交通事故 交通事故基礎知識 外傷なし 治療費
2020.11.12 2024.06.06

交通事故を起こして整形外科で電気治療を受ける場合について知りたい

交通事故を起こして整形外科で電気治療を受ける場合について知りたい

交通事故に遭い、負傷をした時、被害者の方は整形外科などの病院で治療を行う必要があります。

被害者の方の症状が酷い場合は、長期間のリハビリも視野に入れていかなければなりません。

ここでは、整形外科で電気治療等の治療を受ける場合について、被害者の方はどうしていくべきかをご説明させていただきます。

1 交通事故を起こして整形外科で電気治療など治療を受ける場合

⑴できるだけ早く診察を受ける

まず、交通事故に遭った場合は、当日、遅くとも翌日には病院(整形外科)の診察を受けましょう。

交通事故と初診日の間の期間が空いていると、交通事故と怪我の因果関係について疑われ、最悪の場合、相手の保険会社より治療費が支払われない場合があります。

なお、交通事故の怪我の中でも多い症状の一つ「むちうち症」の場合、事故の当日に痛みが出るとは限りません。翌日~5日後に出ることも少なくありません。

つまり、被害者の方は「痛みが有無に関わらず、交通事故に遭った場合は、できるだけ早急に病院で診察を受ける」と覚えておきましょう。

⑵症状がなくなるまで治療する

では、被害者の方は初診から、いつまで通院をすべきなのでしょうか?

これは、事案によって異なりますが、症状がなくなるまで治療を続けることが大切です。

治療期間や方法またその効果は、被害者の方が受けた怪我によって異なるため一概には言えませんが、先ほども例にあげたむちうち症の場合は以下が治療方法の代表例です。

①処方薬

むちうち症による頭痛や首、肩などの痛みを止めるために、頭痛薬や消炎鎮痛剤、貼付薬(湿布薬)等が処方されます。

②ブロック注射・トリガーポイント注射

処方箋の治療方法で、痛みが治まらない場合、「ブロック注射」や「トリガーポイント注射」をすることもあります。

ブロック注射は、痛みを感じる箇所への局所麻酔により、筋肉の緊張や痛みをとります。対する、トリガーポイント注射は、痛みの発生源へ麻酔薬を注射することで、痛みの改善を図ります。

③理学療法

むちうちの場合、首の可動域が制限されたり、痛みが酷かったりすることから、安静にしなければならない時間が多くなります。

しかし、人間の身体は長時間動かさないと、関節の動きが悪くなってしまい、痛みが増してしまうこともあります。

そのような症状を防ぐためにある治療方法が「理学療法」です。

理学療法には、物理療法と運動療法の2種類があります。 

物理療法とは、熱や振動等の刺激を加えて、改善を促します。電気治療も物理療法の1つであり、人体に電気刺激を与える治療方法です。

一方で、運動療法は、身体を無理なく動かすことにより、事故前と同じように、日常生活を過ごせるようになるよう目指します。

むちうちの場合は、一般的に3か月程度改善傾向がみられ、完治に向かうケースが多いです。

しかし、事故の規模によっては、3ヶ月経っても痛みが残存していることもありますので、治療の終了は被害者の方本人で決めるのではなく、必ず医師と相談するようにしましょう。

そして、6ヶ月以上通院を継続している場合は、医師と相談をし、「症状固定」を検討しましょう。

⑶症状固定について

症状固定とは、一定期間、定期的に治療を続けたにもかかわらず、症状が良くも悪くもならない、改善する見込みがない状態のことをいいます。

一般的に、怪我は治療を継続すれば、「完治する」と考えられています。

そのため、交通事故の被害に遭い、怪我に負った方も、完治を目標に治療を行います。

しかし、残念ながら治療を続けても痛みが残存し、治療をしても身体の回復が見込めない状態になることもあります。

そのような状態になると、医師から「症状固定である」と言われることになります。

被害者の方の身体が、症状固定で決めるのは、基本は医師です。医師がこれまでの症状の経過、自覚症状や他覚症状など、様々な面で判断を下します。

被害者の方は、必ず日頃の診察から医師に自身の症状をしっかりと伝えていきましょう。症状固定は、被害者の方の意思も重要です。

重ねて申し上げますが、もちろん症状固定であると最終的に判断するのは医師です。

ですが、症状が改善傾向にある場合は、本当に症状固定と判断していいのか否か、とても重要となりますので、医師と協議をするようにしましょう。

参考:症状固定の診断書の重要性

2 治療費について

整形外科で電気治療など治療を受ける場合、治療費が発生します。

治療費は被害者の方が一時的とは言っても、立て替えなければいけないのでしょうか?

