交通事故 後遺障害 整骨院 治療費
2021.09.09 2022.11.15

交通事故後、整骨院のみ受診しても施術費用は請求可能?

交通事故後、整骨院のみ受診しても施術費用は請求可能?

交通事故の被害に遭った後、治療のために整骨院を受診することもあるでしょう。

その際に、整形外科等の医療機関と併用するのではなく、整骨院のみを利用してしまった場合、様々な面で不利益を被ってしまう可能性があります。

そこで、本記事では、整骨院とはそもそもどんなものなのか、施術費用は請求できるのか、整骨院を受診する場合の注意点についてご説明致します。

交通事故が原因による痛みや不快感がある場合に整骨院のみ受診したケース

交通事故が原因の負傷を治療するために考えられる方法として、頭部を強く打った場合は脳神経外科、骨に痛みを感じた場合や捻挫した場合などは整形外科、歯が折れてしまった場合は歯科といったような受診先の選択が考えられます。

そういった選択肢の一つとして、むちうち症が発生した場合などに整骨院の受診を選択することもあるかと思います。

その場合、整形外科等の医療機関を受診し、医師からの整骨院利用に対する指示や同意を得たうえで整骨院を利用するのであれば、問題の発生する可能性は比較的低いといえます。

しかし、医師からの指示や同意を一切得ていない場合や、そもそも、整形外科等の医療機関を受診せず整骨院のみを受診していた場合は、治療費の支払や通院慰謝料といった損害賠償額の提示において保険会社とトラブルになるケースが多々あります。

下記は、そのような整骨院のみの受診をした場合を想定した記事です。

整骨院とは

整形外科との違い

まず、整形外科は、医師という国家資格の有資格者が、医療行為を行うところをいいます。医療行為とは、手術、レントゲン診断、MRI診断、投薬治療といった医師のみが行うことを認められた行為をいいます。

複雑骨折をしたため手術による治療が不可欠である場合や、薬による症状改善が見込まれる場合など整形外科等の医療機関の受診が必要不可欠であるケースも多々存在します。

他方、整骨院は、柔道整復師という国家資格の有資格者がマッサージ等の施術を行います。医師ではありませんので医療行為を行うことは出来ません。

また、診断書といった書類は医師のみに作成権限が認められていますので、整骨院では作成をすることはできません。

整骨院に通院することのメリットとしては、むちうち症などの慢性的な症状が発生した場合に、マッサージ等による整骨院における長期的な施術が症状の改善に役立つことがあることです。

施術費用は請求可能

整骨院における施術であっても、交通事故で負った負傷の治療のために、必要性及び有効性が認められれば、施術費用の請求は可能です。


もっとも、営利企業としてあまり保険料を支払いたくない保険会社は、整骨院のみを受診している場合は治療に当たらず治療費は支払わない旨を伝えてきて、被害者を丸め込もうとするケースも多々あります。

その原因としては、必要性の否定されることがあまりない医師による診断や治療を受けるのではなく柔道整復師による施術であること、保険料をあまり支払いたくない保険会社にとって、長期的な通院になりがちな整骨院における施術を治療行為として認めたくない心理などが考えられます。

気を付けるポイント

医師のように症状固定を判断できない

まず、症状固定とは、これ以上治療を継続しても症状が改善することも悪化することも見込めず、治療を終了する状態をいいます。症状固定は、後述の後遺障害認定を受け、逸失利益といった大きな額の損害賠償請求をする際に必要な診断です。

そして、その診断は、検査結果、リハビリ状況、改善の度合い等の多様な事情を考慮して、医学の専門家たる医師が診断書を作成して行います。診断書を作成することや、医学的知見を患者の状況にあてはめ診断することのできない整骨院においては、症状固定であると判断することはできません。


後遺障害認定を受けられない可能性もある

後遺症とは、治療を継続しても完治しない症状が将来にわたって残り続けることをいいます。

そして、後遺症が原因で労働能力が喪失した場合に認定されるのが後遺障害です。

後遺障害のある場合、満足に労働をすることができなくなってしまいます。そのため、労働能力が喪失した程度に応じて、本来であれば将来にわたって労働により得ることのできたと認められる金銭である逸失利益を支払ってもらわなければ今後の人生を生きていくことが難しくなってしまいます。

もっとも、逸失利益の請求を行うには、前述の後遺障害認定が前提であるところ、その認定の為には、診断書・後遺障害診断書・MRI画像といった必要資料を要求される可能性が高いです。これらの資料を整骨院では作成することができませんので、整骨院のみを受診している場合は、必然的に後遺障害認定を受けられず、適切な逸失利益を請求することができなくなる可能性があるというリスクがあります。

交通事故を多く取り扱う大阪市・難波(なんば)・堺市の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

本記事では、整骨院とはそもそもどんなものなのか、施術費用は請求できるのか、整骨院を受診する場合の注意点についてご説明致しました。

本記事において最もお伝えしたいことは、交通事故による負傷を治療するために整骨院のみを利用することは、特に治療費の支払や通院慰謝料の算定といった場面において保険会社とトラブルになりやすく、不利益を受けるリスクが高いということです。また、後遺症により満足に働けなくなってしまったような場合には、逸失利益を十分に請求できなくなってしまうことにより何千万円もの不利益を負ってしまうリスクもあります。

そのため、まず初めに整形外科等の医療機関を受診し、必要な検査を行い、診断書を作成してもらったうえで、整骨院受診への医師からの指示や同意をもらうことを強くお勧めします。整骨院のみを受診した場合に、その後に保険会社とトラブルになるリスクの高さと多くの時間を費やすことを考えれば、最初に整形外科を受診することは大きな手間であるとは思えません。

しかし、この記事をお読みになった時点で整骨院のみの受診しかしていなかった被害者の方もおられるかと思います。その場合であっても、前述の通り治療の必要性・有効性が認められることを前提として、治療費や通院慰謝料の請求をすることができます。そのため、安易に保険会社から丸め込まれるべきではありません。

もっとも、保険会社とトラブルになってしまった場合、単独で被害者本人が多数の交通事故を処理している保険会社と交渉するのは簡単なことではありません。法律の専門家であり、訴訟に発展したとしても継続的にサポートし続けることのできる弁護士による交渉が重要です。大幅に慰謝料額が増加することも珍しくはありません。

そして、保険会社を相手にした交通事故トラブルに対処するには、交通事故紛争への多数関与した実績やノウハウを基にした交渉力・洞察力が必要となります。その際は、交通事故を多く取り扱う大阪市・難波(なんば)・堺市の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにまずは一度ご相談ください。

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