交通事故 慰謝料 示談
2020.08.19 2024.06.13

交通事故の示談金の相場を知りたい。

交通事故の示談金の相場を知りたい。

交通事故の示談金は被害者の怪我の程度や治療の期間等によって大きく左右されます。

では、その示談金はどのように計算されるのでしょうか?

ここでは、損害賠償はどのような基準で計算されるのかを中心に、示談金の相場についてご説明をいたします。

1 交通事故の示談金の相場

⑴示談金の相場は慰謝料で決まる

まず、示談金には一律の相場はありません。

何故ならば、交通事故の示談金は、事故の態様や被害者の怪我・後遺障害の程度、過失の割合など様々な要因を基に決まります。

しかし、多くの場合、慰謝料が示談金の大きな割合を占めること、また慰謝料は算定基準が決まっていますので、相場は慰謝料で判断できるとも言えます。

⑵示談金と慰謝料の違い

そもそも、交通事故の損害賠償の請求というと、「示談金」や「慰謝料」という言葉を目にするかと思います。示談金=慰謝料とお考えの方もいらっしゃいますが、実は少し違います。

この2つの違いを皆様ご存じでしょうか?

まず、示談金は、裁判所を介入せず、被害者と加害者の当事者同士で交通事故の紛争を解決する「示談」において、双方が合意した際に支払われる金額のすべてを指します。

対する慰謝料は、交通事故の被害を受けたことによる精神的な苦痛を金銭的に償ってもらうものです。

この慰謝料には、3つの種類があります。

入通院慰謝料交通事故により被害者が受傷し、入通院を余儀なくされた被害者の受けた精神的苦痛に対する賠償金をいいます。
後遺障害慰謝料交通事故により被害者が受傷、さらに治療を続けたものの、痛みが残存し、後遺障害であると第三者機関に判断された際に、後遺障害が残ってしまった精神的な損害を賠償するものです。
死亡による慰謝料交通事故により被害者がお亡くなりになった場合、死亡させられたことに対する賠償を死亡による慰謝料として請求することができます。また被害者の遺族にも、被害者を失ったという精神的苦痛が生じていますので、独自の慰謝料請求権が認められます。

いずれの場合も、すべて精神的、肉体的な苦痛に対して支払われる金銭のみを指します。

つまり、示談金には、治療費や通院の交通費、休業損害、物損の場合だと車両の所有者など様々な金銭が含まれていますが、実は、慰謝料も示談金の中の1つとなります。

参考:慰謝料と示談金の違いについて知りたい。

2 慰謝料の相場

⑴慰謝料計算の3つの基準

慰謝料を計算するには3つの基準があります。

①自賠責保険基準
②任意保険基準
③裁判所基準

最も低い基準を自賠責保険基準、そして、最も高い基準に裁判所基準、その間に任意保険基準があります。

各基準の概要と慰謝料計算方法を見てみましょう。

※ここでの慰謝料は入通院慰謝料となります。

①自賠責保険基準

強制保険である自動車賠償責任保険、通称自賠責保険で定められている計算基準です。より多くの被害者を平等に救うという観点から補償の限度額が定められており、そのため保険金の基準では最低限度とされ、計算基準では一番低いものとなります。

慰謝料の計算方法は以下となります。

1日あたり4,200円×入通院日数
※2020年4月1日以降の事故の場合は1日あたり4,300円

入通院日数は、下記(ア)、(イ)の少ない方の数字を取られます。

(ア)実際に入院した期間と通院をした実日数を足して2倍
(イ)総治療期間

たとえば…

入院期間30日、通院実日数40日、総治療期間が100日の場合

(30日+40日)×2=140日

140日>100日 のため、総治療期間の100日が採用されます。

入院期間30日、通院実日数20日、総治療期間が120日の場合

(30日+20日)×2=100日

100日<120日 のため、入院期間と通院実日数を足して2倍した方が採用されます。

②任意保険基準

自賠責保険が強制保険であると対象に、任意で加入するか否か決められる任意保険があります。その任意保険で利用されている任意保険基準ですが、実は計算方法は明確にはなっておりません。

各保険会社が独自で過去の実績、データを用いて損害賠償額を算出しています。よって、自賠責保険基準よりも高くなるとされていますが、実際は自賠責保険基準より少し高いか、もしくは同等の時もあります。

③裁判所基準

裁判所基準は、弁護士基準とも呼ばれ、交通事故の過去の判例から算出された基準です。よってこの基準は「最も適正な損害賠償金を算出できる基準」とされております。

「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(通称赤い本)」を参考に、2つの表を怪我の程度に合わせて使い分けます。

裁判所基準は通院の日数ではなく、入通院期間が基本となります。

むちうちなど他覚的所見がない場合に使用(損害賠償額算定基準:別表Ⅱ)

