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売掛金回収のための法的手段

売掛金の未払いは場合によっては倒産にも通ずるため、早い段階で適切な対応方法を理解しておきたいことです。この記事では、売掛金の時効と売掛金を回収する手段について、比較的穏便な方法と法的拘束力のある方法についてそれぞれご紹介します。

目次

売掛金の時効について

売掛金の回収をするうえで最も恐れるべきなのは貸し倒れですが、回収が遅れると時効などの問題でより状況は悪くなりかねません。ここでは、売掛金の時効についてみていきましょう。

民法改正で売掛金の時効は2年から5年に

2017年の民法改正で、売掛金の時効が5年に変更され、2020年4月から新法が適用されるようにしました。以前までは売掛金の内容によって時効が異なっていましたが、新法施行後は時効が一元化されることになりました。

まずは時効の更新をしましょう

時効を過ぎると、その売掛金は回収できなくなります。時効を成立させないために、まずは時効の更新を行いましょう。債権者と債務所が協議を行う旨の合意を書面で交わした場合、合意から一定の間は時効が完成しなくなります。

比較的穏便に売掛金を回収する手段

売掛金回収の際は取引先との関係性にも気を使うことでしょう。法的手段の前にまずはいかに記載してある穏便な方法から試してみてください。

支払請求

まずは電話をかけるなどして支払いの請求をしましょう。相手方に何らかの事情があった場合や忘れていた場合なども想定できますし、話し合いで済むのであればそれがベストです。相手に事情があった場合は、落とし所を話し合ったうえで、具体的な支払い期限を決めるようにしましょう。

電子メールで債権者の権利に関する協議を行う旨の合意を得る

民法改正により、債権者の権利について協議する旨の合意が書面で得られた場合に、一定期間時効が完成しなくなります。電話による請求のみで解決しなさそうな場合であれば、売掛金の支払いについて話し合う機会が得られるよう、メールでアポイントメントを取りましょう。

内容証明郵便

内容証明郵便は、送付した日時とその内容を公的に記録できる手段であるため、証拠を残しつつ相手方にプレッシャーを与えることができます。請求先との関係性も考慮しつつではありますが、弁護士名義で内容証明郵便を送れば、よりプレッシャーをかけられるでしょう。

相殺をする

相手方に対して買掛金がある場合は、売掛金と相殺することが可能です。相殺をする際は相手方への通知が必要なので、メールや内容証明郵便などで一報入れましょう。

商品の出荷を止める

新たな商品出荷を停止することで、未回収の売掛金を増やさないような対応をしましょう。

商品を回収する

相手方との合意をすることで、引き渡した後の商品を回収することができます。商品の出荷停止と合わせて対応が可能かどうか検討してみてください。

売掛金回収のための法的手段

上記の方法では売掛金の回収が期待できない場合や、売掛金の額が高額で未回収の場合に損失が大きいような場合は、以下の方法で請求しましょう。

民事調停をする

民事調停は、裁判所が間に入り、当事者同士が話し合いをして問題解決を目指す手続きです。訴訟を起こす場合と比べて費用も時間もかかりません。両者が合意に至ると調停調書が作成されるのですが、これは裁判の判決と同じ効果を持つため、いざというときに強制執行が可能になります。

支払督促をする

支払督促は、裁判所経由で取引先に支払督促という書面を送付する手続きのことです。相手に反論がない限りは支払督促の内容が認められ法的拘束力を持ってきますが、相手方が異議を申し立てた場合はその限りではありません。プレッシャーをかけることができるという点で有効ではあるものの、相手方と揉めていて合意が難しいような場合では決定打に欠ける方法です。

少額訴訟をする

請求額が60万円以下の場合に利用できる簡易な訴訟手続きです。1回の審理で判決が出るため通常訴訟よりも手軽な方法ですが、相手方が異議を申し出れば通常の訴訟に移行することになります。

そうなると審理がやり直しになるので、少額訴訟のために割いた時間と手間が無駄になってしまいます。

通常訴訟をする

これまでの方法で売掛金の回収が難しそうであれば、最終手段である訴訟を検討することになります。訴訟で判決を得られると強制執行ができるようになります。

とはいえ、通常訴訟をする際は手続きが複雑になるので事実上弁護士に依頼をすることになります。さらに、分割払いでの和解になってしまった場合は売掛金回収にかかる期間が長くなってしまいます。すぐに売掛金を満額回収するのが難しくなるようなケースは想定しておくべきでしょう。

強制執行をする

支払督促に異議がなかった場合、調停調書を得た場合、訴訟で判決が下された場合などは強制執行を求められるようになります。強制執行を行えば、例えば相手方の口座を差し押さえて売掛金の回収を図れます。

売掛金回収を弁護士に依頼するメリットとデメリット

相手方が素直に売掛金の支払いに応じない場合は、交渉が難航したり回収が遅れたりすることも考えられます。売掛金が高額な場合は、貸し倒れを防ぐためにも弁護士への依頼を検討しましょう。

メリット

早期回収を目指せる

当事者同士で話し合いをした場合、いつまで経っても話し合いがまとまらないといったことが起こり得ます。仮に相手方企業が複数の会社に対して債務を負っている場合、他の債権者に先を越される恐れもあります。先方が倒産してしまってからでは後の祭りです。

債権回収の実績がある弁護士であれば、スピーディーに売掛金を回収できます。回収が早ければキャッシュフローへの悪影響を最小限にできます。

交渉の手間や苦労を軽減できる

売掛金は金額も高額ですし、相手方との交渉は多少なりともストレスがかかるものです。弁護士に対応を任せた後は、相手方との交渉や手続きの負担を肩代わりしてもらえます。

相手方との関係性を踏まえた上で交渉の仕方を検討できる

相手方との関係を崩さずに自らの権利を主張するのは簡単なことではありません。弁護士は交渉を生業としていますので、依頼主が先方との関係を心配しているのであれば、その旨も踏まえて最適な手段で売掛金回収を行います。

デメリット

良くも悪くも本気度が伝わる

「弁護士に代理を依頼した」という事実が残りますので、どのようなケースでも弁護士に頼るのはお勧めしません。売掛金の額が比較的少ない場合や、支払期限をわずかにしか経過していない場合、自力で交渉できる余地がある場合など、社会通念上時期尚早と思える場合は一度自力で交渉をしてみても良いかもしれません。

弁護士費用がかかる

弁護士に依頼した場合は弁護士費用がかかります。弁護士費用のうち主なものは着手金と報酬金で、着手金は10万円〜、報酬金は回収額の20%〜が相場となります。費用倒れにならないかどうかは検討するべきでしょう。

まとめ

この記事では、売掛金回収のための法的な手段についてご説明してきました。最初は電話やメールなどを使って証拠を残しつつ、相手方に支払いの気持ちや能力があるかどうかを探りましょう。相手方に支払いの様子がないとわかったら、法的な手段を使ってスピーディーな売掛金回収を目指してください。