交通事故 交通事故基礎知識 示談
2020.10.09 2024.04.25

交通事故の示談の進め方を知りたい

交通事故の示談の進め方を知りたい

交通事故は、多くの場合、被害者の方と加害者が加入する保険会社(もしくは加害者本人)の当事者間で示談交渉を行います。

この示談交渉によって、被害者の方は受け取ることができる損害賠償金が決まります。

では、示談交渉はいつ開始し、どのように進めていくのでしょうか?

ここでは、示談の進め方についてご説明を致します。

交通事故の示談の進め方

示談の流れ

示談交渉は、多くの場合が下記の流れで進みます。

①交通事故発生、事故直後の対応

交通事故が発生したら、必ず警察に報告しましょう。報告は義務です。これを怠ると、罰則があるだけでなく、後々保険を使用する際に必要な交通事故証明書が発行されない可能性が高くなります。

また、この際に相手の方の氏名や連絡先、車のナンバーを控えましょう。事故の情報は多ければ多いほど後々役に立ちますので、事故現場やぶつかった車両の写真を撮ることもしておきましょう。

②治療

事故の後は必ず病院に行きましょう。事故より日が空いてしまうと、交通事故との因果性を否定され、相手の保険会社より治療費が支払われない可能性があります。特に追突事故の場合、むちうちなど、痛みが後日出てくるケースもあります。少しでも違和感があればすぐに病院に行くようにしましょう。

③完治または症状固定

治療は、怪我が完治、または症状固定(これ以上治療を続けたとしても良くも悪くもならない、現状維持となってしまった身体の状態をいいます。)となるまで継続的に通院しましょう。 通院の期間や頻度は、賠償面でも後々慰謝料に大きく影響します。

④後遺障害の等級認定

症状固定と診断された場合は、後遺障害等級認定申請を行うことになります。後遺障害等級認定は申請から結果が出るまで最低でも2~3ヶ月はかかります。結果が出て、等級が認定された場合は、等級に応じての損害賠償金を請求することが可能となります。

⑤示談交渉

完治、もしくは症状固定、後遺障害の等級結果が出た段階で示談交渉を行います。この時に、過失割合に争いがある場合は、過失割合の交渉も行います。

⑥示談成立

被害者の方と加害者側の双方が損害賠償案に合意して、示談が成立となります。

示談に必要な書類

示談に必要な書類は、以下が代表的なものとなります。保険会社が取り寄せる場合もあれば、被害者の方が取り寄せなければならないこともあります。これら一部であり、その他にも事案によっては、保険会社から提出を求められるものがありますので、確認をしながら進めていきましょう。

事故の種類 必要書類
物損事故

 

 

 

交通事故証明書

車両の修理費用見積もり書

車両の写真

損害携行品リスト

損害携行品の写真

人身事故

 

 

 

交通事故証明書

事故発生状況報告書

診断書・診療報酬明細書

休業損害証明書(給与所得者の場合)

源泉徴収票(同上)

確定申告書の控え(自営業者の場合)

交通費などの領収書原本

後遺障害診断書

死亡診断書(死体検案書)

物の損害の場合、修理ではなく買い替えをしなければならないものもあります。この場合は、買い替えの際にかかった費用がわかる書面を用意しましょう。

診断書・診療報酬明細書は傷害事故だけでなく、死亡事故の場合も即死ではなく、入院期間が発生した場合は必要となります。休業損害証明書については、被害者の方が作成するのではなく、お勤め先の会社に作成してもらうことになります。各保険会社が書式フォーマットを所持しているので、取り寄せるようにしましょう。

なお、死亡事故の際は、死亡診断書や死体検案書以外に、被害者の方の除籍謄本や遺族である相続人の方と被害者の方との関係を証明するために生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本類も提出を求められます。

示談を始めるタイミング

示談交渉を開始するタイミングは、事故の内容、被害者の方の怪我の程度によって異なりますが、共通して言えることは「すべての損害が確定した段階」となります。

たとえば、怪我がなく、物だけが壊れた事故、いわゆる物損事故の場合は交通事故発生からおおよそ1か月後に開始になることが多いです。なぜなら、自動車事故の場合は修理に1ヶ月ほど要するからです。修理費が確定し、その他の費用(レッカー費用や代車費用など)の損害も算出されたら、示談交渉が開始できタイミングといえます。

では、人身事故の場合は、どうなるのでしょうか?

