交通事故 示談
2020.10.02 2024.04.25

交通事故で示談成立が遅い理由を知りたい

交通事故で示談成立が遅い理由を知りたい

交通事故に遭った被害者の方からよく伺うご希望の1つに「早く終わらせたい。」というものがあります。

しかし、実際は解決までには被害者の方が考えている以上に時間がかかります。ただでさえ、解決まで時間がかかるというストレスという中で、示談交渉がスムーズに進まないこともあり、さらなる精神的負担を被害者の方が抱えることもあります。

何故示談成立が遅くなるのでしょうか?

ここでは、交通事故の示談についての基本的な知識を紹介したうえで、示談交渉が進まない、示談成立が遅い理由についてご説明をさせていただきます。

示談成立が遅いと感じた時に確認すること

示談成立までの流れ

交通事故発生から示談成立までは、多くの場合、以下の流れで進みます。

①交通事故発生、事故直後の対応

交通事故に遭った場合、警察に必ず通報しましょう。警察への報告は法律上で義務として定めらており、これを怠ると罰則があります。また、警察により作成がされる「交通事故証明書」が発行できなくなる可能性があります。その結果、保険金請求ができなくなる可能性が非常に高いです。

通常は加害者が通報することになりますが、加害者によっては行政処分を避けたいがために通報を渋るケースもあるので、その際は被害者の方が通報するようにしましょう。

なお、警察が到着するまでの間に、加害者の氏名と連絡先、車のナンバーは控えておくことをおすすめします。また、現場の写真、車両の損傷具合も撮影できるようであれば行っておきましょう。のちに大きな証拠になる可能性もあります。

②治療

交通事故に遭った後は、必ず病院へ行きましょう。事故より日が空きすぎると、交通事故と怪我の因果関係が争点になることもありえます。最悪の場合、保険会社から一切の治療費を支払ってもらえないこともありえます。

特に追突事故の被害者の方がなりやすいむちうちは、事故当日から数日後に痛みや違和感を覚えることもあります。普段と違うと感じたら、すぐに病院へ行きましょう。

 

③完治または症状固定

治療については、医師によって怪我が完治(治癒)もしくは症状固定と判断されるまで、定期的かつ継続的に通院をするようにしましょう。

通院の期間や頻度については、最終的に示談交渉時に慰謝料の面で大きく影響します。

 

④後遺障害の等級認定

③の段階で症状固定と判断された場合は、多くの方が後遺障害等級認定の申請を行います。後遺障害等級認定は、症状固定から申請をし、等級の結果が出るまで、最低でも2~3ヶ月はかかることが多いです。怪我が重ければ重いほど申請の準備にも時間がかかり、かつ審査も時間がかかるため、半年以上もありえます。

結果が出て、後遺障害等級1~14級のいずれかが認定された場合、その等級に応じての損害賠償金を、相手の保険会社へ請求することとなります。

 

⑤示談交渉

完治もしくは後遺障害等級認定結果が出た段階で示談交渉を行います。どのような交通事故の場合でも、「すべての損害が確定した段階」で示談交渉を開始することが一般的です。

何故ならば、示談が成立した後に何かしらの損害が発生したとしても、示談内容を変更、取り消すことは原則できないからです。

なお、当事者間で過失割合に争いがある場合、示談交渉時に過失割合についても話を行います。

 

⑥示談成立

⑤の段階で話し合った内容について、被害者の方、加害者側の双方が同意した段階で示談成立となり、損害賠償金の支払い手続きに移ります。

 

なお、示談が成立しなかった場合は、訴訟を起こすか、調停やADR(裁判外の紛争解決手続き)に移ることとなり、判決や和解ができた場合において、損害賠償金を受け取ることができます。

 

被害者の方は、示談成立が遅いと感じたときは上記の流れを参考に、現状度の段階にいるのかを確認してみてください。その結果、何故そこまで時間がかかっているかわからない場合は、保険会社に連絡をしましょう。

示談金が振り込まれるまでの期間

示談成立後に損害賠償金の振り込み手続きに移ります。工程としては下記の3段階に分かれます。

 

①相手の保険会社が示談書作成し、被害者の方の手元に届くまでの期間。

基本的に保険会社は示談が成立してから示談書を作成します。そのため、被害者の方の手元に届くまでは1週間程度はかかると考えられます。長期休暇やお盆時期、年末年始前後の場合はさらに時間がかかることが見込まれます。

 

②届いた示談書の内容、金額に問題がないかを確認する期間。

先ほど述べたように、示談書を取り交わすと示談のやり直しは原則的に行えません。たとえ口頭で金額等を確認していても、内容に不備がある場合もあります。被害者の方は、氏名や住所、事故の日にちはもちろんのこと、金額についても問題がないかを確認しましょう。

