交通事故において、被害者の方は弁護士に依頼をすることが最適ではありますが、費用の面でなかなか依頼ができない方は多くいらっしゃいます。
しかし、被害者自身では示談交渉が進まない、相手の提案が適切かどうかわからない、専門家の意見が聞きたい、でも金銭的に弁護士は厳しい、事も荒立てることもしたくない、とお困りになる方も少なくありません。
そういった方のために、ここでは、交通事故において、無料相談サポートをしてくれる機関についてご紹介いたします。
目次
1 交通事故の無料相談サポートができるところ
⑴全国でいくつかサポートを受けられる機関
交通事故の無料相談サポートを受けられる機関で全国展開している機関は【日弁連交通事故相談センター】と【交通事故紛争処理センター】の2つです。
①日弁連交通事故相談センター
日本弁護士連合会が設立している、日弁連交通事故相談センターは、自動車事故の損害賠償問題について、被害者救済を目的に早期解決を図ることを目指して設立された機関です。
無料で法律相談や示談あっせんをしており、公平かつ中立に交渉をサポートします。
全国統一のナビダイヤルで無料電話相談が可能であり、相談所が全国
に159か所あるため、相談者は非常に足が運びやすいです。
②交通事故紛争処理センター
交通事故紛争処理センターは、自動車事故の損害賠償問題にての紛争を、中立公正な立場から無料で解決のお手伝いをするADR機関(ADRとは、裁判手続きを行わない紛争解決方法のこと。「Alternative(代替的)」「Dispute(紛争)」「Resolution(解決)」の略)です。
センターには嘱託された弁護士が常時配置されており、当事者間の話を聞き、和解あっせんを行います。
各機関の利用ついて以下ご説明をしてまいります。
2 日弁連交通事故相談センター
日弁連交通事故相談センターには、相談できることと相談できないことがあります。
⑴相談できること
相談できる内容は、自賠責保険に加入することが義務とされている車両による、国内での、自動車・二輪車事故の民事関係の問題となっており、幅広く受け付けられています。
以下が具体的な相談できることです。
- ・そもそも損害賠償責任は発生するのか。
- ・過失割合について、どの割合が適切なのか。
- ・勤務中の事故であるが、対応はどのようにすべきか。
- ・加害者が任意保険に未加入の場合はどう対応すべきか。
- ・治療費を誰にいつどのように請求をしていけばいいのか。
- ・相手から提示された示談金が適正なのかどうか。
上記以外の場合も一度問い合わせてみると良いでしょう。
⑵相談できないこと
日弁連交通事故相談センターでは、刑事処分や行政処分については相談ができません。
すでに弁護士に依頼している場合は相談自体を受け付けてもらえません。
また、事故の当事者以外からの相談は受けていないと断られるケースもあります。ただし、事故の被害者が重症で相談ができる状況ではないといった場合、両親や四親等内の親族等、一定の親族の関係にあれば例外的に受け付けてくれることもあります。
相談回数の上限が決められています。同じ内容の相談が5回まで、場合によっては3回までとなります。上限を超えると相談自体を受け付けてもらえないこともあります。
⑶相談方法と時間
相談方法には、電話と面談があります。
①電話の場合
全国統一の無料相談ナビダイヤルが設定されています。
相談料は無料ですが、通話料金はかかるのでご注意ください。
相談時間は10分程度とされていますので、相談したい内容が多くある場合は、面談での相談をおすすめします。
交通事故の場合、事故の状況や、相手の対応など、説明することが多くあるため、なかなか電話では相談しきれないという面があります。
たとえば、相手から提示されている示談金の内容や過失の割合が適切かどうかといった相談内容の場合、弁護士が実際に書面や状況を細かく確認することができないことから、電話では詳しい回答が得ることが難しいです。
相談時間は、平日月曜日~金曜日(祝日を除く)の午前10時から午後4 時半までとなります。なお、毎月10日は午後7時まで相談時間を延長しています。10日が土曜日、日曜日、祝日であった場合は、休日明けの平日が延長日となります。
②面談の場合
直接弁護士と面談を希望する場合は、事前に各相談所に連絡をして面談の予約を取ります。
面談の場合の相談時間は、1回につき30分程度とされています。