⑴保険会社へ一括請求

治療費は、一般的には相手の任意の保険会社が支払いを行うことが多いです。これを一括対応といいます。

一括対応の場合は、被害者の方は病院の窓口で治療費を支払うことはなく、毎月病院から送られてくる資料(レセプト)を基に、保険会社は治療費を病院へ支払います。

ただ、中には一括対応について、対応ができない病院があります。この場合は、被害者の方が一時的に立替を行い、領収書を発行してもらい、保険会社へ請求します。

また、被害者の方の過失が大きい場合は、一括対応をしないという保険会社もあります。この場合も被害者の方が、立て替えをする必要があります。

⑵治療費を早めに受け取るには

被害者の方の中には、治療費の立替えをすることが厳しい経済状況の方もいらっしゃるかと思います。

また、むちうち症等であれば治療費はそこまで高額にはなりませんが、怪我の程度が大きい場合、治療費が高額になることもあります。

こういった場合、自賠責保険の「仮渡金制度」の利用を検討しましょう。

仮渡金制度は、加害者側の自賠責保険へ少ない資料で治療費を請求することが可能となり、また、治療中であっても受け取ることが可能です。

仮渡金制度と同じく、加害者が加入する自賠責保険に直接、損害賠償額を請求する方法(被害者請求)もありますが、この場合、様々な資料を用意する必要があり、かつ収集に時間がかかってしまう傾向があります。

その結果、手元に治療費が入るまで最低でも1ヶ月程度はかかります。

その点、仮渡金制度は、請求から1週間から10日程で対応してもらえるので、治療費としてすぐに必要な方にとっては非常に助かる制度です。

ただし、仮渡金制度はデメリットもあります。

以下のポイントも把握したうえで、制度を利用するか否かを検討するようにしましょう。

①仮渡金の金額には制限がある

仮渡金制度は、医師が作成した診断書の内容、つまりは被害者の方の怪我の程度に応じて、支払われる金額が決まります。

症状、状態

金額

1.死亡された場合290万円
2.以下のいずれかの傷害を負った場合

・脊柱の骨折で脊髄を損傷したと認められる症状を有するもの

・上腕または前腕の骨折で合併症を有するもの

・大腿または下腿の骨折

・内臓の破裂で腹膜炎を併発したもの

・14日以上病院に入院することを要する傷害で、医師の治療を要する期間が30日以上のもの

40万円
3.以下のいずれかの傷害を負った場合(上記2を除く)

・脊柱の骨折

・上腕または前腕の骨折

・内臓の破裂

・病院に入院することを要する傷害で、医師の治療を要する期間が30日

・14日以上病院に入院することを要する傷害

20万円
4.医師の治療を11日以上要する傷害を負った場合(上記2.3を除く)5万円

よって、いくらでも受け取れるわけではありません。

②仮渡金制度の利用は1度きり

仮渡金制度は何度も行えるものではなく、1事故につき、1度のみしか請求ができません。

利用するタイミングは慎重に検討することが大切です。

③仮渡金は返金の可能性がある

仮渡金は、あくまでも「損害賠償金の仮払い」という位置づけです。

その為、仮渡金制度を利用して受け取った金額は、最終的に損害賠償金から差し引かれます。

また、受け取った仮渡金が損害賠償金を上回った場合は、自賠責保険へ返金しなければなりません。

④一括対応が打ち切られる

先ほど述べた、保険会社が治療費を病院へ支払うこと=一括対応ですが、最終的に保険会社は、自賠責保険へ保険金を請求することになります。

そのため、被害者の方が一括対応を受けているにも関わらず、仮渡金制度を利用し、お金を請求するとなると、任意保険会社の一括対応は打ち切られます。

以上4点を注意したうえで、仮渡金制度の利用は検討しましょう。

⑶健康保険は使えるか

「交通事故では健康保険を使えない」と思っていらっしゃったり、実際に病院から言われてしまったりするケースがあります。

実は、これは大きな誤解であり、交通事故でも健康保険は利用することは可能です。

ただし、以下の場合は、健康保険が使えない場合もあります。

  • ・業務上の災害…労災保険が適用可能なため
  • ・法令違反をした場合の負傷…無免許運転や飲酒運転などで負傷した場合
  • ・第三者の行為による負傷…事件や事故において他人の行動が原因で負傷した場合

