交通事故 交通事故基礎知識 被害者請求
2020.09.29 2024.04.25

交通事故の相手が自賠責保険のみの時、通院にどのくらいの金額をもらえるのか?

交通事故の相手が自賠責保険のみの時、通院にどのくらいの金額をもらえるのか?

交通事故の相手は選ぶことが出来ません。

もしも突然、交通事故の被害に遭った時、そして、相手が自賠責保険にしか加入していなかった時、被害者になってしまった方は、どのくらいの金額を受け取れることが出来るのでしょうか?

ここでは被害者の方が怪我をした場合、自賠責保険で受け取れる金額がどのくらいのものかをご説明させて頂きます。

交通事故で通院する場合に受け取れるお金

自賠責保険の支払い限度額

自動車損害賠償責任保険、通称自賠責保険は、車を運転する場合は、必ず加入をしければならないと法律にて義務付けられている、強制保険です。

この自賠責保険は、被害者の救済を目的としていますが、より多くの被害者の方を、公平かつ迅速に救済をするという考え方から、【最低限度の補償】とされ、支払い限度額が設定されています。

支払い限度額は以下の通りになります。

 

・傷害による損害 支払限度額 被害者1名に対して最大120万円

ここには、治療関係費用の他、書面作成時の文書料、休業損害、入通院(傷害)慰謝料が含まれます。

治療関係費用とは、診察費や手術費、検査費用、薬局代以外にも、通院にかかる交通費、近親者等の付き添いによる看護費(医師が看護の必要を認めた場合、もしくは被害者が12歳以下の場合)等があります。交通費については、自家用車を使用している場合は、ガソリン代(1㎞15円)で計算され、駐車場代についても領収書があれば請求が可能です。タクシーについても同じく領収書があれば請求可能ですが、必要かつ妥当な実費であると判断されなければ支払いはされないこともあります。

 

・後遺障害による損害…

①支払限度額 「神経系統の機能または精神」・「胸腹部臓器」のいずれか著しい損傷を残し、介護を要する後遺障害

被害者1名に対して常時介護を有する場合は最大4,000万円(第1級)

被害者1名に対して随時介護を有する場合は最大3,000万円(第2級)

②支払い限度額 上記①以外の後遺障害

被害者1名に対して、3,000万円(1級)~75万円(14級)

 

治療を一定期間継続して行っていたにも関わらず、被害者の方に後遺障害が残り、後遺障害の等級認定の申請の結果、後遺障害等級の認定が下りた場合は、先ほど述べた傷害部分とは別に、「後遺障害による損害」に対して支払いを受けることができます。

 

後遺障害等級は以下のように1級~14級あり、等級に応じて1人あたり75万円~4,000万円が支払われます。この内訳は、後遺障害が残ったことによる精神的な慰謝料と、後遺障害により被害者の方の労働能力が減少したことで、本来被害者の方に発生したはずの収入の減少分(逸失利益)となります。

後遺障害等級

支払上限額

第1級

3,000万円

第2級

2,590万円

第3級

2,219万円

第4級

1,889万円

第5級

1,574万円

第6級

1,296万円

第7級

1,051万円

第8級

819万円

第9級

616万円

第10級

461万円

第11級

331万円

第12級

224万円

第13級

139万円

第14級

75万円

 

 

・死亡による損害…支払限度額 被害者1名に対して最大3,000万円

死亡による損害は、通夜、祭壇、火葬、埋葬、墓石などの葬儀費用がまずあげられます。限度額は60万円とされており、この額を超える立証がある場合は、100万円の範囲内で必要かつ妥当な実費であると判断された場合において支払われます。ただし、葬儀費用の中に墓地や香典返し等は含まれません

※2020年4月1日以降の事故については、限度額100万円へ改正されています。

 

この他、被害者の方が死亡しなければ得るはずだった収入(逸失利益)から被害者の生活費を控除したものが請求対象となります。

 

慰謝料については以下の内容となります。

被害者の方が亡くなったケースでは、死亡をさせられた被害者の方の慰謝料だけでなく、遺族の方々にも慰謝料は支払われます。この場合の遺族とは、被害者の父母、配偶者、子があたります。

支払い内容

損害項目 内容 支払基準
死亡による慰謝料 被害者本人の慰謝料 350万円(※400万円)
遺族の慰謝料

※請求者(親、配偶者、子)の人数により金額は異なります。

請求者が

1名の場合:550万円

2名の場合:650万円

3名以上の場合:750万円

※被害者に被扶養者がいる場合においては、上記の金額に200万円が加算されます。

※2020年4月1日以降の事故の場合の新基準

自賠責保険が補償してくれる費用

自賠責保険が補償してくれる費用は上記であげさせていただいた、【人身損害】のみです。

【物損損害】は自賠責保険では補償をされないため、任意保険に加入をしていない場合は、加害者に直接請求する必要があります。

 

また、自賠責保険は「他人への傷害に対して補償する」ものです。そのため、被害者の方は、「加害者」の自賠責保険へ請求をし、補償を受けます。

 

つまり、自賠責保険が補償してくれない範囲は以下のものとなります。

・自動車や携行品などの「物に対する損害」

・自損事故といったように、自らが原因で自分の怪我に対する損害

 

そして、被害者の方が怪我をし、加害者の自賠責保険に請求する際に、被害者の方の過失が100%だった場合は、加害者側に責任がありませんので、補償はしてもらえません。

自賠責保険の入通院慰謝料

自賠責保険の慰謝料計算式

自賠責保険での入通院慰謝料を計算する際に必要となるのが、「日額」と

「入通院日数」です。

まず、日額ですがこれは自賠責保険で金額が定められており、1日あたり4,200円(※2020年4月1日以降の事故の場合は1日あたり4,300円)として、対象となる日数をかけて算出されます。

 

では、この「対象となる日数」はどうやって算出されるのでしょうか?

