交通事故 交通事故基礎知識 過失割合
2024.02.13 2024.04.25

【まとめ】正面衝突事故で過失割合が変わる7つの要因とは?

【まとめ】正面衝突事故で過失割合が変わる7つの要因とは?

令和4年に発生した交通死亡事故のうち,最も多かった事故類型は正面衝突等です。

正面衝突事故は,被害が大きくなる傾向にあります。

当コラムでは,正面衝突事故の過失割合についてご説明いたします。

参照:内閣府 令和4年度交通事故の状況及び交通安全施策の現況

目次

1 正面衝突事故の過失割合はどう決まる?

正面衝突事故は,対向車がセンターラインをオーバーした場合に起こることが多いです。

(通行区分)

第十七条  車両は、道路(歩道等と車道の区別のある道路においては、車道。以下第九節の二までにおいて同じ。)の中央(軌道が道路の側端に寄つて設けられている場合においては当該道路の軌道敷を除いた部分の中央とし、道路標識等による中央線が設けられているときはその中央線の設けられた道路の部分を中央とする。以下同じ。)から左の部分(以下「左側部分」という。)を通行しなければならない。

(左側寄り通行等)

第十八条 車両(トロリーバスを除く。)は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、自動車及び一般原動機付自転車(原動機付自転車のうち第二条第一項第十号イに該当するものをいう。以下同じ。)にあつては道路の左側に寄つて、特定小型原動機付自転車及び軽車両(以下「特定小型原動機付自転車等」という。)にあつては道路の左側端に寄つて、それぞれ当該道路を通行しなければならない。ただし、追越しをするとき、第二十五条第二項若しくは第三十四条第二項若しくは第四項の規定により道路の中央若しくは右側端に寄るとき、又は道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、この限りでない。

車両は,道路の左側部分を通行しなければいけません(道路交通法17条4項)。

また,原則として道路の左側に寄って通行しなければいけません(道路交通法18条1項)。

このように,運転者にとって,左側通行は基本的なルールなので,センターラインオーバーの事故では,センターオーバーした車の過失によると考えられます。

よって,正面衝突事故での過失割合は,被害者:加害者=0:100となります。

なお,加害者とはセンターラインをオーバーした車のことで,被害者とは衝突された方の車のことです。

2 正面衝突事故で過失割合が変わる7つの要因(四輪車同士の事故など)

正面衝突事故の過失割合は,基本的には0:100です。

しかし,以下の修正要素があれば過失割合が変わります。 

⑴四輪車同士の事故

①被害者に何らかの過失がある

被害者に前方不注視等の過失がある場合です。

②被害者に著しい過失がある

被害者が酒気帯び運転をしている場合などです。

③被害者が速度違反をした

被害者が15㎞以上,あるいは30㎞以上の速度違反をした場合です。

④加害者が速度違反をした

⑤加害者が追越禁止場所追越をした

⑥加害者に著しい過失がある

加害者が脇見運転,酒気帯び運転,ハンドル・ブレーキの不適切操作などを行っている場合です。

⑦加害者に重過失がある

加害者が居眠り運転,酒酔い運転,無免許運転などを行っている場合です。

⑵四輪車と単車の事故

①被害者に何らかの過失がある

センターラインをオーバーしてきた車両を容易に発見でき,衝突を回避できる時間的余裕があった場合などです。

②被害者に著しい前方不注視がある

③被害者が15㎞以上の速度違反をした

④被害者が30㎞以上の速度違反をした

⑤加害者が速度違反をした

⑥加害者が追越禁止場所追越をした

⑶それ以外に,基本の過失割合が適用されないケース

(通行区分)

第十七条 5 車両は、次の各号に掲げる場合においては、前項の規定にかかわらず、道路の中央から右の部分(以下「右側部分」という。)にその全部又は一部をはみ出して通行することができる。この場合において、車両は、第一号に掲げる場合を除き、そのはみ出し方ができるだけ少なくなるようにしなければならない。

 当該道路が一方通行(道路における車両の通行につき一定の方向にする通行が禁止されていることをいう。以下同じ。)となつているとき。

 当該道路の左側部分の幅員が当該車両の通行のため十分なものでないとき。

 当該車両が道路の損壊、道路工事その他の障害のため当該道路の左側部分を通行することができないとき。

 当該道路の左側部分の幅員が六メートルに満たない道路において、他の車両を追い越そうとするとき(当該道路の右側部分を見とおすことができ、かつ、反対の方向からの交通を妨げるおそれがない場合に限るものとし、道路標識等により追越しのため右側部分にはみ出して通行することが禁止されている場合を除く。)。

 勾配の急な道路のまがりかど附近について、道路標識等により通行の方法が指定されている場合において、当該車両が当該指定に従い通行するとき。

道路中央から右の部分にはみ出して通行できる場合(道路交通法17条5項各号)は,当コラムで説明している過失割合の計算とは異なります。

3 正面衝突事故で過失割合が高くなる3つのケース

⑴対向車同士の事故(一方がセンターラインオーバー)

基本A:B=0:100
Aに何らかの過失があるAの過失割合に+10
Aに著しい過失があるAの過失割合に+10~20
Aが15㎞以上の速度違反をしたAの過失割合に+10
Aが30㎞以上の速度違反をしたAの過失割合に+20
Bが速度違反をしたBの過失割合に+10
Bの追越禁止場所追越Bの過失割合に+10
Bにその他の著しい過失がある Bの過失割合に+10
Bに重過失がある Bの過失割合に+20