本来は、第三者が原因で負傷をしてしまった結果生じた治療費用は、健康保険は使用ができないとされています。

何故なら、交通事故による怪我の治療費は、加害者側が負担するものだからです。

健康保険を利用すると、本来は加害者側が負担する治療費を、健康保険が立て替えて支払うものとなります。

よって、健康保険で被害者の方が治療を受ける場合は、「第三者行為による傷病届」を協会けんぽ(全国健保協会)に提出する必要があります。

協会けんぽは、被害者の方から届出が提出されれば、加害者側に対して健康保険によって給付した費用を請求することが可能となります。

つまり、被害者の方は「第三者行為による傷病届」を提出することで、健康保険を利用して治療を受けることが可能となります。

もしも、病院の窓口で「健康保険を使用できない」と言われた場合は、何故使用できないのかを確認しましょう。

被害者の方が受けている治療内容、また希望する治療方法によっては使用できない可能性もあります。

「健康保険を使用して治療をする」ということは、保険の適用範囲内の診療しか受けられません。

たとえば、国から不認可の医薬品を使用したり、治療の幅を広げたいという希望があったりする場合には特に注意をしなければなりません。

ただし、もしも「交通事故の怪我であるから」という理由であれば、「第三者行為の届出は行います。また、担当の省庁からは【交通事故でも健康保険が使える】と通知が出されているかと思いますが?」と確認してみましょう。

参考:交通事故における整骨院費用に対して健康保険は使えるのか

3 整形外科で電気治療など治療を続ける場合の注意点

整形外科で治療を続けていると、様々な問題に被害者の方は直面をします。

⑴治療費を打ち切られた場合

被害者の方は、まだ身体に痛みがあり、改善傾向があるにも関わらず、保険会社から治療費の打ち切りを言われるケースがあります。

この場合、多くの方は仕方ないと受け入れたり、「交通事故はこういうものですよ。」と保険会社の言い分を鵜呑みにしてしまったりします。

このような場合、被害者の方は諦める必要は全くありません。

たとえば、むちうち症の場合は、一般的に3ヶ月程度で治療費の支払い打ち切られて、それ以降については被害者の方が自己負担するケースがあります。

そういった時は、まずは主治医に相談をしましょう。

主治医が治療の必要性がまだある、改善の見込みがあると判断するのであれば、自己負担分は怪我が完治、もしくは症状固定となった際に加害者側に請求をしましょう。

ただし、相手は一括対応をやめ、治療費を支払わないとしていますので、個人での交渉は難しいです。

こういったケースでは必ずしも相手に支払ってもらえるとは限りませんが、まずは、弁護士に依頼をし、弁護士に治療の延長交渉や打ち切り後の治療費の請求を行ってもらいましょう。

仮に、相手がそれでも治療費を認めない場合は、相手の自賠責保険へ被害者請求で治療費を請求するという手段もあります(自賠責保険の傷害部分の上限金額120万円を超えていない場合)。

自賠責保険が「治療の必要性があった」として被害者の方に打ち切り後の治療費の支払いを行った場合、治療期間は適正であったと示談交渉時に主張することが可能となります。

参考:交通事故後の治療打ち切りで弁護士に相談したい!

⑵症状が残った場合

もしも、被害者の方が治療を続けたにも関わらず、完治せず症状固定となってしまった場合は、後遺障害等級の認定申請を行いましょう。

後遺障害等級とは、1~14の等級に分けられており、等級ごとに支払われる損害賠償金が異なります。

被害者の方は症状固定と判断した医師に「後遺障害診断書」を作成してもらい、その他必要書類を揃えて、等級申請を行います。

第三者機関である損害保険料率算出機構自賠責保険調査事務所にて調査が行われ、調査の結果で被害者の方の後遺障害等級が決まります。

後遺障害が認定された場合は、後遺症が残ってしまったという精神的苦痛に対する慰謝料と、後遺症により労働能力が低下、もしくは喪失したことにより本来得るはずだった将来の収入の減収分(逸失利益)を請求することが可能となります。

後遺障害等級は、1つ等級が異なるだけで数十万円、数百万円の差が発生します。

また、後遺症が残っていたからといって必ずしも等級が認定されるわけではありません。一定の基準をクリアしなければなりません。

なお、後遺症が残っただけで等級申請を行わなかったり、後遺障害等級に該当しないと判断されたりした場合は、後遺障害についての損害賠償は受け取ることはできません。

症状固定となり後遺障害等級申請を検討している方は、必ず一度弁護士に相談するようにしましょう。

交通事故問題の経験が豊富な弁護士であれば、後遺障害等級申請のサポートから力になってくれるでしょう。

4 交通事故で怪我を負ってしまった方は、交通事故を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイへ

整形外科で電気治療等の治療を受ける、続けるにあたって被害者の方はどうしていくべきかをご説明させていただきました。

治療費の打ち切りや、後遺障害等級の申請など、被害者の方は怪我を負った場合、様々な問題に直面します。

さらに、相手の保険会社との示談交渉といった、精神的な負担も加わってきます。

交渉相手である保険会社は日々交通事故問題に触れているプロです。

一方で被害者の方のほとんどが交通事故問題に初めて直面している方ばかりです。

交通事故問題において、特にご自身の怪我や後遺症について、わからないことや困っていることがあれば、必ず弁護士に頼りましょう。

交通事故で怪我をして、治療方法、治療費等についてお困り、お悩みの方は、交通事故を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

このコラムの監修者

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