人身事故は以下の3つのパターンに分けられます。

死亡事故の場合

被害者の方が亡くなってしまった場合は、今後治療費等も発生しませんので、損害が確定したということから、早期の段階で示談交渉は開始となります。しかし、基本的にはすぐに示談交渉は行わず、少し期間を空けて行います。

示談交渉は被害者の方が亡くなった場合、残された遺族の方が行います。遺族の方ですぐに損害賠償金について話ができる方は、まずいないでしょう。突然大切な人を失った遺族の方の気持ちを考え、常識的にすぐに始めることはしません。

損害賠償金に含まれる四十九日の費用が確定する頃(約1か月半後)が開始のタイミングとしては1つの目安となっています。

傷害の場合

被害者の方が怪我を負ってしまった場合の示談交渉の開始のタイミングは、怪我の「完治(治癒)」か「症状固定」となった時点です。

完治、もしくは症状固定となると、相手の保険会社は治療費を支払うことを止め、それ以降の休業損害等についても支払いません。

つまり、被害者の方の損害が確定しますので、示談交渉の開始できるタイミングといえます。

障害が残った場合

治療を続けても怪我の症状が残り、症状固定と診断された場合は、後遺障害等級認定を申請し、等級の結果が下りてから示談交渉を開始しましょう。

後遺障害等級認定に申請をするためには、主治医である先生に後遺障害診断書を作成してもらい、手続きを行います。

申請を行った結果、1~14級の後遺障害等級のいずれかが認定された場合は、後遺障害慰謝料、逸失利益(後遺症が残存したことにより、被害者の方の労働能力が喪失されることで、将来得るはずだった利益)の請求が可能となります。

後遺症があるにも関わらず、後遺障害等級認定の申請を行わず、示談交渉に開始することはおすすめしません。

しかし、保険会社によっては、治療期間が長期にわたっている場合、示談交渉を強引に進めていこうとする担当もいます。その結果、被害者の方が焦ったり、強引さに嫌気がさしたりと、交渉を始めようとするケースもありますが、得策ではありません。場合によっては、大きな被害者の方にとって大きな損失となります。

示談交渉は、後遺障害を含み、必ず「すべての損害が確定した段階」で始めるようにしましょう。

示談をするときの注意点

示談の撤回・やり直しはできない

原則的には、示談は書面だけでなく、口頭であっても双方が合意した時点で取り消すことは認められていません。

口頭であれば無効とお考えの方もいますが、そこは大きな誤りです。書面を取り交わしているのは「言った・言わない問題」を防ぐためです。

例外的に、公序良俗に反する示談や詐欺又は脅迫によって示談した場合などは、示談をやり直し、無効にできることもありますが、一度示談したものをやり直すことは、専門性が高い分野となり、知識のない方が行うのは非常に厳しいです。

基本的には、示談の撤回・やり直しはできないと考え、示談は慎重に行うことが重要です。

個人で進めるとトラブルになるケース

示談交渉を進める中で、被害者の方が個人で進めているとよくトラブルが起きます。

たとえば、相手の保険会社の対応が悪かったり、連絡がなかったりするケースです。被害者の方は、保険会社の担当に不信感を抱くこともあり、場合によっては、口論となることもあります。

また、治療期間についてもトラブルの代表例の1つです。保険会社は営利企業です。そのため、できる限り自社からの支出を押さえたいと考えています。

そのため、治療期間が長引いている方や、むちうち症など、目に見えない怪我については形式的な対応で、強引に治療費を打ち切り、示談交渉を進めようとすることがあります。治療費を被害者の方がまだ痛みがある、治療を続けたいとしていても、「交通事故とはこういうものです。」と話を聞かない担当もいます。その結果、トラブルが起きます。

このようなトラブルが起きる原因としては、保険会社の対応に加えて、被害者の方への精神的負担が大きいことも1つの原因です。

交通事故はあまり何度も経験することではなく、ほとんどの方が初めての経験です。その中で、保険会社からは頻繁に連絡や郵便が届き、よくわからない法律用語が飛び交います。さらに、怪我をしている場合は身体的負担もかかってくる中で示談交渉を行わなければなりません。

その結果、被害者の方が感情的になり、より保険会社との交渉が難航することがあります。

このようなトラブルを避けるためにも、早期の段階で弁護士に相談することをおすすめします。弁護士を立てることで相手の保険会社と話す必要は無くなるため、精神的な負担は軽減されます。

また、弁護士に依頼を依頼すると、保険会社が使用する算定基準とは別の基準で慰謝料を含む損害賠償金を計算するため、不当に低い金額で示談を進められるというトラブルも回避ができます。

示談交渉については、大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

示談の進め方について、ご説明をさせていただきましたが、いかがでしょうか?

その他の怪我の程度や事故の内容によっては、示談の進め方は異なること、そして、慎重に進めることが大切であるとご理解いただけていればと思います。

一方で、慎重さが大切であると思うと、これで本当に進めていいのか、等不安な気持ちが増してくることもあるでしょう。

交通事故の示談交渉にて、少しでも不安であったり、示談を躊躇したりするようなことがあれば、示談書にサインをしてしまう前に、弁護士に一度相談をしてみましょう。

示談交渉についてのお悩みがある方、ご不安な方は、交通事故を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

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