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2023.09.15 2023.10.26

後遺障害1級の慰謝料はいくら?相場と認定基準を弁護士が解説

後遺障害1級の慰謝料はいくら?相場と認定基準を弁護士が解説
後遺障害1級の慰謝料はいくら?相場と認定基準を弁護士が解説

後遺障害1級は,後遺障害のうち1番重い症状です。

後遺障害1級の障害が残れば,事故前と同じような生活を送ることはできません。

そのため,1級の認定を受け,できるだけ多額の慰謝料などを受け取りたいところです。

当コラムでは,後遺障害1級の認定基準や,慰謝料の相場などについて解説していきます。

目次

1 後遺障害1級とはどんな状態?

後遺障害1級には,下記の症状があります。

等級後遺障害症状
要介護1級1号神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの脳や神経に深刻なダメージを負い,食事・排泄・入浴など、生活維持に必要な身の回りの動作に全面的介護を要する状態。就労することも不可能。
要介護1級2号胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの脳や神経以外の臓器にダメージを負い,食事・排泄・入浴など、生活維持に必要な身の回りの動作に全面的介護を要する状態。就労することも不可能。
1級1号両眼が失明したもの〇眼球を摘出した〇明暗が分からない〇明暗がかろうじてわかる程度
1級2号咀嚼及び言語の機能を廃したもの〇流動食以外は摂取できない〇以下の4種の語音のうち,3種以上の発音ができない・口唇音(ま行,ぱ行,ば行,わ行,ふ)・歯舌音(な行,た行,だ行,ら行,さ行,しゅ,し,ざ行,じゅ)・口蓋音(か行,が行,や行,ひ,にゅ,ぎゅ,ん)・咽頭音(は行)
1級3号両上肢をひじ関節以上で失つたもの〇肩関節において,肩甲骨と上腕部を離断した〇肩関節とひじ関節との間において上肢を切断した〇ひじ関節において,上腕骨と橈骨および尺骨を離断したもの
1級4号両上肢の用を全廃したもの〇3大関節のすべてが強直し,かつ,手指の全部の用を廃したもの〇上腕神経叢の完全麻痺
1級5号両下肢をひざ関節以上で失つたもの〇股関節において,寛骨と大腿骨を離断した〇股関節とひざ関節との間において切断した〇ひざ関節において,大腿骨と脛骨と距骨とを離断した
1級6号両下肢の用を全廃したもの3大関節のすべてが強直した

要介護1級1号の症状に,高次脳機能障害があります。

高次脳機能障害について,当事務所の次のコラムでご紹介しているので,ご覧ください。

交通事故で高次脳機能障害になった場合の症状について知りたい

2 後遺障害1級の慰謝料の相場は?

後遺障害1級が認定されると,加害者に対して後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益を請求することができます。

後遺障害慰謝料の相場は,以下のようになっています。

 自賠責基準弁護士基準
要介護1級1650万円2800万円
1級1150万円2800万円

後遺障害慰謝料の基準には,自賠責基準,弁護士基準,保険会社の基準の3種類があります。

3つの基準の中で,弁護士基準が1番高額で,自賠責基準とは倍近く金額が異なります。

一般人が保険会社と交渉しても,「弁護士基準」の額まで慰謝料を引き上げてもらえることはほとんどありません。

しかし,弁護士が交渉すれば,「弁護士基準」と呼ばれる,過去の裁判例をもとに設けられた基準に基づいて示談交渉を行うことができます。

なお,交通事故における慰謝料の3つの基準について,当事務所の次のコラムでご紹介しているので,ご覧ください。

交通事故における慰謝料の3つの基準

3 後遺障害1級の後遺障害逸失利益は?

