交通事故 弁護士相談 示談
2020.07.02 2024.05.31

交通事故後の示談交渉を弁護士に依頼した場合の期間はどれくらい?

交通事故後の示談交渉を弁護士に依頼した場合の期間はどれくらい?

交通事故後、被害者が加害者との話し合いの末に、賠償金を受け取る、いわゆる示談が成立するまでどれくらいの期間がかかるのかは、多くの被害者の方が気になるところでしょう。ここでは一般的な示談交渉の期間についてと、弁護士に依頼した場合についての流れについてご説明をさせていただきます。

1 交通事故後の示談交渉について

⑴開始のタイミング

そもそも示談交渉とは、被害者と加害者もしくは加害者の加入している任意保険会社が、話し合いの末に、被害者の損害賠償金を決めます。このように、当事者間で紛争を解決し、合意によって解決していく手段を示談交渉といいます。
では、この示談交渉はいつ始まるのでしょうか?結論から言うと【すべての損害が確定した時】です。事故の態様、当事者の損害によって開始のタイミングは異なるので、具体的には下記となります。

①物損事故

怪我がなく、物が壊れただけの事故の場合は、交通事故発生から約1か月後に交渉が始まることが多いです。始めるためには、双方の損害が確定していることが条件となります。事故から約1か月後が開始目安な理由は、自動車の場合はおおよそ修理に1か月ほど要するからです。修理費が確定し、その他レンタカー代やレッカー費用等が算出されたら、示談交渉が開始となります。

なお、修理が不可能で買い替える場合は、買い替えの諸費用なども請求の対象となります。交通事故は双方に過失が出ることが一般的ですので、過失の割合に応じて、物損の損害賠償金額が確定します。

②人身事故(傷害)

交通事故により被害者が怪我を負ってしまった場合、この場合は、怪我が【完治】もしくは【症状固定】となった時点が、示談交渉を始める最適のタイミングです。

症状固定とは、治療継続をこれ以上しても、症状が治癒もしくは改善していくことが見込めず、身体の不具合が将来に渡り残存する状態のことをいいます。つまり、治療をしても怪我が治ることはない、という意味です。完治もしくは症状固定となると、それ以降の損害については、保険会社は支払いませんので、この時点で損害が確定しますので、示談交渉に移ります。具体的な開始時期は、完治もしくは症状固定となってから、約1か月後が目安です。病院が保険会社へ被害者の最終診察分の治療費を請求し、保険会社から病院に支払われるまでのおおよその期間が1か月程度かかるからです。

なお、人によっては症状固定後に後遺障害等級認定の申請をされる方もいます。この場合は、後遺障害の等級結果が出た後に示談交渉開始となります。

③死亡事故

被害者の方が亡くなられた場合は、多くの場合は少し時間を空けてから、示談交渉が開始となります。本来であれば、亡くなった時点で病院の通院がありませんので、損害については早めに確定はするのですが、被害者遺族の心情を考慮し、また四十九日の費用が葬儀関係費用で請求できる場合がありますので、四十九日後から開始することが多いです。

参考:交通事故の示談の進め方を知りたい

⑵交渉途中の場合、それでも弁護士に依頼は可能か。

いざ示談交渉が始まると、被害者は想像以上に大変な思いをします。日常生活の中で、頻繁にかかってくる保険会社の電話に対応をしなければいけません。また、交渉前に保険会社へ好印象がある被害者の方はあまりいません。そうなると、対応が面倒になり、保険会社の電話を無視してしまったり、書面も見なかったりする方もいます。

一方で、保険会社からの連絡に対応をしたとしても、不信感が強すぎたり、相手の言い方が高圧的で話がしたくでも通じなかったりすることもあります。

このような場合は、弁護士を入れましょう。示談交渉が始まっていても、弁護士を入れることはできるのか?と疑問に思う方もいるかもしれませんが、示談が成立していない限りは可能です。弁護士が入れば、示談を放置して時間が経つこともありませんし、相手が不快な物言いをしても、弁護士は冷静に示談交渉を進めてくれます。示談交渉が上手くいかない、と思い悩んでいるのであれば、示談を成立させる前に、弁護士に示談交渉を依頼しましょう。

2 示談交渉については、弁護士に相談しましょう。

⑴探し方

示談交渉を弁護士に依頼したいと思い、相談する弁護士を探すとなった際に注意をしなければならない点があります。それは【相談する弁護士が交通事故問題に詳しいのかどうか】です。ここで、相談する弁護士を間違えてしまった場合、被害者にはデメリットが生まれてしまうのでご注意ください。

具体的な探し方ですが、まずはホームページやポータルサイトを利用しましょう。検索サイトに自分が悩んでいることを入れて検索をすると、それについてコラムを書いている法律事務所や、解決事例を書いている弁護士が出てくるはずですので、そこを見てみましょう。ポータルサイトの場合は、地域ごとに交通事故に強い弁護士をまとめてくれていることもありますので、お住まいの地域で検索をしてみるのもよいでしょう。

