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業務上横領が発覚した場合の流れ

人から預かり会社の資金となっているお金を着服する行為は、業務上横領となります。
業務上横領というのは罪に問われる可能性が高く、有罪となると10年以下の懲役刑が科せられるようになっているのです。

万一社員が横領をしていた事実を知った場合、経営者となる私たちはどういった対処を行えばいいのでしょうか?

今回は、業務上横領が発覚した時の対処の流れについてご紹介していきます。

目次

業務上横領は多くの危険を招く犯罪

業務上横領は金品を着服されるが故に、そのまま放置するとますます多くの横領を行われる可能性が挙げられます。会社の経営に多大な影響を及ぼし、数年後には信頼も失うほどの危険かつ迷惑極まりない行為です。

そんな犯罪行為があるかもしれないと気付いた場合には、いち早く問題解決に勤しむべきだと言えます。ただ、人によっては以下のような疑問を抱える人もいます。

  • もしかしたら間違いで算出金額が合わなかっただけかもしれない
  • あの人に限って横領なんてするわけがない
  • 横領が起こった事実を受け止められない

このような悩みや不安を抱える人は少なくありません。会社を常日頃支えてくれている社員に恩を感じる経営者であればなおさらでしょう。

しかし、社員は間違ってことをしていないという心情を持ったままでは、危険な問題を解決できるはずもありません。一度優しい感情は捨てて、会社のために心を鬼にして横領問題へと立ち向かいましょう。

横領されたら確認しておきたい2つのこと

刑法第253条にあてはまる業務上横領は刑事事件となります。

立件するためには警察へ届け出しなければいけないのですが、その際に誰がどのような金品を横領したのかという事実や証拠が必要になってしまうのです。

横領が事実かどうか曖昧であると、発覚した本人に事の事実を突きつけるのが難しくもなり捜査は難航します。

事実が曖昧で先へと進めない状態を脱却するためには、3つの確認すべき項目があるのです。

横領されたものは会社が所有しているものであるという事実

横領は会社にあるもの全てを盗んだとしても罪にはなりません。人によっては私物で持ち込んでいるものもあり、その私物を売って儲けが出たとしても犯罪には当たらないのです。

会社のものか私物かの線引きが曖昧であると、横領される確率は高くなります。

会社の許可を得ることなく、ものがなくなったり、会社で管理している会社の銀行口座からお金が減っていたり、さらには必要経費を誤魔化しているのが発覚したとなったら横領していることが疑われます。

これらを発見したら横領として証明できる事実を残しておきましょう。

横領の立証に必要な犯人の証拠

横領問題では犯人を探し出し、今後二度と同じことを起こさせないためにも犯人には正しい処罰を受けさせる必要があります。

処罰を下すためにはその人が犯人である可能性があるという事実も必要です。

犯人の立証で役立ってくる証拠としては、社員が業務上横領をほのめかす発言の音声記録や、会社から金品を盗みだす映像を記録したデータ、他の社員が横領している姿を見たという発言、機長やパソコンデータの改ざん履歴、お金が送金されていたことが分かる通帳記載などがあります。

しかしこれらがない場合でも、犯人だと疑われる人物がいきなり一括返済した事実や、車や物件の購入を行った行為があれば、横領を裏付けに関連するものとして証拠に役立ってくるのです。

少しでも横領に関連してくる話や出来事があった場合は、発言内容や時間をメモするようにしましょう。

事実を一つひとつ確認

横領事例の大半はいきなり大金を着服するようなものにはなっていません。ほとんどの場合が小さな着服から始まっています。

そのため、大きな横領が発覚したとしても、それ以前に着服されている可能性が高いのです。
横領問題を片端から片付けていくには小さな横領にもきちんと目を付け、証拠につながる事実を確認していくことが必要です。

小さな横領事件の証拠や証言もコツコツと集めていき、重大視している大きな横領問題の解決に備えていきましょう。

横領は犯罪解決のプロに相談するべし

証拠がいくつか上がって犯人が浮上してきた場合には、誰の力も借りることなく自身だけで解決する人もいます。

しかし、問題解決に協力してくれる人は多ければ多いほど有利です。

万一証拠を集めていることを犯人に感づかれてしまうと、相手が言い逃れできるように証拠を隠滅する可能性が高くなります。

そういった場合、横領の事実を知っている人物が自分自身しかいないと、何も解決へと進んでいきません。

横領されていると気付いたのならば早めに手立てを打っておきましょう。手立てとしては警察や探偵、弁護士に相談することが挙げられます。

プロに相談することで、犯人に逃げられるリスクや、再び横領が行われるリスクを、最小限に食い止めることができます。

特に弁護士は法に基づいて様々なことを精査し、罪の立証後も多くの場面で役立ってきます。

横領問題解決の流れについて

続いては、業務上横領が発覚した時の問題解決の流れについて、ご紹介していきます。

1.弁護士に相談

横領の捜査についてはまず、警察や弁護士といったプロに相談するのが先決です。すでに持っている証拠や事実からどう動くべきなのかが分かります。

既に犯人があらかた予想できる場合には注意が必要です。いきなり呼び出してしまうことは、逆効果となってしまうからです。

社員が行方不明になる可能性が出てくるため、事件の立証が不可能になってしまいます。
犯人らしき人物との関りは、いつも通りを意識して悟られることないよう慎重に接触していきましょう。

2.とにかく証拠を集めよう

事実の立証にはとにかく証拠が重要になってきます。形として残る証拠は全て記録するような勢いで、少しでも疑わしい雰囲気を感じたものは書庫として保存・保管すべきです。
特に証拠集めのプロである探偵は、大いに役立ってきます。

3.警察や弁護士に介入してもらい犯人に横領を突き詰める

証拠が十分に集まったら、ここでようやく警察や弁護士の本格的な出番となります。事前に相談していた警察や弁護士に同行してもらうと犯人を取り押さえられる他、人数有利と法に強いおかげで不安に思う必要もありません。

また、突き詰める前には示談で済ませるのか、刑事告訴を行ったり、給料減額や地方転勤などの処分で済ませたりと、ある程度処罰の方向性を決めておくと、最終的な結論をその場で犯人に言い渡せます。

行うべき処罰の結論がしっかりしていると、犯人との話し合いの最中に相手の意見に惑わされることが少なくなります。弁護士に同席してもらうと話し合いの内容を公正証書にまとめることも行ってくれるため、万一裁判沙汰になった時の証言としても利用できるようになります。

まとめ

業務上横領は見過ごしてはないない犯罪です。罪を行ったものに対しては、できる限り重い罪を与えるべきだとされています。

理由としては、横領の問題解決が今後の起こりうるトラブルへの対応力を示唆できるからです。

早急かつ的確な対応であると、会社の評判を大きく下げることにはつながりにくいでしょう。
罪を犯した人物は大きく罰するべきだとされている日本だからこそ、きちんとした対応が求められます。

起きてしまった横領問題をきちんと最後まで解決するためには、警察や探偵、弁護士といったプロに相談していくことがおすすめです。