後遺障害が残れば,事故前と同じように働くことができなくなってしまいます。

働くことができなくなった度合に応じて,将来得られたはずの収入分が,逸失利益として補償されます。 

後遺障害逸失利益は,

基礎収入額×労働能力喪失率(100%)×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数

の計算式で計算します。

基礎収入額は,事故前の収入をベースに計算します。

労働能力喪失率とは,後遺障害によって失われた労働能力の割合のことで,後遺障害1級の場合は100%です。

逸失利益が認められると,本来であれば段階的に得られたお金を一括で受け取ることになります。

そうすると,逸失利益を運用するなどして利益が生じるので,その分を控除しなければなりません。

そのため,労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数を掛け,あらかじめ中間利息分の金額を逸失利益から差し引きます。

労働能力喪失期間とは,交通事故が原因で生じた後遺障害の影響で,労働能力を失った期間を指します。

後遺障害逸失利益の計算は煩雑なので,弁護士に依頼した方が,正確な額を請求することができます。

4 後遺障害1級が認定された場合,他に何を請求できる?

後遺障害1級が認定された場合,慰謝料以外に,治療費や将来的に必要になる介護費用を加害者に請求することができます。

加害者に請求できる損害賠償金の項目は以下のとおりになります。

治療費等治療費や通院にかかった交通費,入院中に発生した日用雑貨の購入費などの雑費など
車の修理費等 修理費や,交通事故が原因で,車を使用できない期間に,代わりの自動車を使用するのにかかった費用など
装具・器具購入費 交通事故が原因で怪我を負い,購入が必要になった器具等の費用を指す。例えば,松葉づえやメガネの費用などがある
将来介護費 交通事故が原因で後遺障害が残り,介護が必要になった場合の介護費用を指す
休業損害 事故前の収入を基礎として,交通事故による受傷によって休業したことの収入減を指す
入通院慰謝料 怪我の治療などが原因で精神的苦痛を受けたことに対する金銭的な補償を指す

5 後遺障害1級を認定してもらうには?医師の診断書や証拠資料の重要性

後遺障害の申請手続きには,事前認定と被害者請求があります。

事前認定は加害者が加入している保険会社に申請を任せる申請方法であるのに対し,被害者請求は被害者(または代理人の弁護士)が申請を行う方法です。

後遺障害1級は,以下の流れで認定されます。

①症状固定
②後遺障害診断書を医師に作成してもらう
③申請手続きを行う
④後遺障害等級認定がなされる

後遺障害等級の認定は,申請者が提出した書類の内容を検討して行われます。

後遺障害1級の症状が残っていることを医学的に説明するため,医師には後遺障害診断書に全ての傷病名,症状の部位や程度,日常生活への支障,検査結果,症状固定していることなどを記載してもらいましょう。

また,異常が映ったMRI画像やレントゲンなどの検査結果も証拠資料となるので,入手しましょう。

6 後遺障害1級の慰謝料は受け取れるまでにどれくらいの時間がかかる?

後遺障害1級の慰謝料など,後遺障害1級の認定がなされる場合,示談金はいつ受け取ることができるのでしょうか。

事故発生から症状固定までの期間 最長で,1年~数年(※)
症状固定から申請までの期間1カ月
申請から認定結果が出るまでの期間1~2ヶ月
示談交渉の期間1~3カ月
示談交渉後,示談金が振り込まれるまでの期間1~2週間

※後遺障害慰謝料を受け取るには,後遺障害の等級認定がなされる必要があるところ,後遺障害の等級認定の申請は症状固定後に行います。

後遺障害1級のうち,要介護1級では,高次脳機能障害の症状を見極める必要がある場合があります。

そのため,症状固定までは最長で1年~数年かかります。

上の表を踏まえると,後遺障害1級の慰謝料を受け取るまで,1年程度かかると分かります。

参照:損害保険料算出機構 自動車保険の概況 2022年度版

7 まとめ

後遺障害1級の症状は多岐にわたるため,交通事故後に残った症状が後遺障害1級に該当するかを判断することは難しいです。

また,自分だけで保険会社と示談交渉を行っても,弁護士基準での後遺障害慰謝料を獲得することは難しいです。

弁護士に依頼すれば,後遺障害1級に該当するかの判断や,後遺障害認定申請,示談交渉などを行ってもらえるうえに,高額の慰謝料を受け取ることができる可能性が高まります。交通事故後に後遺障害1級の症状が身体に残ってしまった場合は、交通事故を多く取り扱う大阪市・難波(なんば)・堺市の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

このコラムの監修者

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