万円(単位)入院1ヶ月2ヶ月3ヶ月4ヶ月5ヶ月6ヶ月7ヶ月8ヶ月
通院 356692116135152165176
1ヶ月195283106128145160171182
2ヶ月366997118138153166177186
3ヶ月5383109128146159172181190
4ヶ月6795119136152165176185192
5ヶ月79105127142158169180187193
6ヶ月89113133148162173182188194
7ヶ月97119139152166174183189195
8ヶ月103125143156168175184190196

その他の怪我の場合の傷害部分の慰謝料基準表(損害賠償額算定基準:別表Ⅰ)

万円(単位)入院1ヶ月2ヶ月3ヶ月4ヶ月5ヶ月6ヶ月7ヶ月8ヶ月
通院 53101145184217244266284
1ヶ月2877122162199228252274291
2ヶ月5298139177210236260281297
3ヶ月73115154188218244267287302
4ヶ月90130165196226251273292306
5ヶ月105141173204233257278296310
6ヶ月116149181211239262282300314
7ヶ月124157188217244266286304316
8ヶ月132164194222248270290306318

たとえば、別表Ⅰにおいて、入院が4ヶ月間で完治した場合は184万円が慰謝料となります。

入院はなく、通院のみで4ヶ月間で完治した場合は、90万円となります。

入院の後に通院があった場合は、表上にて該当する月数が交差したところとなります。

たとえば、入院4ケ月、通院4ヶ月の場合は226万円が慰謝料となります。

さて、一見すると、裁判所基準で請求すればいいのではと考えられる方も多いのではないでしょうか?

しかし、実際、裁判所基準で被害者本人が計算をし、相手の保険会社に提示をしたとしても、受け入れられることはほぼありません。何故ならば、この裁判所基準には、法的拘束力がないのです。

そのため被害者が裁判所基準で請求を加害者の保険会社(ないしは加害者自身)に行っても示談が成立することは難しいです。

裁判所基準で請求する方法はただ一つ、「弁護士に委任する」ことだけです。

⑵慰謝料が増減するケース

慰謝料の算定基準を紹介させていただきましたが、慰謝料には事案によって増減することがあります。個々の事案によって適正な金額が判断されます。なお、増額の場合は弁護士に依頼することによってよりその可能性が高くなります。

①増額するケース

以下の3つの判断基準のいずれかが満たされていた場合、慰謝料は増額する可能性が高くなります。

(ア)被害者の精神的苦痛が通常の交通事故の場合に比べ、極めて大きいと判断される場合。
(イ)他の損害項目に入らないものを慰謝料としてくみ取る場合。
(ウ)特別な事情を被害者が持つ場合。
(ア)被害者の精神的苦痛が通常の交通事故の場合に比べ、極めて大きいと判断される場合。

事故後の被害者に対する加害者の態度や過失の大きさにより、被害者の精神的苦痛が増額されるケースです。

加害者の態度という例でわかりやすいのは、ひき逃げであったり、その場で救護しないといったりしたものです。

他にも、加害者にも関わらず、謝罪なく被害者に責任転嫁をする発言や罵倒するなどがあります。

加害者の過失については、飲酒運転や居眠り、無免許の他、大幅な法定速度無視、信号無視が該当します。

(イ)他の損害項目に入らないものを慰謝料としてくみ取る場合。

例えば、接客業の女性の外貌醜状が残った場合や歯牙傷害があります。他にも、本来怪我をしなければ得るはずだった収入、いわゆる逸失利益ですが、生殖機能や嗅覚に障害が残った場合、後遺障害が認定されたとしても、収入は影響しないため算定が難しいです。

そういった場合に、慰謝料を増額することで裁判所は損害賠償金のバランスを調整することがあります。

(ウ)特別な事情を被害者が持つ場合。

例えば事故の怪我により、流産や人工妊娠中絶しなければいけなくなった、または婚約破棄になった場合があります。

また、将来、体育教師になる夢が、事故の怪我によりできなくなった場合があります。こういった、特別な事情を類型化することは難しいのですが、被害者に何らかの特別な事情があった場合は、裁判所は認定する可能性はあります。

②減額するケース

慰謝料が減額される代表例は以下の3つです。

(ア)損益相殺
(イ)過失相殺
(ウ)素因減額
 (ア)損益相殺

被害者が交通事故により何らかの金銭的な利益を得た場合、その分は減額の対象と考えられます。

たとえば、労災の保険金や厚生年金で給付金を受け取った場合が挙げられます。

 (イ)過失相殺

被害者に過失がある場合は、その割合分が減額対象となります。

たとえば、被害者の過失が30%、加害者の過失が70%であった場合、損害賠償額が100万円で提示された際には、被害者は過失の30%分が減額された70万円を示談金として受け取ることができます。

被害者の過失相殺による減額を減らすためには、自身の過失割合を小さくすることが重要となります。

 (ウ)素因減額

被害者の方に、交通事故に遭う前から身体的、精神的に持病=既往症があり、さらに同じ個所を事故でさらに痛めた、もしくは悪化した場合は、損害賠償金が減額となる可能性が非常に高いです。

被害者側に損害を拡大する要素があったという点から、賠償金額が減額となり、損害を公平に分担しよう、という考え方です。

3 示談金を増やす方法

⑴示談金の内訳

慰謝料は示談金の中の1つと先ほどご説明をさせていただきましたが、他にどういった項目があるのかはご存じでしょうか?