問題がなければ、署名・捺印をして保険会社へ送り返します。

被害者の方次第とはなりますが、確認して相手の保険会社の手元に届くまでは数日は要します。

 

③相手の保険会社が入金の手続きを行い、振込完了。

示談書の内容に不備がなければ、保険会社はすぐに支払いの手続きを進めてくれます。早ければ保険会社に到着してから2~3日以内、平均的には1週間ほどで指定をした口座に振り込まれることになります。

 

以上の点から、示談金が振り込まれるまでの期間は最低でも示談成立より2週間はかかるといえます。

もしも一定期間待っても示談書が送られてこない、振込の確認が取れないといった場合は、保険会社に問い合わせをするようにしましょう。

示談には時効がある

交通事故の示談にも期限、つまり「時効」があります。時効が成立してしまうと、被害者の方は加害者に対しての損害賠償請求権を失うことになります。

交通事故の時効は以下のどちらかとなります。

 

①被害者が交通事故により加害者及び損害を知った時から【物的損害は3年】、【人身損害は5年】

②交通事故発生日より20年

 

ひき逃げの場合など、加害者がわからないといった事故のケースでは②が適用されます。それらを除く通常の事故であれば、①が基本的に適用されます。

先ほど示談の流れをご説明させていただいた際に述べましたが、示談交渉は、被害者の方の損害が確定していなければなりません。

そのため、重い後遺障害が残ってしまった場合、たとえば後遺障害の1つである高次脳機能障害などは、治療だけで2年ほどかかることがあり、さらにそこから後遺障害の等級申請を行い、結果を鑑みて示談交渉となると、時効がギリギリになることが想定されるでしょう。

 

しかし、実務上は、「加害者が債務を承認した=支払い義務を認めた」日に時効は更新される仕組みになっています。

つまり、加害者もしくは保険会社の支払いが継続している間は、時効の起算日が更新されて、新たな時効の期間が始まるということになります。

 

以下の中で、一番最後となる日から5年(または3年)が経過すると、被害者の方は加害者へ損害賠償を請求することができなくなります。

 

・治療費や休業損害、慰謝料の一部といった、被害者の損害賠償とされる一部を支払ったとき

・保険会社から金額の提示や支払い条件の提案などの通知があったとき

・損害賠償のことについて保険会社(ないしは加害者)と話をしたとき

 

時効については、起算日について争点になることもありますので、心配な方は弁護士に相談することをおすすめいたします。

示談成立が遅い理由

交通事故の示談成立が遅い理由は、事案によって異なりますが、代表的な例は以下となります

相手が任意保険に加入していない

相手が任意保険に加入していない場合、交渉相手が加害者本人となるため、問題が発生しやすく、示談成立が遅くなる傾向があります。

まず、任意保険に加入していない加害者は、経済的に余裕がないことが多いです。結果、損害賠償金を支払われないという事態になりかねません。

自賠責保険には加入している場合は、自賠責保険から一部の損害賠償金を回収することになります。しかし、自賠責保険から回収できるのはあくまでも最低限度の金額です。そのため、十分な損害賠償金とは言えないでしょう。また、自賠責保険への請求手続きは被害者の方が行わなければいけませんので、慣れない手続きに時間がかかります。

最終的に、補填できない部分を加害者に請求し、分割で支払う約束を取り交わしたとしても、完済される可能性は極めて低いです。

また、加害者の中には「自分こそ被害者だ。」と主張し、加害者である自覚ない場合もあります。他にも、問題をうやむやにし、連絡が取れなくなる加害者もいます。結果示談成立が遅くなるどころか、問題が解決しないままになることもあります。こういった相手に対して、交通事故の示談交渉を行うことは個人の力では限界があります。

このような事案は、必ず弁護士に相談をするようにしましょう。

人身事故だと時間がかかる

人身事故の場合、被害者の方の怪我が完治もしくは症状固定となるまでは、被害者の方の損害が確定しない為、示談交渉を始めることができません。その結果、示談成立は遅くなります。

特に、むちうちなど自覚症状が無くならず、通院が長期化する場合や、後遺障害の等級を申請する場合は、結果が出るまでは行うことができないため、遅くなる代表的な事案です。

それに対して物損事故は、人身事故に比べて示談成立までの時間がかかりません。物損事故の場合、慰謝料も発生しませんし、被害者の方も怪我をしていないため、車の修理費など損害が確定すること早いからです。物の損害の規模にもよりますが、多くの場合は、交通事故発生から1~2か月以内で示談するケースがほとんどです。

