交通事故 交通事故基礎知識 後遺障害 慰謝料
2023.10.26 2024.07.04

交通事故による手の後遺障害等級の認定基準とは?慰謝料請求のポイント2つ

交通事故による手の後遺障害等級の認定基準とは?慰謝料請求のポイント2つ

交通事故で,手指を失う悲惨な結果となってしまうことがあります。

手指は常に露出しているため,手指の欠損障害が残れば生活が不便になるだけでなく,他人の目を気にして外出を避けるようになることもあります。

当コラムでは,手に後遺障害が残った場合についてご説明いたします。

1 交通事故で手に障害を負うケース

⑴手指の欠損障害が残るケース

車で走行中,他の車と衝突して車が転倒した際に,指が車の部品に挟まれ,切断された

⑵手指の機能障害が残るケース

①バイクや自転車に乗っている際に車と正面衝突したため,中手骨頚部骨折を発症した

骨片をもとの位置に戻すことができない場合,機能障害が残ります。

②手を固く握った状態で交通事故に遭ったため,手に打撲・打撃が加わって中手骨基底部骨折を発症した

骨片をもとの位置に戻すことが難しい骨折なので,機能障害が残ります。

2 手の後遺障害等級の認定基準とは

手の後遺障害等級と,等級ごとの認定基準は以下のようになっています。

後遺障害等級欠損障害機能障害
3級5号:両手の手指の全部を失つたもの=親指では指節間関節,その他の指では近位指節間関節以上を失ったもの 
4級 6号:両手の手指の全部の用を廃したもの=指の末節骨の長さの2分の1以上を失ったもの,中手指節関節または近位指節間関節(親指では指節間関節)に著しい運動障害を残したもの,著しい運動障害とは運動可動域が健側の2分の1以下に制限されたものをいう
6級8号:一手の五の手指又は親指を含み四の手指を失つたもの 
7級6号:一手の親指を含み三の手指を失つたもの又は親指以外の四の手指を失つたもの7号:一手の五の手指又は親指を含み四の手指の用を廃したもの
8級3号:一手の親指を含み二の手指を失つたもの又は親指以外の三の手指を失つたもの4号:一手の親指を含み三の手指の用を廃したもの又は親指以外の四の手指の用を廃したもの
9級12号:一手の親指又は親指以外の二の手指を失つたもの13号:一手の親指を含み二の手指の用を廃したもの又は親指以外の三の手指の用を廃したもの
10級 7号:一手の親指又は親指以外の二の手指の用を廃したもの
11級8号:一手の人差し指、中指又は薬指を失つたもの 
12級9号:一手の小指を失つたもの10号:一手の人差し指、中指又は薬指の用を廃したもの
13級7号:一手の親指の指骨の一部を失つたもの=1指骨の一部を失ったこと,その程度は1指骨の一部を失ったことがレントゲン撮影で明確であるものおよび遊離骨片が認められるもの。ただし,その程度が手指の末節骨の長さの2分の1以上を失った場合は手指の用を廃したものとなる。6号:一手の小指の用を廃したもの
14級6号:一手の親指以外の手指の指骨の一部を失つたもの7号:一手の親指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの=遠位指節間関節が強直したもの&屈伸筋の損傷等原因が明らかなものであって,自動で屈指ができないもの又はこれに近い状態にあるもの

