金が増えていくタイムチャージ制がおすすめです。
タイムチャージ制を採用している顧問弁護士であっても、一般的な顧問弁護士と同じような相談を受け付けています。毎月の固定費を削減できるため、費用負担を感じにくいという点は大きなメリットだと言えるでしょう。
しかし、案件によっては想定した以上に時間がかかってしまい、費用がかなりかかってしまう可能性もあるので注意しなければいけません。
顧問弁護士に依頼するメリット・デメリット
顧問弁護士に依頼することで多くのメリットが得られます。
しかし、メリットだけではなくデメリットがあることも知っておく必要があるでしょう。
メリット
メリットには、気軽に弁護士に相談できる、単発の依頼よりも割安になる場合がある、柔軟な対応をしてもらえるといったものが挙げられます。弁護士はそこまで身近な存在ではありませんが、相談すべきか迷った時に気軽に相談できるに越したことはありません。
顧問弁護士がいると手遅れになる前に相談できるため、大きなメリットを感じられるでしょう。また、トラブルが起こった時に単発で弁護士に依頼するよりも割安になる場合があるという点も顧問弁護士ならではのメリットです。
さらに、顧問契約を結んでいない企業よりも優先的に相談に乗ってもらえたり、依頼を断られる可能性が低くなったりする場合もあります。
このようなメリットを享受できるのであれば、依頼したいと思う企業もさらに増えるのではないでしょうか?
デメリット
メリットがあれば、デメリットもあります。デメリットには、毎月固定費がかかってしまうという点です。最近は、顧問料を無料にしている弁護士事務所もありますが、多くの場合毎月定額料金が発生します。
固定費がその分高くなってしまうと、負担に感じてしまう企業もあるでしょう。固定費を抑えようと安い弁護士事務所に依頼するケースもありますが、そのような場合は追加料金でかなり高額な費用を請求されてしまう可能性もあるのでしっかりと見極める必要があります。
顧問弁護士の費用対効果について
顧問弁護士を雇うのであれば、費用対効果を高めたいと思うはずです。最後に、費用対効果を高めるために知っておきたいポイントについて見ていきましょう。
リーガルチェックを行う場合は費用対効果が高い
多くの企業は、契約を間違えて結んでしまわないようにリーガルチェックを行います。弁護士に契約書を確認してもらい、法的に妥当な内容かどうかをチェックするのです。
契約書に不備があると、代金の不払いや顧客からのクレームなど大きな問題に発展してしまう可能性もあるため、リーガルチェックはとても重要だと言えるでしょう。
リーガルチェックをしっかりと行いたいと考えている企業においては、弁護士に依頼する頻度も高くなります。
毎回違う弁護士に頼むことももちろんできますが、企業のシステムをしっかりと理解している顧問弁護士に依頼した方が説明の手間なども省けます。
そのため、リーガルチェックを頻繁に行う企業にとって、顧問弁護士を雇う費用対効果は大きいと言えるでしょう。
着手金などについてきちんと確認しておく
弁護士に依頼する場合、着手金や成功報酬などの費用がかかります。例えば、侵害賠償で30万円支払って貰ったとしても弁護士費用で30万円かかってしまっては意味がなくなってしまいます。
そのため、顧問弁護士を依頼する際にも報酬規程などをしっかりと確認し、費用対効果がどうなのかを産出しておくと良いでしょう。
まとめ
顧問弁護士は、企業の経営をより円滑に進められるようにサポートしてくれる経営者の心強い味方です。資金調達や採用活動などに関する悩みや顧客からのクレームが合った時や労務関係のトラブルが発生した時のアドバイスなどは、多くの経営者が必要だと感じています。
費用は依頼する弁護士にもよりますが、できるだけコストをかけずに依頼できるケースもあります。
固定費を抑えたい場合は、月額料金を低く設定している弁護士事務所への依頼を検討してみると良いでしょう。
また、タイムチャージ制もメリットが大きいので、そのような制度を採用している弁護士事務所を探してみるのもおすすめです。