⑵四輪車と単車の事故

①四輪車がセンターラインオーバー

基本A:B=0:100
Aに何らかの過失があるAの過失割合に+5
Aの著しい前方不注視Aの過失割合に+15
Aが15㎞以上の速度違反をしたAの過失割合に+5
Aが30㎞以上の速度違反をしたAの過失割合に+15
Bが速度違反をしたBの過失割合に+15
Bの追越禁止場所追越Bの過失割合に+15

②単車がセンターラインオーバー

基本A:B=0:100
Aに何らかの過失があるAの過失割合に+15
Aの著しい前方不注視Aの過失割合に+25
Aが15㎞以上の速度違反をしたAの過失割合に+15
Aが30㎞以上の速度違反をしたAの過失割合に+30
Bが速度違反をしたBの過失割合に+5
Bの追越禁止場所追越Bの過失割合に+5

⑶道路の幅が狭くセンターラインもない道路での事故

道路の幅が狭くセンターラインもない道路では,被害にあった車にも一定の過失が認められます。

なお,過失割合ごとの賠償金の負担割合については,当事務所の次のコラムでご紹介しているのでご覧ください。

交通事故の過失割合による賠償金の負担割合について知りたい

4 正面衝突事故の損害賠償請求をする方法

⑴示談

示談とは,当事者間の話し合いで損害賠償額等を決定することです。

正面衝突事故の損害賠償請求をする際,裁判を行うことは少なく,示談で解決するのが一般的です。

損害額や過失割合などを立証できる証拠資料を集めて,自分の中で譲れない条件を決めてから示談交渉を行いましょう。

示談が成立すれば,示談書を作成して相手方からの支払いを待ちます。

仮に,当事者の言い分が異なり,折り合いをつけることができなければ,裁判外紛争解決手続の方法をとります。

それでも解決できなければ,裁判所において調停や訴訟を行います。

⑵裁判外紛争解決手続(ADR)

裁判外紛争解決手続とは,裁判によらない紛争解決手続のことで,公正な第三者が関与して,紛争解決をはかります。

交通事故の紛争解決機関には,以下のものがあります。

①交通事故紛争処理センター

交通事故紛争処理センターは,被害者と加害者(または加害者側の保険会社)の示談に関する紛争解決手続を行う機関です。

この機関では,法律相談,和解あっ旋,審査手続きを無料で行っています。

センター所在地の弁護士が担当弁護士となり,上記の手続を行います。

申立人(被害者)が電話予約をして,和解あっ旋を前提とした法律相談を受けた後に,当事者出席のもとで担当弁護士が和解あっ旋を開始するという流れです。

担当弁護士が和解あっ旋案を提示し,合意に至れば示談書を作成します。

資料が揃っていれば,5回までのあっ旋で90%以上の和解が成立しているようです。

②日弁連交通事故相談センター

この機関は示談あっ旋などを行います。

示談あっ旋とは,民間が行う調停のようなもので,センターの弁護士が当事者の間に入り,話し合いの場を設けて事件解決を目指します。

3回程度のあっ旋で紛争を解決できる可能性があります。

参照:法務省 裁判外紛争解決手続(ADR)について

警察庁 (2) 主に交通事故被害者に関係するもの

⑶調停

調停とは,訴訟のように勝敗をはっきりさせるものではなく,調停委員が介入し,話し合いで合意を目指す手続です。

訴訟よりも裁判所に納める手数料が安いうえに,手続きが簡単だというメリットがあります。

参照:裁判所 民事調停手続

裁判所 調停委員

⑷訴訟

訴えの提起,口頭弁論,尋問などの手続を経て,判決が下されます。

なお,示談と裁判の違いについては当事務所の次のコラムでご紹介しているのでご覧ください。

交通事故の示談と裁判について知りたい

5 正面衝突事故の示談交渉をする際の注意点

⑴弁護士に依頼しておく

正面衝突事故では,加害者に100%の過失割合が認められるのが原則です。

被害者の過失割合がゼロならば,加入している保険の示談代行サービスは使えず,ご自身で示談交渉することになります。

相手方の保険会社は,一般的に低い金額を提示してきます。

専門知識のない一般の方が相手であれば,さらに低い金額での示談を提案してくるでしょう。

適切な額で示談を成立させるためには,示談開始前に弁護士に依頼しておくべきです。

⑵相手方の主張を鵜呑みにしない

損害項目がもれなく補償されているか,納得いく過失割合であるかを確認したうえで示談を成立させ,示談書に署名押印しましょう。

⑶示談書を作る

合意内容を証明するために示談書は必ず作ってください。

示談書があれば,示談内容について後日トラブルになることを防止できます。

示談書に署名押印すれば,示談をやり直すことはできないので,示談書に不備がないか必ず確認しましょう。

⑷時効がある

示談交渉は時効期間内に行いましょう。

人身事故(後遺障害が残っていない)の場合の時効は5年です。

なお,交通事故の時効については当事務所の次のコラムでご紹介しているのでご覧ください。

交通事故の時効はいつ?損害賠償請求や慰謝料請求の時効と過ぎた後の対処法

6 まとめ

正面衝突事故であっても,事故状況によっては被害者にも過失割合が認められることがあります。

過失割合が認められるときの示談金額を正確に計算するのは難しいです。

被害に見合った示談金を受け取るために,弁護士に相談しましょう。正面衝突事故被害に遭い,過失割合で悩まれている方は,大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにぜひご相談ください。

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