治療期間と実通院日数

対象となる日数、すなわち入通院日数は2通りの方法で算出され、計算した結果、少ない方の数字が採用されます。

 

・治療開始日から治療終了日(もしくは症状固定日)までの全日数(治療期間)

・実際に入院した期間と通院した実日数を足して2倍した数(実通院日数)

 

たとえば、2020年1月に事故に遭い、入院を10日間、通院を80日間、総治療期間が150日の被害者Aさんがいたとします。

このAさんの入通院日数は…

(10日+80日)×2=180日

180日>150日のため、治療期間の150日が採用されます。

 

よって、Aさんの自賠責保険にて支払われる慰謝料は…

4,200円×150日=630,000円となります。

自賠責保険の慰謝料請求

いつ請求するのか

自賠責保険への慰謝料の請求は、「すべての損害が確定した段階」となります。すべての損害が確定した段階というのは、完治(治癒)または、症状固定後のタイミングです。

 

症状固定とは「これ以上治療しても良くも悪くもならない状態、改善が見られない状態」をいいます。つまり、身体に後遺症が残ってしまった場合の状態をさします。

 

この状態の場合、多くの方が傷害部分の請求をする同時に、「後遺障害等級認定」の申請を行い、後遺障害慰謝料も合わせて請求をします。

なんらかの等級がおりて、後遺障害が認定されると、後遺障害部分の損害が被害者の方に支払われます。

いつごろ慰謝料がもらえるのか

自賠責保険へ傷害部分のみを請求した場合は、請求しておよそ1~2か月程で被害者の方は慰謝料、その他立て替えていた治療費や交通費を受け取ることが多いです。

 

ただし、後遺障害の等級認定の申請を同時に行った場合は、後遺障害の調査に2~3か月程かかりますので、傷害部分のみの請求をした時よりも遅くなるということは覚えておきましょう。

 

なお、仮渡金制度というものがあります。

これは事故の怪我の程度や被害者の方の収入によっては、治療期間が長く続くと、生活を圧迫することになることがあります。

 

そのような被害者の方を救済するためにあるのが、【仮渡金制度】です。

 

これは、正確な損害の確定前に、医師の診断書を基に、自賠責保険から一定の金額を受け取ることができます。

 

症状、状態

金額

1.死亡された場合 290万円
2.以下のいずれかの傷害を負った場合

・脊柱の骨折で脊髄を損傷したと認められる症状を有するもの

・上腕または前腕の骨折で合併症を有するもの

・大腿または下腿の骨折

・内臓の破裂で腹膜炎を併発したもの

・14日以上病院に入院することを要する傷害で、医師の治療を要する期間が30日以上のもの

 

 

40万円

3.以下のいずれかの傷害を負った場合(上記2を除く)

・脊柱の骨折

・上腕または前腕の骨折

・内臓の破裂

・病院に入院することを要する傷害で、医師の治療を要する期間が30日

・14日以上病院に入院することを要する傷害

 

 

20万円

4.医師の治療を11日以上要する傷害を負った場合(上記2.3を除く) 5万円

 

 

最終的に損害賠償金が確定した段階で、仮渡金の分は損害賠償金から精算されます。もし、仮渡金が損害賠償金を上回った場合は、被害者の方は差額分を自賠責保険へ返さなければなりません。同様に、加害者に損害賠償責任がない、と判断された場合においても、被害者の方は受け取った損害賠償金を返還しなければなりません。

 

また何度でも利用できる制度ではなく、1度のみしか請求ができません。請求のタイミングは被害者の方ご自身でよく検討することをおすすめします。

交通事故でお困りの方は、大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイへ!

相手が自賠責保険のみの場合において、自賠責保険から支払われる金額を中心にご説明をさせていただきました。

冒頭でもお伝えしたように、自賠責保険はあくまでも「最低限の補償」です。本来であれば、適正な損害賠償金との差額分は相手の任意の保険会社へ請求を行います。

しかし、自賠責保険のみにしか加入をしていない、もしくは何らかの理由で任意保険を使用したくない加害者との事故の場合は、加害者本人へ差額分を請求することとなります。

加害者本人へ被害者の方が請求することは非常に難しく、諦めてしまう方も少なくないでしょう。

しかし、相手が保険に入っていなかったという理由で、被害者の方が適正な損害賠償金を受け取れないことはあってはいけないと、当事務所は考えております。

相手が自賠責保険のみの場合は、大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイへまずはご相談ください。

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