また、弁護士にも得意分野があり、交通事故に強い、詳しい弁護士は書籍を出していることもあります。そういった部分も参考にしてみるのも一つです。ネットでは少し不安という方は、各都道府県の弁護士会や法テラスでも弁護士紹介をしていますので、そちらをご活用するのも一つの方法です。
では、いざ相談するかどうかを決める時ですが、ポイントは3つあります。

  • ①交通事故の解決事例、解決実績を見て交渉経験を確認すること。
    ②【相談者の声】を見ること。
    ③対応雰囲気を確認すること。

①や②は各法律事務所のホームページに掲載されているものを確認しましょう。自分と似た例を解決した経験はあるのか、過去の実績はどうなのか、実際に相談・依頼をした人の声はどういったものなのか、それを確認することで、弁護士が交通事故の問題に詳しいか、強いかどうかを判断する材料になります。

③については実際に相談した際の、反応・対応ですが、ここは非常に重要です。被害者の質問に的確かつわかりやすく答えてくれる弁護士は交通事故問題に詳しいといえるでしょう。対して、交通事故の詳しくない、経験の浅い弁護士は、被害者からの質問もごまかしたり、説明がわかりにくかったりする傾向があります。

そういった弁護士に依頼をしてしまうと、経験がないがゆえに、相手の提示した金額をそのまま受け入れたり、適当に示談をまとめてしまったりと、被害者にとって不利益になる可能性もあります。相談時には、そういった対応面も確認しつつ、依頼するか否かを決めましょう。

⑵弁護士に依頼するメリット

弁護士に依頼をするメリットは大きく分けて以下3つがあります。

  • ①各種手続きを代わりに行なってくれる
  • ②精神的負担が軽減される
  • ③損害賠償金が増額する可能性がある

①各種手続きを代わりに行なってくれる

弁護士に依頼をすると、相手との示談交渉はもちろん、様々な手続きも代わりに行ってくれます。例えば、後遺障害の等級申請手続きですが、これは加害者側の保険会社か、もしくは被害者自身で申請する2通りがあります。後者を選択した場合、弁護士が被害者の代わりに手続きを進めてくれます。

また、結果に納得がいなかった場合、異議申し立てという手続きがありますが、弁護士が行います。万が一加害者が保険会社に入っていなかった場合でも、加害者とのやりとりを弁護士が行ってくれるので、安心して任せられます。

②精神的負担が軽減される

弁護士に依頼をしていない場合、交通事故後から被害者は保険会社と治療の終了時期や過失の割合などのやりとりをしなければいけません。交通事故の初心者である被害者と、交通事故の交渉のプロである保険会社で行うことになるので、被害者は何が正しいのかわからない中で選択・判断をしていくこととなります。

そのため、被害者の精神的な負担は大きくなります。さらに、保険会社によっては、被害者がわからないのを良いことに、高圧的な態度で被害者を精神的に追い詰めることも少なくはありません。結果、被害者は、保険会社とこれ以上話をしたくない、という理由で早々に示談をしてしまうこともあります。

しかし、弁護士に依頼すると、そういった精神的負担は大幅に軽減します。弁護士が被害者に代わって、不当な治療費の打ち切りや、過失割合の交渉、そして示談交渉までも被害者の味方になって行うからです。仕事や勉学に取り組むことができますし、日常生活を取り戻すことができます。

③損害賠償金が増額する可能性がある

損害賠償金の計算基準は3つあります。低い順番から自賠責保険基準、任意保険基準、裁判所基準となります。

自賠責保険基準は交通事故の被害者に対する最低限の給付を目的としているので、3つの基準の中で一番低い基準となります。

任意保険基準は、保険会社が独自に定めている基準で、自賠責保険基準と同じか、もしくは少々高い程度です。弁護士を入れていない場合は、保険会社はこのどちらかの基準を使用して、被害者へ示談提示をします。被害者は不当な金額であると主張をしたとしても、保険会社は「交通事故はこういうものです。」として受け入れてくれないことの方が圧倒的に多いです。

一方で、弁護士が入れば、そういった心配はありません。弁護士は裁判所基準という3つの中で一番高く、法的根拠をもった正当な基準で、被害者の損害を計算し、保険会社へ提示をし、示談交渉を進めます。場合によっては自賠責基準よりも数十万円上がることもありますので、被害者本人で示談交渉を進めるよりも増額の可能性が大幅に上がります。

3 弁護士により示談交渉はどう進むのでしょうか?