過失割合や示談金額で揉めるケースがある

保険会社が示談交渉相手でも示談成立が遅くなることは少なくありません。

保険会社は営利企業です。会社の利益のために、被害者の方に支払う金額を減らすことを目的に行動をします。その結果、保険会社から提示される損害賠償金が、自賠責基準という最も低い基準で提示され、不当に低い金額で被害者の方に示談交渉を進めてくることもあります。

被害者の方は、低い金額だと気づき、保険会社に主張したとしても「これが当社でお支払いできる最大限の金額です。」と言われ、酷いケースでは、裁判を勧められることもありえます。

結果、被害者の方は示談をしたくないが、裁判は長期化することから泣く泣く示談に応じるか、そのまま放置をしてしまうこともあります。

放置をすることは相手の保険会社の思うつぼです。なぜなら時効が成立すれば、保険会社は支払わなくて済むからです。

 

また、損害賠償金を決めていくうえで、過失割合も非常に重要な要素の1つです。過失割合は、加害者の過失が減れば減るほど、保険会社の支払う損害賠償金は減ることになります。よって、保険会社は被害者の大きく過失があるように主張をする場合もあります。

特に事故状況が双方で食い違っている場合、妥協点が見いだせず、示談交渉は難航し、示談成立は遅くなります。

 

なお、先ほど物損事故は人身事故に比べて示談成立が早いとご説明をさせていただきましたが、過失割合を争う場合は、同様に示談成立は遅くなります。

弁護士に依頼すれば示談が早く成立する

弁護士に依頼し、交通事故の示談交渉を任せたとしても、示談までの成立期間は事案によります。

特に後遺障害については、等級が認定された場合、損害額は数百万円増額することもあり、保険会社は支払いを渋るため示談に時間がかかります。

また後遺障害等級の認定結果に被害者の方が納得いかなければ、異議申し立てをし、再度調査を行うこともあります。その場合は、最初に出た認定結果後からさらに2~3ヶ月は示談交渉開始までかかることになります。

しかし、弁護士が示談交渉に介入すると、法的根拠、医学的根拠を基に、必要な部分を押さえたうえで進めていくため、余計な話をすることもないことから、開始からはさほど長くはかからず、おおよそ2~3ヶ月以内で終わることが多いです。

もしも、加害者の保険会社が支払いを拒否しても、合理的な根拠がなければ、弁護士は反論をし、被害者の方が適正な損害賠償額を受け取るために交渉を続けます。

なお、弁護士が示談交渉を行う場合の流れは以下の通りになります。

①治療が終わり次第、被害者の方の損害資料(治療関係資料、入通院交通費明細書、物損資料、休業損害証明書など)を保険会社より取り付ける。

②資料が揃い次第、裁判所基準(慰謝料を含む損害賠償金の算定基準で最も高い基準)で計算をし、保険会社へ示談案の提示をする。

③弁護士の提示から、早い場合は1週間以内、遅くとも2週間を目安に保険会社より示談案に対する回答がなされる。その回答を踏まえて、電話ないしは書面等で交渉を続ける。

④交渉結果に被害者の方が納得した場合、示談が成立し、入金までの手続きを弁護士で行う。

なお、示談交渉が被害者の方本人と加害者側の保険会社で始まっていたとしても、示談が成立していない限りは弁護士を入れることは可能です。

弁護士が入れば、保険会社が示談を放置して時間が経過するということはありません。また、相手の保険会社が不快な物言いをしても、感情的にはならず、冷静に話を進めることで迅速に示談成立まで進めていきます。

示談成立に時間がかかっている場合や、遅いと感じたら、示談を成立させる前に、弁護士に相談するようにしましょう。

示談交渉は大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

示談交渉が進まない、遅い理由についてご説明をさせていただきました。

この他にも、保険会社の対応が悪い、連絡がないといった理由で示談交渉が進まないといったケースも少なくありません。

被害者の方には交通事故に遭ったというストレスに加えて、示談が進まないという精神的負担が増えることとなります。

そのようなストレスを抱える前に弁護士に相談をしてみましょう。

弁護士に依頼をすると、被害者の方が加害者側に誤った対応を取らずにすむため、損をしないという大きなメリットもあります。

また、弁護士は100%被害者の方の味方です。

過失割合は被害者の方が有利となる裁判例を基に交渉を進めます。また、損害賠償金も裁判所基準で交渉することによって、被害者の方本人で交渉をするよりも増額する可能性が高くなります。

示談交渉が進まない場合、原因は様々ですが、交通事故問題に強い弁護士に依頼をすることで、これらのトラブルのほとんどは解決するでしょう。

示談交渉が進まずお困りの方は、交通事故を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

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