指節間関節:親指の第一関節

遠位節間関節:第一関節

近位指節間関節:第二関節

中手節間関節:第三関節

3 手の後遺障害等級に応じた慰謝料の相場

手の後遺障害が残れば,下記の等級に応じて後遺障害慰謝料を加害者側に請求することができます。

後遺障害慰謝料の算定基準には,自賠責基準,任意保険基準,裁判所基準(弁護士基準)があります。

⑴裁判所基準

裁判所基準とは,過去の裁判例を踏まえて算出された後遺障害慰謝料の支払い基準です。

裁判までいかなくとも,弁護士に依頼していれば,裁判所基準を用いて示談交渉を行うことができます。

そのため,裁判所基準は「弁護士基準」とも呼ばれます。

⑵自賠責基準

自賠責基準とは,自賠責保険で定められている後遺障害慰謝料の支払い基準のことです。

自賠責保険は,交通事故被害者に対する最低限の補償を目的としています。

そのため,自賠責基準の定める後遺障害慰謝料の支払い基準は,3つの基準の中では1番低い金額となっています。

⑶任意保険基準

任意保険基準とは,任意保険会社が定めている支払基準です。

自賠責基準より少し高い額になっていますが,任意保険会社独自の基準なので非公開です。

後遺障害等級欠損障害機能障害自賠責基準裁判所基準
3級5号:両手の手指の全部を失つたもの 861万円1990万円
4級 6号:両手の手指の全部の用を廃したもの 737万円1670万円
6級8号:一手の五の手指又は親指を含み四の手指を失つたもの 512万円1180万円
7級6号:一手の親指を含み三の手指を失つたもの又は親指以外の四の手指を失つたもの7号:一手の五の手指又は親指を含み四の手指の用を廃したもの419万円1000万円
8級3号:一手の親指を含み二の手指を失つたもの又は親指以外の三の手指を失つたもの4号:一手の親指を含み三の手指の用を廃したもの又は親指以外の四の手指の用を廃したもの331万円830万円
9級12号:一手の親指又は親指以外の二の手指を失つたもの13号:一手の親指を含み二の手指の用を廃したもの又は親指以外の三の手指の用を廃したもの249万円690万円
10級 7号:一手の親指又は親指以外の二の手指の用を廃したもの190万円550万円
11級8号:一手の人差し指、中指又は薬指を失つたもの 136万円420万円
12級9号:一手の小指を失つたもの10号:一手の人差し指、中指又は薬指の用を廃したもの94万円290万円
13級7号:一手の親指の指骨の一部を失つたもの6号:一手の小指の用を廃したもの57万円180万円
14級6号:一手の親指以外の手指の指骨の一部を失つたもの7号:一手の親指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの32万円110万円

4 手の後遺障害等級に応じた慰謝料請求をするためのポイント2つ

⑴適切な後遺障害等級認定を受ける

適切な手の後遺障害等級認定を受けるには,以下のポイントを意識しましょう。

①後遺障害があることを示す証拠を用意する

欠損障害の場合は欠損していることを示す画像が,機能障害の場合は可動域制限の測定結果を記載した診断書が重要資料になります。

②機能障害の場合は,受傷直後から症状が一貫していることを示す

後遺障害の調査を行う損害保険料算出機構調査事務所は,受傷直後から症状が一貫しているかどうかを重視しています。

治療初期段階から医師に全ての自覚症状を伝えて,診断書・カルテに症状の記載をしてもらい,後遺障害診断書に症状が一貫している旨を記載してもらうようにしましょう。

⑵弁護士に依頼する

弁護士に依頼すれば,後遺障害認定を受けるためのアドバイスを得ることができるうえに,弁護士基準で後遺障害慰謝料を算定することができます。

詳しくは,5 交通事故に強い弁護士に相談するメリットをご覧ください。

5 交通事故に強い弁護士に相談する3つのメリット

⑴後遺障害認定を受けるためのアドバイスをもらえる

交通事故に強い弁護士は,後遺障害申請の経験が豊富なことが多いです。

そのため,病院の受診の仕方,医師への後遺障害診断書のお願いの仕方などのアドバイスを得ることができます。

なお,後遺障害診断書や症状固定については,当事務所の次のコラムでご紹介しているのでご覧ください。

症状固定の診断書の重要性

⑵後遺障害申請を代わりに行ってもらうことができる

後遺障害申請は,資料集め・資料提出など手続が煩雑なので,かなりストレスです。

交通事故に強い弁護士に相談し,依頼すればご自身に代わって後遺障害申請を行ってもらうことができます。

⑶弁護士基準で後遺障害慰謝料を算定することができる

弁護士が示談交渉を行った場合,より高額の裁判所基準(弁護士基準)で後遺障害慰謝料を算定することができます。

交通事故に強い弁護士に相談し,依頼すれば多額の示談金を受け取ることができる可能性が高まります。

なお,交通事故に遭い,弁護士に相談すべき場合については当事務所の次のコラムでご紹介しているのでご覧ください。

交通事故に遭った時に弁護士に相談した方が良いのはどのような時か?

6 まとめ

手指は,物を持つ,動かす,操作するなど重要な機能を持っています。

手指を欠損したり,動かなくなった際の精神的ショックは大きいでしょう。

弁護士に相談すれば,十分な示談金を受け取ることが可能です。

当事務所には,交通事故案件の経験が豊富な弁護士が所属しております。交通事故で手の後遺障害が残った方は,弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

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