交通事故 整骨院
2021.09.20 2022.11.15

交通事故後、病院と整骨院の通院は併用できる?

交通事故後、病院と整骨院の通院は併用できる?

交通事故被害に遭った際、整骨院に通院することで症状を改善させたいこともあるでしょう。

しかし、整骨院への通院に対しては治療費を支払うことができないといったことを保険会社から言われることもあるかもしれません。

実際には整骨院を利用することができるにもかかわらず、丸め込まれることによって症状の改善が遠のいてしまうことも考えられます。

そうならないためにも、本記事では、整骨院を利用することが望ましい場合や、その際の注意点についてご説明致します。

交通事故の治療は複数の病院で受けられるのか

結論から述べますと、同一の症状に対し同じ治療をするために複数の整形外科等の病院を受診する、いわゆる重複診療はできません。


もっとも、同一の症状に対し、異なる手法によるアプローチで完治を目指すために、整形外科等の病院と整骨院を併用することは可能です。しかし、この場合、医師の同意など様々な注意点があるため、本記事でご説明致します。

また、同一の症状であっても、初めに通院した病院の診断が信頼できず、他の病院に転院することも可能です。しかし、必要性のない転院や、過度な転院はその後の法的処理において不利益に取り扱われることもありますので注意が必要です。

病院と整骨院の通院は併用可能

順番としては病院・整形外科を優先

病院と整骨院の通院は必要性があれば、病院と整骨院の通院を併用することができます。

その場合は、表題の通り、順番としては整形外科等の医療機関を優先しましょう。その理由としては、保険会社から確実に治療費を支払ってもらうため、後遺症等によって仕事ができなくなった場合の損害賠償手続で不利益を被らないためという二つの大きな理由があります。

まず、一つ目の理由として、保険会社は整骨院における施術を治療行為として認めたくない傾向があることです。整骨院は柔道整復師が施術を行うのであって医師が行うのではないという処置の主体、整骨院における施術の性質上長期的な通院が必要となることが多く、治療費や慰謝料が高額になる可能性があるため避けたいという保険会社の営利上の理由、この性質を利用した水増し請求といった保険詐欺が行われてきたというリスクが、根底にあると考えられます。

そのため、保険会社は、被害者が整骨院を利用した場合、治療にあたらないとして保険料を支払わないことも考えられます。

しかし、このような場合にも、医師からの整骨院利用への指示や同意があれば、治療の必要性を認めざるを得ず、治療費を支払ってくれるといった状況になる可能性が高くなります。

以上が、保険会社から確実に治療費を支払ってもらうために整形外科等の医療機関を先に受診すべき理由です。

次に、二つ目の理由として、交通事故の後遺症等により満足に労働することができなくなった場合に、本来であれば得られるはずであった収入分である逸失利益を損害賠償として請求する場合に不利益を被るリスクがあるということです。

逸失利益を請求する場合には、後遺障害等級認定という必要な手続を経なければならないところ、この手続きには、診断書、MRI画像、後遺障害診断書といった資料が必要になる可能性が高いです。

しかし、これらの資料は医師のみが作成することができるところ、初めに整形外科等の医療機関で医師に作成してもらわなければ、後に作成してもらえない可能性があります。

そうなれば、適切な額の逸失利益よりも低い額しかもらえなくなってしまうというリスクがあるため、このリスクを回避するために、まず初めに整形外科等の医療機関を受診すべきというのが二つ目の理由です。

慢性的な痛みについては整骨院へ

当然ですが、具体的な症状に応じて、整形外科のみを利用するのが望ましいか、整骨院の利用が望ましいかが異なります。

まず、複雑骨折など、手術をすることが怪我の抜本的な治療へとつながる場合や、薬を服用することが症状の改善のために最善の方法である場合には、医療行為をすることが可能な整形外科等の医療機関の受診がのぞましいといえます。

他方、むちうち症のような慢性的な痛みがある場合には、整骨院における長期的かつ継続的なマッサージが症状の改善のために役立つことがあります。このような場合には整骨院を利用することが望ましい場合であるといえます。

病院と整骨院の通院を併用する場合

注意すべき点

医療機関と整骨院の通院を併用する場合の注意点としては、第一に整骨院利用についての医師からの指示や同意をもらうということです。この点については、以下の「医師の指示を仰ぐ」の部分で詳しくご説明いたします。

そして、整骨院の通院を重視しすぎるあまり、整形外科等の医療機関への通院を怠らないように注意する必要があります。

医療機関への通院を怠っていると、保険会社としては、医療機関へ受診しないということは医師がこれ以上治療しても症状は改善しないと判断したんだ、と勝手に解釈し、治療の必要性はなくなったとして、治療費の支払いを打ち切られるリスクがあります。

このリスクを回避するためにも、最低でも月に1~2回程度は医療機関を受診しましょう。


医師の指示を仰ぐ

前述でもご説明した通り、治療費を確実に支払ってもらうためには、医師による整骨院利用への指示や同意が重要な役割を果たします。

確かに、医師の指示・同意が法律上求められているわけではありません。しかし、整骨院利用への必要性や有用性について立証することは大変困難な手続となります。

そのため、交通事故被害の負担に加えて、更に心理的に負担を負わないためにも医師の指示もしくは同意を得ることが最善であるといえます。

そして、医師の中にも整骨院利用への消極的な思想を持たれている方もいることや、積極的に整骨院を利用することを勧める医師がそもそもそんななにいません。しかし、ここで求められる同意とは、医師が整骨院利用を反対しなかったといえる程度でも足りるため、積極的に医師とコミュニケーションを取り、整骨院を利用したい意思を伝えましょう。

交通事故を多く取り扱う大阪市・難波(なんば)・堺市の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

本記事では、整骨院を利用することが望ましい場合や、その際の注意点についてご説明致しました。

本記事で特にお伝えしたいことは、とにかくまず初めに受診すべき通院先は整形外科等の医療機関であるということです。

そして、医療機関と整骨院のお互いの長所を把握したうえで、被害の状況に照らし、どちらを利用するのが元の身体の状況に戻るために最適かを判断することが重要であるといえます。

そして、整骨院を利用した場合は特に、保険会社と治療費の支払いや、慰謝料額の提示においてトラブルになることが多いです。

その際、被害者本人が単独で、交通事故処理を多数行っている保険会社と対等に交渉することは困難ですし、保険会社から舐められた態度を取られることも少なくありません。

そこで、専門家である弁護士に相談されることが、交渉の合意、慰謝料額の増額に役立つ場合も数多くあります。

トラブルとなった場合は、交通事故を多く取り扱う大阪市・難波(なんば)・堺市の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

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