なお、各相談所によって面談可能の曜日や時間は異なりますので、利用希望の相談所に直接問い合わせをするようにしましょう。
⑷準備しておくもの
面談時には、限られた時間でスムーズに相談をするためにも、下記のものを事前に準備しておくようにしましょう。
- ・交通事故証明書
- ・過失割合を相談する場合…事故状況を示す図面、現場・物損等の写真
- ・治療費関係、後遺障害について相談をする場合…診断書、診療報酬明細書、後遺障害診断書
- ・休業損害について相談する場合…事故前の収入を証明するもの(給与明細書、休業損害証明書、源泉徴収票・確定申告書の写し等)
- ・損害賠償額について相談する場合…相手方からの提出書類(賠償額の提示書等)
3 交通事故紛争処理センター
⑴場所
交通事故紛争処理センターは全国に11か所の窓口を設けています。
東京本部の他、札幌支部、仙台支部、名古屋支部、大阪支部、広島支部、高松支部、さらにさいたま相談室、金沢相談室、静岡相談室です。
被害者と加害者側の保険会社が事前に合意をしている場合を除き、基本的には【被害者の住所地】もしくは【事故現場住所地のセンター】が利用申し込みの相談所となります。
下記が各センターと該当地域です。
利用申込先 | 被害者(申立人)の住所地又は事故地 |
札幌支部 | 北海道 |
仙台支部 | 宮城県 青森県 岩手県 秋田県 山形県 福島県 |
東京本部 | 東京都 神奈川県 千葉県 山梨県 茨城県 |
さいたま相談室 | 埼玉県 群馬県 栃木県 長野県 新潟県 |
名古屋支部 | 愛知県 岐阜県 三重県 |
静岡相談室 | 静岡県 |
金沢相談室 | 石川県 富山県 福井県 |
大阪支部 | 大阪府 兵庫県 京都府 滋賀県 奈良県 和歌山県 |
広島支部 | 広島県 岡山県 山口県 鳥取県 島根県 |
高松支部 | 香川県 愛媛県 徳島県 高知県 |
福岡支部 | 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 沖縄県 |
例えば被害者の居住地、事故場所が兵庫県の場合、大阪支部が利用申込先になります。
⑵相談対象者
相談対象者は【被害者】、つまり損害賠償を請求する側となります。
被害者は、治療が終了し、後遺障害がある場合は、後遺障害等級認定手続きが、異議申立ても含み完了して、相手方の保険会社から損害賠償額が提示された後に、申し込みが可能となります。
注意しなければならないのが、交通事故紛争処理センターは下記の場合は利用ができません。
- ・自転車同士や自転車対歩行者の事故
- ・被害者が契約している保険会社との紛争
- ・後遺障害の等級認定に関する紛争
- ・すでに調停または訴訟が行われている場合
- ・すでにほかの紛争解決機関で手続きが進行している場合
- ・相手方の加害者が任意保険に未加入の場合
参考:交通事故紛争処理センターとは?詳しく知りたい方へご案内。
4 弁護士への無料相談は大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイへ。
無料相談サポートを受けることができる機関についてご説明をさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか?
こういった機関を利用することで、交通事故の当事者の方の負担を軽減していくことは非常に大切です。
少しでもこの記事が無料相談サポートを受ける一歩になれば幸いです。
なお、当事務所では交通事故問題において無料相談をお受けしております。
ご紹介をしたサポート機関ではなく弁護士にご依頼をしたいとご検討をされている方がいらっしゃいましたら、交通事故を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにぜひ一度ご相談ください。
このコラムの監修者
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太田 泰規(大阪弁護士会所属) 弁護士ドットコム登録
大阪の貝塚市出身。法律事務所ロイヤーズ・ハイのパートナー弁護士を務め、主に大阪エリア、堺、岸和田といった大阪の南エリアの弁護活動に注力。 過去、損害保険会社側の弁護士として数多くの交通事件に対応してきた経験から、保険会社との交渉に精通。 豊富な経験と実績で、数々の交通事故案件を解決に導く。