慰謝料を含め、代表的なものについてご紹介させていただきます。

【示談金の内訳:内容】

  • ・慰謝料:精神的な苦痛に対して支払われる金額。
  • ・治療費・入院費:診察や検査、手術等の治療にかかる費用。入院の諸雑費も含まれる。
  • ・通院交通費:通院にかかった交通費や駐車場代。
  • ・付添看護費:入通院において付添が必要だと医師が認めた場合、もしくは12歳以下の子供が被害者で付添が必要だった場合の費用。
  • ・装具等費用代:義肢や車椅子など、治療や後遺障害で必要となった費用。
  • ・家屋等改造費:後遺障害により自宅のバリアフリー化が必要となった際の費用。
  • ・休業損害:交通事故の怪我により、本来得るはずだった収入の減収分。
  • ・逸失利益:交通事故がなければ得られるはずだった将来の経済的な利益。
  • ・葬儀関係費用:被害者が死亡した際の、葬儀に関係する費用。
  • ・車両修理費:車両(バイクや自転車含む)の修理にかかった費用。
  • ・物損費用:交通事故が原因で破損したものの買替、もしくは修理費用。 

⑵弁護士に相談するメリット

交通事故に遭ったら、早期の段階で弁護士に相談をすることが大切です。

弁護士に相談・依頼をするメリットは以下の4つとされます。

①示談金の請求項目に漏れがない。
②被害者とってストレスとなる示談交渉を代わりに行ってくれる。
③通院の方法、治療期間、後遺障害の等級認定申請についてアドバイスをくれる。
④慰謝料が増額する可能性が高い。

①示談金の請求項目に漏れがない。

示談金の請求項目には、様々なものがあります。先ほどいくつかご紹介させていただきましたが、あくまで代表的なものとなります。

そのため、事案によっては非常に請求するものが細分化されることもあります。

一方で、交通事故の被害者は多くの方が、初めて経験する示談交渉です。そのため、被害者本人では示談金の項目にたとえ漏れがあったとしても、気づかない可能性があります。

しかし、弁護士に相談・依頼をすることで、どんなものが請求可能かを漏れなく対応してくれます。その結果、被害者が損することはありません。

②被害者とってストレスとなる示談交渉を代わりに行ってくれる。

多くの被害者の方が弁護士に相談をするときにおっしゃっているのが「保険会社の対応が悪い。」です。

保険会社は営利企業です。そのため、被害者にできる限りお金を払いたくないと考えます。その結果、保険会社は被害者に対して、わざと高圧的な態度を取り、早く損害賠償期間を終わらせ、示談を強引に進めようとします。

しかし、弁護士に依頼をすれば、被害者の代わりに弁護士が保険会社との交渉の窓口となってくれます。

被害者には保険会社から連絡が入ることはありませんので、ストレスがなく安心して、治療に専念し、示談交渉を任せることができます。

③通院の方法、治療期間、後遺障害の等級認定申請についてアドバイスをくれる。

交通事故の示談金は治療期間や治療の内容が大きく影響します。

たとえば、何らかの事情で長く治療期間が空いてしまった場合、交通事故との因果関係がないとされ、保険会社より治療が打ち切られることがあります。

しかし、弁護士に依頼をしていればそういった心配はありません。

交通事故問題について強い弁護士であれば医学的知識だけでなく、適正な通院の方法や治療期間についてアドバイスも行ってもらえます。

④慰謝料が増額する可能性が高い。

弁護士に依頼をすると、慰謝料を含めすべてが裁判所基準で計算がされるため、保険会社が提示する任意保険基準や自賠責保険基準よりも高い金額での交渉ベースとなります。

また、保険会社は何よりも裁判になることを嫌がります。なぜならば、裁判になった場合、適正な金額である示談金だけでなく、保険会社の代理人の弁護士費用の支払いも発生、加えて、長期化することになることとなります。

それにより、保険会社は何としてでも示談交渉段階で示談を成立させたいことから、示談金を上げてくる可能性が高くなります。

つまり、弁護士に依頼をすると必然的に損害賠償金は増額する可能性が上がる仕組みになっているのです。

4 示談金の相場についてもっと知りたい方は、大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイへ

示談金の相場について、ご説明をさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか?

先ほども述べましたが、弁護士に依頼するだけで、慰謝料は裁判所基準にて算定されるため、示談金は自動的に増額の可能性があります。

相手の示談提案内容が妥当なのかどうか疑問に思った時や、金額が低額なのでは?と感じた場合は、ほとんどの場合が、不当な金額であり、また金額は自賠責保険基準か任意保険基準を基に計算をされています。

その感覚を信じて、一度弁護士に相談してみることをおすすめします。

このコラムの監修者

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