⑴示談交渉の流れ、ポイント

弁護士が示談交渉を行う場合、被害者の損害の資料(治療資料、通院交通費明細書、休業損害証明書等)がそろい次第、裁判所基準で計算をし、保険会社へ示談案の提示をいたします。提示から早い場合は1週間以内、遅くとも2週間ほどで回答が保険会社から届きます。その内容を確認して、電話ないしは書面等で交渉をし、被害者が最大限の金額を受け取れることになるまで示談交渉を続けます。

⑵一般的な示談交渉の期間

示談交渉の期間は、事案によって大きく異なりますので一概には言えませんが、事故別で下記にまとめてみました。

①物損事故

比較的にあまり長引かない傾向があります。修理額も保険会社と修理工場で協定をして決めていきますので、大きな争いにはなりづらいです。しかし、過失割合の争いや、評価損(事故歴や修理歴があることで、事故車扱いをされ、車両価値が下がってしまったこと。査定落ち・格落ち損害ともいいます)を請求となると、示談が長引くこととなります。

特に争いがなければ、示談交渉開始から、平均1か月程度を見ていただくとよいでしょう。

②人身事故(傷害)

物損に比べると、長引くケースが多いです。保険会社の対応が不誠実である場合は、示談提示があったとしても金額が正当なものであるかどうか、被害者本人では判断しづらいです。また、先ほども述べましたが、基本的に保険会社は自賠責保険基準か任意保険基準という低い基準で計算をしますので、示談提示額は低いものとなります。結果、被害者は不満を持つため、示談交渉は難航します。

さらに、後遺障害の等級認定結果によっても時間のかかり具合が変わります。高い等級であればあるほど、損害賠償金が大きくなるため、保険会社は支払いを渋ります。結果、人身事故の場合は、早く解決できて1か月ほど、双方の対立が激しいケースは半年以上かかることは少なくありません。

③死亡事故

長引くケースが多いです。被害者が亡くなっていることから、相続人が示談交渉にあたります。この相続人は複数いることが多いので、相続人全員の同意がない限りは、示談が成立しないため、時間がかかることは珍しくありません。また、被害者遺族の加害者に対しての怒りや許せないという感情により、示談が進まないケースが多いです。

過失割合においても、加害者側の主張しかありませんので、被害者側に不利に設定されやすく、遺族としては示談をしたくないという状況に陥りがちです。

死亡事故は、示談交渉開始のタイミングは比較的に早いですが、どちらかというと示談交渉が開始されてからの方が時間はかかります。弁護士が介入した場合でも、早くても1か月~2か月ほど、長引く場合は半年以上かかることもあります。

上記でお伝えした期間はあくまでも被害者本人が、保険会社と何事ももめ事なく、スムーズに進んだ場合がベースとなります。もし争いごとがあれば、被害者本人だと、年単位となるケースも少なくありません。

⑶よくある参考事例による期間

弁護士が示談交渉をすると、余計な話はせずに、必要な部分を押さえて法的根拠、医学的根拠を元に進めていきます。保険会社が払えない理由をつけても、根拠がなければ弁護士が反論し、適正な賠償額を獲得するために交渉を続けます。また、弁護士が入る前と後で、示談交渉にかかる時間が劇的に変わることもあります。

よくある事例を1つご紹介します。Aさんは子供と夫の3人で暮らしており、パートもしながら、主婦業も行う、いわゆる兼業主婦の方です。治療も終えて、保険会社との示談交渉に入りましたが、保険会社は【パートの休業した分しか出しません】と主張しました。Aさんは、主婦の休業損害を認めてほしいと再三保険会社に交渉をしましたが、保険会社は、【仕事に行けていたのであれば主婦の仕事に影響はない】の一点張りで、交渉から数か月が経過しました。そして、Aさんは弁護士に相談をし、依頼をしました。

弁護士は、保険会社から資料取り寄せて内容の確認をします。そして示談交渉時には、主婦の休業損害の必要性はもちろん、慰謝料も裁判所基準で計算をし、大幅に増額した状態で交渉をします。

その結果Aさんが弁護士に依頼をしてから数週間で、Aさんの満足がいく内容および金額で示談が成立したということがあります。

このように、無理に被害者本人で交渉を続けても、保険会社は法的な根拠がない限りは基本的には受け入れません。それどころか「これ以上言うのであれば、裁判をします。」と被害者に精神的に追い詰めることもあります。そうなる前に弁護士に相談をしましょう。弁護士に依頼することで、精神的な負担が軽減するだけでなく、スムーズに示談交渉が進む可能性が上がり、さらに適正な金額を受け取ることができます。

4 まとめ

交通事故の示談交渉の期間についてご説明をさせていただきましたが、いかがでしたか?被害者本人で示談交渉をするとなると、かなりの負担に加えて、いつ終わるのかわからないという不安も生まれます。早く示談を終わらせたいけど、しっかりと高額の損害賠償金を受け取りたいという方は、まずは弁護士に相談をしましょう。弁護士に依頼をすることで無駄を省き、スムーズに手続きを進めていくことができます。

もうすでに示談交渉が始まっている方でも問題ありません。示談が成立していないのであれば、早期解決かつ適正な損害賠償金を得るためにも、交通事故問題を多く取り扱う、大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイに是非一度ご相談ください。

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