交通事故 加害者 弁護士相談
2020.07.28 2024.05.30

交通事故時の加害者による弁護士特約の使い方を知りたい。

交通事故時の加害者による弁護士特約の使い方を知りたい。

皆様はご自身の自動車保険にどんな特約が付いているか把握をされておりますでしょうか?もし、自身がない方がいらっしゃいましたら、【弁護士特約】という特約をつけているかどうか確認をしてみることをおすすめします。

交通事故は日常で誰しもが被害者にも、加害者にもなりえます。その時に当事者にとって非常にメリットがある特約【弁護士特約】といいます。ここでは、弁護士特約を加害者が使用する場合を中心にご説明をいたします。

関連記事:弁護士特約を付けてなかった場合、弁護士を利用すべきかどうかを知りたい!

1 弁護士特約とはどういった特約?

⑴弁護士特約とは

弁護士特約とは、交通事故問題においてのトラブルのため相談・依頼をした弁護士の費用をある一定金額まで保険会社が支払うという特約です。

主に自動車保険にて付けることができるものですが、火災保険やクレジットカードの保険にもついていることがあります。弁護士特約を利用することで事故の当事者は、弁護士費用については心配せずに安心して示談成立まで弁護士に任せることができます。

⑵弁護士特約を使う場合の条件

弁護士特約は、よく「100%被害者でなければ使えない」と思われていることがありますが、被害者側に過失の割合があったとしても、使用は可能です。基本的には、下記のような、被害者に重大な過失がなければ使用は可能となります。

  • ・無免許運転、居眠り運転、飲酒運転、薬物を使用しての運転
  • ・自殺行為や、本人の犯罪行為によって事故が起きた場合
  • ・同居の親族や配偶者に対する損害賠償請求
  • ・被害者自身の車両不足(欠陥や腐しょく、さび等)
  • ・自動車事故とは関係のない日常での事故
  • ・台風や津波、地震など自然災害による事故

また、特約を契約している自動車以外の事故でも使えます。たとえば、バスやタクシー、友人の車に乗っている時や自転車や歩行者の時も使用できます。

弁護士特約の使用対象者は、被保険者だけでなく、被保険者の配偶者、被保険者または配偶者の同居の親族や子供、別居であれば未婚の子どもにも使用できます。

他にも、契約自動車に搭乗をしていた友人や知人、自動車の交通事故についてのみとはなりますが、契約自動車の所有者も使用できます。もし、事故の当事者になってしまった時、自身の自動車保険には特約をつけていなかったとしても、家族の方が付けていないかどうかを確認してみましょう。

2 交通事故の加害者は弁護士特約を使えない?

⑴弁護士特約の確認

弁護士特約を使用したい場合は、まず保険証券を確認しましょう。特約をつけているか否かがわかります。特約をつけているとわかったら、次に、加入している保険会社に連絡をして使用の同意を得ましょう。基本的に約定上で同意を得なければ使用できないとなっている保険会社がほとんどです。

⑵加害者の特約利用可否

では、加害者は弁護士特約を使用できるのでしょうか?

交通事故の加害者であっても、過失が被害者側にもある場合、弁護士特約は使用できる可能性はあります。加害者が弁護士特約を利用できない場合は、以下の2点です。

①加害者の損害賠償を請求することではなく、被害者からの請求を減額するため
②加害者側に過失が100%ある

なぜ弁護士特約を利用できないかというと、弁護士特約は民事事件の上で、相手に損害賠償を請求する際にかかる弁護士費用を補償する特約であるからです。①の場合は減額交渉、②の場合は請求するものがないから使用ができないのです。

なお、被害者が死亡したり、加害者に重大な過失(飲酒運転や無免許運転等)があったりした場合、加害者は刑事責任を問われます。この場合、被害者対加害者の図式である民事事件とは異なり、捜査機関(検察)対加害者となります。刑事事件での弁護活動に必要な弁護士費用は、弁護士特約では基本的に対象外です。

⑶過去の加害者の弁護士特約利用事例

具体的な例を上げると、交通事故にて加害者Aさんに過失が70%、被害者Bさんに過失が30%あるとします。そうすると、加害者Aさんは30%分の被害を被った側となりますので、被害者Bさんに30%分の損害賠償を請求することができます。

そして、その30%分を請求するために弁護士に相談・依頼をした場合は弁護士特約を利用することができます

3 弁護士特約利用のケースは

⑴使用できる範囲

弁護士特約は基本的に使用できる範囲が広いです。先にも述べたように、自動車事故だけでなく、歩行中や自転車に乗っていた時の事故にも使えます。使用範囲が広いのであれば、加害者側も使用できる可能性は十分にありえますので、交通事故の被害者はもちろんのこと、加害者になってしまった場合でも、弁護士特約の使用範囲を確認したうえで、保険会社に問い合わせてみましょう。

ここで、弁護士特約を利用することで当事者に大きなメリットがある事故のケースを1つ紹介します。

それは【小さな事故】です。例えば、怪我がなく物損だけの事故や軽傷の怪我の事故です。この場合、弁護士特約を使用せずに弁護士に依頼をした場合は、弁護士費用の方が高額になる場合がほとんどのため、弁護士へ依頼しないことが一般的です。しかし、弁護士特約を使用することができれば、費用面を気にせずに済みますので、弁護士に依頼し、加害者側も自身が被った分の損害を被害者に請求できます。

加害者側は弁護士特約を使用できる範囲が多少制限されますが、互いに過失がある場合は、使用することをおすすめします。

⑵限度額

弁護士特約には各保険会社で限度額が定められています。多くの保険会社では下記の内容を限度額としています。

①法律相談料

1つの交通事故につき、1人10万円までが限度額です。弁護士だけでなく、行政書士への書類作成費用の他、司法書士への相談料も補償対象となります。

②弁護士依頼関係費用

1つの交通事故につき、1人300万円までが限度額です。ここには、弁護士への着手金や報酬金、実費、日当、裁判関係費用、仲裁・和解・調停費用が補償対象です。

なお、交通事故で多い、むちうちなどの場合において、弁護士費用が300万円を超えることはありません。300万円を超えてくるケースで想定できるものは、被害者が死亡した場合、被害者に重度の障害が残った場合といった限られた場合になりますので、そこまで多くはありません。

なお、万が一300万円を超えた場合は自己負担となりますが、300万円を超えるほどの大きな事故の場合、損害賠償金が被害者本人(ないしは相続人)で示談をするよりも、弁護士が入ることにより、数百万~数千万円単位での増額が見込めるので、自己負担分が発生したとしても弁護士に依頼する方が被害者側にはメリットとなります。

4 まとめ

弁護士特約は各保険会社に設けられてはいますが、比較的新しい制度であり、加入者は増えてはいるものの、使用はまだまだ少ないと言われています。弁護士特約を使い、弁護士に依頼をすると、費用面の心配はなく当事者の精神的負担、身体的負担は大幅に軽減されます。

まずは被害者、加害者どちらの立場であっても弁護士特約を保険会社に確認してみましょう。弁護士特約を利用できるのであれば、利用するほうが当事者にとっては非常にプラスに働きます。

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